Power Fx を有効化したデスクトップフローでテキストに変数を埋め込む方法
はじめに
Power Fx を有効化したデスクトップフローでは、Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローとは作成方法が異なる部分が多くあります。本記事ではその中でも 「テキストに変数を埋め込む」 方法について説明します。
図1: Power Fx が有効
コンテキスト
- Power Fx を有効化したデスクトップフロー
対象読者(前提知識)
- Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローを作成できる方
テキストの記述方法
テキストに変数を埋め込む方法について説明する前に、Power Fx を有効化したデスクトップフローでテキストを記述する方法を説明しておきます。まずは Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでテキストを記述する方法を復習しておきましょう。
Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでテキストを記述する方法
Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでテキストを記述する方法は 2 つあり、ひとつは テキストをそのまま記述 する方法(以下簡易表記といいます)、もうひとつは テキストをシングルクォーテーション ('
) で囲んで記述 する方法(以下式表記といいます)です。
表記法 | 例 |
---|---|
簡易表記 | クリスマス |
式表記 | %'クリスマス'% |
ひとつ注意が必要な点があります。それは簡易表記で半角数字を記述するとテキストではなく 数値 になってしまうと言う点です。半角数字をテキストとして記述する場合は式表記で記述してください。(全角数字は簡易表記で記述してもテキストになります。)
例 | 型 |
---|---|
1225 |
数値 |
%'1225'% |
テキスト |
1225 |
テキスト |
%'1225'% |
テキスト |
<参考文献>
Power Fx を有効化したデスクトップフローでテキストを記述する方法
それでは、Power Fx を有効化したデスクトップフローでテキストを記述する方法を説明します。こちらも 2 つの方法があり、ひとつは テキストをそのまま記述 する方法(以下簡易表記といいます)、もうひとつは テキストをダブルクォーテーション ("
) で囲んで記述 する方法(以下式表記といいます)です。
表記法 | 例 |
---|---|
簡易表記 | クリスマス |
式表記 | ="クリスマス" |
Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでは例外(簡易表記で半角数字を記述するとテキストではなく数値になる)がありましたが、Power Fx を有効化したデスクトップフローでは例外はありません。すなわち、簡易表記で半角数字を記述するとテキストになります。(半角数字を数値として記述する場合は先頭をイコール (=
) で始めます)
例 | 型 |
---|---|
1225 |
テキスト |
="1225" |
テキスト |
1225 |
テキスト |
="1225" |
テキスト |
=1225 |
数値 |
<参考文献>
テキストに変数を埋め込む方法
それでは テキストに変数を埋め込む方法 を説明します。ここでも Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでテキストに変数を埋め込む方法を復習しておきましょう。
Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでテキストに変数を埋め込む方法
Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローで、テキストに変数を埋め込む方法はいくつかありますが、ここでは代表的な 2 つの方法を説明します。
1. 簡易表記と式表記を組み合わせる方法
1 つ目の方法は 簡易表記と式表記を組み合わせる方法 です。テキストの部分を簡易表記で記述し、埋め込みたい変数をその中に記述することでテキストに変数を埋め込むことができます。
C:/Users/%UserName%/Downloads
+
) を使用する方法
2. テキスト連結演算子 (2 つ目の方法は テキスト連結演算子 (+
) を使用する方法 です。Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでは、プラス (+
) でテキストを連結することができます。
%'C:/Users/' + UserName + '/Downloads'%
Power Fx を有効化したデスクトップフローでテキストに変数を埋め込む方法
それでは、Power Fx を有効化したデスクトップフローでテキストに変数を埋め込む方法を説明します。Power Fx を有効化デスクトップフローで、テキストに変数を埋め込む方法もいくつかありますが、ここでは代表的な 3 つの方法を説明します。
&
)を使用する方法
1. テキストの結合演算子(1 つ目の方法は テキスト連結演算子 (&
) を使用する方法 です。Power Fx を有効化したデスクトップフローでは、アンパサンド (&
) でテキストを連結することができます。
="C:/Users/" & UserName & "/Downloads"
2. テキスト補間を使用する方法
2 つ目の方法は テキスト補間 を使用する方法です。テキスト補間は 2 つの記述方法がありますので、順番に説明します。
<1 つ目の記述方法>
- 変数以外のテキストはそのまま記述します
- 埋め込みたい変数を
${}
で囲みます - 先頭にイコール (
=
) は不要です
C:/Users/${UserName}/Downloads
<2 つの目の記述方法>
- 全体を
$""
で囲みます - 変数以外のテキストはそのまま記述します
- 埋め込みたい変数を
{}
で囲みます - 先頭にイコール (
=
) が必要です
=$"C:/Users/{UserName}/Downloads"
2 つの記述方法をまとめると以下の表のようになります。
記述方法 | 全体を何で囲む | 埋め込みたい変数を何で囲む | 先頭のイコール記号 |
---|---|---|---|
1 つ目の記述方法 | 囲まない | ${} |
不要 |
2 つ目の記述方法 | $"" |
{} |
必要 |
3. Concatenate 関数を使用する方法
3 つ目の方法は Concatenate
関数を使用する方法 です。Concatenate
関数の引数にコンマ (,
) 区切りでテキストや変数を列挙すると、すべてを結合したテキストが返されます。
=Concatenate("C:/Users/", UserName, "/Downloads")
これはテキスト連結演算子 (&
) を使用して以下のように記述したものと同じになります。
="C:/Users/" & UserName & "/Downloads"
(補足)Power Fx を有効化したデスクトップフローにおける簡易表記と式表記について
Power Fx を有効化したデスクトップフローでは、簡易表記と式表記を組み合わせることができません。なぜなら、式表記を開始するためにはイコール (=
) で始める必要がありますが、Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローのように式表記を終了するための記号が無いからです。
Power Fx を有効化していない従来のデスクトップフローでは、式表記はパーセント (%
) で始まりパーセント (%
) で終わります。従って、ここからここまでは式表記、ここからここまでは簡易表記のように組み合わせることができましたが、Power Fx を有効化したデスクトップフローではそれができません。すなわち、簡易表記か式表記かを選択 して記述する必要があるのです。
おわりに
本記事では Power Fx を有効化したデスクトップフローで、テキストに変数を埋め込む方法を説明しました。本記事が Power Fx を有効化したデスクトップフローを作成する方の助けに少しでもなれば幸いです。
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