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LTspice 部品モデルの追加方法

2021/06/09に公開

LTspiceに部品モデルを追加する方法を紹介する。
方法にはいくつかあるが、ここでは、
①シンボル作成+lib(sub)ファイル追加
②標準ライブラリへの追加
について説明する。

初めにLTspice(XVII)のフォルダとファイルについて説明しておく。LTspice(XVII)のフォルダ構成は以下のようになっている。

LTspiceXVII
|ーーー examples
|    |___ Educational
|    |___ jigs
|ーーー lib
     |___ cmp
     |___ sub
     |___ sym
・examples:プロジェクトを保存
・lib:モデルデータを管理

・cmp:standard.bjt など標準の部品ライブラリ群を入れる。
・sub:xxx.lib, xxx.subファイルなどの標準部品以外の部品ライブラリを入れる。
libファイルはsubファイルを含むライブラリの集合体。subファイルはspiceモデルを定義したファイルでテキストまたはバイナリで記述されている。また、部品ライブラリのルートフォルダはこのフォルダになっており、階層が異なるファイルを指定する際はこのフォルダからの相対パスで指定を行う。
・sym:回路図のシンボルとネットリストの関係を定義するxxx.asyファイルを入れる。

①シンボル作成+lib(sub)ファイル追加
ここではタイマーICであるTLC555を例に説明する。事前準備としてメーカーサイトからspiceモデル(TLC555.lib、デバイスによっては.subもある)を入手しておく。

最初にモデルファイルをライブラリフォルダに格納する。フォルダの場所は、LTspiceXVII\lib\sub
の下に置く。subの下にフォルダを作成し、その下に置くことも可能である。

次に、シンボルを作成する。
シンボル作成には
a.LTspiceのシンボル自動生成機能を使う
b.マニュアルでシンボルを作成する
の2通りがある。
a.は長方形のシンボルだが作成が簡単、b.は任意のシンボルが作れる という特徴がある。

a.LTspiceのシンボル自動生成機能を使う
LTspiceの開くメニューでsubフォルダに配置したモデルファイルを開く。
.SUBCKT TLC555 THRES CONT TRIG RESET OUT DISC VCC GND
上記の.SUBCKTで始まる行にカーソルを置き、右クリックからCreate Symbolを選択する。
実行するとAutoGeneratedフォルダにシンボルが作成されるの適当なフォルダに移動させれば完了である。
LTspiceXVII\lib\sym\AutoGenerated

b.マニュアルでシンボルを作成する
LTspiceを開きNew Schematicを作成、ツールバーからcomponentを選択する。TLC555は8pinなので、Misc→DIP8を選択して回路図に配置する。LTspiceには標準で様々なピン数のシンボルが用意されているので、追加したいICの種類に応じて適宜選択する。配置したシンボルを右クリックで選択してComponent Attribute Editorが開き、Open Symbolを選択する。
シンボル編集画面でシンボルのピンを右クリックで選択すると、Pin/Port Propertiesが開く。
Netlist Orderでそのピンのピン番号が確認できるので、Labelの名称を以下の部品名に続く順番で編集する。
.SUBCKT TLC555 THRES CONT TRIG RESET OUT DISC VCC GND
ちなみに以下のように部品名のあとに数字が記載されている場合があるが、この数字は内部回路の端子番号である。部品のピンアサインはコメントに記載されていたり、別ファイルに記載されている場合がある。
* Node Assignments
*        noninverting input
*        | inverting input
*        | | positive supply
*        | | | negative supply
*        | | | | output
*        | | | | |
.SUBCKT OP162 1 2 99 50 45

最後にシンボルとライブラリファイルの紐づけを行う。
シンボル編集画面でシンボル以外の場所を右クリックし、Attributes→Edit Attributesを選択する。ModelFileのvalueを選択し、ライブラリファイルのパスを記載する。パスはsymフォルダからの相対パスで記載する。この例ではTLC555.libとなる。サブフォルダにある場合はサブフォルダを含めたパスを記載する。
また、Valueの項目にモデル名を記載するが、モデルファイルに記載されている名称と一致している必要がある。この例では、libファイルには以下のように定義されているため、TLC555をValue項目のvalue欄に記載する。
.SUBCKT TLC555 THRES CONT TRIG RESET OUT DISC VCC GND

以上でモデル作成は終了なので、シンボル編集画面を閉じる前に、名前を付けてシンボルを保存すれば完了となる。

②標準ライブラリへの追加
標準ライブラリとはシンボルとモデルが予め用意された部品で、cmpフォルダの下に8種類のライブラリファイルが置かれている。受動部品はデータベース形式となっており、半導体はspiceモデル形式で記述されている。ここでは、ロームのNPNトランジスタ2SC5824を追加する例を紹介する。
・受動部品
standard.bead:フェイライト・ビーズ
standard.cap:容量
standard.ind:インダクタ(コイル)
standard.res:抵抗
・半導体
standard.bjt:バイポーラ・トランジスタ
standard.dio:ダイオード
standard.jft:JFET
standard.mos:MOSトランジスタ

standard.bjtをテキストエディタ(あるいはLTspcieのFile→Open)で開くと、以下のようにモデルの特性が記述されている。+は改行する際に用いる記号である。
.model 2N2222 NPN(IS=1E-14 VAF=100
+ BF=200 IKF=0.3 XTB=1.5 BR=3
+ CJC=8E-12 CJE=25E-12 TR=100E-9 TF=400E-12
+ ITF=1 VTF=2 XTF=3 RB=10 RC=.3 RE=.2 Vceo=30 Icrating=800m mfg=NXP)

改行せず1行で記載する場合は以下のようになる。
.model 2N3019 NPN(Is=14f Vaf=100 Bf=200 Ikf=.75 Xtb=1.5 Br=5 Rc=.7 Cjc=16p Mjc=.36 Cje=55p Mje=.1553 Tr=800p Tf=800p Itf=1.2 Vtf=5 Xtf=55 Rb=10 Vceo=80 Icrating=1 mfg=Semicoa)

同じようにして、メーカーサイトより入手したspiceモデル「2sc5824.lib」の中身をコピーする。最後の行あるいは適当に改行して作成したスペースにコピーし、ファイルを上書き保存すれば作業は完了である。
.MODEL Q2SC5824 NPN(IS=3.3000E-12 BF=248.92 VAF=100 IKF=5.2602 ISE=3.3000E-12 NE=1.7608 BR=7.4847 VAR=100 IKR=1.1308 ISC=8.9866E-12 NC=3.3932 NK=.87107 RE=60.000E-3 RB=.41596 RC=4.2090E-3 CJE=415.35E-12 MJE=.38396 CJC=76.685E-12 MJC=.50476 TF=553.81E-12 XTF=241.49 VTF=120.05 ITF=247.46 TR=60.677E-9 XTB=1.5000)

LTspiceで回路図を開き、ツールバーのComponentからnpnトランジスタを選択し回路図に配置する。シンボルを右クリックし、Pick New Transistorをクリックすると、Q2SC5824が選択できるようになっている。

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