GitHub の削除されたリポジトリや非公開のリポジトリに誰でもアクセスできるの?
こんなタイトルの記事を見かけました。
GitHubの削除されたリポジトリや非公開のリポジトリに誰でもアクセスできてしまうのは仕様通り
元の記事はこちらです。
Anyone can Access Deleted and Private Repository Data on GitHub
もしもこれらが本当にタイトル通りだとしたらさすがに大事件なので、検証してみました。
要約
- Accessing Deleted Fork Data
- フォークのコミットは、フォークを削除したあとも、フォーク元のパブリックリポジトリ経由で参照できる。
- Accessing Deleted Repo Data
- パブリックリポジトリのコミットは、フォークが作成されていたら、パブリックリポジトリを削除したあとも、フォーク経由で参照できる。
- Accessing Private Repo Data
- プライベートリポジトリのフォークのコミットは、フォーク元のリポジトリがパブリックに変更された場合、フォークがプライベートになっていても、フォーク元のリポジトリ経由で参照できる。
( ただし、参照できるコミットはフォーク元のリポジトリがパブリックに変更された時点までのもののみ。 )
- プライベートリポジトリのフォークのコミットは、フォーク元のリポジトリがパブリックに変更された場合、フォークがプライベートになっていても、フォーク元のリポジトリ経由で参照できる。
- いずれの場合も、参照するためには対象コミットのハッシュを特定する必要がある。
日本語難しい。
記事に記載されているシナリオを検証してみる
元記事では次の 3 つのシナリオについて説明されています。
- Accessing Deleted Fork Data - 削除されたフォークのデータにアクセスする
- Accessing Deleted Repo Data - 削除されたパブリックリポジトリのデータに ( フォーク経由で ) アクセスする
- Accessing Private Repo Data - プライベートな ( フォーク ) リポジトリのデータにアクセスする
それぞれのシナリオについて、実際に手順を踏んで確認してみます。
Accessing Deleted Fork Data
- パブリックリポジトリをフォークする
- フォークにコードをコミットする ( パブリックリポジトリには取り込まない )
- フォークを削除する
上記の手順を行ったとき、 2. でコミットした内容が、 ( パブリックリポジトリに取り込んでいないにも関わらず ) フォークを削除したあとも参照できることが指摘されています。
手順スクリーンショット
1. パブリックリポジトリをフォークする
まずはパブリックなリポジトリを用意します。今回は public-repo-1
という名前でパブリックリポジトリを作成しました。
public-repo-1
このリポジトリをフォークします。
フォークのリポジトリ名を入力します。今回は public-repo-1-fork
としました。
Create fork
をクリックします。
public-repo-1
のフォークとして public-repo-1-fork
が作成されました。
public-repo-1-fork
2. フォークにコードをコミットする
フォーク ( 今回の場合は public-repo-1-fork
) に適当なコードをコミットします。
今回は index.js
というファイルを作成しました。
index.js
コミットハッシュは 223a27f3cac4f82a03117b251e1d13de919f639c
になりました。
なお、このコミットはパブリックリポジトリ ( 今回の場合は public-repo-1
) には取り込みません。
223a27f3cac4f82a03117b251e1d13de919f639c
3. フォークを削除する
フォーク ( 今回の場合は public-repo-1-fork
) を削除します。
設定画面から Delete this repository
をクリックします。
それでは、削除したフォークのコミットの内容が参照できるか確認してみます。
以下のような URL にアクセスします。
https://github.com/<フォーク元のリポジトリのオーナー>/<フォーク元のリポジトリ>/commit/<フォークのコミットハッシュ>
今回の場合は以下のようになります。
https://github.com/koki-develop-org/public-repo-1/commit/223a27f3cac4f82a03117b251e1d13de919f639c
アクセスしてみると、すでに削除したフォークのコミットの内容が表示されました。
すでに削除したフォークのコミットを参照できる
上部には以下のようなメッセージが表示されています。
This commit does not belong to any branch on this repository, and may belong to a fork outside of the repository.
このコミットがどのブランチにも属していないこと、そしてこのリポジトリの外部のフォークに属している可能性があることが表示されています。
Accessing Deleted Repo Data
- パブリックリポジトリをフォークする
- パブリックリポジトリにコードをコミットする ( フォークには取り込まない )
- パブリックリポジトリを削除する
上記の手順を行った時、 2. でコミットした内容が、 ( フォークに取り込んでないにも関わらず ) パブリックリポジトリを削除したあとも参照できることが指摘されています。
手順スクリーンショット
1. パブリックリポジトリをフォークする
まずはパブリックなリポジトリを用意します。今回は public-repo-2
という名前でパブリックリポジトリを作成しました。
public-repo-2
このリポジトリをフォークします。
フォークのリポジトリ名を入力します。今回は public-repo-2-fork
としました。
Create fork
をクリックします。
public-repo-2
のフォークとして public-repo-2-fork
が作成されました。
public-repo-2-fork
2. パブリックリポジトリにコードをコミットする
パブリックリポジトリ ( 今回の場合は public-repo-2
) に適当なコードをコミットします。
今回は index.js
というファイルを作成しました。
コミットハッシュは dadfa9105fc2fd94453b08eeebeff5402d19abd0
になりました。
なお、このコミットはフォーク ( 今回の場合は public-repo-2-fork
) には取り込みません。
dadfa9105fc2fd94453b08eeebeff5402d19abd0
3. パブリックリポジトリを削除する
パブリックリポジトリ ( 今回の場合は public-repo-2
) を削除します。
それでは、削除したパブリックリポジトリのコミットの内容が参照できるか確認してみます。
以下のような URL にアクセスします。
https://github.com/<フォークのオーナー>/<フォーク>/commit/<フォーク元のリポジトリのコミットハッシュ>
今回の場合は以下のようになります。
https://github.com/koki-develop-org/public-repo-2-fork/commit/dadfa9105fc2fd94453b08eeebeff5402d19abd0
アクセスしてみると、すでに削除したパブリックリポジトリのコミットの内容が表示されました。
すでに削除したパブリックリポジトリのコミットを参照できる
上部には以下のようなメッセージが表示されています。
This commit does not belong to any branch on this repository, and may belong to a fork outside of the repository.
このコミットがどのブランチにも属していないこと、そしてこのリポジトリの外部のフォークに属している可能性があることが表示されています。
Accessing Private Repo Data
- プライベートリポジトリをフォークする
- フォークにコードをコミットする
- プライベートリポジトリをパブリックにし、フォークをプライベートにする
上記の手順を行った時、2. でコミットした内容が、フォークがプライベートになっていても参照できることが指摘されています。
手順スクリーンショット
1. プライベートリポジトリをフォークする
まずはプライベートなリポジトリを用意します。今回は private-repo-1
という名前でプライベートリポジトリを作成しました。
private-repo-1
このリポジトリをフォークします。
フォークのリポジトリ名を入力します。今回は private-repo-1-fork
としました。
Create fork
をクリックします。
private-repo-1
のフォークとして private-repo-1-fork
が作成されました。
private-repo-1-fork
2. フォークにコードをコミットする
フォーク ( 今回の場合は private-repo-1-fork
) に適当なコードをコミットします。
今回は index.js
というファイルを作成しました。
index.js
コミットハッシュは 9c7453560e1ac974e1b31598e18cc39e5eb52872
になりました。
なお、このコミットはプライベートリポジトリ ( 今回の場合は private-repo-1
) には取り込みません。
9c7453560e1ac974e1b31598e18cc39e5eb52872
3. プライベートリポジトリをパブリックにし、フォークをプライベートにする
プライベートリポジトリ ( 今回の場合は private-repo-1
) をパブリックにします。
( フォークは今回の場合、作成時点で既にプライベートになっているので特に何もしません。 )
それでは、プライベートなフォークのコミットの内容が参照できるか確認してみます。
以下のような URL にアクセスします。
https://github.com/<フォーク元のリポジトリのオーナー>/<フォーク元のリポジトリ>/commit/<フォークのコミットハッシュ>
今回の場合は以下のようになります。
https://github.com/koki-develop-org/private-repo-1/commit/9c7453560e1ac974e1b31598e18cc39e5eb52872
アクセスしてみると、プライベートなフォークのコミットの内容が表示されました。
( 未ログイン状態でアクセスしています )
プライベートなフォークのコミットを参照できる
上部には以下のようなメッセージが表示されています。
This commit does not belong to any branch on this repository, and may belong to a fork outside of the repository.
このコミットがどのブランチにも属していないこと、そしてこのリポジトリの外部のフォークに属している可能性があることが表示されています。
ちなみに、この後に追加でフォークにコミットした内容にはアクセスできません。
あくまでフォーク元のリポジトリがパブリックになった時点までのコミットの内容が参照できるようです。
まとめ
参考記事のタイトルには フォーク の フ の字も入ってなかったのでさすがにびっくりしました。
この内容を単に「削除されたリポジトリや非公開のリポジトリに誰でもアクセスできてしまう」と表現するのはなかなか過激ですね。間違っちゃいないけども。
しかしそれはそれとして、今回指摘されている GitHub の仕様には気をつけておいた方がいいことは確かです。
なんにせよ、シークレットキー等の機密情報をハードコーディングして GitHub にプッシュするのはやめましょう。
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