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Oracle APEX ServiceとAutonomous Databaseの比較

2021/03/15に公開

2021年1月に、Autonomous Databaseの一部として提供されていたOracle APEXが単体サービスとしてリリースされました。Oracle APEXはWebアプリをローコードで作る開発環境です。

https://apex.oracle.com/ja/platform/apex-service/

半年ほど前に利用を開始したAutonomous DatabaseからOracle APEX Serviceへの乗り換えを検討するにあたり、サービスの違いを調べてみましたので書いておきます。

価格

それぞれを最小構成で1ヶ月稼働させた場合の金額を比較してみます。
金額はCost Estimatorで試算しています。

条件

  • Oracle Databaseのライセンス持ち込み(BYOL)なし
  • 自動スケーリングなし(1 OCPU固定)
  • ストレージも最小(1TB)
  • 稼働時間は24時間 x 31日 = 744 時間
項目 Oracle Autonomous Database Oracle APEX Service
Database(744時間) \120,001 \28,802
Exadata Storage \14,208 \14,208
1ヶ月あたり \134,209 \43,010
1日あたり \4,329 \1,387

Oracle Autonomous DatabaseとOralce APEX Serviceの1ヶ月あたりの差額は\91,199となりました。Apex ServiceはDatabaseの1時間あたりの単価がAutonomousの4分の1と安価になっていますが、Oracle APEX ServiceもOracle Exadata上で稼働するのでストレージの価格は一緒です。

制限事項

これだけ価格差があるので、何かしら機能制限などがあるはず。
制限事項が日本語のサイトには見当たらなかったので英語サイトを見に行きました。

https://docs.oracle.com/en/cloud/paas/apex/gsadd/apex-application-development-limitations.html

Google先生に翻訳してもらうと以下の通りとなりました。

Autonomous Databaseの制限事項

  • Oracle Databaseクライアントの非サポート。SQLNet接続ができません
  • データベースのクローン作成はサポートされていますが、更新可能なクローンはサポートされていません
  • Oracle Machine Lerning Zeppelin ノートブックは含まれていません
  • OracleDataSafeエンドポイントとしての登録はサポートされていません
  • Autonomous DataGuardスタンバイを設定する機能はありません
  • 事前設定されたREST-SQLエンドポイント(URLがで終わる/sql)に直接アクセスすることは禁止されています。
  • BYOLライセンスタイプはありません
  • Always Free版はありません
  • 専用インフラストラクチャバージョンはありません
  • 政府バージョンはありません
  • Oracle Cloud@Customer では利用できません

Databaseクライアントがサポートされていないので、ここがAPEX Serviceを使う・使わないの分かれ目になりそうです。
私はただ単に社内向けWebアプリを手間をかけずに作り、いい感じにデータを保存してもらいたいだけなのでAutonomous Databaseの制限事項はクリアです。SQL*Plusは使わないで済むならそちらのほうが良いです。できることが多すぎて我々ライト勢には持て余します。

アプリケーション上の制限事項

  • Oracle ApplicationExpressランタイム環境はサポートされていません。
  • バニティURLまたはカスタムドメイン名はネイティブでサポートされていません。
  • Oracle Cloud Infrastructure Web Application Firewall(WAF)サービスはネイティブにサポートされていません。
  • 一部の構成オプションが変更できません。
  • App Builderへのアクセスに使用される認証スキーム
  • リクエストの管理(セルフサービスワークスペースリクエスト、変更リクエスト)
  • インスタンス設定の管理
  • セキュリティ(HTTPプロトコル、セッションタイムアウト、ワークスペース分離、リージョンとWebサービスの除外ドメイン、認証制御、パスワードポリシー)
  • インスタンス設定(ワークスペース作成プロビジョニング、ウォレット、レポート印刷)
  • ワークスペースのパージ設定
  • REST管理インターフェース
  • ワークスペースで管理で無効になっているオプション
  • サービスリクエストを作成する

社内向けアプリなのでURLにこだわりはありませんし、ワークスペースも必要になれば管理者側で発行して渡すので大丈夫。また、将来的に上記の機能が必要になったら「ワークロードタイプの変更」でAutonomous Databaseに切り替え(一方通行)できるとのこと。

よし、規模が大きくなって面倒になる前にAPEXサービスに移行しよう。
そして浮いた予算でComputeインスタンスを建てよう。

Autonomous Databaseのワークロードタイプの変更でポチッと変更出来ればよかったのですが、選択肢にありませんでした。残念。
そのため、新たにOracle APEX Serviceのインスタンスを生成して移行作業を行っています。
移行の検証作業を行う時だけOracle APEX Serviceを起動すれば良いので、あまりコストをかけずに移行作業が行えます。この辺がクラウドの便利なところですかね。

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