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Windows 11 + WSL2 環境で OpenFOAM をセットアップする方法
1. はじめに
OpenFOAM は、計算流体力学(CFD)分野における標準的なオープンソースソフトウェアの一つです。Windows 11 環境においても、WSL2 上で Ubuntu を実行することで、Linux ネイティブと同等の計算環境を構築できます。
本記事では WSL2 がすでに導入済み であることを前提に、OpenFOAM 12 をインストールし、動作確認する手順をまとめます。
2. インストール手順
(1) GPG キーの登録
パッケージの正当性を保証するため、公式の署名鍵を導入します。
sudo sh -c "wget -O - https://dl.openfoam.org/gpg.key > /etc/apt/trusted.gpg.d/openfoam.asc"
(2) リポジトリの追加
APT が OpenFOAM の公式リポジトリを参照できるように設定します。
sudo add-apt-repository http://dl.openfoam.org/ubuntu
(3) パッケージの更新とインストール
sudo apt update
sudo apt -y install openfoam12
(4) 環境変数の設定
echo "source /opt/openfoam12/etc/bashrc" >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc
以降のセッションで OpenFOAM コマンドが利用可能になります。
3. 動作確認
(1) コマンドの確認
foamRun -help
ヘルプメッセージが表示されれば、正常にインストールされています。
(2) チュートリアルの実行
代表的なケースである Pitz&Daily を例に、解析を実行します。
cp -r $FOAM_TUTORIALS/incompressibleFluid/pitzDailySteady .
cd pitzDailySteady
blockMesh
foamRun
paraFoam
- blockMesh:格子生成
- foamRun:解析実行
- paraFoam:ParaView による可視化
ParaView 上で「Apply」後、Time=3 を選択し U(速度場)を表示すると、結果を可視化できます。
4. メンテナンス
アップデート
sudo apt update
sudo apt install --only-upgrade openfoam12
アンインストール
sudo apt purge openfoam12
5. まとめ
- Windows 11 + WSL2 環境であれば、Linux ネイティブと同じ手順で OpenFOAM を導入可能。
- 基本的な流れは「署名鍵登録 → リポジトリ追加 → インストール → 環境設定」。
- チュートリアルを通して、格子生成から可視化まで一連の流れを体験できる。
- アップデートやアンインストールも標準の apt コマンドで管理可能。
6. 補足:GUI ツールの活用
OpenFOAM は基本的にコマンドラインで操作しますが、解析結果の管理や実行を補助する GUI ツール も存在します。
例えば xsim の紹介動画 では、OpenFOAM をより直感的に扱える環境が紹介されています。こうしたツールを組み合わせることで、解析ワークフローを効率化できる点も押さえておくとよいでしょう。
7. 参考資料
- OpenFOAM の Windows へのインストール https://www.xsim.info/articles/OpenFOAM/Install-on-Windows.html
- 初心者でも出来るOpenFoamの使い方紹介 https://youtu.be/pWbZUlMRpak?si=I5V8USIDrwTDMeq_
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