Fusionでスレッドミルを使う
この記事はAkitoshi's Advent Calendar 2024の2日目の記事です
タッパーが使えないCNCでタッピングがしたい!
Roland MDX-540というCNCを使っています。
よい機材ですが、少し難点があってチャックがBT15という激レア規格なのです。
当然タッパーを使ったタッピングはできません。
数個の穴であれば手でタッピングすればよいのですが、今回治具板を作るのに120個ほどの穴をにタップを切る必要がありました。
さすがに手作業は無理だ!
ということで何とかタッパーを使わずにタッピングできる方法がないかを模索していたところスレッドミルを見つけたので使ってみました。
使用機材等
- CNC
- Roland MDX-540 (ATC付き)
- 刃物
- スレッドミル (AT-1-5.7X18.75-P1.25-INT)
- ドリル φ6mm
- 被削材
- POM 20mm (白)
- CAM
- Fusion CAM
パスの作成
下穴
M8の下穴は6.8mmです。
手元に6.8mmを使えるコレットがなかったので今回は6mmのドリルで代用します。
ドリル
からパスを作成します。
穴の選択は形状
の項目から同じ直径を選択
にチェックを入れることで大量の穴を一括で選択できます。
工具は今回は楽をしたかったのでFusionライブラリを使用しました。
穴あけ工具(メートル)
の6mm Spot Drill
からPlastics - Drilling
プリセットを使いました。
普通の早送りでは切りくずが除去できずに機械に負荷がかかります。サイクルを変更することで回避できます。
今回は20mmの穴をあけるので深さがドリル径の3倍以上であるため、サイクルタイプを深穴ドリル
にします。
また、今回は完全に貫通する穴にしたいので貫通代を5mmにしました。
失敗談
最初何も変えずにデフォルトのままで切削したのですが、切りくずがドリルに巻き付いて過負荷で止まってしまいました(-_-;)
スレッドミル
スレッドミル用のパスを作成します。OSGはThreadProというNCプログラムを作成してくれるオンラインツールを公開していますが、もちろんMDX-540には対応してないので参考にしつつFusionCAMで作ります。
今回はOSGのAT-1 5.7x18.75P1.25
を使用しました。
カタログ通り登録します。
切削データを登録します。
今回はChatGPTを使いつつ最適そうな値にしました。(結果的に良さそうな値が出力されたので良かった)
2D -> ねじを選択します
ドリル同様に一括で穴を選択します。
あとは詳細なねじの切削条件を設定していきます
パス
の項目から設定します。
M8なのでねじピッチは1.25mmです。
また、少し緩めの穴にしたかったのでピッチ円直径オフセットは1.373mmにしました。
複数ピッチ回数とパス繰り返しにチェックを入れておきます。
ピッチ回数は2回にしました。
失敗談
うまくねじ穴が作れずに悩んでいたのですが、工具の直径と軸径を逆に設定してしまっていました。
また、最初うまくねじ山ができなくて苦労しました。
複数ピッチ回数とパス繰り返しにチェックを入れることで解決できました。
ポスト処理
今回はATC付のCNCを使用したので工具の番号が正確に指定されていることを再度確認します。
確認後ポスト処理を行います。
初めて行う作業なので一応Optional stop
(工具交換の際に止まる機能)にチェック入れたままにします。
切削
実際に切削を行います。
いろいろ失敗しつつでしたが最終的にうまく切削できました。
タッパーを使わずにねじ切りをでき、なおかつタッピングに比べ加工精度が上がるためすごく良いです。
タッピングだと詰まりや工具の折れの心配が付きまというますが、あまり考えなくても切削できるのがスレッドミルの良いところだなと思います。
kitmill等の家庭用CNCでも使えそうなのでまたチャレンジしてみたいな!
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