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ETH Global BuenosAires🇦🇷 のスポンサードプロジェクト詳細 Part1

に公開

RayerZero

🧩 ① LayerZeroの概要

項目 内容
目的 異なるブロックチェーン間でメッセージを安全・信頼最小化で送受信できるようにする「通信プロトコル」
構成要素 - Endpoint(オンチェーン):各チェーン上に設置される通信窓口 - Oracle(オフチェーン):送信元チェーンのブロックヘッダーを受信側へ届ける - Relayer(オフチェーン):実際のメッセージ(payload)を受信チェーンへ配送
特徴 - OracleとRelayerを分離し、どちらかが改ざんしても成立しない「信頼最小化」構造 - LayerZeroはプロトコルとEndpointを提供し、OracleやRelayer自体は外部(Chainlinkなど)またはDAppが運営する
開発者が行うこと Sender/Receiverコントラクトを実装し、Endpointを通じて lzSend() / lzReceive() を使う。どのOracle/Relayerを使うかは設定で選択可能。

🔁 ② コントラクトのシーケンス

流れの要約

  1. Sender → Endpoint(送信チェーン)

    endpoint.send() を呼び出し、オンチェーンイベントを発火。

  2. Oracle / Relayer(オフチェーン)

    → イベントを検知し、それぞれヘッダー情報とpayloadを宛先へ転送。

  3. Endpoint(受信チェーン)

    → OracleとRelayerの情報が一致すると、lzReceive()を呼び出す。

  4. Receiver(受信コントラクト)

    → メッセージ内容に基づき、アプリロジックを実行。

💰 ③ ガス代の支払い主体

観点 内容
支払者 送信側のユーザー(またはDApp)
支払タイミング endpoint.send() 実行時に msg.value として前払い
内訳 - 送信チェーンのトランザクションガス - 宛先チェーンの lzReceive() 実行ガス(前払い) - Oracle報酬 - Relayer報酬
宛先チェーンのガス処理 Relayerが前払い分を使って宛先チェーンでトランザクションを実行
見積り方法 endpoint.estimateFees(dstEid, payload, adapterParams) により見積もり可能
設計思想 「宛先チェーンのガスを、送信チェーンで前払い」することでユーザー体験を簡素化し、安全にする。

💡 まとめ一文で言うと:

LayerZeroは、オフチェーンのOracleとRelayerがオンチェーンイベントを拾って別チェーンへメッセージを届けるクロスチェーン通信プロトコルであり、そのガス代は送信者が宛先分もまとめて前払いする設計。

1inch

💡 1. 概要:1inchとは?

**1inch は、複数のDEX(分散型取引所)を横断的に統合する「DEXアグリゲーター」**です。

簡単に言えば、Uniswap・SushiSwap・Balancer など多数のDEXの中から、最もお得な交換経路を自動で探してくれるサービスです。

公式サイト:https://1inch.io/

創業:2019年(ETHGlobal Hackathonで誕生)

開発チーム:Sergej Kunz と Anton Bukov(両者とも元イーサリアム開発者)

⚙️ 2. 仕組み:どうやって「最安ルート」を探すのか?

1inchは独自の**Pathfinder(ルーティングアルゴリズム)**を使っています。

これがユーザーが「Aトークン → Bトークン」をスワップしたいときに、以下を自動で比較します:

  • どのDEXで取引すれば良いか(Uniswap, Curve, Sushiなど)
  • どのルートで分割すれば有利か(例:50%をCurve経由、50%をBalancer経由)
  • スリッページ・ガスコストも考慮して実質利益が最大になる経路を選択

例:

USDC → WETH に交換したい場合

1inch Pathfinder が探索:
- Uniswap: 1 USDC = 0.00059 WETH
- Curve:   1 USDC = 0.00060 WETH
- Balancer:1 USDC = 0.00058 WETH
→ Curveが最良。ただし、ガスを考慮すると半分Uniswap経由が有利。
最終的に最適ミックスルートを自動選択。

結果:

ユーザーは「どこで交換するか」を意識せず、最良レートを一瞬で得られる

🧱 3. 構成コンポーネント

コンポーネント 役割
Aggregation Protocol DEXの価格を比較・最適経路を計算(1inchのコア)
Limit Order Protocol オンチェーンで指値注文を出せる機能(オフチェーン署名→オンチェーン実行)
Liquidity Protocol 1inch独自のAMM(Uniswap V2型)
Wallet / Mobile App マルチチェーン対応ウォレット(DeFi接続機能付き)

🔗 4. 対応ネットワーク

1inchはマルチチェーン対応で、主要なEVM系チェーンで利用可能です:

  • Ethereum
  • BNB Chain
  • Polygon
  • Arbitrum
  • Optimism
  • Avalanche
  • Base
  • zkSync
  • Linea など

LayerZeroと同様に、**「どのチェーンでも同じUXでトークンをスワップできる」**のが特徴です。

💰 5. トークン(1INCH)の役割

用途 内容
ガバナンス DAO投票(手数料設定や報酬分配など)に利用
ステーキング ガバナンス権強化・報酬獲得
インセンティブ 流動性提供者やRelayerへの報酬支払い

トークンは“取引手数料を払う”用途ではなく、ネットワークの運営とガバナンスが主目的です。

👥 6. 誰がどんなメリットを得るのか?

立場 メリット
ユーザー - スリッページ・手数料を最小化- 1回の取引で複数DEXを横断可能- ガス最適化で実質的なコストを削減
開発者 - 1inch API を使って最良レートを簡単に取得(自分のDAppに統合可能)
流動性提供者 - 1inch経由のトラフィックでLP報酬増加

🧮 7. 1inch APIを使うとできること(開発者向け)

1inchが提供するAggregation APIを叩くと、以下の情報を自動取得できます:

  • スワップ見積もり (quote)
  • 最適経路 (swap)
  • トランザクションデータ生成(ユーザーがMetaMaskで送信可能)
  • 価格比較・スリッページ計算

例:

GET https://api.1inch.dev/v5.2/1/quote?fromTokenAddress=USDC&toTokenAddress=WETH&amount=1000000

→ 返り値:

{
  "fromTokenAmount": "1000000",
  "toTokenAmount": "590000000000000",
  "estimatedGas": 120000,
  "protocols": ["UniswapV3", "Curve"]
}

🧭 8. まとめ

観点 内容
サービス種別 分散型取引所(DEX)アグリゲーター
特徴 最良スワップ経路を自動探索(価格+ガス最適化)
構成 Aggregation / Limit Order / Liquidity Protocols
仕組み 複数DEXの流動性を同時に利用して最安ルートで交換
トークン 1INCH(ガバナンス・報酬用途)
利用者の利点 より良い交換レート・低スリッページ・時間短縮
対応チェーン Ethereum系主要L1/L2すべて(マルチチェーン)

World

🧭 プロジェクト概要

項目 内容
名称 Uniswap Foundation (UF)
設立 2022年8月、Uniswapコミュニティ投票で承認
本拠地 米国デラウェア州(非営利法人)
資金 約7,400万USD(ガバナンス投票でUniswap DAOが承認)
目的 Uniswapエコシステムの持続的発展、ガバナンス活性化、研究・開発・教育支援

Uniswap Labs(プロトコル開発会社)とは別組織で、

  • *Uniswap Foundationは「中立的な支援機関」**として、開発者や研究者、ガバナンス参加者を支える役割を持ちます。

👥 ターゲットユーザー

ユーザー層 支援内容
🧑‍💻 開発者 Uniswapプロトコル上に新しいDAppやツールを構築するための助成金(Grants)・SDK・APIサポート
🧠 研究者 トークノミクス、MEV、AMMモデルなどに関する研究支援・資金提供
🏛️ ガバナンス参加者 Uniswap DAOの投票改善・提案サポート・分析ツールの整備
🏗️ コミュニティビルダー 教育イベント、ローカルコミュニティ運営、Hackathon支援など

👉つまり、「Uniswap上で何かを作る・研究する・貢献する人たち」が主な対象です。

💰 どのような利益があるのか?

利益の種類 内容
🚀 エコシステムの拡大 UFが開発者・研究者へ助成することで、Uniswap上のDApps数・流動性・利用者数が増加
🧩 開発者の利便性 SDKやデータアクセス(例:Uniswap v3 Subgraph, Uniswap SDK, Permit2, Universal Routerなど)の改善
🗳️ DAOガバナンスの効率化 分散型投票ツールやガバナンス分析レポートを提供し、DAOの健全な意思決定を促進
🌍 教育と標準化 Uniswapプロトコルの理解促進、Web3標準仕様(ERC-20, ERC-4626, ERC-2612など)に関する提案支援

つまり、直接的な「利益追求」ではなく、

Uniswap DAO全体の価値(=$UNIトークンの価値)を中長期的に高める構造です。

⚔️ 競合優位性(他のDeFi財団との比較)

財団名 主な役割 Uniswap Foundationとの違い
Aave Companies / Aave Foundation プロトコル開発+新製品展開(GHOなど) 開発主導。UFは中立支援型。
Curve DAO 自律的ガバナンス重視 Curveは投票誘導(veTokenomics)中心、UFは研究助成・教育が強み。
Balancer Foundation AMM開発+パートナー支援 UFは規模・透明性・コミュニティ連携が最も大きい。
ENS Foundation ネームサービス推進 ENSは単一プロダクト特化、UFはAMM全体+ツール群を横断支援。

Uniswap Foundationの強みは:

  1. 世界最大級の流動性・利用実績(AMMシェアNo.1)
  2. DAO資金($UNIトークン)による持続的助成プログラム
  3. プロトコル中立性(Uniswap Labsと分離している)
  4. Ethereum主軸ながら、マルチチェーン展開を積極推進(Arbitrum・Base・Polygonなど)

🧩 まとめ

項目 要点
プロジェクト概要 Uniswapエコシステムを支援する非営利組織(2022年設立)
ターゲット 開発者・研究者・ガバナンス参加者・教育者
利益 エコシステム拡大・DAO強化・プロトコル改善
競合優位 世界最大のAMM基盤+透明性の高い助成体制
DApps統合 SDK, Widget, Subgraphなどを活用して容易に実装可能

CDP

プロジェクト概要

CDPは“オンチェーンをプロダクトに組み込むための総合開発基盤”。主な柱は

  • Embedded Wallets(埋め込み型ウォレット:メール/ソーシャル/パスキーで種フレーズ不要、スマートアカウント対応) (Coinbase Developer Docs)
  • Onramp / Offramp(法定通貨⇄クリプトの入出金SDK/API。ゲストチェックアウトやApple Pay等) (Coinbase Developer Docs)
  • Paymaster / Bundler(ERC-4337対応のガススポンサー&バンドラーAPI) (Coinbase Developer Docs)
  • Commerce(暗号資産決済API) (commerce.coinbase.com)
  • Server/Developer Wallets(エージェント/ボット向け“サーバー側で鍵管理不要”な開発者用ウォレット、ポリシーエンジン/USDCリワード等) (coinbase.com)

ドキュメント/スタートページはCDPポータルに集約(SDK、クイックスタート、CLIなど)。 (Coinbase Developer Docs)

ターゲットユーザー

  • コンシューマDapp/ゲーム/決済:初回体験の離脱を抑えたいアプリ(ウォレット作成・入金・送金のUX短縮)。 (Coinbase Developer Docs)
  • Fintech/EC/サブスク:自社アプリに暗号資産決済やUSDC清算を組み込みたい事業者(Commerce/Onramp)。 (coinbase.com)
  • エージェント/自動化/取引基盤:バックエンドで安全に署名・実行したい開発者(Server Wallets/ポリシー)。 (coinbase.com)

どのような利益があるのか?

  • コンバージョン改善:メール/パスキーの即時作成&ガスレス送信(Paymaster/スマートアカウント)で初回体験を短縮。 (Coinbase Developer Docs)
  • 入出金の摩擦低減ゲストチェックアウトやApple Pay対応のOnramp、開発者利用は無料。 (Coinbase Developer Docs)
  • 手数料・運用面USDC on Baseの購入/転送がゼロ手数料(条件付き)。Chargeback対応やKYC/コンプラはCoinbase側が内包。 (coinbase.com)
  • セキュリティ/運用:TEEsを用いたポリシーエンジンで宛先/金額/コントラクト許可を事前に強制。APIキーはEd25519標準化へ。 (coinbase.com)
  • 拡張性:ERC-4337/スマートウォレットのOSS実装、Base連携のガススポンサー標準。 (GitHub)

競合優位性(例:Fireblocks/Privy/第三者Onramp等と比較した際)

  • “入口〜ウォレット〜ガス〜決済”をワンストップで提供(Onramp/Embedded Wallets/Paymaster/Commerce)。部分品の寄せ集め不要。 (Coinbase Developer Docs)
  • Base/4337エコシステムに深くネイティブ(Paymaster/Bundler、Baseのガススポンサー標準との親和性)。 (Coinbase Developer Docs)
  • 運用実績/制度面の強み(KYC・不正/チャージバック対応、ゼロフィーUSDC on Base等のキャンペーン)。 (coinbase.com)
  • 開発者体験(クイックスタート、Web SDK、CLI、ケーススタディ/デモ)。 (Coinbase Developer Docs)

Protocol Lab

🧭 プロジェクト概要

項目 内容
名称 Protocol Labs(プロトコル・ラボ)
設立 2014年(創業者:Juan Benet)
本拠地 米国(分散型組織としてグローバル展開)
主なプロジェクト IPFS, Filecoin, libp2p, IPLD, DRAND, Compute over Data, Saturn, Coinlistなど
資金調達 2017年にFilecoin ICOで約2.5億ドル調達(当時世界最大級)
ミッション “Accelerate the innovation of the internet through decentralized technologies.”(分散技術でインターネットの革新を加速する)

Protocol Labsは企業というより、

Web3インフラを設計する研究ネットワーク兼エコシステムと位置付けられます。

IPFS=HTTPに代わる分散型ファイル配信、

Filecoin=その上に乗る分散ストレージ経済圏を構築する役割です。

👥 ターゲットユーザー

ユーザー層 利用目的・メリット
🧑‍💻 Web3開発者 DAppやNFTで分散ストレージを利用(画像、メタデータ、ドキュメント)
🏗️ プロトコル開発者 libp2pやIPLDを利用して独自P2Pネットワークを構築
🧠 研究者・大学・R&D組織 分散システム・データ保存・耐検閲性研究
🪙 ストレージプロバイダ(マイナー) Filecoinネットワークにストレージを提供し報酬を得る
🌍 企業・非営利団体 大規模データの長期保管、検閲耐性のある公開データアーカイブ

Protocol Labsの製品群は「Web3のインターネット基盤を構築するためのインフラ層」をターゲットにしています。

💰 どのような利益があるのか?

Protocol Labs自体は非営利寄りの研究集団ですが、

そのプロジェクト(特にFilecoin)は経済圏として利益を生む構造を持っています。

観点 利益・価値
📦 Filecoinマイナー ストレージ提供によってFILトークン報酬を得る
🧱 DApp開発者 分散ストレージ利用によるコスト削減・耐検閲性・信頼性の確保
🌐 Protocol Labs自体 Filecoin・IPFS採用拡大によるトークン価値向上・エコシステム拡大
💼 企業ユーザー データを中央クラウドに依存せず、地理的冗長性を確保

⚔️ 競合優位性

分野 Protocol Labsの優位性 主な競合
分散ストレージ Filecoin + IPFS の二層構造(保存と参照の分離) Arweave, Storj, Sia
P2P通信層 libp2pを多くのブロックチェーンが採用(ETH2, Polkadotなど) GossipSub, Matrix
データ構造 IPLDにより多様なデータ構造を統一して扱える GraphQL等の集中型API
オープンソース文化 すべてOSS、GitHubで開発活発 独自クラウド企業(AWS, Google Cloud)
持続的研究・資金供給 Filecoin Foundation + PL Researchが継続的にR&Dを推進 単発プロジェクト型のDeFiチーム

特に注目すべきは、EthereumやPolkadot、Dfinity、Cosmosなどがlibp2pを通信層に採用している点です。

Protocol Labsの技術は、Web3の通信基盤として事実上のデファクトスタンダードになっています。

🧩 まとめ

項目 内容
プロジェクト概要 Web3インフラ(IPFS, Filecoin, libp2pなど)を開発する研究ネットワーク
ターゲットユーザー Web3開発者、分散システム研究者、ストレージプロバイダ
利益 Filecoin経済圏、DAppのデータ耐久性・透明性向上
競合優位性 OSSエコシステム、libp2pの広範採用、研究力・持続性
DApps統合 IPFSでデータ保存、Filecoinで永続化、libp2pで通信、CoDで分析

EVVM

🧭 プロジェクト概要

項目 内容
名称 EVVM (Ethereum Virtual Virtual Machine)
公式サイト https://www.evvm.org
開発言語 100% Solidity(EVM上で完全動作)
ホストチェーン Ethereum、Arbitrum、Polygon、BaseなどEVM互換チェーン
コンセプト 既存チェーンの上に**新しい「仮想ブロックチェーン」**をデプロイ可能にするフレームワーク
コア機能 - スマートコントラクトのみで独自ブロックチェーンを構築- ノード・バリデータ・ブリッジ不要- ホストチェーンのセキュリティを継承- ガスレス取引をサポート(オプション)
目的 “Modular, Sovereign, Infra-less Blockchains” をEVM環境内に実現

🧩 要するに:

「スマートコントラクトをデプロイするだけで、独自L1(に似た構造)を作れる」

というのがEVVMの最大の革新です。

👥 ターゲットユーザー

対象 利用目的・ユースケース
🧑‍💻 Web3開発者 / 研究者 新しいL1設計・コンセンサス・ガスモデルなどを既存EVM上で即実験可能
🏦 金融機関 / 企業(Banks, Enterprises) 独自のガバナンス/社内チェーンをインフラ構築なしでローンチ可能
🏫 教育機関 / 学生 学習目的・PoC用ブロックチェーンの立ち上げ(Node不要)
🧱 GameFi / Metaverse開発者 ゲーム内経済圏を専用サイドチェーン的に構築できる
🧩 L2プロトコル開発者 新しいロールアップ設計・実験環境を低コストで構築可能

💰 どのような利益があるのか?

EVVMの提供する価値は、「ブロックチェーン開発の民主化」と「オンボーディングUX改善」にあります。

利益カテゴリ 内容
インフラ不要 ノード・RPC・ブリッジ・バリデータ構築が不要。スマートコントラクトだけで完結。
🧠 実験スピード 数分で新しい仮想チェーンを立ち上げ可能。L1/L2設計のプロトタイプにも最適。
💸 低コスト デプロイコスト=スマートコントラクトガス代のみ。ノード運用コストゼロ。
🪪 ガスレスUX 署名済みTxをTelegramやWebフォーム経由で送信可能。エンタープライズやモバイルアプリに最適。
🧩 スケーラビリティ 1つのホストチェーン上で複数の仮想チェーンを並列稼働できる=垂直スケーリング。
🌐 ホスト連携 EthereumやArbitrumのセキュリティとインフラを自動的に継承。

⚔️ 競合優位性

比較対象 EVVMの優位点 従来の課題
Rollups (Arbitrum, Optimism) 完全オンチェーン構築(外部Sequencer不要) ノード・Sequencer・ブリッジ構築が必要
Appchains (Cosmos SDK, Avalanche Subnets) Solidityで数分デプロイ。EVM資産をそのまま活用可能 独自Validator構築・Cosmos SDK習得が必要
Sidechains (Polygon, BSC) EVM上のスマートコントラクトだけで完結 新チェーン立ち上げに数週間〜数ヶ月必要
Layer3 (zkSync Hyperchainsなど) L1依存なし・オフチェーンTx対応 複雑なZKセッティングや専用ツールが必要

💡 EVVMの独自性

→ 「Ethereum上に、Ethereumをもう一つ立ち上げる」感覚。

メタ構造的アプローチで、Vertical Scalability(垂直スケール) を実現します。

🧾 まとめ

項目 内容
プロジェクト概要 EVM互換チェーン上に、スマートコントラクトのみで仮想ブロックチェーンを構築可能にするフレームワーク
ターゲット 開発者・研究者・企業・ゲーム・教育機関など
利益 ノード不要・ガスレス取引・即時ローンチ・垂直スケーラビリティ
競合優位性 RollupやAppchainより軽量・簡易・即時性が高い
DApp組み込み Solidityベースで直接呼び出し、署名TxやRelayerを通じて連携可能

Chainlink

🧭 プロジェクト概要

項目 内容
名称 Chainlink
公式サイト https://chain.link/
創設 2017年(創業者 Sergey Nazarov, Steve Ellis)
トークン LINK(ERC-677互換)
ミッション “Connect smart contracts with real-world data and off-chain computation.”(スマートコントラクトを現実世界のデータと計算に接続する)
主な機能 オラクル、価格フィード、乱数(VRF)、オートメーション(Keepers)、外部API連携、CCIP(クロスチェーン通信)

💡 一言でいうと:

ブロックチェーンに「現実世界のデータ」と「オフチェーン機能」を安全に取り込むための分散ネットワーク。

👥 ターゲットユーザー

ターゲット Chainlinkの使い方
🧑‍💻 DApp開発者(DeFi, NFT, GameFi) 価格データ・ランダム性・自動実行などをスマートコントラクトに導入
🏦 金融機関・企業(TradFi / Web2) ブロックチェーンと既存システム(API, Oracle DB, ERP)を安全に接続
🧠 L1/L2チェーン開発者 ネイティブのクロスチェーン通信(CCIP)を統合して相互運用性を強化
🧮 データプロバイダ データをChainlink経由で提供し報酬を得る(例:金融機関や取引所)

💰 どのような利益があるのか?

Chainlinkの主な価値は、「オンチェーンアプリが現実世界と安全につながる」こと。

これによって生まれる利益を3層で整理します。

レイヤー 利益 具体例
⚙️ 技術層 現実データを安全に取得できる 価格、天気、金利、スポーツ結果、為替、IoTデータなど
💸 経済層 スマートコントラクトが外部イベントに基づき自動執行 DeFiレンディングの清算条件、保険支払い、金利更新など
🌍 社会層 Web2企業とブロックチェーンの橋渡し 銀行API、在庫管理、物流、ゲームサーバー連携など

🔹 ChainlinkがDeFiに不可欠な理由

ほぼすべての主要DeFiプロトコル(Aave, Synthetix, Compound, GMXなど)は、価格FeedをChainlinkから取得しています。

→ 正確なオンチェーン価格がなければ、DeFiは清算・担保・スワップが成立しません。

⚔️ 競合優位性

項目 Chainlinkの優位点 競合プロジェクト
🧩 信頼性 世界最大規模のオラクルネットワーク。ETH, Arbitrum, Polygonなど多数対応 Band Protocol, API3, DIA
🔒 セキュリティ マルチノード検証・暗号署名・可監査設計 多くのオラクルは中央集権的APIに依存
🏦 採用実績 DeFi TVL上位プロトコルの大半が利用 Band等は特定チェーン中心
🧠 機能の多様性 Price Feed / VRF / Keepers / CCIP / DECO 他社は一機能特化型が多い
🌐 クロスチェーン対応(CCIP) 異なるL1/L2間で安全なメッセージ転送・資産移動が可能 Axelar, LayerZero, Wormhole などと競合だがChainlinkはDeFi特化型

📊 まとめ

項目 内容
プロジェクト概要 分散型オラクルネットワーク。オンチェーンに現実世界のデータと計算を安全に接続。
ターゲットユーザー DApp開発者、DeFi/NFT/GameFiプロジェクト、企業、L1/L2開発者
利益 信頼できる現実データ、ガスレス自動化、クロスチェーン通信、UX改善
競合優位性 実績・セキュリティ・マルチ機能性・グローバル採用率No.1
DApp統合方法 Price Feed, VRF, Automation, Functions, CCIP などのモジュールを選択統合

Chiliz

🧭 プロジェクト概要

項目 内容
名称 Chiliz(チリーズ)
公式サイト https://www.chiliz.com
設立 2018年(創業者:Alexandre Dreyfus)
ネイティブトークン CHZ(ERC-20 / BEP-2)
ブロックチェーン Chiliz Chain(旧Chiliz Chain 2.0) — EVM互換の独自L1チェーン
主要プロダクト Socios.com(ファントークン発行・投票アプリ)
ミッション “Empowering fans to have a voice and be rewarded.”(ファンが意見を持ち、報酬を得られる世界を創る)

💡 一言で言うと:

「スポーツチーム・エンタメブランド専用のブロックチェーン経済圏」

=ファン×トークン×意思決定×リワード。

👥 ターゲットユーザー

ターゲット 利用目的・価値
🏟️ スポーツチーム / クラブ / リーグ ファントークンを発行し、ファンと直接つながる新しい収益源を作る
🙌 ファン / サポーター 応援チームの投票・イベント・報酬に参加できる
🎮 エンタメ企業・アーティスト コミュニティ主導の運営・特典提供をブロックチェーン上で実現
💸 投資家・Web3ユーザー トークン市場でファントークンを売買し、価格変動から利益を得る
🧑‍💻 開発者 / DApp制作者 Chiliz Chain上で新しいスポーツ・ファン向けDAppを構築できる

💰 どのような利益があるのか?

Chilizは、ファンとチームの関係を経済化・透明化する仕組みを提供します。

利用者 主な利益
🏟️ チーム・クラブ ファントークン発行による新しい収益源(初期販売+手数料)/グローバルファン基盤の獲得
🙌 ファン チームの意思決定投票(ユニフォームデザイン、試合MVP、記念イベントなど)に参加/限定NFT・報酬を獲得
💸 投資家 ファントークン市場での取引機会/ユーティリティトークン経済への投資
🧑‍💻 開発者 Chiliz Chain上でAPI・スマートコントラクトを使い、ゲーム・NFT・報酬DAppを開発可能

⚔️ 競合優位性

観点 Chilizの優位点 比較対象
🏟️ 実際のスポーツ業界接点 FC Barcelona, PSG, AC Milan, Juventus, UFC, F1など世界150以上の公式パートナー その他プロジェクトは多くが仮想・メタバース限定
💰 商業モデル確立 Socios.com でファントークンが既に実際に販売・流通しており、1億ドル以上の売上実績 FanCraze, Rallyなどは発行数が限定的
🧠 独自ブロックチェーン(Chiliz Chain) Ethereum依存から脱却し、手数料低減+高速処理を実現(PoSAベース) PolygonやBNB Chain依存モデルに比べ、ガス管理の自由度が高い
🪙 ファントークンの標準化 Fan Token Offering (FTO)モデルで公式発行手順が整備されている 他社はNFT販売に留まり、ガバナンス機能を持たない
⚙️ EVM互換開発環境 Solidityでスマートコントラクト開発可能。既存Web3資産と接続容易 専用SDKや閉鎖API依存の競合より柔軟

🧱 1. ChilizはL1(Layer1)チェーン

項目 内容
正式名称 Chiliz Chain(旧名:Chiliz Chain 2.0)
分類 独自コンセンサスを持つ Layer1 ブロックチェーン
設計思想 Ethereumの機能を踏襲しつつ、スポーツ・エンタメ用途に特化したL1
コンセンサス方式 Proof-of-Staked-Authority(PoSA) — Binance Smart Chainと同様、認定バリデータがブロックを生成
ネイティブトークン CHZ(ガス手数料およびネットワークステーキング用)
互換性 完全EVM互換(Solidityコントラクトをそのままデプロイ可能)
主目的 ファントークン・NFT・ガバナンスDAppのホスティング

つまり:

  • EthereumやPolygonの上に構築されたL2ではなく、
  • *自前のL1ネットワーク(独立ノード・コンセンサス)**を運営しています。

⚙️ 2. 「L1だけどEthereum互換」=“App-Specific L1”

Chilizは「アプリケーション特化型L1」という位置づけです。

Ethereumの汎用性を持ちながら、目的をスポーツ・ファン経済に絞っています。

分類 代表例 特徴
汎用L1 Ethereum, Solana どんなアプリでもOK
汎用L2 Arbitrum, Optimism Ethereumのスケーリングに特化
特化L1(=Chiliz) Chiliz, Flow, Ronin スポーツ・ゲーム・NFT専用設計

💡 イメージ:

PolygonやArbitrumが「Ethereumの高速レーン」なのに対し、

Chilizは「スポーツ業界専用に設計された独立高速道路」。

🔗 3. 旧アーキテクチャとの違い

ChilizはもともとEthereum上のERC-20トークン($CHZ)としてスタートしましたが、

2023年に独自L1「Chiliz Chain 2.0」をローンチしました。

フェーズ 概要
Chiliz v1 (2018–2022) Ethereumトークン(ERC-20 CHZ)+Socios.comでファントークン発行
Chiliz Chain 2.0 (2023–) 独自L1チェーンに移行。EVM互換。ファントークン、NFT、DAppをオンチェーン化
今後 ファントークンDAO、ステーキング、クロスチェーンBridgeを拡張予定

🪙 4. Chiliz L1の特徴まとめ

機能 内容
EVM互換 Ethereumツール(Hardhat, Remix, Metamaskなど)をそのまま利用可
PoSAコンセンサス 少数の認定バリデータ(信頼性と速度を両立)
ガス代(CHZ) Ethereumより数百倍安価(トランザクション0.001ドル以下)
トランザクション速度 約2秒/ブロック
ブリッジ対応 Ethereum ↔ Chiliz間でCHZ・NFT・トークン移動可能
主なDApp Socios.com、Fan Token Voting、NFTマーケットプレイスなど

🧠 5. L2ではない理由(比較)

比較項目 Chiliz Arbitrum / Optimism(L2)
コンセンサス 独自PoSA Ethereumメインネットに依存
セキュリティ 自己完結(独立バリデータ) EthereumのL1に依存(ロールアップ検証)
手数料通貨 CHZ ETH
ブロック生成 独自ノード L2 Sequencer
ガバナンス Chiliz DAO Ethereum上のDAOに部分依存

💬 結論

  • Chilizは独自のL1ブロックチェーン
  • ⚙️ EVM互換設計(SolidityやMetamask対応)
  • 🏟️ スポーツ・エンタメに特化した“アプリ特化型L1”
  • 💨 高速・低コスト・信頼性重視(PoSA採用)
  • 🔗 Ethereumとはブリッジで接続(資産転送可能)

Ocean Protocol

🧭 プロジェクト概要

項目 内容
名称 Ocean Protocol
公式サイト https://oceanprotocol.com
設立 2017年(創設者: Bruce Pon, Trent McConaghy)
ネイティブトークン OCEAN(ERC-20)
主な機能 データトークン化(Data NFT / Data Token)、分散データマーケット、データプライバシー制御、AI/ML向けデータアクセス管理
ミッション “Unleash data for AI while preserving privacy.”(プライバシーを保ちながらAIのためにデータを解放する)
ホストチェーン Ethereum / Polygon / BNB / Optimism / Moonbeam などマルチチェーン展開

💡 一言でいうと:

「データ版Uniswap」+「AI開発者のための分散データレイヤー」

がOcean Protocolの立ち位置です。

👥 ターゲットユーザー

ユーザー層 利用目的・価値
🧑‍💻 AI開発者・研究者 学習データを購入・利用・再学習可能(API経由でアクセス)
🏢 企業・データ保有者 社内・顧客・IoTデータを「匿名化して販売・共有」し、新しい収益源を創出
🧠 Web3開発者 / DAppチーム DApp内でデータ購入・検証・アクセス制御を統合(例:医療・物流・信用)
💸 データ投資家 データセットへの流動性提供(LP)やトークン化されたデータ資産への投資
🌍 DAO / 公共団体 公共データや研究データの透明な共有・追跡を行う(例:スマートシティ)

💰 どのような利益があるのか?

Oceanは「データを資産クラスとして再定義」します。

ブロックチェーン上でデータの販売・貸出・アクセス制御が可能になります。

カテゴリ 利益・価値
🧾 データ所有者 データを販売・貸与し、OCEANトークンで収益化。アクセス権はスマートコントラクトが自動管理。
🧠 AI開発者 高品質データをトークンで購入し、AIモデルをトレーニング可能。再利用・共有がトレーサブル。
🧩 企業・機関 顧客情報やIoTログを匿名化し、他企業と安全に共有・連携できる。
💸 投資家・LP データマーケットに流動性提供し、手数料やステーキング報酬を獲得。
🛡️ ユーザー 自分の個人データの使用権を自らコントロールできる(Self-Data Sovereignty)。

🧩つまり:

Oceanは「データを安全に共有・販売できるAMM(自動マーケットメーカー)+データ権利管理レイヤー」。

⚔️ 競合優位性

分野 Oceanの強み 他プロジェクトとの比較
データトークン化 ERC-20+ERC-721を組み合わせた「Data NFT」モデル(アクセス権=NFT、使用権=ERC-20) 他プロジェクトは通常APIキー管理やオフチェーン契約依存
プライバシー “Compute-to-Data”でデータを持ち出さずにAIが学習可能 IPFS, Filecoin等はデータ保存が中心(計算は別)
相互運用性 Ethereum互換+Polygon, BNB, Optimismにも展開 多くのデータマーケットは単一チェーン依存
AI統合性 Python SDK・API経由でAIモデルに直結(TensorFlow, PyTorch対応) 他はWeb3開発者向けに限定されがち
経済モデル Ocean MarketのAMMでデータ価値を動的決定 従来は固定価格・手動販売が中心

📊 概念図(Compute-to-Data)

🧾 まとめ

項目 内容
プロジェクト概要 データをトークン化し、安全に共有・販売・AI学習に活用する分散型プロトコル
ターゲット AI開発者、企業、データ提供者、研究機関、Web3開発者
利益 データ収益化、プライバシー保護、AI活用促進、データガバナンス強化
競合優位性 Compute-to-Data、Data NFTモデル、AI SDK、マルチチェーン対応
DApp統合 Data NFT発行・販売API、Compute-to-Data連携、AI学習DApp内での利用

Zircuit

プロジェクト概要

Zircuit は、EVM互換のゼロ知識(ZK)ロールアップ型 Layer-2 ブロックチェーン/インフラ・レイヤーを目指すプロジェクトです。

主な特色・技術要素は以下の通りです:

要素 概要
EVM互換性 開発者が既存の Ethereum 用ツール(例:MetaMask, Hardhat など)を用いて、最小限の修正で Zircuit 上にスマートコントラクトを展開できるよう設計されている。
Sequencer Level Security(SLS) トランザクションがブロックに取り込まれる前、メモリプール段階で不正・悪意のあるトランザクションを AI モデル等で検知し遮断する仕組みを導入。これにより、シーケンサー(Sequencer)を起点とした攻撃耐性を向上させようという設計。
ハイブリッド型/高度な証明設計 Zircuit は、ただ単に ZK ロールアップを採用するだけでなく、証明の分割・並列化・合成(aggregation)などの技術を使って証明コストを最適化する方式を採用していることが公式ドキュメント等で示されている。
ネイティブブリッジ / クロスチェーン対応 Zircuit はネイティブブリッジ機構も備え、異なるチェーン(特に EVM 系チェーン)との資産移動をサポートする設計にしているとの説明あり。
Deposit Vaults/AI トレーディング機能 単なるインフラだけでなく、DeFi 機能として「入金ボールト(Deposit Vaults)」や、AI による自動取引・最適ルーティングを行う “Hyperliquid for AI Trading” などのサービスを展開する構想も進められている。
トークン (ZRC) ネイティブトークン ZRC が存在し、ネットワークのインセンティブや手数料支払い、ガバナンス等に関与するとされている。

また、学術的には “Sequencer Level Security” のプロトコルが論文化されており、Zircuit はそのプロトタイプ実装の一つとして紹介されています。

Zircuit は、すでに一定額の資産を Vaults にて “保護” しているという主張もあります(“$3B 以上を保護” といった文言) 。

ターゲットユーザー(利用者像)

Zircuit が狙っている/恩恵を受けると想定されるユーザー層は以下のようなものです:

  1. DeFi プロトコル運営者 / dApp開発者

    • Ethereum 上に構築している、または構築を検討している dApp/スマートコントラクト開発者

    • ガス代を抑えつつも高いセキュリティを保てる環境を求めているチーム

    • クロスチェーン対応や高速性が必要なアプリ(DEX、レンディング、AMM、決済系など)

    • AI を使った自動戦略やトレーディング機能を取り入れたいエコシステムプレーヤー

  2. 資産運用者 / 投資家

    • ETH、BTC、ステーブルコインなどを預けて利回りを得たいユーザー(Vaults を通じて)

    • 安全性が強化された Layer-2 に資産を置きたいユーザー

    • マイクロトランザクション(少額決済)をよく使うユーザー(ガス代を抑えたい)

  3. トレーダー / アルゴリズム運用者

    • AI による取引戦略を自動で実行したい、最適なルーティングを使いたいトレーダー

    • 高頻度取引やスリッページを抑えたいユーザー

  4. 一般ユーザー / Web3 利用者

    • NFT、ゲーム、ソーシャル系 dApp、ミクロ決済用途など、日常的にブロックチェーンを使いたいユーザー

    • 手数料を抑えたい・速い操作感を求める人

要するに、“安全・高速・費用効率性+AI支援” を求めるあらゆる Web3 関連ユーザーが対象、という構図です。

利益・メリット(ユーザー/開発者が得られるもの)

Zircuit を利用することにより、ユーザーおよび開発者は次のような利益を期待できます:

利益 内容
手数料削減 Ethereum 主チェーンでの高額なガス代を削減でき、より小額トランザクションが実用的になる。
高速なトランザクション処理 ZK Rollup 等を用いたバッチ処理・並列処理により、遅延を抑えた応答性を提供できる設計。
高いセキュリティ Sequencer Level Security により、メモリプール段階での悪意トランザクション検知/遮断を実施。スマートコントラクトレベルだけでなく、より下層における防御。
既存開発資産の再利用性 EVM 互換性により、Ethereum 用コード資産やツールを流用しやすい。移植コストが低い。
複雑な戦略・AI統合 Vault 運用や自動トレーディング機能 (“Hyperliquid”) によって、利回り追求や戦略運用がしやすくなる。
クロスチェーン相互運用性 ネイティブブリッジやルーティング機構によって、異なるチェーン間での資産移動・取引が円滑になる可能性。
信頼性・安全性の向上 監査、保険、インフラ強化などによるユーザー信頼の獲得。Zircuit は “insured vaults(保険付きボールト)” を謳っている。

ただし、これらの利益はいずれも実装・運用がうまく行われて初めて実現するもので、リスク・制約も伴います。

競合優位性(差別化ポイントおよびリスク・懸念点も含めて)

Zircuit が競合優位を持つ可能性のある点、および注意すべき点を整理します。

優位性

  1. Sequencer Level Security(SLS)による下層防御

    多くの L2 はスマートコントラクトレベルやアプリレベルでの脆弱性対策にフォーカスしますが、Zircuit はメモリプール段階で異常トランザクションを防ごうとする設計を導入しており、これが他との差別化要因となり得ます。

  2. EVM互換性 + 既存エコシステム連携

    新興チェーンが “EVM でない独自VM” に移行すると、学習コスト・移植コストが障壁になりますが、Zircuit は既存ツール群を活用できる道を開こうとしているため、開発者誘引力を持つ。

  3. AI × DeFi 統合戦略

    単なるインフラ提供ではなく、AI による自動戦略やルーティング、資産管理を組み込むことで、他の L2 より “プロダクト提供力” を強めるアプローチ。

  4. 証明効率化手法

    証明を複数モジュールに分割・並列化・合成する工夫で、証明コスト・速度を改善するアーキテクチャを採用している点。

  5. ネイティブブリッジ/クロスチェーン戦略

    クロスチェーンの資産移動性を重視し、それをネイティブに設計しておくことで、他の L2 よりユーザー利便性が高まり得る。

リスク・懸念点・課題

  1. アップグレードのリスク

    L2BEAT によると、現在の Zircuit コントラクトには「コードアップグレードに即時性(delayなし)」のリスクが指摘されており、悪意あるアップグレードが行われた場合に資金流出などの懸念。

  2. AI モデル判断の誤検知/過検知

    SLS において、正常なトランザクションを誤って遮断する誤検知(false positive)リスク、あるいは検知漏れ(false negative)リスクが存在しうる。AI を用いる以上、モデルの精度・学習・更新体制が重要。

  3. 競争の激化

    他の ZK ロールアップ系 L2 プラットフォーム(Polygon zkEVM、zkSync, StarkNet, Scroll, Polygon Hermez など)や Optimistic Rollup 系 L2 がすでに導入実績を持つ中で、差別化を維持できるか。

  4. 初期採用者誘引の難しさ

    インフラは “鶏と卵” のジレンマを抱えがちで、十分な dApp/プロトコルが乗らないとユーザーが来ず、ユーザーが来ないと dApp が誘われないという課題。

  5. セキュリティ監査・事故リスク

    新設計な部分(SLS 等)が目立つため、未知のバグや実運用時の攻撃パターンに対する耐性が問われる。従来の L2 よりも検証・監査を慎重に行う必要あり。

  6. トークン・インセンティブ設計

    ZRC の流動性、ガバナンス、ロックアップスケジュール、報酬設計が適切でないと、トークン価値の不安定化・インセンティブ崩壊のリスク。

したがって、Zircuit が理論的には強みを多く持つ構成であるものの、それを実運用・採用拡大にまで落とし込めるかが、成功のカギとなるでしょう。

Ronin

プロジェクト概要

Ronin(ローニン) は、Sky Mavis(Axie Infinity の開発元)が設計・運営する、ゲームや NFT/Web3 エコシステム向けの EVM 互換ブロックチェーン(あるいはその性質を持ったチェーン)で、いわゆる「ゲーム特化型ブロックチェーン」として機能している。

以下、特徴的な要素を挙げる:

  • 元来、Axie Infinity の Ethereum 上のスケーラビリティ・手数料問題を解決するために設計されたチェーン。
  • トランザクション手数料(ガス代)が非常に低く、遅延も小さい。これにより、ゲーム内部で頻繁に発生する微小なトランザクション(アイテムの売買、ステータス更新、NFT 移転など)をユーザー体験に支障なく処理できるように設計されている。
  • EVM 互換性:Ethereum・Solidity の技術スタックを活用できる。つまり、既存の Ethereum 開発ツール (Remix, Hardhat, Truffle など) を使いやすい。
  • コンセンサスモデル:当初は Proof of Authority(限られた信頼されたバリデータによる方式)を採用していたが、より分散化を図るために DPoS(Delegated Proof of Stake)モデルも導入している。
  • チェーン運営・ガバナンス:RON トークン保有者によるステーキング/投票を通じてバリデータ選定に関与できるようになっている。
  • セキュリティ・運用歴:ただし過去には Ronin Bridge のハッキング事件(Ethereum + USDC の資金流出)があった。
  • エコシステム支援:開発者向けに SDK、テンプレート、開発者コンソール、補助金(grants)制度などを提供していて、チェーン上に DApp を呼び込む体制を整えている。
  • ブリッジ機能:他チェーンとの資産移転(たとえば Ethereum ↔ Ronin)を可能にする Ronin Bridge などがある。

ターゲットユーザー

Ronin が主にターゲットとしているユーザー層・関係者は次の通り:

  1. ゲーム開発会社・スタジオ(Web3/GameFi ゲーム開発者)

    • ブロックチェーンを活用したゲームを作りたいところ。

    • 高頻度なトランザクション、NFT やアイテム取引、トークン経済を組み込みたいところ。

    • Ethereum 系の技術資産(Solidity, EVM)を活用したいところ。

  2. 一般ゲーマー/プレイヤー

    • Web3 ゲームをプレイしたい人。

    • ゲーム内アイテムや NFT の所有・取引をしたい人。

    • ガス代や遅延が少ない快適なユーザー体験を求める人。

  3. NFT コレクター・クリエイター

    • ゲーム関連 NFT を発行・売買したいクリエイター。

    • 所有 NFT を活用したメタバースゲーム/コレクタブル要素を持たせたい。

  4. 資本提供者・投資家

    • RON トークン保有者、バリデータ候補者、ステーカーなど。

    • エコシステムの成長を支えるプロジェクトへの投資者。

  5. 他チェーンや DeFi プロジェクト

    • 相互運用を目指すプロジェクト(例:Ethereum, 他の EVM チェーン、Cross-chain プロジェクトなど)

どのような利益(メリット)があるか?

Ronin を使ったり参画することで期待できる主な利益・強みを整理すると、以下のような点がある:

  1. 低コスト・高スループット

    ゲーム用途でボトルネックになりやすい「ガス代(手数料)」や「処理遅延」を抑えることで、ユーザー体験を阻害せずに頻繁なトランザクションを許容できる。

  2. EVM 互換性・開発しやすさ

    既存の Ethereum エコシステムの技術資産(ツール・フレームワーク・ライブラリなど)を活用できるため、学習コストやマイグレーションコストが抑えられる。

  3. 既存ユーザー基盤と実績

    Axie Infinity のような成功事例を擁しており、既にプレイヤー層・NFT 取引量などで実績がある。

  4. エコシステム支援インフラ・助成制度

    チェーン運営側が開発者支援(SDK、テンプレート、補助金など)を整備しており、新規参入のハードルを下げている。

  5. ユーザーオンボーディングの容易さ

    初めてブロックチェーンを使うユーザーでも扱いやすいよう、ガス代をスポンサーする(ユーザーが手数料を意識しないようにする)仕組みなどを提供している。

  6. トークン・経済圏の統合性

    RON トークンをガス代やステーキング、ガバナンス、報酬設計に紐付けることで、エコシステム内部での価値循環を強められる。

  7. 拡張性・将来性

    現在の設計を基盤にしつつ、さらにゼロ知識証明(zkEVM)等の技術統合なども見据えているという情報もある。

競合優位性(他チェーンと比べた強み・差別化点)

Ronin が他のゲーム特化チェーンや一般 EVM チェーンと比較して持つ優位性、および潜在的弱点も含めて整理しておくね。

優位性

  • ターゲット特化性

    Ronin は「ゲーム・NFT 特化」設計であるため、余計な汎用性を省いて最適化が効いている。多くの汎用ブロックチェーンはゲーム用途を念頭に置いていないため、遅延・手数料で苦戦することがある。

  • 実績と信頼

    Axie Infinity が Ronin 上で稼働している実績という「実稼働+大規模ユーザー」を有している点。これは新規ゲーム参入者にとって安心材料になる。

  • 開発支援体制

    チェーン側がテンプレートや SDK、補助金制度を用意していること。手間を省きやすい。

  • ユーザー体験(UX)重視

    低遅延、低手数料、手数料を隠蔽する(スポンサーする)仕組みなど、プレイヤー側の摩擦を減らす工夫。これが参入障壁を下げる。

  • エコシステムの一体感

    チェーン、NFT マーケットプレイス、ウォレット、ゲーム、補助金、ブリッジ機能などが一体的に整備されており、開発者としては「足りないインフラをつくる」負荷が軽くなる。

注意点・競争上のリスク

  • セキュリティリスク

    過去に Ronin Bridge の大規模ハッキング事件があり、資金流出を経験している。信頼性確保と運用リスクは常に意識される。

  • 分散性・権力集中の懸念

    初期は PoA モデルであり、バリデータ選定が限定的だった経緯がある。DPoS の導入によって改善を図っているものの、完全な分散性とは言い難い面がある。

  • 他のゲームチェーンとの競争

    ゲーム特化チェーン(たとえば Immutable X、Flow、Polygon+専用レイヤーなど)や汎用高速チェーン(Solana、NEAR、Arbitrum、Optimism など)が同じゲーム・NFT 市場を争っている。スケーラビリティ、UX、手数料、ネットワーク効果での競争。

  • Ethereum との競合・吸収

    将来的に Ethereum 側でゲーム用途を強化する Layer 2 やサイドチェーン戦略が進むことで、Ronin の優位性が相対的に薄まる可能性。

  • エコシステム拡大の難易度

    既存 Axie ユーザー中心のエコシステムから、新ゲーム・新ジャンルを呼び込むには戦略的な誘致・支援が必要。

Pyth Network

🧩 プロジェクト概要

Pyth Network は、オンチェーンにリアルタイムな金融市場データ(価格フィード)を提供するオラクルネットワークです。

Solanaを起点として構築され、現在は複数チェーン(Ethereum, BNB Chain, Polygon, Avalanche, Arbitrum, Optimismなど)にブリッジ展開しています。

主な特徴:

  • 100以上の一次情報提供者(publishers)(例:Binance, OKX, Jane Street, Cboe, Bybitなど)がデータを直接提供
  • 価格データは数百の資産クラスに対応(株式、暗号資産、FX、コモディティなど)
  • 各データは「Pyth Price Feed」としてオンチェーンに配信
  • Pull Oracle Model」を採用(DAppが必要なときにデータをフェッチ)

🎯 ターゲットユーザー

カテゴリ 利用目的 具体例
DeFiプロトコル オンチェーンで正確な価格参照(清算、担保評価、取引実行) Aave, Synthetix, Drift, MarginFi, Kaminoなど
取引所系DApp 永続先物・オプションの価格決定 Zeta Markets, dYdX, Perpetual Protocol
GameFi / Prediction Market 現実の価格や指標データをゲーム内ロジックに活用 Polymarket, Zeitgeist
アナリティクス系DApp 市場データをリアルタイムで可視化・分析 Dune, Chainlink-compatible dashboards

💰 どのような利益があるのか?

利益の種類 内容
高精度なリアルタイム価格 中央取引所・HFT業者・流動性プロバイダなど一次情報ソースから直接データを取得。中間経路での遅延・歪みを最小化。
低コストでのデータ取得 Pythの“pull model”により、必要な時だけデータをフェッチするためガス代を節約。
マルチチェーン対応 Wormholeを通じて複数L1/L2で利用可能。DeFiのクロスチェーン化に対応。
データの信頼性と透明性 各データソースの署名がオンチェーンで検証可能。フェイクデータや改ざんが防止される。
Pyth Token (PYTH) データ提供・消費のインセンティブやガバナンスに使用されるユーティリティトークン。

⚔️ 競合優位性

項目 Pyth Network Chainlink Band Protocol
データ提供者 実際の取引所・トレーディング企業 ノードオペレーター(間接的) オフチェーンアグリゲータ
モデル Pull型(必要時に更新) Push型(定期的に更新) Push型
更新頻度 ミリ秒~秒単位(高頻度) 数分単位(比較的低頻度) 数分単位
対応チェーン 50+ チェーン(Wormhole経由) 20+ チェーン 10+ チェーン
コスト構造 DAppごとに支払い、低コスト ノード報酬+ガス代 同様
代表的ユースケース Solana DeFi全般、Synthetix, Aave, Zeta Aave, Sushiswap, Compound等 Asia DeFi

👉 Pythの強みは「速度と一次ソースの質」

特にCEX由来のデータを直接ブロックチェーンへ供給できる点が他オラクルと一線を画します。

🧠 まとめ

観点 内容
名称 Pyth Network
役割 高精度オラクル(金融市場データ)
特徴 CEX/HFTから直接データ取得、超高速Feed
ターゲット DeFi、取引系DApp、金融データ分析DApp
競合優位性 高速・高精度・低コスト・一次情報
組み込み方法 SDK/ContractでPull型データ取得

Nethermind

プロジェクト概要

  • Nethermind は、Ethereum の 実行レイヤー(Execution Layer)クライアント の一つ。C#/.NET ベースで実装されている。
  • 主にノードを運用するためのソフトウェアで、トランザクションの受け付け、ブロック検証、状態更新、RPC 提供などを担う。
  • 高性能・柔軟性を重視しており、プラグイン拡張機構、カスタムストレージ戦略、設定の自由度の高い構成が可能。
  • また、Nethermind 自体はインフラ層以外にも、「DApps・プロトコル開発支援」や「Blockchain-as-a-Service(BaaS)」などのサービスを提供している。
  • 最近の技術ロードマップとして、ゼロ知識証明(ZK)系機能との統合、証明生成機能、RISC-V 対応、クライアントとしての zkVM 連携などを目指す動きも出している。
  • また、Ethereum だけでなく、サイドチェーン/L2(例:Optimism など)、さらには Starknet 向けのクライアント(Juno)やツール群(Voyager、Starkweb など)も手がけている。

ターゲットユーザー(ペルソナ)

Nethermind が主に想定・ターゲットとしているユーザー層は、以下の通り:

ユーザータイプ ニーズ/用途 Nethermind が提供できる価値
ノード運用者 / インフラ事業者 Ethereum ネットワークに対するノード運用、RPC サービス提供 高速同期、安定稼働、カスタマイズ性、プラグイン拡張、オンラインプルーニングなど
プロジェクト / DApp 開発者 スマートコントラクトや新プロトコルを構築したい インフラ支援(BaaS)、プロトコル設計支援、セキュリティ監査、技術支援
企業 / 金融機関 / 機関投資家 ブロックチェーン技術を既存システムと連携させたい 構想設計から統合、運用、セキュリティ・コンプライアンス対応を含むソリューション提供
L2 / サイドチェーン / zk ロールアップ運営者 高速で信頼性のある実行環境を構築したい Nethermind の実行クライアント技術、ZK 統合能力、プロトコル設計支援など

つまり、単なるクライアント提供だけでなく、技術パートナーとしてシステム設計から運用まで関わることを視野に入れたユーザーを重視している印象。

利益・メリット(Nethermind を使う/提供側の利点)

Nethermind を利用または採用することによって得られる主な利点を、クライアント側/利用者側双方の観点でまとめる。

利用者・開発者・運用者視点のメリット

  1. 高速な同期と追随性(低レイテンシ)

    Nethermind は高速同期能力を売りにしており、他のクライアントと比べてノード立ち上げ・最新チェーンへの追随が速い、という評価がある。

  2. 高い設定自由度と拡張性

    コマンドライン、設定ファイル、環境変数を通じて詳細な設定が可能。プラグイン方式で RPC 拡張、トレース、TxPool、ブロック解析などを外から差し込める設計。

  3. オンラインプルーニング対応

    Nethermind は状態データのクリーンアップ(プルーニング)をノードを停止せず実行できる機能を備えている(ただしリソースに負荷)という点が他クライアントとの差別化要素として挙げられている。

  4. 将来性のある ZK/証明統合機能

    Nethermind はすでに zkVM や証明生成との連携を視野に入れた開発ロードマップを掲げており、将来的には「実行クライアント + 証明出力機能」を一体で持つ可能性もある。これが実装されれば、L2 やロールアップ設計者にとって魅力的な基盤になる。

  5. 企業/機関向け統合支援

    Nethermind は BaaS 提供やシステム統合、セキュリティ・コンプライアンス面での支援を自社で提供しており、ブロックチェーン導入を検討する企業にとって参入障壁を下げる役割を果たす。

  6. コミュニティ/オープンソース貢献

    Nethermind は Ethereum 基盤技術の改善(Verbkle tree, EVM 改善、EOF、Account Abstraction など)に関与しており、エコシステムへの貢献という点でも価値を持つ。

提供者・プロバイダー(Nethermind 側)の利点

  • クライアント提供 + サービス(BaaS、技術支援、監査支援など)の組み合わせによって収益化が可能
  • 他クライアントとの差別化機能(プラグイン性、証明統合など)で選好される可能性
  • エンタープライズ顧客との契約やシステム統合案件を通じて持続可能なビジネスモデルを構築しやすい
  • クライアント多様性(Ethereum 実行クライアントの選択肢を増やすこと)は、Ethereum ネットワーク健全性(分散性)向上にも寄与し、エコシステムからの信頼を得やすい

競合優位性・課題

Nethermind が直面する競合、優れている点、および注意すべき課題を整理しておく。

競合(他の Ethereum 実行クライアント・インフラサービス)

  • Geth(Go 実装)
  • Besu(Java 実装、Apache ベース、企業向け機能あり)
  • Erigon(Go 実装、高性能・省リソース設計)
  • Reth(Rust 実装、効率性重視)
  • さらに、Infura や Alchemy のような RPC 提供者、ノード運用代行業者なども間接的な競合になる

優位点(Nethermind の強み)

  1. .NET / C# ベースという技術選択肢の差別化

    他クライアントとは異なる実装言語を使っており、.NET 環境との相性や企業系ソフトウェアとの統合性で優位に立てる可能性。

  2. 拡張性とプラグイン設計

    RPC 拡張、トレース、状態訪問者(State Visitors)などをプラグインで実装できるアーキテクチャが設計されている点。

  3. オンラインプルーニング

    ノード停止不要でのプルーニング対応はノード運用の可用性を保ちやすく、運用者にはメリットになる。

  4. 将来の ZK 統合を含むロードマップ

    証明出力能力や zkVM 統合への備えを見せていることは、将来的な L2/ロールアップ連携力において差異化要因になり得る。

  5. 企業向け包括支援サービス

    BaaS や技術統合・コンプライアンス対応を手がけられる点で、単なるソフトウェア提供以上の価値を提供できる。

リスク・課題・注意点

  • 資源消費・ハードウェア要件

    ノード運用においてはメモリやストレージ負荷が無視できず、特にアーカイブモードやフルノード運用時には高いスペックが求められる。

  • オンラインプルーニングの性能インパクト

    プルーニング中リソース負荷が上がるという指摘があり、低リソース環境では性能低下が顕著になる可能性。

  • クライアントエコシステムの信頼性競争

    Geth や Erigon、Besu のように長年利用実績あるクライアントとの信頼性・安定性競争を乗り越える必要がある。

  • 証明/ZK 統合の実装と安定化

    将来展望として掲げている証明生成や zkVM 統合は、設計・実装コストやバグリスク、パフォーマンス制約を克服する必要がある。

  • 相互運用性と互換性の維持

    Ethereum のプロトコル更新(ハードフォーク、EIP 追加など)に迅速に対応する必要がある。

  • 採用の定着性

    プロジェクトが既存クライアントで構成されているケースが多いため、切り替えコストや互換性評価が普及のボトルネックになる可能性。

Flare Network

1. プロジェクト概要

基本コンセプト

  • Flare は「ブロックチェーンのためのデータ(blockchain for data)」を掲げ、スマートコントラクトに対して外部データ(他チェーンの状態、価格、Web2 API など)をトラストレス (信頼不要) に提供する機能を“基盤”として持つレイヤー1チェーンです。

  • Ethereum 仮想マシン(EVM)互換性を持っており、Solidity 等で書かれたスマートコントラクトを比較的スムーズに移植できるよう設計されています。

  • Flare には特有の2つの「埋め込み型(enshrined)」データプロトコルを持っています:

    • FTSO(Flare Time Series Oracle):価格や時系列データを安全にネットワークに取り込むオラクル機構

    • State Connector(状態コネクタ):他のブロックチェーンや API などから状態・イベント情報を引っ張り、それを証明付きで Flare 上のスマートコントラクトが参照できるようにする仕組み

  • コンセンサスとしては、Avalanche 系列の Snowman++ を用い、最終性(finality)を比較的速く得られる構造をとっています。

  • Flare ネットワークには主に以下の区分があります(開発用途別):

    • Mainnet(本番)

    • Testnet / 開発ネットワーク(Coston2 など)

    • Songbird(カナリアネットワーク):プロトコル実験や試験運用用

トークンとユースケース

  • ネイティブトークンは FLR。これがネットワーク手数料支払いやステーキング、ガバナンス、FTSO へのデータプロバイダへのインセンティブなどに使われます。
  • 非スマートコントラクト型の資産(例:XRP、BTC、DOGE など)を Flare 上でスマートコントラクト対応資産として扱う仕組み(FAssets という仕組み)が設計されており、これによりこれらの資産を DeFi 等で活用できるようにすることを目指しています。
  • 将来的な設計として、Protocol Managed Wallets(PMW) という仕組みを使い、Flare 上のプロトコルが他チェーン上でアクションを起こす(例えば、XRP Ledger上で操作する)ことを可能にするような構成も構想中です。

2. ターゲットユーザー(利用者層・用途)

Flare の設計やビジョンを踏まえると、主に以下のようなユーザー・用途をターゲットにしています:

ユーザー層 想定されるニーズ・用途
DeFi/金融系 dApp 開発者 安全に外部価格データを取り込みたい、他チェーンの資産を使えるようにしたい
既存の非スマート資産保有者(例:XRP 保有者など) 自分の資産を DeFi に使いたい、新しいユーティリティを得たい
分散型オラクルプロバイダ データ提供を通じて報酬を得たい
Web3 / Web2 連携アプリケーション開発者 外部 API やオフチェーンデータをスマートコントラクトで使いたい
研究者/AI・機械学習/データアプリケーション 安全で検証可能なデータ基盤をブロックチェーン上で使いたい

特に、XRP のようなスマートコントラクト機能を持たない資産を持っているコミュニティには、「DeFi に踏み出す入口」として有力な選択肢になることを想定しているようです。

3. どのような利益・メリットが得られるか?

Flare を利用/構築することで得られる主な利点を、複数視点から挙げます。

利用者・ユーザー視点

  • 手持ちの非スマート資産(例:XRP、BTC、DOGE 等)を DeFi に活用できるようになる(ステーキング、レンディング、流動性提供など)
  • DeFi アプリを使う上で重要な価格情報やオラクルデータが、Flare ネイティブに提供されており、アクセスの遅延・信頼性の懸念が軽減されうる
  • 将来的には、Flare 上のアプリを通じて、他チェーンの操作(例:XRP Ledger 上でトランザクションを発行する等)を、ユーザーがチェーンを意識せずに使える可能性(PMW による跨チェーン操作)も提示されています。

開発者視点

  • EVM 互換なので、既存の Solidity ベースのコードやライブラリ・ツールを活用しやすい(学習コスト低め)
  • ネイティブなデータ取得機構(FTSO, State Connector)が組み込まれているため、外部データを取り込むために中央集権オラクルを別途構築する必要性が低くなる可能性
  • 将来的には、プロトコル自体が他チェーンアセットを操作できる能力を持つことで、より強い相互作用性をもったアプリを構築できる可能性
  • 開発者インフラ(RPC ノード等)との提携も進んでおり、Ankr などとの協力でノード構築のハードルを下げようという動きもあります。

ネットワーク・エコシステム視点

  • Flare が成功すれば、XRP 等の資産が DeFi エコシステムに取り込まれ、流動性や活性化が見込める(エコシステム拡張効果)
  • ネットワークにデータプロバイダ(FTSO 提供者)として参加することで報酬を得られる可能性
  • 将来的な構想(例えば PMW や TEE 統合)によって他チェーンとのより高度な連動性を作れる可能性

ただし、これらの利点は設計通りに機能が実装され、採用が進んだ場合に初めて実現されるものなので、現在/近未来ではリスクや未整備部分もあります。

4. 競合優位性・課題・リスク

Flare が持つ“強み”と、直面しうるチャレンジを見ておきましょう。

競合優位性(差別化ポイント)

  1. データをチェーン層に埋め込む設計

    Flare はオラクル周りを外部モジュールではなくチェーン内部プロトコルとして持っており、外部依存性を下げるというアーキテクチャ的な強みがあります。

  2. 非スマート資産の DeFi 参入

    XRP など従来は DeFi と結びつきにくかった資産を Flare 上に持ち込む設計(FAssets)という差別化が狙いの一つです。

  3. 将来的なクロスチェーン操作能力(PMW)

    Flare 上のプロトコルが他チェーンで直接操作を行えるようにする構想は、従来のブリッジ方式とは異なるアプローチです。

  4. EVM 互換性

    既存の Ethereum エコシステムからの流入・移植を可能にするゲートウェイとして機能できる点。

  5. インフラ支援・提携

    RPC ノード運営を Ankr が支援するなど、開発環境を整備しやすくする提携も行われています。

課題・リスク

  1. 実装と安定性の確保

    特に State Connector や PMW といった高度な機能を安全かつ効率的に運用できるかどうかは、実装の難しさ・攻撃耐性設計が試される部分です.

  2. 採用の確保

    「データを安全に取り込みたい」というニーズは確実に存在しますが、既存のオラクルネットワーク(Chainlink など)や他チェーンのソリューションとの競争が厳しいです。

  3. 分散性・ガバナンスの実現

    Flare ネットワークインフラ(ノード運営、データ提供者など)が集中しすぎると、中央化リスクが発生する可能性があります。

  4. 規制・法務リスク

    金融系アプリケーションを容易に構築できる設計であるため、各国の規制に抵触しうる点への配慮が必要です。

  5. トークン経済設計(インセンティブ設計)

    データ提供者やステーキング参加者へのインセンティブが持続可能でなければ、ネットワークセキュリティ確保が難しくなる。

  6. 技術的複雑性

    高度なクロスチェーン操作や TEE 統合は素晴らしいが、それだけにバグ・攻撃面・検証コストも上がります。

Hedera

プロジェクト概要

概念と技術基盤

  • Hedera は、パブリック分散台帳(public distributed ledger)で、従来のブロックチェーン方式とは異なる Hashgraph(ハッシュグラフ) コンセンサスアルゴリズムを採用している。
  • Hashgraph アルゴリズムは、「gossip-about-gossip(ゴシップアルゴリズム)」+「仮想投票(virtual voting)」を組み合わせて、ノード間で高速に情報伝播・合意を取る方式。
    • いわゆる「ブロックを生成してチェーンを伸ばす」方式を使わず、すべてのノードが過去の “イベント” ログを共有しながら整合性を取るモデル。
    • 各トランザクションに対して、全ノードが合意時刻(timestamp)を同時に決定できる(フォークの概念を持たない)という特徴がある。
  • ネットワークは Proof-of-Stake(PoS) モデルをベースにしており、HBAR(ネイティブトークン)がネットワーク手数料支払い、ステーキング、ガバナンス等に使われる。
  • Hedera は「サービス群(Network Services)」 を API として提供しており、開発者はこれを介してアカウント作成、トークン発行、スマートコントラクト呼び出し、データ書き込みなどを操作できる。
  • プロトコルとネットワークのアップグレードは、Hedera Governing Council(ヘデラ評議会) によって管理されており、世界の複数の大企業・機関が参加している。
  • 最近では、Hedera のコアソフトウェアが Linux Foundation(オープンソース基盤)に移管され、“Hiero” プロジェクトとして扱われているという動きもある。
  • 将来ロードマップには、スマートコントラクト互換性の強化、バッチトランザクション(複数処理を一括で行う機能)、高度なトークン機能、シャーディングなどが含まれている。

歴史・背景

  • Hashgraph のアルゴリズム自体は Leemon Baird 氏が発案。彼は Swirlds 社とともに Hashgraph の基礎技術を研究・開発していた。
  • Hedera のメインネットは 2019 年にローンチ。
  • Hedera Governing Council のメンバーには、Google、IBM、Deutsche Telekom、LG、Boeing、Tata Communications、Nomura などが含まれている。

ターゲットユーザー/ユースケース

Hedera が意図している主要な利用者層、および得意分野・ユースケースを以下にまとめる。

ターゲットユーザー 主な関心・ニーズ 想定ユースケース
エンタープライズ企業 高性能・高信頼な分散基盤、コスト低減、ガバナンス信頼性 金融取引、決済システム、ID管理、サプライチェーン追跡
dApp 開発者 / Web3 スタートアップ スケーラブルで低遅延な基盤、スマートコントラクト機能、トークン発行など DeFi、NFT、ゲーム、マイクロペイメント、IoT アプリ
規制を意識する事業者 信頼性とガバナンスが明確なネットワーク 公共インフラ、認証、トレーサビリティ用途
環境・サステナビリティ領域 エネルギー効率、環境負荷を抑えたブロックチェーン代替 カーボン市場、環境データ追跡・監査用途
IoT/エッジデバイス運用者 高頻度データをブロックチェーンに載せたい、リアルタイム性が求められる センサーデータ記録、機器状態モニタリング、M2M支払いなど

実際、Hedera は “carbon-negative(カーボン・ネガティブ)” をアピールしており、環境面での競争力も重視している。

また、最近は Verra(カーボン市場の規格機関)と Hedera Guardian を統合し、カーボン市場のデジタル化・透明性強化を進める動きも出てきている。

利益・メリット(なぜ使われうるか)

Hedera を選ぶ/使うことによる主な利点を列挙する。

  1. 高性能・低遅延

    Hashgraph ベースの手法により、ノード間で情報が高速に伝搬し、合意が迅速に得られる。

    “最終確定性(finality)” を秒単位で得られる点が強み。

  2. 低コスト

    手数料は処理コストとストレージコストに基づく算定で予見性が高い。

    また、PoW(マイニング)方式を使わないため、電力コストが圧倒的に低く抑えられる。

  3. 高い安全性・分散性

    Hashgraph のアプローチは、非同期ビザンチン耐性 (aBFT) を備え、耐障害性が高い。

    ガバナンスレベルでの安定性・透明性も、Hedera Governing Council によって担保されている。

  4. サービス API 群の充実

    スマートコントラクトだけでなく、トークン発行(Hedera Token Service, HTS)、コンセンサス記録サービス(Hedera Consensus Service, HCS)、ファイルストレージサービスなどが API で提供されており、開発者は柔軟にこれらを組み合わせて使える。

  5. 予見性・安定性

    手数料体系やガス(ガス価格変動に依存しにくい)、定められた運用モデルがあるため、コスト見通しが立てやすいという点も魅力。

  6. 環境性・持続可能性

    エネルギー消費が比較的低く設計されており、カーボン・ネガティブという目標も掲げられている。

  7. 将来的な拡張性/機能追加性

    バッチトランザクション機能、シャーディング対応の研究など、将来性能をさらに押し上げる構成が進行中。

ただし、実際のネットワーク稼働状況やユーザー数、競合との比較という観点では批判・リスク指摘もある(後述)。

競合優位性と課題/リスク

優位性(競合に対するアドバンテージ)

  • ブロックチェーンとは異なるコンセンサス方式を使うことで、「フォークしない」「全取引が取りこぼされない(枝除去しない)」という設計上のアドバンテージ。
  • 高スループット・低遅延・低コストトランザクションという特徴を武器に、従来のブロックチェーン(たとえば Ethereum)ではスケーラビリティやガス高騰の問題が懸念されるユースケース(マイクロペイメント、IoT、リアルタイム処理等)で競合力を持てる。
  • ガバナンス構造(評議会方式)により、安定運営と技術的アップグレードをスムーズに進めやすいという点。
  • API サービス化アプローチ(スマコン、トークン発行、コンセンサスサービス、ファイルサービス等を API でアクセス可能)により、開発者にとって使いやすいプラットフォームになっている。
  • 環境面でのアピール:エネルギー効率性・カーボン・ネガティブ性。
  • 将来の拡張機構(バッチ処理、シャーディング、スマコン互換性強化など)を計画しており、進化余地があること。

課題・リスク(競合や批判も含む)

  • 分散性・中央化批判

    Hedera は現時点では「パーミッション型ノード(ノード運営者は予め認定された形)」という性質を持っており、完全なオープンノード型ではない。この点をもって「中央化している」との批判もある。

    実際、取引の集中性・資産集中などに関する研究もあり、ネットワークの実質的な分散性に関する分析が行われている。

  • 採用・エコシステムの厚み

    Ethereum や Solana、Polkadot、Cosmos など競合するレイヤー1 プラットフォームには先行者利益やエコシステム規模での優位性がある。Hedera がそれらを超える広い利用を確保できるかは挑戦。

  • スマートコントラクト互換性と開発者移行コスト

    Hedera 自体は Solidity ベースのスマコンをサポートしているが、Ethereum の豊富なツール・ライブラリ・既存資産を完全に移行可能かどうか等の課題は残る。

  • 技術的未成熟リスク

    将来的な機能(バッチトランザクションやシャーディング等)が必ず想定通りに動くかどうかは、時間と実証が必要。

  • 規制リスク

    パブリック台帳、トークン発行、金融用途への適用は各国法令との整合性を常に意識しなければならない。

  • 利用実績・トラクションの観点

    理論上の性能や構想と、実際のネットワーク稼働/ユーザー数/トランザクション量とのギャップが指摘されることもある(例:Reddit 上で「実際の使用量が少ない」「宣伝が先行している」といった批判もある)。

Ledger

🧱 プロジェクト概要

Ledger は、フランス発の ハードウェアウォレット(コールドウォレット) を中心とした暗号資産のセキュリティ企業です。

主な製品は以下の3つです:

製品名 概要
Ledger Nano S Plus 個人向けの基本モデル。USB接続で資産を安全に保管。
Ledger Nano X Bluetooth対応モデル。スマホアプリ(Ledger Live)と連携。
Ledger Stax カーブドE-Inkディスプレイを搭載した上位モデル。NFT閲覧にも対応。

これらはすべて、秘密鍵をデバイス内のSecure Element(セキュアチップ)に保管し、外部に出さない構造を持っています。

ソフトウェアウォレットに比べ、ハッキングやフィッシングからの防御が非常に強固です。

🎯 ターゲットユーザー

カテゴリ 詳細
一般投資家・トレーダー 自分の資産を「取引所に預けずに自己保管」したい人。
NFTコレクター NFTやトークンを安全に保管したい人。
機関投資家 / DAOトレジャリー 大口資産を安全にマルチシグ管理したい組織。
Web3 / DApp開発者 Ledger Connect Kit を利用してDAppにハードウェアウォレット接続を統合したい開発者。

💰 どのような利益があるのか?

個人ユーザーにとって

  • 自分の秘密鍵を100%自己管理できる(“Not your keys, not your coins” の実践)。
  • オフライン環境で署名が行われるため、マルウェアやフィッシングのリスクが極小。
  • Ledger Liveアプリで複数チェーン・複数資産を一元管理可能(BTC, ETH, USDC, NFTなど)。

開発者・企業にとって

  • Ledger Enterprise により、組織・DAO・カストディ業務向けの高セキュリティな鍵管理が可能。
  • Ledger Connect Kit によって、MetaMaskと同様にLedgerユーザーをDAppに直接接続できる。
  • Ledgerの「セキュアチップ+OS(BOLOS)」を利用したカスタムアプリ開発も可能。

⚔️ 競合優位性

項目 Ledgerの強み 代表的な競合との比較
セキュリティ Secure Element チップ採用(銀行カードレベル) Trezorは汎用マイコン採用
認証・改ざん防止 EAL5+ 認証済みチップ 一部競合は未認証
ファームウェア 独自OS「BOLOS」でアプリごとに隔離 一部他社はOS共通空間を使用
サポート資産数 5000以上(ETH系、BTC、Solana、Polygonなど) 比較的多い
エコシステム Ledger Live / Ledger Enterprise / Connect Kit を展開 TrezorはWeb UI中心で統合性が弱い

Ledgerは**「個人用ウォレット + 法人カストディ + DApp接続SDK」**を一貫して提供できる点が強みです。

🧩 関連プロダクト・API

名称 用途
Ledger Live API Ledger Liveアプリとの連携(送金・残高管理など)
Ledger Enterprise API マルチユーザー・マルチシグ環境向けの運用API
Ledger Connect Kit ブラウザDAppへの接続SDK
Ledger Recover (オプション) 鍵のバックアップ/復元サービス(暗号化分割保存)

🧭 まとめ

項目 内容
分類 ハードウェアウォレット / セキュリティ企業
拠点 フランス・パリ
ターゲット 個人投資家・企業・DApp開発者
主な製品 Ledger Nanoシリーズ・Ledger Live・Ledger Connect Kit
競合 Trezor, SafePal, Keystone
強み Secure Element + 独自OS + DApp SDKの3層構成
DApp統合 Ledger Connect Kit を介して EVM系DApp に署名接続可能

Avail

プロジェクト概要

Avail(アヴェイル) は、モジュラーブロックチェーン/レイヤー構造を前提とした “データ可用性(Data Availability, DA)レイヤー” をコアに据えつつ、その上で相互運用性やセキュリティレイヤーまで統合することを目指すインフラプロジェクトです。

主なコンポーネント/モジュールには以下があります:

  • availDA:データ可用性レイヤー。KZG多項式コミットメント + Data Availability Sampling(DAS)を採用し、軽量な検証を可能にする設計。
  • availNexus:クロスチェーン/クロスロールアップ相互運用を担うレイヤー。各チェーン間・ロールアップ間でネイティブに通信や流動性共有を可能にする。
  • availFusion:セキュリティ強化を目的とした多トークンステーキングや再ステーキング(restaking)機構。複数アセットでネットワークを担保するメカニズムを目指す。
  • Light Client / クライアント実装:ユーザーがモバイルや軽量な端末で “フルノードを持たないまま検証可能” な体験を提供するための軽量クライアント設計。

Availは「水平スケーラビリティ」や「チェーン分断の解消(フラグメンテーションの統一)」をキーワードにしており、複数のロールアップやアプリチェーンをまたいだ “共通データ可用性層 + 相互運用レイヤー” を提供することで、Web3の断片化を克服しようとしています。

また、Availは “Build once, scale everywhere”(一度ビルドすれば複数チェーンで動かせる)というビジョンを掲げており、あるチェーンに特定の DApp を配置すれば、その DApp 機能が他のチェーンでも使えるようになるという設計意図を持っています。

ターゲットユーザー(ステークホルダー)

Avail の設計思想から考えると、主なターゲットユーザー/ステークホルダーは次のような層になるでしょう:

利用者 / ステークホルダー 関心・ニーズ Avail による価値 / 提供できるもの
ブロックチェーン開発者 / チェーン運営者(Rollup, Appchain, Validium など) スケーラブルで信頼できるデータ可用性基盤、相互運用性、低コストな運用、セキュリティ強化 Avail の DA を使って自前の DAC を構築せずに済む、ローンチ時から流動性・相互運用が可能、セキュリティ面で支援
dApp開発者 ユーザー体験(UX)の向上、チェーン切替なしで動作、相互運用性、流動性アクセス Nexus を通じて異なるチェーンのユーザー・資産を透過的に扱える、クロスチェーンUXを簡略化できる
ユーザー / エンドユーザー 操作の複雑さ低減、ウォレット切替やブリッジの煩雑さ回避、取引コスト低下 本来複数のチェーンをまたぐ操作を一つのアプリ内で可能に、軽量クライアントで検証可能に
ステーカー / 投資家 ネットワークセキュリティへの参加、収益機会 AVAIL トークンをステーキングして報酬を得る、ネットワーク成長に伴う価値上昇期待
組織 / 企業 プライバシー、監査可能性、インフラコスト最適化 暗号化DA(Enigma DA など将来的展開)によるプライバシー対応、可用性インフラを借用できることによる初期コスト抑制

Avail を使う/組み込むことによる利益・利点

Avail を採用・統合することで得られる主な利点は以下の通りです:

  1. コスト最適化 / リソース削減

    多くのロールアップ/レイヤー 2 ソリューションでは、データ可用性部分がコストの大きな要因となります。Avail の DA レイヤーを使うことで、独自に DAC を作るコストや運用リスクを軽減できます。

  2. スケーラビリティ(水平拡張性)

    Avail は「水平スケーラビリティ(ネットワーク需要に応じて拡張できる可用性基盤)」を目指しており、ブロックスペースの限界をある程度緩和できるよう設計されています。

  3. 相互運用性 / 流動性共有

    Avail Nexus により、異なるチェーン間で流動性をシームレスに共有でき、dApp やユーザーにとってチェーン切替の摩擦を軽減できます。たとえば、あるチェーン上に Uniswap がある場合、他のチェーンユーザーも同じ機能を使え得るようになります。

  4. UX 向上 / チェーン移動の抽象化

    ユーザーはアプリを離れずに複数チェーン機能を利用でき、ウォレット切替や資産ブリッジ操作を意識しない体験を実現できます。

  5. セキュリティ強化 / ネットワーク保証

    fusion モジュールによるマルチトークンステーキング(ETH, BTC, ERC-20 など)を通じて、Av ail ネットワーク全体のセキュリティを向上させる設計が進められています。

  6. 軽量クライアントによる検証可能性

    ユーザー端末での軽量な検証を可能にすることで、中央集権的なノード依存を減らし、検証可能性を保ちつつ UX を犠牲にしない設計を実現します。

  7. 迅速立ち上げ / イノベーションの促進

    新しいロールアップ/アプリチェーンを立ち上げる際、Avail の基盤を借りることで、流動性やインフラ整備を最初から自前で揃える必要が減ります(ローンチ時ブートストラップ支援)。

競合および差別化/優位性

Avail が競合となる、また比較されやすいプロジェクトには、主に Celestia やその他のデータ可用性レイヤー、モジュラー系インフラ (例えば EigenLayer, Polygon CDK, Cosmos 通信プロトコルなど) が挙げられます。以下、Avail の競争力・差別化ポイントを中心に解説します。

主な競合例と比較観点

  • Celestia:データ可用性レイヤーとして非常に注目されている。Avail と同様に DA に特化した設計。
  • Polygon CDK / Polygon Modular:モジュラー設計の中でのインフラ提供。
  • EigenLayer:再ステーキング(restaking)など、セキュリティ共有系のインフラ。
  • 各種 “DA レイヤー / 分離型 DA ソリューション”:たとえば DA 専用レイヤーや DAC モデルなど。

Avail の差別化・優位性要素

  1. 相互運用性を前提とした設計(Nexus)

    DA レイヤーだけでなく、チェーン間通信・メッセージング、流動性共有を含む “相互運用性” 層を最初から設計に含めている点は大きな差別化要素です。多くの DA レイヤーは可用性に特化しており、相互運用性部分は別プロジェクトや橋 (bridge) に依存することが多いですが、Avail はこれを統合的に提供しようとしています。

  2. マルチトークンステーキング / 再ステーキングによるセキュリティ強化(Fusion)

    単一トークン(例えば AVAIL トークン)に依存せず、複数トークンを介してセキュリティを構築できる設計は、リスク分散や参加者の柔軟性という意味で強みになります。

  3. 軽量クライアント / 検証可能性と UX の両立

    ユーザー端末でデータ可用性をサンプリング検証できる(ユーザー自身で信頼性を検証できる)軽量クライアント設計を重視している点。多くのチェーンはこの部分を軽視しがちですが、Avail は UX と検証可能性のバランスを重視しています。

  4. “Build once, scale everywhere” のエコシステムビジョン

    あるチェーンに DApp を展開すれば、他チェーンでも同じ機能を使えるというビジョンを実現するネットワーク設計(Nexus効果)を掲げており、エコシステム効果を得やすい設計になっています。

  5. インテグレーション実績 / パートナーシップ

    例として、Cartesi との統合が発表されており、Cartesi の Linux 実行環境と Avail のデータ可用性を組み合わせて、開発者体験を強化する試みが進んでいます。

    また、Lens Protocol(ソーシャル系チェーン)や Sophon(ZK-validium チェーン)などが Avail を採用/連携している実績もあり、技術適用のリアリティが示されています。

  6. 拡張性・将来性を見据えた設計

    Avail は将来的な “インフィニティ・ブロック (10 GB ブロック等)” や Enigma DA(暗号化 DA)などの技術拡張を想定しており、長期的なスケーラビリティと応用可能性を見据えたロードマップを掲げています。

とはいえ、以下のようなリスクや課題も考慮すべきです:

  • 実装の複雑性や技術的チャレンジ(ZK, 暗号化 DA, 高スループット処理など)
  • 他の DA ソリューションとの競争、採用の遅れ
  • ネットワーク効果の確保(多くのチェーン・プロジェクトが参画する必要性)
  • セキュリティ、検証プロトコルの正しさ・バグリスク

Polygon

🧩 プロジェクト概要

Polygon は、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために設計された L2スケーリングソリューション群(マルチチェーン・エコシステム)です。

もともとは「Matic Network」として2017年にインドで設立され、後に「Polygon」として拡張されました。

Polygonは「Ethereumのインターネット」として、複数のスケーリング技術(PoSチェーン、zkEVM、CDKなど)を統合的に提供しています。

👥 ターゲットユーザー

Polygonは多層的なユーザー層を対象としています。

ユーザー層 ニーズ / 活用例
DApp開発者 高速・低コストでEthereum互換のDAppを展開(例:DeFi、NFT、GameFi)
企業・ブランド Web3体験をユーザーに提供(Nike、Starbucks、Reddit、Disneyなど)
DAO・プロジェクト運営者 zkRollupベースで独自L2を構築(Polygon CDK)
ユーザー 安価なガスでトランザクション・NFT取引が可能

💰 どのような利益があるのか?

開発者・企業にとっての利点

項目 説明
ガス代の大幅削減 Ethereumより100〜1000倍安価
高速トランザクション 1〜2秒で確定
EVM完全互換 既存のSolidityコントラクトをそのまま移行可能
強固なセキュリティ Ethereumのセキュリティを継承(PoS・zk系で異なる)
豊富な開発ツール Hardhat、Remix、Alchemy、Infuraなど主要ツールに対応
大規模エコシステム Aave、Uniswap、OpenSea、Axieなど多数のプロジェクトが稼働

ユーザーにとっての利点

  • ガス代が安いためNFT取引・DeFi操作の心理的ハードルが低い
  • Ethereum互換のため資産の移動が容易
  • Polygon IDなどによる分散型ID活用が可能

⚔️ 競合優位性

PolygonはL2戦争の中でも、技術・実績・ブランドの3点で強みを持ちます。

分類 内容
① 技術の多様性 PoS、zkEVM、Miden、CDK(独自チェーン構築)など複数技術を統合。用途に応じて最適なスケーリングを選択可能。
② 大企業との提携実績 Nike、Starbucks、Meta、RedditなどがPolygon上でNFT・Web3展開。
③ Ethereumとの緊密な関係 Ethereum財団との連携が強く、zkEVMは公式EVM互換L2として高評価。
④ 開発エコシステムの広さ 世界中の開発者に採用されており、ドキュメント・SDK・APIが充実。
⑤ トークン経済 (MATIC) ガス代・ステーキング・ガバナンスで機能。流動性と取引所上場数が非常に多い。

🚀 まとめ

項目 内容
名称 Polygon (旧Matic Network)
目的 EthereumのスケーラビリティとUX改善
主な技術 PoS Chain, zkEVM, CDK, Miden
利点 高速・低コスト・EVM互換・実績多数
競合 Arbitrum, Optimism, zkSync, Starknet
統合難易度 低(Ethereum互換)
代表的DApps Aave, Uniswap, OpenSea, Lens Protocol, Decentraland

Circle

プロジェクト概要

  • Circle(サークル社) は、デジタル通貨とブロックチェーンを活用した「新しい金融インターネット(Internet Financial System)」を構築することを目指す企業です。

  • もともとは P2P 決済事業として始まりましたが、現在は主に以下のような機能・サービスに軸足を移しています:

    • ステーブルコイン発行・運用(代表例:USDC、EURC)

    • 決済/送金/支払い基盤支払い API/SDK の提供

    • ブロックチェーン相互運用性(クロスチェーン)、ガスレス体験、ウォレット機能など Web3 開発者向けインフラ整備

    • 最近では、Circle 自身がオープンな Layer-1 ブロックチェーン「ARC」 を構想・展開しており、ステーブルコイン/金融用途に最適化された基盤を目指しているようです。

  • Circle はまた、USDC の準備金(裏付け資産)を銀行預金・米国債などの流動性資産で保有し、透明性と規制順守を重視する体制を公言しています。

  • なお、2025年6月に IPO を行い、株式を公開。これにより資本基盤が強化され、金融規制当局との関係性も注目されています。

  • 加えて、Circle は米国での「国営信託銀行(national trust bank)」の認可申請を行っており、将来的には自社で準備金保管やデジタル資産のカストディ(保管)サービスを直接提供する可能性があります。

要するに、Circle は “法定通貨裏付け型ステーブルコイン + 決済インフラ + Web3 開発者向けモジュール” を統合し、従来金融とブロックチェーン世界を橋渡しするキーインフラを目指すプロジェクトです。

ターゲットユーザー

Circle が主に提供を狙っているユーザー層(顧客)は次のようになります:

ユーザー層 主な利用用途/ニーズ
Web3 アプリ/DApp 開発者 ブロックチェーン上で安定的な価値のやり取り、支払い機能、クロスチェーン送金、ガス最適化など NFT マーケットプレイス、DeFi、ゲーム、Web3 SaaS など
決済サービス事業者/フィンテック企業 国際送金、支払いインフラ、オン/オフチェーン決済の統合 電子商取引、送金サービス、支払いゲートウェイなど
金融機関/機関投資家 ステーブルコインの資金運用、ステーブルコインを使った金融プロダクト、トークン化アセット 銀行、運用会社、決済ネットワーク
エンドユーザー(間接的) Web3 アプリを使って安定した通貨で決済・送金できる体験 暗号ウォレット保有者、仮想通貨ユーザー

つまり、Circle は B2B / B2Developer(開発者層)に重きを置いており、最終的にはそのサービスを通じてエンドユーザーにも恩恵を届ける構造です。

どのような利益(価値)があるか?

Circle が提供するインフラ・サービスがもたらす価値をいくつか挙げます。

  1. 価値の安定性(ステーブルコイン)

    暗号資産(例えばビットコインやイーサリアム)は価格変動リスクが高いため、DApp や決済用途には直接使いづらい。一方で、USDC のような法定通貨裏付け型ステーブルコインを使うことで、価格変動リスクを抑えたトークン化されたドル資産を利用できる。

  2. 迅速な決済・送金

    トークンとしてブロックチェーン上で即時送金できるため、国境を越えた送金やオンライン決済が高速化する。また、オンチェーン/オフチェーン統合やガスの最適化設計(ガスレス体験など)を提供することで、ユーザー体験を改善できる。

  3. クロスチェーン展開

    USDC は複数チェーンに対応しており、ユーザーやプロジェクトは異なるブロックチェーンでの価値移動・流通を容易にできる。Circle 側もマルチチェーンインフラを整備している。

  4. 収益化/キャッシュフロー

    Circle は、ステーブルコインの準備金(裏付け資産)を運用して収益を得ることができる(例:預金利息、国債利息など)。この運用収益がビジネスモデルの一部になります。

    ただし、ステーブルコイン発行体は高い流動性・安全性を求められるため、運用リスク管理は不可欠です。

  5. 信頼性・規制対応

    Circle は公開透明性や準備金の監査を重視し、規制順守を志向する姿勢を打ち出しています。これにより、信頼性をアピールでき、法的・規制的な許認可を取りやすくなります。

  6. 開発者生態系の拡張

    API、SDK、開発ドキュメント、サンプルコード、開発者支援(ブートキャンプ等)を整えており、DApp に組み込みやすくすることでエコシステムを強化できる。

競合優位性(競争上の強み・チャレンジ)

Circle の強みと、リスク・課題を整理します。

強み(競合優位性)

  1. ブランド/信頼性・コンプライアンス重視

    ステーブルコイン分野では信頼性・裏付けの透明性・準拠性が重要。Circle は監査、準備金証明、規制適合性を重視・アピールしており、これが参入障壁となる可能性があります。

  2. 資本力・資金基盤

    IPO による資金調達、既存の資本力、銀行ネットワークとの関係性、準備金運用能力などが強みになります。

  3. マルチチェーン対応/クロスチェーンインフラ

    USDC を複数チェーンに展開し、相互運用を重視するインフラ設計能力は、チェーン分散化が進む中で優位となりうる。

  4. ネイティブな Web3 開発ツールの提供

    API/SDK/開発者向けモジュールを整備し、DApp に組み込みやすい形で提供できる点。これにより他のステーブルコイン発行体より「採用コスト」が低くなる。

  5. 統合型エコシステム志向

    単なるステーブルコイン発行だけでなく、決済、流動性サービス、ウォレット、クロスチェーン、将来のカストディ等を包括的に提供する構想は、スプロール型の競合よりも一体的な体験を提供できる可能性を持つ。

課題・リスク

  1. 金利・市場リスク

    ステーブルコインの裏付け資産を運用する際の金利低下、流動性リスク、信用リスクが収益に影響。金利環境変動により利益が不安定になる可能性。

  2. 規制リスク

    各国/地域でステーブルコインや暗号資産の規制が異なり、将来的な規制強化、法制度の変化(例:準備金要件、許認可義務、報告義務など)に対応せねばならない。

  3. 競合激化

    他の大手ステーブルコイン発行体(例:Tether/USDT や他のプラットフォーム発行ステーブルコイン)、あるいは大手金融機関がステーブルコインやトークン化資産発行に参入する可能性。

  4. チェーン依存性と相互運用性の複雑さ

    マルチチェーンに対応するためにはブリッジ設計、セキュリティ、ガバナンス、トークン流動性設計など高度な技術課題を克服する必要がある。

  5. 信用維持と透明性負荷

    利用者・規制当局から常に透明性や監査証明を求められるため、オペレーションコストが増える可能性。

ENS

🧭 プロジェクト概要

ENS(Ethereum Name Service) は、Ethereum 上で動作する 分散型ドメインネームシステム です。

インターネットの「DNS(Domain Name System)」のように、複雑なウォレットアドレス(例:0x1234...abcd)を、

わかりやすい人間向けの文字列(例:takuma.eth)に置き換える仕組みを提供します。

ENS名はNFTとしてERC-721トークンで表現され、ユーザーが所有・転送可能です。

運営主体は非営利団体 ENS DAO で、ガバナンストークン $ENS により管理されています。

主な機能

  • Ethereumアドレスに対する名前解決(takuma.eth → 0x...)
  • サブドメイン管理(pay.takuma.eth など)
  • 他ブロックチェーンアドレスやIPFSハッシュ、Twitter/Xアカウント等のリンク設定
  • ENS Reverse Record による逆引き(アドレス→ENS名)

🎯 ターゲットユーザー

ユーザー層 ニーズ
個人ユーザー 自分のウォレットやプロフィールを人間が読める形にしたい(例:送金ミス防止)
開発者 / DApp運営者 アドレス管理を簡略化し、UI/UXを改善したい
DAO / Web3コミュニティ 独自のネームスペース(例:komlock.eth)を使ってメンバーIDを発行
ブランド / 企業 Web3上でのブランド名(例:nike.eth)を確保・認証用途

💰 利益・メリット

分類 内容
UX向上 長いアドレスを入力する必要がなく、誤送信を防げる。
統一ID SNS, DApp, メタバースなど複数のサービスで同一のWeb3 IDを利用可能。
資産性 ENS名自体がNFT資産であり、取引可能(例:3文字ENS名の高額取引)。
相互運用性 WalletConnect, OpenSea, Uniswap, Lens, Farcasterなど、主要DAppがENSをサポート。
分散型運営 ENS DAOによる透明な運営・トークンガバナンス。

🧩 競合優位性

比較軸 ENS 競合(例:Unstoppable Domains, Space ID, Bonfidaなど)
基盤チェーン Ethereum(L1/L2互換) 各チェーンに依存(Polygon, BNB Chainなど)
分散性 完全オンチェーン & DAO運営 中央管理的要素が残るものも多い
エコシステム統合 MetaMask, Coinbase, Uniswap, Openseaなど幅広く対応 限定的または独自連携のみ
標準化 ERC-137に準拠し、他DAppから利用容易 プロプライエタリ形式が多い
流動性 取引量・保有者数ともに最大規模 小規模または特定チェーン限定

👉 ENSは「Ethereum標準のネームレイヤー」として最も信頼されており、

他L2(Arbitrum, Optimism, Baseなど)でも互換的に利用可能な点が最大の強みです。

🧠 まとめ

項目 内容
名称 Ethereum Name Service (ENS)
役割 Ethereum上の人間可読なネームレイヤー
特徴 DAO運営・分散型・ERC-721 NFT化
強み Ethereum標準/広範なDApp互換性/強力なブランド力
活用例 送金、プロフィール、ログイン、NFTマーケット連携など

Curvegrid

プロジェクト概要

Curvegrid は、Web3 向けのインフラ/ミドルウェア提供企業で、主に MultiBaas(マルチバース) というプラットフォームを通じて、開発者がブロックチェーンアプリケーション(DApps)をより簡便に構築できるよう支援することを目的としています。

以下が特徴・構成要素:

  • MultiBaas:Curvegrid の中核サービス。REST API、イベントインデックス、トランザクション管理、Webhook、スケーラビリティ機能などを提供。
  • SDK / プラグイン:TypeScript, Go, Python など各言語向け SDK や、Hardhat 用のプラグインなどを公開。
  • サンプルアプリケーション:GitHub 上に MultiBaas を用いたサンプルアプリ(例えばオンチェーン投票アプリ)が公開されており、これを参考に DApp を構築できる。
  • NFTeapot:NFT を Shopify ストアで販売できるようにするアプリ(Curvegrid が手がけるサービスの一つ)
  • マルチチェーン対応:複数の EVM 互換チェーンをサポートしており、新たなチェーンへの対応も進められている。

Curvegrid は、ブロックチェーン技術の導入・アプリ構築の敷居を下げ、「ブロックチェーン/Web3 を意識せずに使えるバックエンド層」を提供することをビジョンとして掲げています。

ターゲットユーザー

Curvegrid/MultiBaas の主なターゲット層を整理すると、以下のようになります:

ターゲット 特徴・ニーズ Curvegrid が応える価値
Web3 スタートアップ/新規プロジェクト ブロックチェーン周りのインフラを自前で一から構築するには工数や専門知識が高い API や SDK を通じて迅速に立ち上げ可能
既存の Web2 事業者が Web3 を取り入れたい企業 ブロックチェーン技術に詳しくない、または内部リソースが限られている ミドルウェアを使って裏側を隠蔽しつつ導入可能
DApp 開発者(中規模〜大規模) 複雑なイベント処理、トランザクション管理、マルチチェーン対応を要する スケーラブルな API やインフラを提供
NFT 発行や e-commerce 事業者 NFT を Web2 プラットフォーム(例:Shopify)で扱いたい NFTeapot のようなサービスを利用可能

つまり、「ブロックチェーンの複雑さを吸収しつつ、アプリロジックに専念したい開発者/事業者」が主なターゲットと言えます。

どのような利益(利点・メリット)があるか

Curvegrid/MultiBaas を使うことによる利点を、技術面とビジネス面に分けて整理します:

技術的メリット

  1. 開発スピードの向上

    多くの共通機能(トランザクション送信、イベント購読、エラーハンドリング、Webhook など)が API で抽象化されており、ゼロから構築する工数を削減できる。

  2. 運用性・保守性の向上

    イベントインデックス、ログ取得、ステート管理など煩雑な処理をバックエンド側で管理できるため、フロントエンドやアプリ側コードがシンプルになる。

  3. マルチチェーン対応

    対応チェーンが複数で、将来的なチェーンの追加も見据えている。これにより、将来的なチェーン移行や拡張がやりやすい。

  4. 安全性・安定性

    ミドルウェアとしてインフラ運用をプロが担うため、個別プロジェクトでのノード管理や障害対応リスクを軽減できる。

  5. 抽象化された契約実行

    既にデプロイ済のスマートコントラクトに対しても拡張性を持たせたり、API 経由で操作可能なように設定できる。

ビジネス的メリット

  1. 早期市場投入(Time-to-Market)の短縮

    インフラ整備を効率化することで、開発初期段階から市場テストや MVP(Minimum Viable Product)投入を早められる。

  2. コスト抑制

    自前でノード、フルインフラを構築・運用する人件費・運用コストを削減できる。

  3. 運用リスクの低減

    障害やアップグレード対応をミドルウェアプロバイダーに任せられるため、プロジェクト側でインフラ運用の負荷が減る。

  4. 拡張可能性

    将来スケールが大きくなっても、ミドルウェア層でスケーラビリティ対応をしやすいため、アプリレベルの改変を最小限にできる。

  5. エコシステム接続性

    他プロジェクトやチェーンとの統合を想定した設計がされており、将来的な連携が行いやすい。

競合優位性(強み・差別化ポイント/課題)

強み・差別化ポイント

  • ミドルウェアとしての網羅性:単なる RPC ノードや API だけでなく、イベントインデックス、Webhook、トランザクション管理などを統合提供している点。
  • チェーン拡張性:新興および既存の EVM 互換チェーンに対応しており、新規チェーンにも早期対応している。
  • 開発者向けツール群:SDK、プラグイン、サンプルアプリなどが充実しており、導入障壁を下げている。
  • 部分的拡張可能性:既存スマートコントラクトを後から拡張するための API レイヤーを提供可能という点。
  • ビジネス経験と実績:Curvegrid は日本/アジア地域での実績もあり、ローカル市場での強みを持っている可能性がある。

リスク・課題・懸念点

  • 依存リスク:ミドルウェアプロバイダーに依存することで、プロジェクトがその外部サービス停止や仕様変更の影響を受けやすくなる。
  • コストモデル:API 利用量やトランザクション数などに比例して課金が発生するモデルだと、スケール時のコストが増大する可能性がある(ただし具体的な料金体系は調べた範囲では明示されていない)。
  • 競合との競争:Infura、Alchemy、Moralis、QuickNode、Ankr など、Web3/ブロックチェーン開発支援インフラ系プロバイダーとの競合環境が激しい。
  • 技術的制限:チェーン非対応、特殊なスマートコントラクト機構(非 EVM、レイヤー非互換設計など)には対応できない可能性。
  • ロックイン:一度 MultiBaas に実装してしまうと、別のインフラに移行するのが難しくなる設計選択をしてしまうリスク。

Fluence

プロジェクト概要

Fluence(しばしば「クラウドレス(Cloudless)コンピューティング・プラットフォーム」と呼ばれる)は、分散型の計算基盤(分散コンピュート・インフラストラクチャ)を提供することを目指すプロジェクトです。

従来のクラウドプロバイダー(AWS、GCP、Azureなど)から脱却し、複数の独立したプロバイダーが計算リソースを提供し、それを需給マッチングするマーケットプレイス的なレイヤーを構築する、いわゆる DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network) 型のインフラです。

主な特徴・構成要素は次のとおり:

  • 仮想サーバー/サーバレス風の分散計算環境 をユーザーが起動できる(仮想インスタンス、関数実行、バックエンド処理など)。
  • Wasm(WebAssembly)ベースのモジュール実行:Compute Functions は Wasm モジュールとして実行され、モジュールリンクやエフェクター(外部サービスアクセス用モジュール)という仕組みを通じて外部との連携を実現。
  • Managed Effects 機構:Compute モジュールが外部 API 呼び出しなどを行うためには、あらかじめ許可された “Effector モジュール” を通す。これによりセキュリティと制御可能性を担保する。
  • クラウドプロバイダーのロックイン排除、コスト効率、計算リソースの分散化 を目指す。公式では「最大でクラウドコストを 75 % 削減できる可能性」などを打ち出している。
  • トークン経済モデルおよび DAO ガバナンス:ネイティブトークンとして FLT があり、ステーキング、ガバナンス、プロバイダー担保、買い戻し戦略などが組み込まれている。
  • InterPlanetary Consensus (IPC) との連携:Fluence は IPC を活用することでスケーラビリティや相互運用性を強化しようとしており、Fluence サブネットを IPC 上に構築するという設計も言及されている。
  • RWA(Real-World Asset)型の計算資産トークン化:物理的な計算資源をデジタル資産として扱うアプローチをとっており、ユーザーが計算能力に対してトークンを通じた権利を持つ構造を目指すというビジョンが打ち出されている。

Fluence の公式サイトでは、「仮想サーバーを秒で起動」「ベンダーロックインなし」「透明な価格設定」などを売りにしており、従来クラウドとの競合を意識した設計を強調しています。

また、ネットワークは Fluence DAO により管理されており、プロトコル改善、資金配分、ガバナンス決定などはコミュニティ/トークン保有者によって行われる設計です。

公式ビジョン「Vision 2026」では、AI 時代に対応した拡張性、トークン化資産モデル、Tier IV データセンター対応、セキュリティ強化などを今後の重点施策として掲げています。

ターゲットユーザー(想定ユーザー層)

Fluence が主にターゲットとする/恩恵を受けるユーザー層は以下のとおりです:

ユーザー種別 利用シナリオ/ニーズ 得られる価値
dApp 開発者 / Web3 アプリ構築者 スマートコントラクトだけで足りない処理(オフチェーン計算、API 集約、バックエンド処理、機械学習推論など)を実行したい 分散インフラ上でロックインなしに実行できる、コスト低減、信頼性・耐検閲性の向上
AI/機械学習モデル提供者 モデル推論、データ前処理、モデル実行などの GPU/高性能計算を分散環境で実行したい 分散 GPU ノードを使った推論環境、計算コスト最適化、耐故障性確保
既存の Web2/クラウドアプリを Web3 化したい企業 中央化リスク、クラウドロックイン、信頼性・透明性強化へのニーズ クラウド依存を減らしつつ、可搬性の高い分散体制を持つ基盤として使える
インフラ提供者 / データセンター運営者 / 個人マシン運用者 計算リソースを余剰で持っており、それを収益化したい ネットワークに参加して、提供能力に応じて報酬(手数料収入、トークン報酬など)を得ることが可能
ステーカー / ガバナンス参加者 ネットワークのセキュリティや運営に関与したい FLT をステークして報酬を得たり、ガバナンスに参加可能

開発者寄りのユースケースが強調されており、特に「ブロックチェーンに閉じないバックエンド処理を分散化して実行したい」層が中心と見られます。

また、AI 分野の需要拡大を見越して、GPU や高性能ノードを活用する用途も強く意識されており、公式ビジョンにも組み込まれています。

どのような利益があるのか?(利点・メリット)

Fluence を使うこと(あるいは参加すること)による主な利益・優位性(仮定含む)を以下に挙げます:

  1. コスト削減

    公式では「従来クラウドと比べ最大 75 % のコスト削減」を掲げており、不要な中間マージンやロックインコストを排除することでコスト優位性を実現する可能性があります。

  2. ベンダーロックインからの解放

    利用者/開発者は特定クラウドプロバイダーに縛られず、ノードプロバイダーを切り替え可能なアーキテクチャを設計できます。これにより “クラウドからの自由” を得られる可能性があります。

  3. 分散性・耐障害性・検閲耐性

    中心的なクラウドプロバイダーが落ちる、検閲されるなどのリスクを抑えられる。システム全体がネットワーク的に分散されており、部分的なノード障害に対して耐性を持ちうる構成となる(ただし実際の信頼性は実装次第)。

  4. 信頼性と検証可能性

    リクエスト実行や計算に対する証明(Proof/暗号的検証)を導入することにより、計算結果が正当であることを保証できる設計が可能。これによりユーザーからの信頼性を獲得しうる。

  5. トークンエコノミクスによるインセンティブ整合性

    FLT トークンのステーキング、DAO ガバナンス参加、プロバイダー報酬、買い戻し戦略などを通じて、ネットワーク利用、維持・運営、セキュリティ確保の各プレイヤーの利害を整合させようという設計がなされている。

  6. 拡張性・将来的応用性

    AI モデル推論、データ処理、ブロックチェーンノード実行、ハイブリッド Web2/Web3 のバックエンド処理など高負荷処理にも対応する拡張性を視野に入れている。特に GPU ノード対応などは将来的な差別化要因になる可能性。

  7. マルチプロバイダー環境 & 選択肢の多様化

    ノードプロバイダーが複数存在するため、ユーザーはコスト・地域・性能要件に応じてプロバイダーを選択できる。これが柔軟性をもたらす。

ただし、これらのメリットの実現度は、ノードネットワークの成熟度、遅延・帯域・信頼性・プロバイダーの分布、プロトコルの安定性などに大きく依存します。

競合優位性(差別化要素・強み・リスク)

Fluence が他の分散コンピュート / インフラプロジェクトと比べて持つ強み、および潜在的なリスクや課題を考察します。

強み・差別化要因

  1. 既存の技術アライアンス・IPC との連携

    Fluence は IPC(InterPlanetary Consensus)との連携を通じてスケーラビリティ、相互運用性を確保しようとしており、これにより他の単独ソリューションよりも拡張性優位性を持てる可能性があります。

  2. トークン買い戻し戦略および収益連動型トークン設計

    単なるユーティリティトークンを超え、ネットワーク利用率と収益をトークン価値と結びつける設計(収益からの買い戻しなど)を導入しており、経済モデルの健全性を強めようとしています。

  3. 先行実装と “稼働中” 状態

    Fluence は既に一定の収益を上げており、実際の顧客ワークロードを扱い始めているという発表がある点(例:買い戻し戦略発表において、ARR や顧客のコスト削減実績を示している)

    → プロジェクトが完全な理論段階ではなく、実運用フェーズに入りつつある点は強み。

  4. 開発者向けツール・抽象化レイヤー整備の志向

    Compute Functions、Managed Effects、モジュールリンクといった設計は、開発者が扱いやすい抽象レイヤーを狙ったもの。これにより採用障壁を下げられる可能性があります。

  5. マルチプロバイダーの柔軟性

    ユーザー/開発者はプロバイダーを選べる、プロバイダー間を乗り換えやすい構造であるという点は差別化要因になり得ます。

リスク・課題・懸念点

  1. ネットワークの成熟度・プロバイダー分布

    ノードが十分に分布していない、地域的に偏っている、安定稼働率が低いなどの問題があれば、分散化・信頼性設計の目的を達成できない可能性があります。

  2. レイテンシー・パフォーマンス問題

    分散ノード間通信、データ転送の遅延、帯域幅制限、Egress コストなどが実行パフォーマンスを制約する可能性があります。特に高負荷、リアルタイム性の高い用途では重要な懸念点。

  3. セキュリティと悪意あるノード対策

    計算モジュールが改ざんされたり、偽の計算を返すノードがあったりする可能性。正当性検証やプロバイダーの監視・インセンティブ設計が鍵。

  4. トークン経済の持続可能性

    トークン報酬、買い戻し、ステーク報酬などが過度に設計されていると、インフレ・報酬圧倒・経済モデル崩壊のリスクがある。特に、収益が成長しなければ買い戻し戦略が機能しにくい。

  5. クラウドプロバイダーとの競合

    AWS、GCP、Azure などは既に広範な顧客基盤・安定性・サービス網を持っており、既存ユーザーのスイッチコストが高い。また、既存クラウド資本力を使って類似サービスを提供する可能性も。

  6. 規制・法的リスク

    分散プロバイダー運営や国際的データ転送、責任所在、ノード運用者の法的責任など、法制度対応が複雑になる可能性。

  7. 相互運用性・標準化の課題

    複数ブロックチェーン、ストレージネットワーク(IPFS, Filecoin 等)との統合性、データ移動性、プロトコル標準化などの課題が残る可能性。

総じて、Fluence が差別化できるポジションを取るかどうかは、ネットワークの実運用性能・分散性の実現度、およびコミュニティ/ノード運用者の拡大能力に大きく依存すると言えます。

Saga

プロジェクト概要

Saga” は、Web3 開発者、特にブロックチェーン/ゲーム/DApps 開発者に向けて、スケーラブル、効率的、かつ使いやすいインフラを提供しようというレイヤー1(あるいは専用チェーン・チェーンレット構成を支援するプラットフォーム)プロジェクトです。

主な特徴・構成要素としては以下のようなものがあります:

  • 専用チェーン(チェーンレット/子チェーン)構築支援

    開発者が独自に最適化されたチェーンを「専用に」簡単に立ち上げられるような仕組みを提供。

  • スケーラビリティと水平スケーリング

    複数の専用チェーンを並列で運用できるようにすることで、単一チェーンのボトルネックを回避する設計。

  • ガス代無料または低コスト化

    エンドユーザーにはほぼガス代を感じさせない UX を目指している(あるいは “ガスレス取引” 的なモデルを採用)

  • EVM 互換性

    イーサリアム互換ツール・スマートコントラクトをそのまま活用できるように(Solidity 等)対応を意図。

  • ゲーム特化/GameFi 支援

    Saga は特に Web3 ゲーム・ゲームスタジオをターゲットに据えており、ゲームに適した性能・環境を重視した設計。

  • Saga Origins(ゲーム出版部門)

    開発だけでなく、ゲームを世に出すパブリッシング支援も手掛けようという部門が設立されている。

  • Realms(メタバース的相互作用)

    複数の技術スタックや IP が異なるチェーン同士でも相互作用できるようにする、メタバース的なレイヤー(“Realms”)を設計するという構想。

  • 共有セキュリティ、検証者オーケストレーション

    専用チェーンを多数立ち上げても、セキュリティを担保できるような設計を取る(共有セキュリティのような考え)

実際、Mainnet がフェーズ1としてローンチされ、350 を超えるプロジェクトが参加しているという報道もあります。

ターゲットユーザー(ペルソナ)

Saga の主なターゲットユーザーは次のような層です:

  1. Web3 やブロックチェーン開発者/スタジオ

    特にゲーム開発者、NFT やメタバース開発者。彼らはパフォーマンス、スケーラビリティ、低コスト、自由度を重視する。

  2. スタートアップ/プロジェクト立ち上げ者

    インフラ運営コストを抑えてチェーンを持ちたい、あるいはカスタム仕様のチェーンを持ちたい事業者。

  3. 一般ユーザー/ゲームプレイヤー

    UX を重視するユーザー。ガス代を気にせずスムーズにアプリを使いたい人。

  4. 投資家・エコシステム参加者

    トークン保有者、ステーキング参加者、ガバナンス参加者など。

  5. パブリッシャー / 出版者

    ゲームやアプリを世に出す支援を受けたい IP 保有者、クリエイター。

このように、技術基盤を探している開発者群と、その上で使われるアプリケーション側ユーザーの両方を意図した構造になっています。

利益・提供価値(どのような “メリット” が提供されるか)

Saga が目指す “利益” や “価値” は、主に以下のような観点に集約できます:

利益・価値 内容
開発コスト削減 専用チェーン運用やインフラ管理の負荷を軽くする。
パフォーマンス/スケーラビリティ 並列チェーン構成、ボトルネック回避、トラフィック耐性の向上。
ユーザー UX 向上 ガス代がほとんど感じられない、処理遅延が少ない操作性。
互換性・開発効率 EVM 互換性により既存ツールが使いやすい。
エコシステム効果 多くのプロジェクトが参入することで相互接続性・相互作用性が出る。
出版サポート 単に技術提供するだけでなく、パブリッシング支援によってマーケティング・リリース支援を得られる可能性。
相互作用性(メタバース機能) 異なるチェーンや技術スタック間でのデータ・トークンのやり取りを可能にする層を提供。
プラットフォーム収益モデル トークンモデル、手数料分配、プラットフォーム参加者へのインセンティブ設計など。

これらを通じて、開発者はインフラ面の悩みを軽減してアプリケーション開発に集中でき、ユーザー側にはより使いやすい Web3 アプリが提供される、という価値連鎖を目指しています。

競合優位性・リスク・課題

Saga が競合と比べて優位と主張できそうな点、そして注意すべきリスク・課題も整理しておきます。

競合優位性(強みになりうる点)

  1. 専用チェーン構築支援の柔軟性

    多くのプロジェクトは汎用チェーン(Ethereum、Polygon、Arbitrum、Optimism など)上で展開しますが、性能やカスタマイズ性の制限を受けます。Saga は「専用チェーンを簡単に作る」アプローチを取ることで、要求に即した最適化を可能にしようとしています。

  2. ガスレス体験

    ユーザーにとってガス代という摩擦をなくす/軽くする設計は UX 向上に直結する強みになり得ます。

  3. ゲーム・Web3 特化設計

    多くのチェーンが汎用用途を志向する中、Saga はゲーム/Web3 アプリ用途に最適化するアプローチを取っている点が差別化要因になります。

  4. 出版支援・エコシステム構築

    単なる技術提供ではなく、Saga Origins のような部門を通じて、開発者・クリエイターを支援する体制を持つ点。

  5. 相互接続性・メタバース層

    異なる技術スタックやチェーン同士の相互作用を可能にする設計(Realms 等)を掲げている点。

  6. 既存ツールとの互換性

    EVM 互換性を持たせているため、Solidity や既存の開発ツールが活かせる点。

リスク・課題

  • セキュリティと検証者モデル

    多数の専用チェーンを運用しても、全体としてのセキュリティが十分であることを担保する設計は非常に難しい。共有セキュリティや検証者構成が弱くなると攻撃リスクが出る。

  • 需要・採用(ネットワーク効果)

    十分な数のプロジェクトとユーザーを獲得できなければ、構想どおりの相互作用性やエコシステム効果が出にくい。

  • 競合チェーンとの差別化維持

    他のレイヤー1/レイヤー2 ソリューション(Ethereum、Polygon、Arbitrum、Optimism、Solana、Aptos、Sui など)や新興チェーンも性能向上を図っており、競争は激しい。

  • トークンモデル・収益構造

    プラットフォームが持続可能な経済モデルを構築できるかどうか。手数料・インセンティブ分配設計の難しさ。

  • インターオペラビリティ(他チェーンとの連携)

    異なるチェーン、異なる技術スタックとの安全・効率な橋渡し(ブリッジや相互運用性)は常にチャレンジ。

  • UX 向上・採用障壁

    既存の開発者が新しいチェーン構造や独自性を学習するハードル。ツール・ドキュメント・SDK の質とサポート体制が鍵。

  • 初期信頼性・運用安定性

    新しいネットワークでは初期の不具合、ノード問題、アップグレード問題などが起こりうる。

Hyperlane

プロジェクト概要

基本コンセプト

  • Hyperlane は、ブロックチェーン間で任意のデータ(メッセージ、コマンド、資産移動など)をやり取りできる 相互運用性(interoperability)プロトコル/フレームワークです。
  • 「パーミッションレス(permissionless)展開」を特長とし、任意のチェーン(レイヤー1、ロールアップ、アプリチェーン等)に対して、Hyperlaneインフラを追加するのに中央承認を必要としない設計になっています。
  • また、セキュリティに関しては「モジュール型」の設計を採用しており、アプリケーションやチェーンの要件に応じて異なる検証モデルを使えるようにする「Interchain Security Modules(ISM)」という仕組みがあります。
  • 資産転送(トークンブリッジ)もサポートしており、Hyperlane上では “Warp Routes(ハイパーレーン ワープ ルート)” と呼ばれるルートを通じて資産を異なるチェーン間で移動させる機能があります。
  • 2025年4月に、ネイティブトークン HYPER が発行・公開されました。これはステーキングやガバナンス、バリデータ報酬などに使われています。

ターゲットユーザー(主な利用者)

Hyperlane の主なターゲットは、ブロックチェーン/DApp 開発者およびブロックチェーンインフラ運営者です。具体的には:

  • マルチチェーン DApp を構築したい開発者

    例えば、ユーザーが複数チェーン(Ethereum、Optimism、Arbitrum、Solana 等)を跨いで操作できるような DeFi、ガバナンス、NFT、クロスチェーンアプリを作りたい人。

  • 独自チェーン/アプリチェーン/Rollup を運営するプロジェクト

    新しいチェーンを立ち上げた際に、既存ネットワークとの相互運用性を持たせたいプロジェクト。Hyperlane を導入すれば、他チェーンとの通信手段を自前で作らずとも済むようになります。

  • インフラ提供者/バリデータ/リレーヤー

    Hyperlane のセキュリティ層や通信経路を担うノード運営者。ステーキング、報酬を得たい主体。

  • プロトコルやトークン発行者

    既存トークンを複数チェーン展開したい、クロスチェーン流動性を確保したい発行体など。

ユーザー(最終利用者=ウォレット保有者、トレーダー等)も恩恵を受けますが、Hyperlane を直接操作するのは主に開発者側です。

どのような利益(メリット)があるのか?

Hyperlane を組み込む/利用することで期待できる主な利益を整理します。

(1) ユーザー体験・UX 向上

  • ユーザーが異なるチェーン間を気にせず、スムーズに資産移動・操作ができるようになる。
  • DApp の機能を「クロスチェーン」で拡張でき、ユーザーの利用可能チェーンが広がる。

(2) 流動性・アクセス拡大

  • トークン発行者やプロトコルは、1つのチェーンだけではなく複数チェーンに資産を展開でき、流動性分散やスケールを狙える。
  • 新しいチェーン/ユーザー層との接点を容易に持てる。

(3) 開発工数・運用コスト削減

  • 各チェーンの bridge/relayer/検証ロジックを個別に作らず、Hyperlane の汎用フレームワークを活用できる。
  • モジュール設計により、必要なセキュリティレベルを選べるため、過剰なコストを抑えつつ柔軟に展開できる。

(4) 自由度・拡張性

  • パーミッションレスな設計により、Hyperlaneの運営チームの許可を得ずに自チェーンへ展開できる。
  • モジュール設計の ISM により、多様な検証モデル(例:シンプルな署名ベース、多重署名、階層型検証等)を組み合わせ可能。

(5) プロトコル収益・トークン経済

  • ネイティブトークン HYPER によるステーキング報酬、バリデータ利得、手数料モデル(メッセージ送信料など)が存在。
  • プロトコル全体としてエコシステム拡張による価値増大を取り込む可能性。

競合優位性・強みと課題

Hyperlane は、他の相互運用性・クロスチェーンプロトコル(例:LayerZero、Chainlink CCIP、Wormhole など)と比較して、以下のような強みとリスクを持つとされます。

強み・優位性

  1. パーミッションレス展開 (Permissionless deployment)

    他のプロトコルでは、新しいチェーンをサポートするために運営チームの審査・承認が必要なことがあるが、Hyperlane は基本的にそれを不要としています。

  2. モジュール型セキュリティ (ISM: Interchain Security Modules)

    プロトコルやアプリの要件に応じて、セキュリティとコストのトレードオフを設計できる点。固定方式に縛られない柔軟性。

  3. 任意メッセージの送信 (General Message Passing)

    ただ資産転送だけでなく、任意のスマートコントラクト呼び出しや状態変更を跨いで行う設計をサポート。これにより、ガバナンス、マルチチェーンロジック、クロスチェーンデータ同期などを表現可能。

  4. 多チェーン/多VM 対応

    EVM だけでなく、Solana VM(SVM)、CosmWasm、Cosmos SDK など複数の仮想環境(VM)を跨いだ通信を目指す設計。

  5. 開発者体験 (DX) 重視

    CLI、SDK、ドキュメント、テンプレートが整備され、導入ハードルを抑えることが強みとされます。

リスク・課題・弱点

  • セキュリティの設計責任

    ISM を自由に選べる一方で、開発者側が誤った設定や脆弱な検証モデルを選んでしまうリスク。

  • 信頼性・検証コスト

    メッセージ検証における検証ロジック(チェーン間証明、light client、署名検証等)によるガスコストや遅延が発生しうる。

  • プロトコル競合およびエコシステム依存

    他プロトコル(LayerZero、CCIP など)との競争激化。多くの DApp や資産が既存インフラに縛られており、移行コストが高い。

  • トークン経済・収益モデルの実効性

    HYPER トークンのユースケース拡充、需要創出が鍵。トークンの価値維持にはプロトコル利用が十分に拡がらなければリスク。

  • クロスVM 間の難易度・相互運用性整合性

    異なる仮想環境 (EVM vs SVM vs CosmWasm) を跨ぐやり取りで発生する設計的複雑性。

Komlock lab

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