Home Assistantでスマートホーム作り
背景
自宅のスマートホーム化を進めたくなり知人に話を聞いたところ、彼はスイッチボットという製品を使っているとのこと。さっそくAmazonで必要なオプションをチェックしてみたところ、色々と揃えるべきアイテムが出てきて、気づけば総額が5万円を超えそう…。「これじゃちょっと高すぎるな」と思い、もう少しお手頃な価格でスマートホームを構築する方法を探してみることにした。
やりたいことと、出来ることのヒアリング結果
スマートホーム化に向けて、まずは解決したいことを整理してみました。知人がどんな方法でこれを実現しているのかも聞いてみました。
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部屋の明かりのコントロール
暗くなったら自動で電気をつけ、誰もいなくなったら消す。寝る時間になったら音声で電気を消したい。
=> スマートライトやセンサーを使って、部屋の明かりを自動で調整。SwitchBot ハブ2にリモコンと照度センサーが内蔵されている。 -
ドアのコントロール
家に帰ってきたら、ドアを自動で開けたい。ただし、ロックは手動にしたい。さらに、ドアには2つ鍵があり、両方をコントロールしたい。
=> スマートロック(SwitchBot ダブルロックセット)を使うことでドアロックの開閉を自動化。2つの鍵の連携もしている。 -
カーテンの開閉
明るくなったらカーテンを開け、寝る時間になったらカーテンを閉めたい。
=> スマートカーテン(SwitchBot カーテン3)を使って、日照に合わせてカーテンの開閉を自動化。 -
声で家電コントロール
テレビ、エアコン、明かり、カーテンを音声でコントロールしたい。
=> リモコンタイプとボタンタイプに対応。
=> リモコンはSwitchBot ハブ2
=> 壁スイッチと空気清浄機のボタンは指ロボット(ボット)を使っている。 -
家の外の情報
家を出る前に外の天気をチェックしたい。Alexaで天気を聞くと地域の予定を答えてくれるが、外の天気と違うことがあるので、外の様子を見たい。
=> ヒアリングしていない。
=> SwitchBot 屋外カメラが使えそう。 -
より便利な声でのやり取り
現在、Alexaは簡単なことしか答えてくれないので、もう少し多機能にして、もっといろんなことを頼みたい。また、子供の声にも反応してほしい。
=> ヒアリングしていない。
スイッチボットでまとめた場合の構成と費用感の検討
やりたいことを実現するためにスイッチボットでまとめた場合の構成を検討してみる。
※値段は2025/6/9時点のスイッチボットオフィシャルのカートで確認。
No. | やりたいこと | 条件 | SwitchBot |
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1 | 部屋の明かりのコントロール | 3部屋 | ハブ2 3個 = ¥29,940 |
2 | ドアのコントロール | 玄関のみ | ロック 2個 = ¥23,960 |
3 | カーテンの開閉 | 両開き2窓 | カーテン3 4個 = ¥33,960 |
4 | 声で家電のコントロール | 3部屋 | Alexa 3台+ ボット 3個 = ¥14,940 |
5 | 家の外の情報 | ベランダの外の様子 | 屋外カメラ 1台 = ¥11,980 |
6 | より便利な声でのやり取り | 子供の声対応、テレビのYouTube再生、子供の話し相手 | 候補なし |
スイッチボットでまとめた場合は、上記No.1の最小構成でも3万円ほどかかる+Alexaを各部屋に設置する必要があることがわかった。トータルでは十数万円程度かかる。No.1からNo.5までをさくっと実現したいならスイッチボットでも良い気がするが、No.6の対応が難しそうだったので一回手作りしてみてダメそうだったらスイッチボットを採用することにする。
Home Assistantでスマートホームを作ってみる
手元にあるPCやiPadなどの機材で動きそうなOSSを探したところ、Home Assistantというソフトが良さそうなのでトライしてみることにした。
Home Assistantの概要
Home Assistant(HA)は以下の特徴を持つソフトウェア。AppleWatchやNFCによるタッチで音楽再生など、おもしろそうな機能に色々と対応している。
- 1000以上のデバイスに対応。(Home Assistant integrates)
- パワフルな自動化機能。(Home Assistant’s advanced automation engine)
- カスタマイズ可能なダッシュボードを提供
- ボイスアシストに対応
- Add-ons機能でNodeRed等サードパーティのソフトウェアを導入可能。
- クラウドが不要で全てがローカル環境で動く。
- モバイルアプリを提供。Apple Watchにも対応。
- 自宅の電力管理が可能。
- TVなどにダッシュボードを表示可能。(Home Assistant Cast)
- NFCタグに対応。タッチすると音楽再生などが出来る。
インストール環境
インストールページを見ると、PCやラズパイ上で直接動かすHome Assistant Operating System(HAOS)とDockerなどのコンテナで動かすHome Assistant Container環境が提供されている。
コンテナはAdd-Ons機能が使えない制約があるので、今回はHAOSをMini PCにインストールすることとする。また、HAOSを直接Mini PCにインストールしてしまうとHAOSがPCを専有してしまうので、HAOSに対応している仮想プラットフォームProxmox上にHAOSをインストールすることにする。
Home Assistantのセットアップ
Home AssistantをMini PCにインストールした仮想化プラットフォーム「Proxmox」上で動かす手順。
機材
使用した機材のメモ
ZBOX-CI323NANO(CPU:N3150 1.6GHz x4, RAM:8GB, SSD:256GB)
Proxmoxのセットアップ
Proxmox Virtual EnvironmentのダウンロードページからISOイメージを落としてUSBメモリに書き込む。
- イメージの書き込み
UbuntuPCでISOファイルを右クリックー>Open With...ー>Disk Image Writerでイメージライターを起動してUSBメモリを選択。書き込む。 - Mini PCにProxmoxをインストール
USBメモリをMini PCに挿してUSBメモリからブート。GUIでのセットアップを選択してインストール。
2025/6/8時点ではVirtual Environment 8.4.1がインストールされた。
ダッシュボードへのアクセス
WebブラウザでProxmoxサーバのIPのポート8086にhttpsでアクセスする。
IPはインストールしたMiniPCのログイン画面にも表示されている。
例:https://192.168.0.10:8006
ID:root, Paswordはセットアップ時に入力したものでログインする。
無償版のリポジトリへの変更とアップデート
デフォルトではサブスクライセンスがないとのメッセージが出るので、無償版に切り替えをする。併せてセキュリティ対策のため最新のモジュールにアップデートを行う。
ProxmoxにHome Assistantをインストールする
Proxmox向けのセットアップスクリプトが公開されているので、下記サイトにアクセスする。
Webダッシュボードを開き、ノード→シェルを開きスクリプトを貼り付けて実行する。
インストール画面が表示されたらOKを選択。
Using Default Settings
Using HAOS Version: 15.2
Using Virtual Machine ID: 101
Using Machine Type: i440fx
Using Disk Cache: Write Through
Using Hostname: haos15.2
Using CPU Model: Host
Allocated Cores: 2
Allocated RAM: 4096
Using Bridge: vmbr0
Using MAC Address: XX:XX:XX:XX:XX:XX
Using VLAN: Default
Using Interface MTU Size: Default
Start VM when completed: yes
Creating a HAOS VM using the above default settings
✓ Using local-lvm for Storage Location.
✓ Virtual Machine ID is 101.
✓ https://os-artifacts.home-assistant.io/15.2/haos_ova-15.2.qcow2.xz
インストールが完了したら、Webダッシュボード上に追加されたHome AssistantのVMのコンソールを開いてHome Assistant URLを確認する。
WebブラウザでURLを開くと下記のセットアップ中の画面が表示される。
セットアップが完了してログインすると、ダッシュボードが表示される。現在地を自宅付近にするとその場所の天気が表示される。
HAOSのインストールはうまく行ったので、ダッシュボードの機能を触りながら、やりたいことを実現するフェーズに移行する。
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