クラウドデータ基盤サービスの比較(BigQuery vs Snowflake vs Redshift)
みなさんこんにちは。株式会社INVOXの佐藤です。
本記事では、主要なクラウドデータ基盤サービスであるGoogle BigQuery、Snowflake、およびAmazon Redshiftについてそれぞれの概要を説明し、独自の特徴・強みの観点から比較を行っています。
弊社ではデータ基盤を構築する際に必要な技術選定から、基盤の実装・保守・運用、データ活用まで幅広く支援を行なっていますので、気になる方はページ下部のリンクから気軽にお問い合わせください。
はじめに
データを用いてビジネスの意思決定を行うことが当たり前になっている現代では、データ基盤はますます重要になっています。
データ基盤は、データの格納・処理・分析を容易にすることでデータ活用を円滑に行えるようにし、ビジネスの成長をサポートしています。
Google BigQuery、Snowflake、Amazon Redshiftはクラウド上でデータ基盤を構築する上で代表的なサービスであり、それぞれ異なる特徴があるため、自身の状況に合わせて適切なサービスを利用することが重要です。
BigQuery
Google BigQueryは、Googleが提供するフルマネージド型のデータウェアハウスサービスで、ビッグデータの格納と分析をリアルタイムで行うことができる高性能なサービスとして広く利用されています。
以下の表では、BigQueryの主な特徴について、それぞれのメリット、デメリットをまとめています。
特徴 | メリット・デメリット |
---|---|
【高速な処理】 非常に大量のデータを高速に処理できる |
・ビッグデータ分析やリアルタイム分析が可能である ・大量のデータを処理する場合には、コストがかかることがある |
【スケーラビリティ】 自動的にリソースがスケールアップ/ダウンされる |
・データ量やクエリの負荷に応じて柔軟に対応できる ・費用が予測しにくい場合がある |
【フルマネージド型】 インフラの運用管理がGoogleによって行われる |
・運用負荷が軽減され、分析に集中できる ・インフラの細かい設定ができない場合がある |
【インテグレーション】 GCPの他のサービスとの連携が容易 |
・データ連携や分析パイプラインの構築が容易 ・GCP以外のクラウドサービスとの連携が困難な場合がある |
【コスト】 ストレージとクエリ実行に応じた従量課金制 |
・使用した分だけ課金されるため、初期投資が少なくて済む ・使用量が増えると費用が高くなる場合がある |
Snowflake
Snowflakeは、クラウドネイティブのデータウェアハウスサービスで、独自のアーキテクチャを採用しており、ストレージとコンピューティングを完全に分離し、独立してスケールさせることができます。
以下の表では、Snowflakeの主な特徴について、それぞれのメリット、デメリットをまとめています。
特徴 | メリット・デメリット |
---|---|
【データ共有機能】 リアルタイムでデータを他のSnowflakeアカウントと共有できる |
・社内外でのデータ連携が容易になり、幅広いコラボレーションが可能 ・データ共有に関するセキュリティ管理が重要 |
【ストレージとコンピューティングの分離】 ストレージとコンピューティングリソースを独立してスケールできる |
・必要なリソースに応じて柔軟にスケール可能 ・設定が複雑になる場合がある |
【セキュリティとデータ保護】 高度なセキュリティとデータ保護機能を提供 |
・データの安全性が向上し、法規制への対応が容易になる ・セキュリティ設定が複雑になる場合がある |
【マルチクラウド・クロスクラウド対応】 複数のクラウドプロバイダー(AWS、GCP、Azure)で利用可能 |
・クラウドプロバイダーに依存しない選択ができる ・クラウド間でのデータ転送費用がかかる場合がある |
【コスト】 ストレージとコンピューティングに応じた従量課金制 |
・余分なリソースを削減し、コスト効率が向上する ・積極的なスケールアップ/ダウンの管理が必要 |
Redshift
Amazon Redshiftは、Amazon Web Services(AWS)が提供するマネージド型のデータウェアハウスサービスであり、大量のデータを高速に処理し、分析することができる列指向データベースを提供しています。
また、RedshiftはAWS内の他のサービスと簡単に統合でき、データパイプラインやアプリケーションの構築が容易になります。
以下の表では、Redshiftの主な特徴について、それぞれのメリット、デメリットをまとめています。
特徴 | メリット・デメリット |
---|---|
【列指向データベース】 データが列単位で保存され、高速なデータ処理が可能 |
・分析クエリのパフォーマンスが向上 ・書き込み処理が遅くなる可能性がある |
【クラスタ管理】 クラスタの設定や拡張を自動化することができる |
・運用負荷が軽減され、分析に集中できる ・クラスタ管理に関する知識が必要 |
【データ圧縮機能】 データ圧縮機能を用いてストレージ効率を向上させる |
・ストレージコストの削減とクエリパフォーマンスの向上 ・圧縮アルゴリズムの選択や調整が必要な場合がある |
【インテグレーション】 AWSの他のサービスとの連携が容易 |
・データ連携や分析パイプラインの構築が容易 ・AWS以外のクラウドサービスとの連携が困難な場合がある |
【コスト】 ノード数と使用期間に応じた課金制 |
・小規模から大規模なデータウェアハウスに対応できる ・ノード数や使用期間の調整が必要で、費用予測が難しい場合がある |
各サービスの比較
ここでは、BigQuery、Snowflake、およびRedshiftの各データウェアハウスサービスを比較し、それぞれの特徴と適切な使用シーンについて検討します。
① パフォーマンス
BigQuery、Snowflake、およびRedshiftはすべて高いクエリパフォーマンスを保ちますが、それぞれのアーキテクチャには違いがあります。
BigQueryはサーバーレスアーキテクチャであるため、リソースの管理が不要で、スケーラビリティが高いです。Snowflakeは独自のコンピューティングとストレージを分離するアーキテクチャを採用しており、柔軟なスケーリングが可能です。Redshiftは列指向データベースを使用し、データ圧縮によりクエリパフォーマンスを向上させています。
② 管理と運用
BigQueryはサーバーレスアーキテクチャを採用しており、インフラの管理が不要です。これにより、データ分析に集中することができます。Snowflakeもクラウドネイティブなデータウェアハウスとして、インフラの管理が最小限に抑えられます。ただし、仮想ウェアハウスのサイズや使用時間の調整が必要です。Redshiftでは、クラスタ管理を自動化することができますが、クラスタの設定や拡張に関する知識が必要です。
③ インテグレーション
BigQueryはGoogle Cloud Platform(GCP)との統合が容易で、GCP内の他のサービスとシームレスに連携できます。Snowflakeはさまざまなクラウドプロバイダー(AWS、Azure、GCP)に対応し、クロスプラットフォームのデータ連携が可能です。RedshiftはAWS内のサービスとの連携が容易で、データパイプラインやアプリケーションの構築が簡単にできます。
④ コスト
BigQueryは従量課金制(定額を選択することも可能)で、ストレージとクエリの実行量に応じて課金されます。一方、Snowflakeは仮想ウェアハウスのサイズと使用時間に応じて課金され、ストレージは別途課金されます。Redshiftでは、ノード数と使用期間に応じて課金されます。それぞれのサービスには料金体系が異なるため、自社の状況に応じてコストを検討することが重要です。
⑤ セキュリティ
BigQuery、Snowflake、およびRedshiftは、データ暗号化、アクセス制御、監査ログなどのセキュリティ機能を提供しています。それぞれのサービスは異なるセキュリティ機能や認証オプションを提供しているため、自社のニーズに適したセキュリティ要件を満たしているサービスを選択することが重要です。
どのような状況でどのサービスが適切か
ここでは、BigQuery、Snowflake、およびRedshiftの各データウェアハウスサービスがどのような状況で適切かについて検討します。それぞれのサービスには独自の特徴があり、適切な状況に応じて最適なサービスを選択することが重要です。
BigQueryが適切な状況
- Google Cloud Platform(GCP)を利用している企業や、GCPとのシームレスなインテグレーションが求められる場合
- リアルタイム分析や大規模データの処理が必要な場合
- サーバーレスアーキテクチャによるインフラ管理の負担を軽減したい場合
Snowflakeが適切な状況
- マルチクラウド環境でのデータウェアハウス構築が求められる場合
- 独立したストレージとコンピューティングのスケーラビリティが必要な場合
- 無駄のないコスト管理が求められる場合
Redshiftが適切な状況
- AWSを利用している企業や、AWS内のサービスとの連携が容易なデータウェアハウスが求められる場合
- 従来型のデータウェアハウスからの移行を検討している場合(Redshiftは従来型のデータウェアハウスと類似したアーキテクチャを持ち、移行が容易です)
- データ圧縮や列指向データベースによるクエリパフォーマンスの向上が求められる場合
まとめ
この記事では、BigQuery、Snowflake、およびRedshiftのデータウェアハウスサービスについて、それぞれの特徴や利点、欠点、適切な使用シーンについて解説しました。それぞれのサービスには独自の特徴があり、最適なサービスを選択することが重要です。
BigQueryは、リアルタイム分析や大規模データの処理に適しており、GCPとのシームレスなインテグレーションが魅力です。Snowflakeはマルチクラウド環境でのデータウェアハウス構築や、無駄のないコスト管理に優れています。RedshiftはAWSを利用している企業や、従来型のデータウェアハウスからの移行を検討している企業に適しています。
自社のビジネスシーンや要件に合わせて、最適なデータウェアハウスサービスを選択してください。それにより、データ分析やBIツールの活用が効果的になり、ビジネスの成長や競争力向上につながります。
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