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「AWS vs Azure、どちらが本当に安いのか?」クラウド選定に悩む皆さまへ

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クラウド環境の選定において、「AWSとAzure、結局どちらの方がコストを抑えられるのか?」と悩まれたことはありませんか?
「AWSの方が安いと聞く」「Azureは企業向けの割引が充実しているらしい」など、さまざまな情報が飛び交っています。しかし、クラウドの料金体系は一概に「安い・高い」で判断できるものではありません。

例えば、以下のような疑問をお持ちではないでしょうか。

  • Linux環境を利用するならAWSの方が有利?
  • Windows Serverを運用するならAzureが適している?
  • Dockerでコンテナを管理する場合、どちらが低コスト?
  • macOS環境をクラウド上で動かすには?
  • ネットワーク転送料金はどちらが安い?

クラウドの料金は、サービスごとに大きく異なり、用途に応じて最適な選択肢が変わります。
また、AWSやAzureの料金体系は頻繁にアップデートされるため、古い情報を基に判断すると、想定外のコストが発生する可能性もあります。

本記事では、AWSとAzureの最新の料金データをもとに、エンジニアの皆さまが知りたい情報を徹底比較いたします。
仮想マシン・ストレージ・ネットワーク・データベースといった主要なサービスだけでなく、macOS環境やDockerを活用する場合のクラウド選定のポイントについても詳しく解説いたします。

クラウド選定に迷われているエンジニアの皆さまへ──
この記事を最後までお読みいただくことで、AWSとAzureの料金構造を正しく理解し、プロジェクトに最適なクラウド環境を選択できるようになるはずです。それでは、詳しく見ていきましょう。


1. AWSとAzureの料金体系の基本

料金の決定要因

  • リージョン:同じサービスでも、東京リージョンや東日本リージョンなど、地域によって料金が異なります。
  • 使用量とリソースの種類:CPU、メモリ、ストレージの種類・容量など、必要なリソースに応じて料金が変動。
  • 契約形態:オンデマンド料金、予約インスタンス、スポットインスタンス(AWSの場合)など、契約形態により割引が適用されるケースが多い。

料金比較のポイント

  • 仮想マシン(VM):Linux環境ならAWS、Windows環境ならAzureが有利になる場合が多い。たとえば、東京リージョンでの一般的なインスタンスでは、AWSのEC2(m5.large:2 vCPU、8 GiB RAM)が約$0.124/時間、AzureのD2 v3(同等のスペック)が約$0.112/時間となるケースも。

  • ストレージ:AWSのEBSとAzureのマネージドディスクの料金は概ね同水準ですが、用途に応じたオプション(パフォーマンスや冗長性)を確認する必要があります。

  • ネットワーク転送料:Azureは、インターネットへのデータ転送料金が若干安価。AWSはリージョン内通信が無料である点も考慮。

  • データベース:AWS RDSは多様なエンジンに対応し、AzureはMicrosoft製品との連携が強み。具体的な料金はインスタンスタイプやエンジンに依存します。


2. 最新料金情報と技術的詳細

仮想マシン(VM)の料金

  • AWS EC2(例:m5.large)

    • スペック:2 vCPU、8 GiB RAM
    • 料金例:東京リージョンでオンデマンドの場合、約$0.124/時間
    • ポイント:リザーブドインスタンスやスポットインスタンスを活用することで大幅な割引が可能。
  • Azure Virtual Machines(例:D2 v3)

    • スペック:2 vCPU、8 GiB RAM
    • 料金例:東日本リージョンでオンデマンドの場合、約$0.112/時間
    • ポイント:Windows Serverのライセンスが含まれる料金プランや、Azure Hybrid Benefitの活用が可能。

ストレージとネットワーク

  • ストレージ

    • AWSのEBS(Elastic Block Store)とAzureのマネージドディスクは、基本的な料金設定(おおよそ1GBあたり月額$0.10前後)で競合しています。
    • ただし、各プラットフォームはオプションでパフォーマンス向上や冗長性のための追加料金が発生する場合があるため、要件に合わせた選択が重要です。
  • ネットワーク転送料

    • AWS:例として、東京リージョンからインターネットへは1GBあたり約$0.09
    • Azure:東日本リージョンでは、1GBあたり約$0.08
    • 注意点:大量のデータ転送が必要な場合は、Azureがコスト面で有利となるケースもあります。

データベース

  • AWS RDS
    • 例:db.t3.micro(MySQL)を東京リージョンで利用した場合、約$0.017/時間
  • Azure SQL Database
    • サーバーレスプランの場合、料金は$0.07/時間程度
  • ポイント:利用するエンジンやサービス層により大きく変動するため、具体的なユースケースに基づいた検証が必要です。

3. macOS環境でのクラウド利用

macOS環境でのクラウド利用は、iOSやmacOSアプリの開発者にとって重要なニーズです。ここで注目すべきは、AWSのEC2 Macインスタンスです。

AWS EC2 Macインスタンスの特徴

  • サービス概要:Appleのハードウェアを使用し、ネイティブなmacOS環境を提供。iOSアプリのビルドやテストに最適。
  • インスタンスタイプ:
    • mac1.metal:Intel Core i7ベース(6コア、12スレッド)、32 GiBメモリ
    • mac2.metal:Apple M1チップベース(8 CPUコア、8 GPUコア)、16 GiBメモリ
  • 料金体系:
    • 例:東京リージョンでのmac1.metalは、約$1.083/時間(最低利用は24時間での請求)
  • 注意点:最低24時間の利用が必須なため、短時間の利用ではコスト効率が低下する可能性がある。

Azureとの比較

現時点で、AzureはmacOSの仮想マシンを公式に提供していないため、macOS環境を必要とする場合はAWSが唯一の選択肢となります。


4. Dockerを活用する場合のクラウド選定

Dockerコンテナを活用することで、アプリケーションのデプロイやスケーリングが容易になります。ここでは、AWSとAzureそれぞれのDocker関連サービスとその料金体系、技術的なポイントを比較します。

AWSでのDocker利用

  1. Amazon Elastic Container Service (ECS) on EC2

    • 概要:EC2上でDockerコンテナをオーケストレーションするサービス。
    • 料金:使用するEC2インスタンスのタイプと数に依存。たとえば、t3.medium(2 vCPU、4 GiB)の東京リージョンでのオンデマンド料金は約$0.0416/時間。
    • 最適化ポイント:
      • スポットインスタンス:未使用リソースを活用し、最大90%のコスト削減が可能。
      • リザーブドインスタンス:長期契約で大幅な割引。
  2. AWS Fargate

    • 概要:サーバーレスでコンテナ実行が可能なサービス。インフラ管理の手間が少なく、vCPUとメモリの使用量に応じた料金体系。
    • 料金例:
      • vCPU:約$0.04048/時間
      • メモリ:約$0.004445/GB・時間

AzureでのDocker利用

  1. Azure Container Instances (ACI)

    • 概要:コンテナを直接実行できるサービスで、迅速なデプロイが可能。
    • 料金例:
      • vCPU:1秒あたり約$0.0000125
      • メモリ:1秒あたり約$0.00000125
    • ポイント:短期間のタスクや開発環境に最適。
  2. Azure Kubernetes Service (AKS)

    • 概要:マネージドKubernetesサービス。マスターは無料、ワーカー用のVM料金が発生。
    • 料金例:例として、Standard_D2_v3(2 vCPU、8 GiB)の場合、約$0.096/時間。
    • ポイント:大規模なコンテナオーケストレーションを行う際に有効。

Docker利用における共通の最適化戦略

  • リソースの最適割り当て:必要最小限のvCPUとメモリを見極め、無駄なコストを抑制。
  • オンデマンドと予約の使い分け:短期間のタスクならオンデマンド、長期運用なら予約やスポットの活用が効果的。
  • 自動スケーリング:負荷に応じた自動スケーリングで、過剰なリソースを削減。

5. 用途に合わせた最適なクラウド選定のポイント

今回のやり取りを通じて、エンジニアが検討すべき主要なポイントは以下の通りです。

  • 料金比較はサービス単位で行う
    仮想マシン、ストレージ、ネットワーク、データベースと、用途ごとに料金が大きく異なるため、具体的なユースケースに合わせた見積もりが必須です。

  • macOS環境はAWSが唯一の選択肢
    Apple製ハードウェアを利用したEC2 Macインスタンスは、iOSやmacOSアプリの開発に必要なネイティブ環境を提供します。

  • Docker活用では各プラットフォームの特性を理解する
    AWSはECSやFargateを通じた柔軟なオーケストレーションが可能であり、AzureはACIやAKSによる迅速なコンテナ運用と大規模クラスターの管理が強みです。

最終的に、どちらのクラウドを選ぶかは、あなたのプロジェクトの要件、運用方針、そして長期的なコスト最適化戦略に依存します。公式の料金計算ツール(AWS Pricing CalculatorやAzure Pricing Calculator)を活用して、具体的な見積もりを算出し、最適な選択をすることが成功への鍵です。

クラウド選定の鍵は、用途に応じた最適な選択

AWSとAzureの料金比較を通じて、「単に安い方を選べばよい」というわけではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか?

クラウドのコストは、仮想マシン・ストレージ・ネットワーク・データベース・コンテナ運用など、利用するサービスや設計次第で大きく変わります。LinuxならAWS、WindowsならAzure、Dockerを使うなら環境次第、macOSはAWS一択といったように、用途に応じた選択が求められます。

しかし、クラウドの世界は日々進化しており、料金体系も頻繁に更新されます。そのため、最新の情報をキャッチアップし、常に最適な構成を見直すことが重要です。

本記事が、エンジニアの皆さまがクラウド選定を行う際の一助となれば幸いです。


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