AI開発に適した言語とは?Python以外の最強言語もご紹介!
AI開発というと、まず思い浮かぶのはPythonですよね。でも実は、Python以外にも優秀な選択肢があるんです。
今回は、AI開発に適した言語の特徴から、Python以外の最強言語まで、実践的な視点でご紹介していきます。
また、本記事に辿り着いた方は個人でAI開発へ着手することに興味をお持ちかもしれません。そういった方へ向けたAIエンジニアに必要なものについて解説した記事がありますので、よろしければそちらも参考にしてください。
参考: AI開発の勉強は独学でもできる!初心者がAIエンジニアに必要な知識や必要勉強時間の解説 - Leograph株式会社
AI開発の基本
プログラミング言語により特徴の違いはあれど、コミュニティ・技術の進化によりある程度の要件であればどの言語でも似たようなプログラムやアプリを開発することが可能となった現代です。
しかし、AI開発にとってみれば言語の性能に依存することが多いのです。
本節ではそんなAI開発の基本について触れておこうかと思います。
データを整理整頓すること
AI開発の第一歩は、データの整理整頓から始まります。散らかった部屋で探し物をするのが大変なように、整理されていないデータからは良いAIモデルは生まれません。
具体的には、以下のような作業が必要になります:
- データクレンジング:欠損値や異常値を処理して、データをきれいにする
- データ正規化:異なる尺度のデータを統一的に扱えるようにする
- 特徴量エンジニアリング:AIが学習しやすい形にデータを変換する
例えば、顧客データを扱う場合、年齢が「30歳」「三十歳」「30」とバラバラに記録されていたら、これを統一する必要があります。地味な作業ですが、ここが甘いと後々苦労することになるんですよね。
情報分析をすること
データが整理できたら、次は分析です。ただデータを眺めているだけでは、何も見えてきません。統計的な手法やビジュアライゼーションを使って、データの中に隠れているパターンを見つけ出す必要があります。
分析で重要なポイントは3つあります:
- 探索的データ分析(EDA):データの分布や相関関係を可視化して理解する
- 仮説検証:「こうなっているはず」という仮説を立てて、データで検証する
- パターン発見:人間では気づきにくい複雑なパターンを見つける
たとえば、売上データを分析する際、単純に月別の推移を見るだけでなく、曜日や天気、イベントとの相関も調べることで、より深い洞察が得られます。
CPU・GPU効率を高めること
AI開発では、膨大な計算を行うため、計算資源の効率的な活用が欠かせません。特に深層学習では、GPUの活用が成功の鍵を握っています。
効率を高めるためのアプローチ:
- 並列処理の活用:複数のCPUコアやGPUを同時に使って計算を高速化
- バッチ処理の最適化:データをまとめて処理することで、メモリアクセスを効率化
- メモリ管理:不要なデータを適切に解放し、メモリ不足を防ぐ
実際のところ、同じモデルでも実装方法によって学習時間が10倍以上違うことも珍しくありません。効率的なコードを書けるかどうかで、開発スピードが大きく変わってくるんです。
AI開発と相性の良い言語の特徴
さて、AI開発に適した言語って、どんな特徴があるのでしょうか?ここでは、実践的な観点から3つの重要な特徴を見ていきましょう。
分析系ライブラリの充実度
AI開発では、ゼロから全てを作ることはほとんどありません。既存のライブラリを組み合わせて開発するのが一般的です。そのため、質の高いライブラリが豊富にあることが重要になります。
優れたライブラリエコシステムの条件:
項目 | 重要度 | 理由 |
---|---|---|
機械学習フレームワーク | ★★★ | TensorFlow、PyTorchなどの主要フレームワークのサポート |
データ処理ツール | ★★★ | データの前処理や変換を効率的に行えるツール群 |
可視化ライブラリ | ★★☆ | 結果を直感的に理解できるグラフ作成機能 |
統計解析ツール | ★★☆ | 統計的な検証や分析を行うための機能 |
処理の速さ
AI開発では、大量のデータを扱うため、処理速度は死活問題です。学習に1週間かかるモデルと1日で終わるモデルでは、開発効率が全く違いますからね。
処理速度に影響する要因:
- 言語の実行速度:コンパイル言語 vs インタプリタ言語
- 数値計算の最適化:ベクトル演算や行列計算の効率性
- 並列処理のサポート:マルチスレッド・マルチプロセスの扱いやすさ
ただし、単純に「速い言語が良い」というわけでもありません。開発効率とのバランスも重要です。
最速の言語で開発に3ヶ月かかるより、少し遅くても1週間で実装できる方が、トータルでは効率的なことも多いんです。
各種インターフェースとの互換性の高さ
AI開発は単独で完結することは少なく、様々なシステムと連携する必要があります。データベース、Web API、クラウドサービスなど、多様なインターフェースとスムーズに接続できることが求められます。
重要な互換性のポイント:
- データベース接続:PostgreSQL、MySQL、MongoDBなど主要DBへの対応
- API開発:RESTful APIやGraphQLの実装しやすさ
- クラウドサービス:AWS、GCP、Azureなどとの統合
- データフォーマット:JSON、CSV、Parquetなど様々な形式への対応
互換性が高い言語を選ぶことで、既存システムとの統合がスムーズになり、実用的なAIシステムを構築しやすくなります。
PythonがAI開発に適している理由
やっぱり、Pythonは強い。AI開発のゴールドスタンダードになったのには、ちゃんとした理由があります。
- 圧倒的なライブラリエコシステム
Pythonの最大の強みは、AI・機械学習関連のライブラリが圧倒的に充実していることです。NumPy、Pandas、Scikit-learn、TensorFlow、PyTorch...挙げればキリがありません。これらのライブラリは、世界中の研究者や開発者によって日々改良されています。
- 学習コストの低さ
Pythonは文法がシンプルで読みやすく、プログラミング初心者でも比較的習得しやすい言語です。AI開発では、エンジニアだけでなくデータサイエンティストや研究者も関わることが多いので、この敷居の低さは大きなメリットになります。
- Jupyter Notebookとの相性
対話的にコードを実行できるJupyter Notebookは、データ分析やモデル開発において非常に便利なツールです。Pythonはこの環境と完璧に統合されており、試行錯誤しながら開発を進めやすいんです。
ただし、Pythonにも弱点はあります。実行速度が遅いことや、型安全性が低いことなどです。でも、多くの場合、これらのデメリットを上回るメリットがあるから、みんなPythonを使っているんですよね。
参考: 画像認識AIにPython言語が最適な理由とは?必要な機械学習ライブラリもご紹介 - Leograph株式会社
Python以外のAI開発最強言語3選!
Pythonが強いのは分かったけど、他の選択肢も知っておきたいですよね。
ここでは、特定の用途では Pythonを超える実力を持つ3つの言語をご紹介します。
C++
パフォーマンスを極限まで追求するならC++一択です。
C++の強み:
- 圧倒的な実行速度:コンパイル言語の中でもトップクラスの速度
- メモリ管理の自由度:細かいメモリ制御により、効率的なプログラムが書ける
- 低レベルな最適化:ハードウェアに近いレベルでの最適化が可能
実際、TensorFlowやPyTorchの内部実装の多くはC++で書かれています。Pythonはあくまでインターフェースで、重い処理はC++が担当しているんです。
C++が活躍する場面:
- エッジデバイスでのAI推論(スマートフォン、IoT機器など)
- リアルタイム処理が必要なシステム(自動運転、ロボティクスなど)
- 大規模な本番環境での推論サーバー
ただし、C++は学習コストが高く、開発効率はPythonに劣ります。「速度が命」という場面で選ぶべき言語ですね。
Java
エンタープライズ環境での堅牢なAIシステムならJavaが強い!
Javaの強み:
- 型安全性:コンパイル時にエラーを検出できるため、大規模開発に向いている
- JVMエコシステム:豊富なツールとライブラリ、成熟した開発環境
- スケーラビリティ:大規模分散システムの構築実績が豊富
ツール名 | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
Deeplearning4j | 深層学習フレームワーク | JVM上でネイティブ動作、Sparkとの統合 |
Weka | 機械学習ツールキット | GUI付きで初心者にも使いやすい |
Apache Spark MLlib | 分散機械学習 | ビッグデータ処理との親和性が高い |
Javaは特に、既存のJavaシステムにAI機能を組み込む場合や、銀行・保険などの堅牢性が求められる業界で選ばれることが多いです。
また、Javaについてより詳しくAI開発の際の優位点や、JavaがAI開発に使われている事例について解説した記事がございますので、そちらも合わせてご覧ください。
参考: Python以外にJavaでもAI開発できる?機械学習向けライブラリも紹介 - Leograph株式会社
TypeScript
WebブラウザでAIを動かすならTypeScriptがベスト!
TypeScriptの強み:
- ブラウザでの実行:インストール不要でAIアプリを提供できる
- 型安全なJavaScript:JavaScriptの柔軟性と型安全性を両立
- モダンなWeb技術との統合:React、Vue.jsなどと組み合わせやすい
TypeScriptでAI開発ができるライブラリ:
- TensorFlow.js:TensorFlowのJavaScript版、ブラウザやNode.jsで動作
- Brain.js:シンプルなニューラルネットワークライブラリ
- ML5.js:クリエイティブコーディング向けの機械学習ライブラリ
最近では、ブラウザ上で動くAIアプリケーションが増えています。画像認識、音声認識、自然言語処理など、かなり高度な処理もブラウザだけで実行できるようになってきました。プライバシーを重視するアプリケーションでは、データをサーバーに送らずにクライアント側で処理できるのは大きなメリットです。
まとめ
AI開発に適した言語選びは、プロジェクトの成功を左右する重要な決定です。プロジェクトの要件、チームのスキル、既存システムとの兼ね合いなど、様々な要因を考慮して選ぶ必要があります。
ただ、迷ったらまずはPythonから始めるのがおすすめです。豊富な学習リソースとライブラリがあるので、AI開発の基礎を学ぶには最適です。その後、必要に応じて他の言語も習得していけばいいんです。
AI開発は日々進化している分野です。新しいツールや手法が次々と登場するので、常に学び続ける姿勢が大切ですね。どの言語を選んでも、楽しみながら開発を続けていきましょう!
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