スクラムマスターのファシリテーション
はじめに
スクラムマスターの重要な役割の一つとしてスクラムイベントのファシリテーターが真っ先に挙げられると思います。ファシリテーションの概要と、私のチームで実際に行っているプランニングとレトロスペクティブの流れを紹介したいと思います!
ファシリテーションとは
議論の進行をスムーズに行うために、その枠組みや流れを定義することです。
ファシリテーターの2つの目標
- 参加者同士の人間関係を良好に保つこと
- 会議の進行や枠組みに責任を持つこと
1.1 会議の根回しを行う
スクラム開発が慣れていないチームでは、会議の事前準備が特に重要です。会議前にアジェンダを共有し、タイムキーパーや技術的な質問担当者を事前に決めておくと良いでしょう。
特に発言力のあるメンバーがいる場合は会議の内容が思ってもいない方向へ進みファシリテーターが制御不能に陥る失敗をしてしまいます。技術的な部分は◯◯さんに聞きますねと事前に話しておくと良いです。
1.2 会議中の傾聴
会議中は、参加者の人間関係を配慮し、全員が心地よく発言できるようにすることが大切です。発言の少ないメンバーにも積極的に話を振り、全員が議論に参加できる環境を作りましょう。
2.1 会議の枠組みを準備
ファシリテーターは、以下の準備を通じて会議の枠組みを整えます。
- 会議の目的を明確にする
- アジェンダの事前共有
- タイムボックスを設定する
- タイムキーパーを依頼する
- オンライン会議の場合は、Teamsなどのツールを準備する
- 会議室では、モニターやホワイトボードを用意する
- 必要に応じてお菓子を用意する
- 場合によっては音楽を流す(Figjamには音楽機能があるので、それを利用するのも良いでしょう)
2.2 会議中の進行を行う
安心安全の場作り
どんな意見でも、気軽に、自由に、出してもらえると嬉しいです
議論を発散する
Aさんはどうですか?
他のみなさんもどんどん話していきましょう
もう少し具体的に話していただけますか?
Aさんの意見についてBさんはどう思いますか?
Aさんの意見に関係する意見はありますか?
他に共有事項ある方いらっしゃいますか?
議論を整理する
ある程度の案が出たので、一度整理してみましょう
似ている付箋をまとめましょう
議論を合意する
これまでの意見を整理すると3つぐらいに分かれると思いますが、どうでしょうか?
これからは、結論に向けて、この3つを整理していきませんか?
今日の課題の結論は〇〇ということでよろしいでしょうか?
実際にやっているスクラムイベントでの例
プランニング
事前準備
必要に応じて以下の準備を行います。
- 会議室の予約
- teamsの準備
- スピーカー、テレビの準備
- ホワイトボードの準備
- プランニングのアジェンダを事前共有
アジャイル開発は経験を大事にする開発なので、プロダクトオーナーや開発メンバーの経験に沿って自分一人で0から開発するために何をするか?という観点とイテレーティブに開発するにはどうすれば良いか?という観点でタスクを洗い出します。
アジェンダの例
- 全体の把握(5分)
- プロダクトバックログの作成(15分)
- メンバー全員でチケットに「目的・やること・受け入れ条件」を記載していきます。
- プランニングポーカーでタスクにストーリーポイントを振る(7分)
- ストーリーポイントに大幅な乖離があればお互いになんでそう思ったかを説明してもらいます。 - スプリントバックログの作成(10分)
- チームの平均的なベロシティや次スプリントの日数・メンバーの休暇などを考慮してやるタスクを積みます。
- スプリントゴールの決定(5分)
- 決めたタスクからどんなことをスプリントレビューで発表できるか決めてゴールとします。
レトロスペクティブ
事前準備
レトロスペクティブの目的は、次のスプリントに向けた改善を行うことです。私のチームではKPT形式(Keep, Problem, Try)を使用しています。
アジェンダの例
- 一週間の振り返り(3分)
- Keepのブレスト(5分)
- Keepを眺める(10分)
- Problemのブレスト(7分)
- Problemを眺める(10分)
- Tryの検討・決定(30分)
会議の進行
「最初に1週間の振り返りをします。まずはKeepの付箋を書いてください。時間は5分です。」
その後、Problemに移りブレストした後、眺める時に参加者全員に気になった付箋にマークをつけてもらい、マークが多かった内容から深掘りしてtryを出します。
Problemを出す際は、会議がギスギスしやすいこともあるので、音楽を流したりお菓子を用意するなど、リラックスした雰囲気を保つよう心掛けましょう。
まとめ
明るくポジティブな雰囲気のチーム作りが、成功する会議の鍵です。ファシリテーションを通じて、チーム全体が安心して意見を出し合える場を作ることが重要だと思います。
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