QNAPのNASをリカバリーする
QNAPのNAS(Intel CPU搭載機)でDOMからリカバリーを行う手順をまとめます。
DOMのイメージが破損してエラーが修復できないときなどに試す価値があります。
対象機種
QNAPのIntel製CPU搭載NAS
今回はTS-251Aを使って確認します。また、作業を行うPCはWindowsを想定しています。
QTSのバージョン:5.1.5.2679
リカバリー用ツール、イメージの準備
DOMイメージのダウンロード
こちらのURLからDOMイメージをダウンロードします。
TS-251Aのイメージはここからダウンロード
ドキュメントのリンクはhttpsではないので、ダウンロードがブロックされる場合があります。
設定でダウンロードするかhttpsにしたリンクを使うとダウンロードできます。
作業用PCに関連ツールを入れておく
QNAPのQFinder Proを作業用PCにインストールしておいてください。
USBメモリを使って起動ディスクを作成する
ガイドに従ってUSBメモリの起動ディスクを作成します。
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rufusのダウンロード
起動ディスクを作成するためのツール(rufus)をダウンロードします。
https://github.com/pbatard/rufus/releases/download/v3.4/rufus-3.4.exe -
Linuxの起動イメージをダウンロード
以下からダウンロードを行います。
http://sourceforge.net/projects/clonezilla/files/clonezilla_live_stable/2.4.2-10/clonezilla-live-2.4.2-10-amd64.iso/download
※機種によってダウンロードするイメージが異なるので要注意
USBメモリを作業用PCに接続し、rufusを起動します。
USBメモリは事前にFAT32でフォーマットを行ってください。
次にrufusを起動します。以下のような画面が表示されるので、[デバイス]で先ほど接続したUSBメモリを選択します。次にブートの種類で[選択]をクリックし、先ほどダウンロードしたLinuxのISOイメージを指定します。
指定が終わったら[開始]をクリックします。以下のようなダイアログが表示されるので、[ISOオードで書き込む]を指定し、[OK]をクリックします。
[OK]をクリックすると、再度確認のダイアログが表示されるので、OKをクリックします。
作成が終わった後、このUSBメモリに先ほどダウンロードしたDOMのイメージファイルをコピーしておきます。
設定・データなどのバックアップ
設定のバックアップ
まずNASにログインします。ログインしたらコントロールパネルを開き、[システム]-[バックアップ/復元]を選択します。以下のような画面が表示されるので、[バックアップ]をクリックします。
バックアップをクリックすると設定ファイルがダウンロードされます。使っているブラウザによってはセキュリティの機能が働いてダウンロードがブロックされる場合がありますが、その場合は適宜解除を行って保存します。ファイル名は (NASの名前)_settings_日付.binという名前で保存されます。
データのバックアップ
NASのハードディスクにあるデータをバックアップします。QNAPのHybrid Backup Sync3を使うのが良いかと思います。HBS3がない場合はFileStationで対象のディレクトリを外付けHDDなどに移動することで行えます。HBS3を使う場合、バックアップの後にデータの整合性チェックをしておくとより安心です。
バックアップを取り終えたらNASをシャットダウンします。
リカバリの実行
電源が正常にシャットダウン出来たら、接続されているHDDや外部ストレージをすべて取り外します。
その後、本体にキーボードと先ほど作成した起動用のUSBメモリを接続し、モニターにHDMIケーブルで接続します。
接続出来たら電源を入れ、キーボードの[DEL]キーを押してBIOSの設定画面に入ります。
設定に入ったら[Boot]を選び、USBメモリから起動するように起動順を入れ替えます。
設定が終わったら[Save&Exit]を選択し、[Save Changes & Rerset]を選択し、再起動します。
起動すると以下の画面が表示されるので、一番上の項目を選択します。
次に言語を選択する画面が表示されるので、ここでは[日本語]を選び、Enterを押します。
キーマップの選択が表示されるので、[キーマップをいじらない]を選択してEnterを押します。
動作モードを選択する画面が表示されます。ここでは[Enter Shell]を選択します。
モード選択画面が表示されます。[cmd]を選び、Enterを押します。
これでLinuxのコマンドラインの画面が表示されます。
コマンドラインに入ったら、以下のコマンドを実行します。
sudo su
fdisk -l
これを実行するとディスクの状況が確認できます。TS-251Aの場合、DOMがeMMCとして接続されており、/dev/mmcblk0として認識されていることがわかります。
次にイメージをDOMに書き込みます。以下のコマンドを実行します。(少し時間がかかります)
cd /lib/live/mount/medium/
cp F_TS-X51A_20160429-1.3.0_EFI.img.img /dev/mmcblk0
終わったら以下のコマンドを実行し、再起動を行います。その時に起動用のUSBメモリも抜きます。
reboot
再起動後、HDMI出力には以下のような画面が表示されます。
この状態でQFinder Proを実行するとNASが見つかり、以下のような画面が表示されます。ここではいったん[いいえ]を選択します。
ファームウェアのバージョンアップ
リカバリした状態では中のファームウェアは工場初回出荷時の古いファームウェアがインストールされているので、最新のバージョンに更新します。
NASがネットワーク上から認識されていることを確認したら一度電源をOFFにし、HDDを取り付けます、
取り付け後、電源を入れてQFinderから検出されることを確認します。
検出されたNASをリストから選択し、右クリックメニューから[ファームウェアの更新]を選びます。
管理者でログインが求められます。初期パスワードでログインを行います。
QTS Version 4.4.1より前の初期パスワードは以下の通りです。
ユーザー名: admin
パスワード: admin
QTS Version 4.4.2以降では初期パスワードは以下のようになります。
ユーザー名: admin
パスワード: NASの最初のMACアドレスを大文字で、特殊文字なしで指定。
例えば、MACアドレスが00-08-9B-F6-15-75の場合、パスワードは00089BF61575
ログインすると[最新のバージョンで実行されています]とダイアログが表示されるのでOKをクリックします。
[ファイルまでのパス]で更新するファームウェアのイメージを選択します。ここから必要なバージョンのファームウェアをダウンロードします。zip形式でダウンロードされるので、選択前に解凍しておきます。。
[スタート]をクリックして更新を開始します。下図のような警告が表示されますが、[はい]をクリックして更新します。
更新中はバージョンの表示箇所が更新中となります。
更新が完了するとファームウェアのバージョンが表示されます。正しいバージョンに更新されているか確認します。
設定の復元
ここでNASへログインをします。HDDが正常なままであれば設定やデータなどは残っているはずです。HDDを交換した場合などは、コントロールパネルから[バックアップ/復元]-[システム設定の復元]で先に保存した設定ファイルを選択し、復元をクリックします。確認のダイアログが表示されるので、[はい]をクリックして実行します。
復元が完了すると再起動の確認ダイアログが表示されるので[はい]をクリックして再起動します。
復元後、NASにログインして設定などが正しく復元されているか確認します。
データの復元
必要に応じてHBS3を使ってデータを復元します。
確認
これらの作業が完了したら、ネットワークドライブなどの接続に異常がないことを確認します。
以上の手順でDOMイメージのリカバリが行えます。
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