いまさら聞けない。特許とは?特許思想とは?
まず、特許とは何でしょうか。よく耳にする特許という言葉ですが完全に理解している人は少ないのではないでしょうか。ぜひ、この機会に特許について一緒に理解しましょう!
特許とは、新しい技術やアイディアに関する独占的な権利を、一定期間、発明者や技術者に与える制度を指します。特許を取得することで、その技術やアイディアを他者が無断で使用、製造、販売することを禁止することができます。それでは、概要が分かったところで具体的にどんなものなのか見ていきましょう。
1.目的
特許制度の主な目的は、技術の革新を促進し、経済の発展を支えることです。発明者や技術者が新しい技術を開発した際に、その努力が報われるようにするための制度として存在します。
2.要件
特許を取得するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
新規性: すでに公知の技術やアイディアとは異なるものであること。
進歩性: 公知の技術に比べて明らかな進歩があること。
産業上の利用可能性: 実際に産業上で利用可能な技術やアイディアであること。
3.期間
特許の権利は一定の期間だけ有効で、多くの国で20年間とされています。この期間が過ぎると、その技術は公共のものとなり、誰でも自由に使用することができるようになります。
4.地域性
特許は国ごとに取得する必要があり、取得した国でのみその権利が有効です。国際的に権利を保護したい場合は、複数の国で特許を取得する必要があります。
5.請求
特許を取得するためには、特許庁に特許請求を行う必要があります。この際、発明の内容や特許請求の範囲、効果などを詳細に記述する必要があります。
ここで、特許請求の範囲とは、特許を受けようとする発明を特定する文書をいい、この記載に基づいて特許発明の技術的範囲(権利範囲)が定められます。特許請求の範囲では、「請求項」と呼ばれる項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定します。また、請求項とは、特許請求の範囲において、特許出願人が特許を受けようとする発明を特定する項をいい、より具体的には、「特許を受けたい発明」ごとに区分されて発明が記載される欄のことを言います。
6.権利の行使
特許を侵害する行為が発生した場合、特許権者は侵害者に対して損害賠償請求や差止請求を行うことができます。
次に、特許思想とは何でしょうか。これは、特許を取得するための基本的な考え方や戦略を指す言葉です。特許を取得することで、その技術やアイディアの独占権を得ることができ、他者により模倣や使用を防ぐことが出来ます。それでは、特許思想について重要なポイントはどんなものがあるでしょうか。順番に見ていきましょう。
1.新規性
これは、特許を取得背売るための最も基本的な要件です。すでに世にある技術やアイディアとは異なるものでなければなりません。
2.進歩性
新規性だけでは不十分で、公知の技術に比べて明らかな進歩があることが求められます。単なる組み合わせや微小な変更では特許を取得することは難しい場合が多いです。
3.産業上の利用可能性
特許を取得する技術やアイディアは、実際に産業上で利用可能でなければなりません。
4.明瞭性
特許請求の範囲が明確であること。他者がその技術を模倣する際に、どの部分が特許の範囲に該当するかを明確にするための要件です。
5.特許戦略
企業や研究機関は、競合他社との差別化や技術の独占権を確保するために、特許を取得する戦略を立てることがあります。これには、どの技術を特許にするか、どの国で特許を取得するかなどの戦略的な判断が含まれます。
6.特許情報の活用
既存の特許情報を調査し、新しい技術開発のヒントや競合他社の動向を把握すること。これにより、無駄な開発を避けることができます。
7.特許の侵害
他者の特許を侵害しないように注意すること。侵害が発覚した場合、高額な賠償金を支払うリスクがあります。
特許思想は、技術開発やビジネス戦略において非常に重要な要素となります。
最後に、巨人の肩に乗るというアイザックニュートンが述べた言葉を特許の文脈で考えてみると、次の3つの解釈ができそうです。
1.先行技術の上に築かれる新技術
特許は、新しい技術やアイディアを保護するためのものですが、多くの新技術は既存の技術や知識を基にして発展します。この既存の技術や知識が「巨人」であり、新しい技術やアイディアはその「肩に乗る」形で生まれると言えます。
2.特許情報の活用
特許情報は、技術の詳細や進歩を知るための重要な情報源です。研究者や技術者は、特許情報を参照することで、先行技術の詳細を知り、それを基に新しい技術やアイディアを考えることができます。このように、特許情報を活用することで「巨人の肩に乗る」ことができると言えます。
3.技術の進歩と継承
1つの特許が取得されると、その技術は一定期間保護されますが、その後は公共のものとなります。このようにして、技術は次世代に継承され、さらなる進歩の基盤となります。
このように、特許は自分や組織を守るだけではなく世界の技術レベルを引き上げるうえでも非常に重要な仕組みといえるのです。
最後まで見てくださりありがとうございます。
Discussion