【2025年版】EasyReforgeで始める無料ローカル画像生成AI(Stable Diffusion)のインストールと使い方
🖼️ EasyReforgeで始めるローカル画像生成AI(Stable Diffusion)の導入
🚀 無料のローカル画像生成AIなら何枚でも高画質画像を生成し放題
画像生成AIは、クリエイティブな表現の可能性を大きく広げました。手軽なWebサービスが人気ですが、生成回数の制限や、特定の表現が難しいといった制約があります。より自由に、そして安定して高品質な画像を生成するには、自身のPCでAIを動作させる「ローカル環境」の構築がおすすめです。
従来のローカル環境構築は、Pythonのセットアップ、各種ライブラリの依存関係の解決、モデルファイルの煩雑な管理など、多くの専門知識と時間が必要な作業でしたが、本記事で紹介するオールインワンパッケージ「EasyReforge」を使えば簡単に導入することができるので紹介します。
この記事では、EasyReforgeの導入手順から、画像生成の基本的な仕組み、プロンプトの考え方、Hires. fixやADetailerといった高画質化ツールの使い方まで、幅広く解説します。
💡 EasyReforgeとStable Diffusionの仕組み
本ツールは、画像生成AIの利用を容易にするものです。この章では、EasyReforgeを理解するために、関連する主要な技術とその関係性について解説します。
📖 Stable Diffusion・reForge・EasyReforgeの関係
EasyReforgeを理解する上で、まず「Stable Diffusion」「reForge」「EasyReforge」という3つのツールの関係性を把握することが重要です。これらのツールは、それぞれ異なる役割を担っています。
ツール名 | 役割 | 特徴 |
---|---|---|
Stable Diffusion | 画像生成AIの基本モデル(エンジン) | オープンソースで公開されており、様々な派生モデルが存在する、画像生成技術の基盤。 |
reForge | Stable DiffusionをPCで扱うためのUI | 少ないPCスペックでも高速に動作するよう最適化されている。Stable Diffusionを操作しやすくするためのインターフェース。 |
EasyReforge | reForgeを初心者向けにしたパッケージ | 必要なモデル、拡張機能、インストーラーを一つにまとめたもの。複雑な環境構築を自動化し、導入を容易にする。 |
Stable Diffusionは、画像を生成するための「エンジン」に相当します。このエンジンを直接操作するのは専門的な知識が必要なため、通常は「ユーザーインターフェース(UI)」を介して利用します。「reForge」は、そのUIの一つであり、特に少ないPCスペックでも高速に動作するよう最適化されている点が特徴です。
そして「EasyReforge」は、このreForgeをさらに初心者でも簡単に利用できるようにした「オールインワンパッケージ」です。通常、Stable DiffusionやreForgeを動かすには、Pythonの環境構築、Gitのインストール、各種ライブラリの導入、画像生成モデルのダウンロードと設定など、多くの手作業が必要でした。EasyReforgeは、これらの複雑な工程を自動化し、「インストーラー」というファイルを実行するだけで、画像生成を開始できる環境を構築します。これにより、技術的なハードルが大幅に下がり、多くの人が手軽に高品質な画像生成を体験できるようになっています。
✨ EasyReforgeの主な特長
本ツールが画像生成AIの初心者にとって適している理由は、その設計思想と機能にあります。
EasyReforgeは、複雑なコマンド入力が不要な「ワンクリックインストール」を実現しています。また、多くの画像生成ツールが英語ベースである中、開発段階から日本語対応が考慮されており、インストール後すぐに日本語インターフェースで操作を開始できます。
画像生成AIでは「プロンプト」と呼ばれるテキストで指示を出しますが、初心者が効果的なプロンプトを作成するのは難しい場合があります。EasyReforgeには、高品質な画像を生成するためのテンプレートやプリセットが最初から組み込まれており、これらを活用することで、容易にイメージに近い画像を生成できます。
一般的なローカル環境では、モデルの読み込みやVAE(色味調整)の設定、拡張機能の導入など、多くの初期設定が必要ですが、EasyReforgeではこれらの設定が最適化された状態で提供されるため、導入後すぐに画像生成を開始できます。
さらに、画像の品質を向上させる「Hires. fix(高解像度化)」や「ADetailer(顔や手の修正)」といった拡張機能が、最初から導入されています。これにより、初心者でも高品質な画像を生成するための基盤が整っています。特にアニメ風イラストの生成に定評のある「NoobAI」系統のモデルが複数同梱されており、導入後すぐに高品質なイラストを生成することが可能です。
💻 EasyReforgeの動作環境と準備
本ツールをPCで動作させるためには、いくつかのシステム要件を満たす必要があります。特に、画像生成AIの高速な計算処理を担うグラフィックボード(GPU)は重要な要素です。この章では、EasyReforgeを快適に動作させるために必要なPCのスペックと、ご自身のPCがその要件を満たしているかを確認する方法を具体的に解説します。
🖥️ 動作環境の要件
EasyReforgeをスムーズに動作させるためには、以下のスペックを満たすPCが推奨されます。特に、画像生成AIの高速な計算処理を担うグラフィックボード(GPU)は必須です。
項目 | 必須要件 | 推奨要件 | 補足事項 |
---|---|---|---|
OS | Windows 10 / 11 (64bit) | - | EasyReforgeはWindows環境での動作を前提としています。 |
GPU | NVIDIA製GPU | - | EasyReforgeはNVIDIA製GPUに最適化されており、AMD製GPUやIntel製内蔵GPUでは動作しません。多くの画像生成AIがNVIDIA製GPUで高速な並列計算を行うための「CUDA」技術を基盤としているためです。 |
VRAM | 8GB以上 | 12GB以上 | GPUに搭載されているVRAM容量は画像生成の可否や速度に直結します。 |
メモリ (RAM) | 16GB以上 | 32GB以上 | AIが画像を生成する際に一時的にデータを保持する場所です。容量が大きいほど、複雑な画像を生成したり、複数のアプリケーションを同時に快適に動作させることができます。 |
ストレージ | 20GB以上の空き | 100GB以上の空き (SSD) | EasyReforge本体、画像生成モデル、生成される画像ファイルなどで多くのストレージ容量を消費します。高速なSSDへのインストールを推奨します。 |
🔍 PCスペックの確認方法
上記の要件を満たしているか、以下の手順で確認できます。
1. OSの確認
- キーボードの
Windowsキー
とPauseキー
を同時に押します。 - 表示される「システム」または「バージョン情報」画面で、Windowsのバージョンを確認します。
2. GPU(グラフィックボード)とVRAMの確認
GPUは画像生成AIの性能に大きく影響する重要なパーツです。特にVRAM(ビデオメモリ)の容量が画像生成の可否や速度に直結します。
- キーボードの
Ctrl
+Shift
+Esc
を同時に押し、「タスクマネージャー」を起動します。 - 「パフォーマンス」タブをクリックし、中央のリストから「GPU」を選択します。
- 画面右上に表示されるGPUの名前(例: NVIDIA GeForce RTX 3060)を確認し、NVIDIA製であることを確認します。
- 「専用GPUメモリ」または「VRAM」と表示されている項目で、VRAMの容量(例: 12.0 GB)を確認します。8GB以上がEasyReforge動作の最低条件です。
3. メモリ(RAM)の確認
メモリは、AIが画像を生成する際に一時的にデータを保持する場所です。容量が大きいほど、複雑な画像を生成したり、複数のアプリケーションを同時に快適に動作させることができます。
- タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブで「メモリ」を選択します。
- 「合計」または「搭載済み」と表示されている項目で、メモリの総容量(例: 16.0 GB)を確認します。16GB以上が必須条件です。
4. ストレージの空き容量の確認
EasyReforge本体や、今後ダウンロードする画像生成モデル、生成される画像ファイルなどで、多くのストレージ容量を消費します。高速なSSDへのインストールを推奨します。
- エクスプローラーを開き、左側メニューから「PC」を選択します。
- 「デバイスとドライブ」の項目で、Cドライブなどのドライブの空き容量を確認します。最低20GB、推奨100GB以上の空き容量が必要です。
これらの確認を行い、ご自身のPCがEasyReforgeの動作要件を満たしていることを確認してから、次の章のインストール手順に進んでください。
🚀 EasyReforgeの導入手順
この章では、本ツールをPCに導入する具体的な手順を解説します。導入の容易さが特長であり、複雑な設定やコマンド入力は不要です。一つのファイルをダウンロードして実行するだけで、画像生成AIの環境が整います。スムーズに導入できるよう、各ステップを詳細に説明します。
✅ 導入前の確認事項
導入を始める前に、EasyReforgeを利用する上での重要な前提条件を再確認します。
EasyReforgeは、多くの海外製ソフトウェアとは異なり、開発段階から日本語での利用が考慮されています。そのため、別途日本語化設定を行う必要はなく、インストール後すぐに日本語のインターフェースで操作を開始できます。
また、プロンプトの書き方に慣れていない初心者の方でも、すぐに高品質な画像を生成できるよう、あらかじめ様々なテンプレートやプリセットが用意されています。これらを活用することで、手軽に多様な画像を生成できます。
これらの前提条件により、EasyReforgeは画像生成AIの学習にかかる時間を短縮し、より多くの人がAIアートの世界に足を踏み入れることを可能にしています。
📥 インストーラーの実行
それでは、具体的な導入手順に進みます。以下の手順に従って操作してください。
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インストーラーのダウンロード
まず、EasyReforgeの公式GitHubリポジトリにアクセスします。
https://github.com/Zuntan03/EasyReforge
ページ中央付近に表示されるファイル一覧から「インストーラー」を探し、右クリックして「名前を付けてリンク先を保存」または「リンクを別名で保存」を選択します。この実行ファイルをPCの任意の場所(例: デスクトップやダウンロードフォルダなど、分かりやすい場所)に保存してください。ZIPファイルのダウンロードや解凍は不要で、ダウンロードするのはこの実行ファイルのみです。 -
インストーラーの実行
ダウンロードが完了したら、保存したファイルをダブルクリックして実行します。
もし「WindowsによってPCが保護されました」という青い画面が表示された場合は、Windowsのセキュリティ機能による警告です。これは、ファイルがPCのシステムに新しいソフトウェアをインストールするため、Windowsが安全性を確認しようとしているものです。この画面が表示されたら、左下にある「詳細情報」をクリックし、内容を確認した上で「実行」ボタンをクリックして実行を許可してください。 -
インストール先の指定
「実行」をクリックすると、黒い画面(コマンドプロンプト)が起動し、バックグラウンドで動作します。しばらくすると、「EasyReforgeをインストールするフォルダのパスを入力してください」といったメッセージが表示されます。ここで、EasyReforgeをインストールしたいフォルダのパスを入力(またはコピー&ペースト)してEnter
キーを押します。
Cドライブ直下や、Program Filesフォルダ内など、システムフォルダに近い場所は避けるのが無難です。例えば、D:\EasyReforge
のように、新しく専用のフォルダを作成して指定することをおすすめします。パスの指定に迷う場合は、デスクトップに新しく「EasyReforge」というフォルダを作成し、そのフォルダのパスをコピーして貼り付けるのが簡単です。 -
環境構築の開始と所要時間
インストール先を指定してEnter
キーを押すと、EasyReforgeの環境構築が自動的に開始されます。このプロセスでは、画像生成に必要なPython環境、Git、各種ライブラリ、そして画像生成モデルファイルなどがインターネット経由でダウンロードされ、自動的にインストール・設定されます。
この工程は、PCの性能やインターネット回線の速度によって、完了までにかなりの時間を要する場合があります。目安として、30分から2時間以上かかることも珍しくありません。コマンドプロンプトの画面にエラーメッセージが表示されず、処理が続いている限りは、正常に動作していますので、焦らずお待ちください。途中でPCの電源を切ったり、コマンドプロンプトを閉じたりしないように注意してください。 -
インストール完了とショートカットの確認
全てのダウンロードとインストール、設定が完了すると、コマンドプロンプトの画面が自動的に閉じます。そして、デスクトップに「EasyReforge」という名前のショートカットアイコンが作成されます。このショートカットが作成されていれば、EasyReforgeの環境構築は完了です。
🚀 初回起動と画像生成の開始
EasyReforgeのインストールが完了し、デスクトップにショートカットが作成されたら、いよいよ最初の画像生成に挑戦します。この章では、EasyReforgeの起動方法から、基本的な操作画面の説明、そして実際にプロンプトを入力して画像を生成するまでの手順を解説します。
起動方法
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デスクトップのショートカットをダブルクリック
インストール完了後にデスクトップに作成された「EasyReforge」ショートカットアイコンをダブルクリックします。 -
起動処理の開始
ショートカットをダブルクリックすると、黒いコマンドプロンプトの画面が表示され、EasyReforgeの起動準備が始まります。必要なファイルの読み込みやWebサーバーの立ち上げが行われます。 -
ブラウザ画面の表示
起動処理が完了すると、自動的にWebブラウザが立ち上がり、EasyReforgeの操作画面が表示されます。もし自動でブラウザが立ち上がらない場合は、コマンドプロンプト画面に表示されているURL(通常はhttp://127.0.0.1:7860
のようなローカルアドレス)をコピーし、手動でブラウザのアドレスバーに貼り付けてアクセスしてください。
🖥️ 操作画面の構成
ブラウザに表示される操作画面は、主に、生成したい画像の要素をテキストで記述するプロンプト入力欄、生成したくない要素を記述するネガティブプロンプト入力欄、プロンプト入力後に画像生成を開始するGenerateボタン、そして生成された画像が表示される画像表示エリアで構成されています。その下部には、画像のサイズ、生成枚数、サンプラー、CFG Scaleといった、画像の品質やスタイルを調整するための各種設定項目が並んでおり、これらは後ほど詳しく解説します。
📝 プロンプトの基本構造
画像生成AIにおける「プロンプト」とは、AIにどのような画像を生成してほしいかを伝えるための「指示文」です。このプロンプトを適切に記述することが、イメージ通りの画像を生成する鍵となります。
プロンプトは、基本的に英語の単語や短いフレーズをカンマ(,
)で区切って羅列する形式で記述します。AIはこれらの単語を解釈し、関連する画像を生成しようとします。
プロンプトの基本的な考え方
プロンプトを作成する際は、以下の点を意識すると良いでしょう。
まず、生成したい画像の要素を具体的に、詳細に記述します。「女の子」と書くよりも「1girl, long blonde hair, blue eyes, school uniform
(一人の女の子、長い金髪、青い瞳、制服)」のように、具体的に描写するほど、AIは意図を正確に汲み取ります。
次に、画像に含めたい要素を一つの文章で書くのではなく、単語やフレーズに分解して記述します。例えば、「青い空の下で猫が座っている」という画像を生成したい場合、「blue sky, cat, sitting
」のように記述します。
プロンプトには、「ポジティブプロンプト」と「ネガティブプロンプト」の2種類があります。ポジティブプロンプトは、生成したい要素を記述するもので、メインのプロンプト入力欄に入力します。一方、ネガティブプロンプトは、生成したくない要素を記述するものです。例えば、画像の品質を下げたくない場合、「low quality, bad anatomy, deformed
」といった単語を記述します。EasyReforgeでは、最初から基本的なネガティブプロンプトが設定されていることが多いですが、必要に応じて追加・調整が可能です。
🚀 最初の画像生成に挑戦
それでは、実際に最初のプロンプトを入力して画像を生成してみましょう。今回は、最もシンプルなプロンプトから始めます。
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プロンプト入力欄にテキストを入力
以下のテキストをプロンプト入力欄に入力します。1girl, school uniform, cherry blossoms
これは、「一人の女の子、制服、桜」という要素をAIに指示しています。
-
ネガティブプロンプト入力欄の確認
EasyReforgeでは、デフォルトで基本的なネガティブプロンプトが入力されています。例えば、以下のような内容です。lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing fingers, extra digit, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, normal quality, jpeg artifacts, signature, watermark, username, blurry, artist name
このネガティブプロンプトは、画像の品質を下げたり、手や体の構造が破綻したりするのを防ぐためのものです。最初は特に変更する必要はありません。
-
「Generate」ボタンをクリック
プロンプトの入力と確認が終わったら、画面右下にある「Generate」ボタンをクリックします。 -
画像生成の待機
Generateボタンをクリックすると、画像生成が開始されます。画面下部にプログレスバーが表示され、生成の進捗状況が確認できます。PCの性能にもよりますが、最初の画像生成には数十秒から数分かかる場合があります。 -
生成された画像の確認
画像生成が完了すると、画面中央の画像表示エリアに、プロンプトに基づいてAIが生成した画像が表示されます。
これで、EasyReforgeを使って最初の画像を生成することに成功しました。次の章では、さらに多様な画像を生成するために、具体的なプロンプトの例や、プロンプトの書き方のコツを詳しく掘り下げていきます。
📝 プロンプトの応用と具体例
前章で、EasyReforgeを使った最初の画像生成を体験し、プロンプトの重要性を理解できたかと考えられます。この章では、イメージをより正確にAIに伝えるためのプロンプトの書き方、その構成要素、そして実際に試せる具体的なプロンプト例を豊富に紹介します。プロンプトはAIとの対話の言語であり、この言語を習得することで、創造性はさらに広がります。
💡 強調構文の活用
特定の要素をAIに強く意識させたい場合や、逆にその影響を弱めたい場合に便利なのが「強調構文」です。これは、プロンプト内の特定の単語やフレーズを括弧で囲み、その後に数値を指定することで、AIへの影響度を調整するテクニックです。
要素を強調するには、(単語:数値)
または(単語)
と記述します。数値が1.0より大きい場合、その単語の影響が強まります。例えば、(blue eyes:1.3)
と記述すると、「青い瞳」という要素が1.3倍強調されます。数値がない(単語)
の場合は、デフォルトで1.1倍強調されます。ただし、強く強調しすぎると、画像が不自然になったり、他の要素とのバランスが崩れたりすることがあります。最初は1.1〜1.3程度の数値から試すのが良いでしょう。
要素を弱めるには、(単語:数値)
と記述し、数値が1.0より小さい値を指定します。例えば、(red eyes:0.8)
と記述すると、「赤い瞳」という要素の影響が0.8倍に弱まります。これは、ネガティブプロンプトで特定の要素を完全に排除したいが、少しだけ残したい場合などにも応用できます。
🎨 具体的なプロンプト例
ここでは、様々なスタイルの画像を生成するための具体的なプロンプト例を紹介します。これらのプロンプトを参考に、あなたの創造性を広げてみましょう。プロンプトはあくまで出発点です。これらの例をベースに、単語を追加したり、強調構文を使ったりして、自分だけのオリジナルプロンプトを構築してみてください。
1. アニメ風イラスト
アニメ風のキャラクターやシーンを生成するのに適したプロンプトです。キャラクターの描写、服装、背景などを具体的に指定することで、よりイメージに近いイラストが生成されます。
項目 | プロンプト例 | 解説 |
---|---|---|
ポジティブプロンプト | masterpiece, best quality, 1girl, solo, long hair, blue eyes, school uniform, cherry blossoms, cityscape, sunny day, soft lighting, detailed background, anime style, (kawaii:1.2) |
高品質な画像を生成するための定番指示masterpiece, best quality を含みます。solo でキャラクターが一人であることを強調し、cherry blossoms, cityscape, sunny day で背景の情景を指定。soft lighting, detailed background で描写の細かさを指示し、(kawaii:1.2) で「可愛い」という要素を強調しています。 |
ネガティブプロンプト | lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing fingers, extra digit, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, normal quality, jpeg artifacts, signature, watermark, username, blurry, artist name, (bad art:1.1), (ugly:1.1) |
画像の品質低下や、手・体の破綻を防ぐための一般的なネガティブプロンプトです。 |
2. リアルな人物写真風
まるで写真のようなリアルな人物画像を生成したい場合に有効なプロンプトです。光の当たり方、表情、服装、背景のディテールを細かく指定することがポイントです。
項目 | プロンプト例 | 解説 |
---|---|---|
ポジティブプロンプト | photorealistic, 1girl, solo, professional photography, natural light, soft shadows, detailed skin, subtle smile, casual outfit, urban street, bokeh, depth of field, (realistic:1.3), (8k:1.1) |
photorealistic, professional photography で写真のような品質を指示。natural light, soft shadows で光の表現を、detailed skin, subtle smile で人物の細部と表情を指定しています。urban street, bokeh, depth of field で背景の雰囲気と写真的な効果を加え、(realistic:1.3) でリアルさを強く強調しています。 |
ネガティブプロンプト | cartoon, anime, painting, drawing, illustration, low quality, bad anatomy, deformed, blurry, noisy, watermark, text, signature, (unrealistic:1.2) |
アニメやイラスト調になるのを防ぎ、写真的な品質を維持するためのネガティブプロンプトです。 |
3. 美しい風景画
壮大な自然や都市の風景を生成するためのプロンプトです。時間帯、天候、季節、光の表現、具体的な場所などを指定することで、多様な風景を表現できます。
項目 | プロンプト例 | 解説 |
---|---|---|
ポジティブプロンプト | masterpiece, best quality, beautiful landscape, sunset, golden hour, vast mountain range, clear lake, reflection, warm colors, dramatic clouds, detailed trees, serene atmosphere, (cinematic lighting:1.2), (highly detailed:1.1) |
beautiful landscape で風景画であることを明示し、sunset, golden hour で時間帯と光の状況を指定。vast mountain range, clear lake, reflection で具体的な地形と要素を記述し、warm colors, dramatic clouds, detailed trees, serene atmosphere で色彩、天候、細部、雰囲気を指示しています。(cinematic lighting:1.2) で映画のような照明効果を強調しています。 |
ネガティブプロンプト | low quality, blurry, deformed, human, people, buildings, city, text, signature, watermark, (unnatural:1.1) |
風景画に不要な要素(人物、建物など)や品質低下を防ぐためのネガティブプロンプトです。 |
4. ファンタジーアート
剣と魔法の世界、幻想的なクリーチャー、神秘的な場所などを描くためのプロンプトです。ジャンル特有の単語や、雰囲気を示す言葉を積極的に使いましょう。
項目 | プロンプト例 | 解説 |
---|---|---|
ポジティブプロンプト | masterpiece, best quality, fantasy art, epic scene, brave knight, ancient dragon, magical forest, glowing runes, mystical atmosphere, volumetric lighting, detailed armor, (epic:1.3), (dark fantasy:1.1) |
fantasy art, epic scene でジャンルとスケール感を指示。brave knight, ancient dragon, magical forest で主要なキャラクターと舞台を設定し、glowing runes, mystical atmosphere, volumetric lighting で幻想的な要素と光の表現を加えています。(epic:1.3) で壮大さを強調しています。 |
ネガティブプロンプト | modern, realistic, photography, low quality, blurry, deformed, text, signature, watermark, (sci-fi:1.2) |
ファンタジーアートに不要な現代的な要素や写真的な要素、品質低下を防ぐためのネガティブプロンプトです。 |
これらのプロンプト例はあくまで出発点です。AI画像生成の面白さは、試行錯誤を繰り返しながら、自分のイメージをAIに伝える最適な「言葉」を見つけていく過程にあります。様々な単語や強調構文を組み合わせ、あなただけのオリジナルプロンプトをぜひ探求してみてください。
⚙️ 主要な設定項目の意味と調整方法
EasyReforgeの操作画面には、プロンプト以外にも多くの設定項目が並んでいます。これらは、生成される画像の品質、スタイル、構図などを細かくコントロールするための重要な要素です。この章では、特に初心者の方が知っておくべき主要な設定項目の意味と、その調整方法について詳しく解説します。これらの設定を理解し、適切に調整することで、画像生成の品質は飛躍的に向上するかもしれません。
🖼️ モデルの選択
画像生成AIの「モデル」は、AIがどのような画像を生成するかを決定する最も基本的な要素です。EasyReforgeには、特にアニメ風イラストの生成に特化した「NoobAI」系統のモデルが複数同梱されています。モデルによって得意な画風や表現が異なるため、目的に合わせて選択することが重要です。
EasyReforgeの操作画面上部にある「Stable Diffusion checkpoint」のプルダウンメニューから、使用したいモデルを選択できます。NoobAI系統のモデルは、特にアニメ風のキャラクターイラストに優れており、細部まで丁寧に描写された高品質な画像を生成できます。
📏 画像サイズの設定
生成する画像の解像度(縦横のピクセル数)を設定します。解像度が高いほど詳細な画像が生成されますが、その分、生成時間が長くなり、VRAMも多く消費します。
- Width(幅): 画像の横幅をピクセル単位で指定します。
- Height(高さ): 画像の縦幅をピクセル単位で指定します。
推奨設定として、最初は512x768
(縦長)や768x512
(横長)、512x512
(正方形)から始めることをおすすめします。慣れてきたら、768x1024
や1024x768
などの高解像度に挑戦してみましょう。
🌈 VAE(色味調整)の設定
VAE(Variational AutoEncoder)は、生成された画像の色味や質感を調整するためのフィルターのような役割を果たします。適切なVAEを設定することで、画像の発色が劇的に改善されます。
EasyReforgeに同梱されているvae-ft-mse-840000-ema-pruned.safetensors
が推奨VAEです。このVAEを適用するだけで、生成されるイラストの色が劇的に鮮やかになり、深みが増します。適用しない場合、画像が全体的に白っぽく、色が薄い印象になることがあります。
設定方法:
- EasyReforgeの操作画面上部にある「Settings」タブをクリックします。
- 左側メニューから「VAE」を選択します。
- 「SD VAE」のプルダウンメニューから「
vae-ft-mse-840000-ema-pruned.safetensors
」を選択します。 - 選択後、画面上部の「Apply settings」ボタンをクリックして設定を適用します。
一度設定を適用すれば、次回以降の起動時もこの設定が維持されます。忘れずに設定しておきましょう。
🖼️ Hires. fixによる高解像度化
Hires. fix(ハイレゾフィックス)は、生成される画像の解像度を向上させ、細部をより鮮明に描写するための強力な機能です。特に、キャラクターの顔や服装、背景のディテールを高精細にしたい場合に威力を発揮します。
Hires. fixは、まず低解像度で画像を生成して構図を安定させ、次にその画像を拡大し、拡大された部分の細部をAIが描き直すことで、高解像度化とディテールの追加を同時に行います。
設定方法:
プロンプト入力欄の下にある「Hires. fix」項目をクリックして展開します。
設定項目 | 説明 | 推奨値・補足 |
---|---|---|
Upscaler | 拡大に使用するアルゴリズム。 | EasyReforge同梱の「4x-UltraSharp 」を推奨。 |
Hires steps | 高解像度化の処理ステップ数。 | 通常「0 」に設定することで、元のSampling Stepsの半分が自動適用されます。 |
Denoising strength | 拡大時にどれだけ画像を再構築するかを決定する値。 | 0に近いほど元の画像を残し、1に近いほど新しい画像を生成します。推奨値は0.5 〜0.7 です。 |
Upscale by | 画像を何倍に拡大するかを指定。 | 例えば2 と設定すると、元の画像の2倍の解像度になります。 |
これらの設定後、「Hires. fix」のチェックボックスをオンにすることで機能が有効になります。適切に設定することで、より高品質な画像を生成できます。
🧑🎨 ADetailerによる顔と手の修正
画像生成AIで生成される画像において、特に破綻しやすいのが「顔」と「手」です。ADetailer(エーディテイラー)は、生成された画像の中から顔や手を自動で検出し、その部分だけを高精細に描き直してくれる非常に便利な拡張機能です。これにより、キャラクターの表情や手の自然さが格段に向上し、作品の完成度が飛躍的に高まります。
設定場所: プロンプト入力欄の下にある「ADetailer」項目をクリックして展開します。
基本的な使い方:
- 「Enable ADetailer」にチェックを入れます。
- 「1st model」のプルダウンメニューから「
face_yolov8n.pt
」(顔検出用モデル)を選択します。
これで、画像生成時に顔が検出され、自動的に修正されるようになります。
応用設定:顔と手を同時に修正する
ADetailerは、複数のモデルを同時に適用することで、顔だけでなく手も同時に修正することができます。これにより、1回の生成で作品の完成度がさらに向上します。
- 上記の手順で「1st model」に
face_yolov8n.pt
を設定します。 - 「2nd」タブをクリックします。
- こちらの「Enable ADetailer」にもチェックを入れます。
- 「2nd model」のプルダウンメニューから「
hand_yolov8n.pt
」(手検出用モデル)を選択します。
これで、1回の画像生成で「顔」と「手」の両方が自動的に修正されるようになります。AIが生成する手の形に悩まされることが格段に減るかもしれません。
⚙️ CFG ScaleとSampling Stepsの調整
CFG ScaleとSampling Stepsは、画像生成の品質とAIのプロンプトへの忠実度を調整するための重要な設定項目です。これらを適切に調整することで、より意図通りの画像を生成できます。
設定項目 | 意味 | 推奨値・調整の目安 |
---|---|---|
CFG Scale (Classifier Free Guidance Scale) | プロンプトの内容に、AIがどれだけ忠実に画像を生成するかを決定する値です。値が高いほどプロンプトに忠実な画像が生成されますが、高すぎると画像が破綻したり、不自然になったりする傾向があります。逆に値が低いと、AIが自由に画像を生成するため、プロンプトとは異なる意外な結果が生まれることもあります。 |
推奨値: 5 〜 7 。この範囲が最もバランスが良く、安定した品質の画像を生成しやすいです。調整の目安: ・ 3 〜4 :AIの自由度を高め、多様な画像を生成したい場合。・ 8 〜10 :プロンプトに非常に忠実な画像を生成したい場合(画像が硬くなったり、ディテールが過剰になったりするリスクあり)。 |
Sampling Steps (サンプリングステップ数) | AIが画像を生成する際の計算の回数(ステップ数)です。値が高いほど、より詳細で高品質な画像が生成される傾向がありますが、その分、画像生成にかかる時間も長くなります。逆に値が低いと、生成速度は速くなりますが、画像の品質が低下する可能性があります。 |
推奨値: 20 〜 30 。この範囲で十分高品質な画像が生成できます。調整の目安: ・ 10 〜15 :画像を素早く確認したい場合や、大まかな構図を試したい場合。・ 30 〜50 :最高品質の画像を求める場合(生成時間が大幅に長くなる。50を超えると品質の向上は頭打ちになり、不自然になることも)。 |
これらの設定項目は、それぞれが独立して機能するだけでなく、互いに影響し合います。様々なプロンプトやモデルと組み合わせて、最適な設定値を見つけることが、画像生成スキルを向上させる鍵となるかもしれません。焦らず、一つずつ試しながら、それぞれの設定が画像にどのような影響を与えるかを体験してみてください。
🎨 LoRAとモデルカスタマイズで表現を広げる
画像生成AIの魅力は、単にプロンプトを入力するだけでなく、様々な「モデル」や「追加学習ファイル」を組み合わせることで、表現の幅を無限に広げられる点にあります。この章では、特に重要な追加学習ファイルである「LoRA(ローラ)」について詳しく解説し、EasyReforgeに同梱されているLoRAの活用法や、外部から新しいLoRAを導入する方法、そして複数のLoRAを組み合わせる際の注意点とテクニックを紹介します。LoRAを使いこなすことで、あなたの画像生成はさらにパーソナルで多様な表現が可能になります。
📚 LoRAとは何か
LoRA (Low-Rank Adaptation) は、既存の画像生成モデル(Stable Diffusionなど)に対して、特定の「画風」「キャラクター」「服装」「ポーズ」などを追加で学習させた、非常に軽量な追加ファイルです。例えるなら、ベースとなるモデルが「キャンバス」だとすれば、LoRAは「特定の絵の具セット」や「筆のテクニック」のようなものです。LoRA単体では画像を生成できませんが、ベースモデルと組み合わせることで、そのモデルの表現力を特定の方向に特化させたり、新しい要素を追加したりすることができます。
LoRAは、ベースモデルに比べてファイルサイズが非常に小さいため、ダウンロードや管理が容易であり、多くのLoRAは様々なベースモデルと組み合わせて使用できます。これにより、特定のキャラクターや画風、服装などを効率的に再現・追加し、表現の幅を大きく広げることが可能です。
LoRAの主な特徴
LoRAの主な特徴として、第一にその軽量性が挙げられます。ベースモデルに比べてファイルサイズが非常に小さく、ダウンロードや管理が容易です。第二に、特定の要素(キャラクター、服装、画風など)に特化して学習されている特化性があり、その要素を画像に反映させやすい点が特徴です。そして第三に、複数のLoRAを組み合わせて使用することで、複雑な表現や独自のスタイルを作り出すことができる組み合わせの自由度も大きな利点です。
-
LoRAファイル名
: 使用したいLoRAのファイル名(拡張子.safetensors
などは不要)です。 -
強度
: LoRAの効果をどれくらい強く適用するかを0
から1
(またはそれ以上)の数値で指定します。1
が最大効果で、0.5
のように数値を下げることで効果を弱めることができます。
例えば、EasyReforgeに同梱されているNoobEStylesDump
のようなスタイル変更LoRAを活用する場合、ポジティブプロンプトに以下のように記述します。
<lora:NoobEStylesDump:1>, Pop Art, 1girl, ...
Pop Art
のように、LoRAのトリガーとなるキーワード(トリガーワード)をプロンプトに追加することで、より効果的にスタイルが適用されます。トリガーワードはLoRAの配布元で確認できます。
🌐 CivitaiからのLoRA導入
EasyReforgeに同梱されているLoRA以外にも、世界中のクリエイターが作成した膨大な数のLoRAが公開されています。その中でも最も有名なサイトが「Civitai(シヴィタイ)」です。Civitaiから新しいLoRAを導入することで、あなたの画像生成の可能性は無限に広がります。
1. NoobAIモデルと相性の良いLoRAの見つけ方
Civitai にアクセスし、検索バーであなたが使用しているベースモデルの名前(例: copycatNoob
や NoobAI
)を検索します。これにより、そのモデルと相性の良いLoRAや、そのモデルを使用して作成された作品を見つけることができます。検索結果で表示された優れた作品の詳細ページを見ると、その生成に使用されたモデルとLoRAの組み合わせ、さらにはプロンプトや設定値まで公開されていることがあります。これを参考に、自分のイメージに合ったLoRAを探しましょう。
2. LoRAファイルのダウンロード
使用したいLoRAを見つけたら、そのページの「Download」ボタンをクリックして、LoRAファイルをダウンロードします。ファイル形式は通常.safetensors
です。
3. EasyReforgeへの導入
ダウンロードしたLoRAファイル(例: my_new_lora.safetensors
)を、EasyReforgeのインストールフォルダ内の以下のパスに配置します。
EasyReforge/models/Lora/
ファイルを配置したら、EasyReforgeの操作画面をリロード(ブラウザの更新ボタンを押すか、EasyReforgeを再起動)することで、新しいLoRAが認識され、使用できるようになります。
⚠️ 複数のLoRAを組み合わせる際の注意点とテクニック
複数のLoRAを組み合わせることで、より複雑でユニークな画像を生成できますが、いくつかの注意点があります。同じような効果を持つLoRA(例: 複数の画風変更LoRA)を同時に使うと、効果が打ち消し合ったり、画像が破綻したりすることがあります。これは、AIが複数の異なる指示を同時に処理しようとして混乱するためです。複数のLoRAを使用する際は、まず一つずつ試して効果を確認し、問題がないことを確認してから組み合わせるようにしましょう。
複数のLoRAを同時に使用することで、より複雑で豊かな表現が可能になりますが、いくつかの注意点とテクニックがあります。これらを理解することで、LoRAのポテンシャルを最大限に引き出し、意図通りの画像を生成できます。
第一に、効果の競合に注意が必要です。同じような効果を持つLoRA(例: 複数の画風変更LoRA)を同時に使うと、効果が打ち消し合ったり、画像が破綻したりすることがあります。これは、AIが複数の異なる指示を同時に処理しようとして混乱するためです。複数のLoRAを使用する際は、まず一つずつ試して効果を確認し、問題がないことを確認してから組み合わせるようにしましょう。
第二に、各LoRAの強度の調整が重要です。全体のバランスを取るために、例えば特定のキャラクターLoRAと服装のLoRAを組み合わせる際には、それぞれの適用強度を微調整することで、より自然な画像を生成できます。
第三に、プロンプトとの組み合わせもLoRAの効果を最大限に引き出す鍵となります。LoRAの配布元で推奨されているトリガーワードや、相性の良いプロンプトを積極的に活用しましょう。
最後に、生成結果の確認と調整を繰り返すことが大切です。複数のLoRAを組み合わせた場合、意図しない結果になることもあります。生成された画像を注意深く確認し、必要に応じてLoRAの組み合わせや強度、プロンプトを調整する試行錯誤が求められます。
LoRAは、あなたの画像生成AIの表現力を飛躍的に向上させる強力なツールです。様々なLoRAを試したり、複数のLoRAを組み合わせたりすることで、自分だけのオリジナルな表現を見つけることができるかもしれません。ただし、LoRAの導入は自己責任で行い、信頼できるソースからダウンロードするように心がけてください。
🤖 プロンプト自動生成・拡張機能「TIPO」の活用
画像生成AIにおいて、理想の画像を生成するためには、詳細で適切なプロンプト(呪文)の記述が不可欠です。しかし、このプロンプト作成は初心者にとって大きなハードルとなることがあります。そこで役立つのが、EasyReforgeに搭載されている強力な拡張機能「TIPO (Text to Image with text Presampling for prompt Optimization)」です。TIPOは、LLM(大規模言語モデル)の力を借りて、入力された簡単なキーワードから、詳細で高品質なプロンプトを自動生成してくれる画期的なツールです。この章では、TIPOの基本的な使い方から、その実践的な活用術までを詳しく解説します。
⚙️ TIPOの基本的な使い方
TIPOの操作は非常に直感的で簡単です。以下の手順で、すぐにプロンプトの自動生成を体験できます。
-
TIPOの有効化
EasyReforgeの操作画面で、プロンプト入力欄の下にある「TIPO」項目をクリックして展開します。展開されたTIPOの設定項目の中から、「Enabled」チェックボックスにチェックを入れ、TIPO機能を有効にします。 -
簡単なキーワードの入力
通常のプロンプト入力欄に、生成したい画像のイメージを表す、ごく簡単なキーワードだけを入力します。例えば、「1girl, school uniform
」のように、最小限の要素で構いません。 -
画像生成の実行
キーワードを入力したら、画面右下にある「Generate」ボタンをクリックします。 -
TIPOによるプロンプトの自動補完と画像生成
Generateボタンをクリックすると、TIPOが入力された簡単なキーワードを解釈し、そのキーワードに基づいて詳細なプロンプトを自動で補完します。この補完されたプロンプトがAIに渡され、画像生成が実行されます。TIPOは、キーワードから背景、光の表現、服装のディテール、キャラクターの感情など、多岐にわたる要素を自動で追加してくれます。
💡 実践的TIPO活用術
TIPOは、単にプロンプトを自動生成するだけでなく、様々な応用が可能です。ここでは、TIPOをさらに効果的に活用するためのテクニックを紹介します。
1. 多様なバリエーションの生成
TIPOは、同じキーワードからでも、毎回異なる詳細なプロンプトを生成する能力を持っています。この特性を活かすことで、非常に多様なバリエーションの画像を効率的に生成できます。
手順: TIPOを有効にしたまま、EasyReforgeの「Seed」値を「-1
」(ランダム)に設定して、連続で画像を生成してみてください。Seed値は、画像生成の初期ノイズパターンを決定する数値で、-1
に設定すると毎回異なるノイズパターンから画像が生成されます。
効果: 同じキーワードから、全く異なるシチュエーションや構図、雰囲気のイラストが次々と生まれるはずです。これにより、新しいアイデアの発見や、プロンプトの可能性を探るのに非常に役立ちます。
2. NSFWコンテンツに関する注意点
TIPOは強力なプロンプト補完能力を持つため、意図せず成人向け(NSFW)コンテンツが生成される可能性、あるいはその生成を助長する可能性があります。
TIPOは、プロンプト作成の負担を軽減し、あなたの創造性をさらに引き出すための強力なパートナーとなります。簡単なキーワードから詳細な画像を生成できるTIPOをぜひ活用し、画像生成AIの新たな可能性を探求してみてください。
⚠️ よくあるトラブルと解決策
EasyReforgeは非常に安定したツールですが、PC環境や使用状況によっては、予期せぬ問題が発生することもあります。また、ソフトウェアは常に進化しており、定期的なメンテナンスも重要です。この章では、EasyReforgeのアップデート方法と、画像生成AIでよく遭遇するトラブルとその具体的な解決方法について解説します。これらの知識があれば、ほとんどの問題はご自身で解決できるようになるかもしれません。
🔄 EasyReforgeのアップデート方法
EasyReforgeは常に進化しており、新しい機能の追加やバグ修正が頻繁に行われます。最新の機能を利用し、安定した環境を保つために、定期的なアップデートを推奨します。EasyReforgeのインストールフォルダ内にあるUpdate.bat
ファイルをダブルクリックして実行することで、最新のプログラムがGitHubからダウンロードされ、EasyReforgeが自動的に更新されます。アップデート中は、EasyReforgeの操作画面(ブラウザ)を閉じるようにしてください。また、アップデートにより、styles.csv
などの設定ファイルが上書きされ、自分で登録したスタイルなどが初期化される場合があります。重要な設定は、事前にバックアップを取ることをお勧めします。アップデートが完了すると、コマンドプロンプトは自動的に閉じます。その後、再度EasyReforgeを起動してください。
💡 よく遭遇するトラブルと具体的な解決方法
画像生成AIの利用中に遭遇しやすいトラブルと、その解決策をQ&A形式でまとめました。困ったときは、まずここを確認してみてください。
Q1. インストールや起動がうまくいかない
考えられる原因と解決策:
原因はいくつか考えられます。第一に、セキュリティソフトの干渉です。本ツールはPython環境の構築などを行うため、ウイルス対策ソフトが誤って危険な動作と判断することがあります。この場合、インストール先フォルダを監視対象外に設定することで解決する場合があります。
第二に、VRAM不足が考えられます。特にVRAMが8GB未満の場合、起動に必要なリソースを確保できずに失敗することがあります。タスクマネージャーでVRAM使用量を確認し、不要なアプリケーションを終了させてから再度お試しください。
第三に、他のアプリケーションが使用していることによるポートの競合です。コマンドプロンプトに「Address already in use」と表示された場合は、他のWebサーバーなどを終了させてから起動してください。
最後に、NVIDIA製GPUのドライバが古い可能性です。公式サイトから最新のグラフィックドライバをインストールすることで解決することがあります。
Q2. 「Out Of Memory」エラーが発生する
考えられる原因と解決策:
このエラーの主な原因は、グラフィックボードのメモリ不足です。生成する画像の解像度が高すぎたり、バッチサイズ(一度に生成する枚数)が多すぎたりすると、VRAMが枯渇して発生します。
解決策は二つあります。一つ目は、起動オプションの変更です。EasyReforgeのショートカットのプロパティを開き、「リンク先」の末尾に --medvram
または --lowvram
を追記することで、VRAM使用量を抑えることができます。まずは --medvram
から試すことをお勧めします。
二つ目は、画像設定の調整です。画像の解像度やHires. fixの拡大率を下げたり、バッチサイズを1にしたりすることで、VRAM消費量を直接的に削減できます。
NaN
エラー)
Q3. 生成した画像が真っ黒、または緑一色になる(考えられる原因と解決策:
これはAIの計算結果が発散してしまう計算結果の異常(NaNエラー)です。主な原因として、モデルとVAEの相性問題、または設定値の異常が考えられます。
解決策として、まずVAEの確認・変更を試みてください。推奨VAEが適用されているか確認し、適用されていない場合は設定します。それでも解決しない場合は、VAEを「None」に設定するか、別のVAEを試すのが有効です。
もう一つの解決策は、CFG Scaleの調整です。この値が極端に高い(20以上など)場合に発生しやすいため、推奨値である5〜7の範囲内に戻して試してみてください。
Q4. プロンプト通りにならない、指示を無視される
考えられる原因と解決策:
AIがプロンプトを正確に理解していないか、他の要素が指示を妨げている可能性があります。
対策の第一は、プロンプトの配置の見直しです。AIはプロンプトの先頭に近い単語を重視する傾向があるため、重要な要素ほど前に記述します。
第二に、第5章で解説した強調構文の使用が有効です。(blue eyes:1.3)
のように記述して特定の要素を強めたり、逆に数値を1未満にして弱めたりすることができます。
第三に、ネガティブプロンプトの確認も重要です。意図しない要素が含まれていたり、ポジティブプロンプトの効果を打ち消すほど強い指定になっていないかを確認してください。
Q5. 手の破綻がどうしても治らない
考えられる原因と解決策:
ADetailerは強力ですが万能ではなく、特に複雑なポーズでは修正しきれないことがあります。
一つ目の対策は、ネガティブプロンプトの強化です。手に関するネガティブプロンプト(例: bad hands, extra fingers, mutated hands
など)を徹底的に追加します。
二つ目に、手専用のLoRAを導入するのも有効な手段です。Civitaiには手の描写を改善するLoRAが存在するため、第7章を参考に導入を検討してみてください。
三つ目は、画像の再生成です。複数の画像を生成して破綻の少ないものを選んだり、プロンプトや設定を微調整しながら試行錯誤したりすることも重要です。
これらのトラブルシューティングの知識があれば、EasyReforgeでの画像生成がよりスムーズになるはずです。もしここで解決できない問題に遭遇した場合は、EasyReforgeのGitHubリポジトリのIssuesページや、関連するコミュニティで質問してみるのも良いでしょう。
📁 生成した画像の保存・管理方法
EasyReforgeを使って素晴らしい画像を生成できるようになったら、次に気になるのは、それらの画像をどのように保存し、管理していくかでしょう。この章では、生成された画像の保存場所と、効率的な管理方法について解説します。せっかく生成した大切な作品を失わないためにも、しっかりと理解しておきましょう。
💾 生成された画像の保存先
EasyReforgeで生成された画像は、特別な設定をしない限り、EasyReforgeのインストールフォルダ内の特定の場所に自動的に保存されます。
通常、以下のパスに保存されます。
EasyReforge/outputs/txt2img-images/
-
EasyReforge/
: インストーラーを実行した際に指定したインストールフォルダのパスです。 -
outputs/
: EasyReforgeが生成した全ての出力ファイルが保存されるルートフォルダです。 -
txt2img-images/
: テキストプロンプトから画像を生成した場合(通常の画像生成)の画像が保存されるフォルダです。日付ごとにフォルダが自動で作成され、その中に画像ファイルが保存されます。
生成された画像は、通常、PNG形式で保存され、ファイル名には生成時のプロンプトの一部やSeed値、設定値などが自動的に付与されるため、後からどのような設定で生成された画像なのかをある程度判別できるようになっています。効率的な画像管理のためには、以下の点を考慮すると良いでしょう。まず、生成された画像はEasyReforge/outputs/txt2img-images/
以下に日付ごとにフォルダが自動で作成され保存されます。画像生成AIでは、同じプロンプトや設定でも、生成される画像は毎回異なります。そのため、気に入った画像が生成された場合は、その画像を別のフォルダに移動したり、ファイル名を変更したりして、後から見つけやすいように整理することをおすすめします。また、画像管理ツールや、画像にタグ付けできるソフトウェアなどを活用するのも良い方法です。これにより、大量の画像の中から目的の画像を素早く見つけ出すことができます。EasyReforgeで生成されたPNG画像には、生成時のプロンプトや設定情報が「PNG Info」として埋め込まれています。EasyReforgeの操作画面の「PNG Info」タブに画像をドラッグ&ドロップすると、その画像がどのようなプロンプトと設定で生成されたかを確認できます。この情報をテキストファイルとして保存しておくと、後で同じような画像を生成したい場合に非常に役立ちます。お気に入りの画像と一緒に、そのプロンプト情報をメモとして保存しておく習慣をつけると良いでしょう。PCの故障やデータ損失に備えて、定期的に生成した画像を外部ストレージ(外付けHDD、USBメモリ)やクラウドストレージ(Google Drive, OneDriveなど)にバックアップを取ることを強く推奨します。大切な作品を失わないためにも、バックアップは非常に重要です。
これらの管理方法を実践することで、生成した画像ライブラリは整理され、必要な画像を素早く見つけ出し、創作活動をよりスムーズに進めることができるかもしれません。
✅ 学習のまとめと次のステップ
本記事では、ローカル環境での画像生成AIに初めて挑戦する方に向けて、EasyReforgeの導入から応用的な使い方、トラブルシューティングまでを解説しました。EasyReforgeは、複雑な環境構築の手間を大幅に削減し、手軽に画像生成を始められるように設計されています。
プロンプトの試行錯誤は、画像生成AIの面白さの中核をなす部分です。本記事で紹介したプロンプトの考え方、主要な設定項目の意味、そしてLoRAやTIPOといった拡張機能の活用法を一つずつ試すことで、AIとの対話がより創造的なものになっていくと考えられます。
ここでの学習を終えたら、次のステップとして、まずは記事中で紹介した具体的なプロンプト例を試してみることをお勧めします。その後、Civitaiなどのサイトを訪れ、好みの画風やキャラクターのLoRAを探して導入してみるのも良いでしょう。実際に手を動かして試行錯誤を重ねることが、スキルを向上させる一番の近道です。
画像生成AIの世界は日々進化しており、新しい技術やモデルが次々と登場します。この記事が、あなたの創作活動を始めるための一助となれば幸いです。
🔌 APIを活用した画像生成の自動化
EasyReforgeは、Web UIとしての機能だけでなく、外部のプログラムから画像生成を制御するためのAPI(Application Programming Interface)も提供しています。このAPIを利用することで、Pythonなどのプログラミング言語からEasyReforgeの機能を呼び出し、画像生成プロセスの大部分を自動化できます。
APIで実現できること
APIの活用例は多岐にわたります。例えば、複数のプロンプトとパラメータを組み合わせて夜間に画像を大量生成したり、他のアプリケーションや自作ツールと連携して特定のワークフローに画像生成を組み込む外部ツール連携が可能です。また、同じプロンプトでCFG Scaleやステップ数といったパラメータを少しずつ変更しながら連続生成し、最適な設定値を探るパラメータ最適化や、機械学習用のデータセットを作成するといった用途にも活用できます。
APIの有効化とドキュメント
EasyReforgeでは、APIはデフォルトで有効になっていることが多いですが、もし無効な場合は以下の手順で有効化できます。
- EasyReforgeの操作画面で「Settings」タブを開きます。
- 左側メニューから「API」を選択します。
- 「Enable API」にチェックを入れ、「Apply settings」をクリック後、UIを再起動します。
APIが有効な状態で、ブラウザから http://127.0.0.1:7860/docs
にアクセスすると、利用可能な全てのAPIエンドポイントと、その使い方を記した公式ドキュメント(Swagger UI)を確認できます。
PythonによるAPI利用例
ここでは、Pythonのrequests
ライブラリを使って、基本的な画像生成を自動化するコード例をいくつか紹介します。
1. 基本的な画像生成
まずは、ひとつのプロンプトから画像を1枚生成する最も基本的なコードです。
import requests
import json
import base64
from PIL import Image
import io
# APIのエンドポイントURL
url = "http://127.0.0.1:7860/sdapi/v1/txt2img"
# 画像生成のパラメータを定義
payload = {
"prompt": "1girl, school uniform, cherry blossoms, masterpiece, best quality",
"negative_prompt": "lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing fingers",
"width": 512,
"height": 768,
"steps": 20,
"cfg_scale": 7,
"sampler_name": "DPM++ 2M Karras",
"seed": -1
}
# APIにリクエストを送信
response = requests.post(url, json=payload)
if response.status_code == 200:
result = response.json()
# Base64エンコードされた画像データをデコードして保存
image_data = base64.b64decode(result['images'][0])
image = Image.open(io.BytesIO(image_data))
image.save("generated_image.png")
print("画像が正常に生成され、'generated_image.png'として保存されました。")
else:
print(f"エラーが発生しました: {response.status_code}")
print(response.text)
2. 複数画像の連続生成
次に、プロンプトのリストを用意し、それらを順番に処理して複数の画像を連続で生成する例です。
import requests
import json
import base64
from PIL import Image
import io
import time
# 生成したいプロンプトのリスト
prompts = [
"1girl, school uniform, cherry blossoms, spring",
"1girl, summer dress, beach, sunset",
"1girl, winter coat, snow, city street",
"1girl, autumn leaves, park, golden hour"
]
url = "http://127.0.0.1:7860/sdapi/v1/txt2img"
for i, prompt_text in enumerate(prompts):
payload = {
"prompt": f"{prompt_text}, masterpiece, best quality",
"negative_prompt": "lowres, bad anatomy, bad hands, text, error",
"width": 512,
"height": 768,
"steps": 20,
"cfg_scale": 7
}
print(f"画像 {i+1}/{len(prompts)} を生成中: {prompt_text}")
response = requests.post(url, json=payload)
if response.status_code == 200:
result = response.json()
image_data = base64.b64decode(result['images'][0])
image = Image.open(io.BytesIO(image_data))
image.save(f"generated_image_{i+1:02d}.png")
print(f"-> 保存完了: generated_image_{i+1:02d}.png")
else:
print(f"-> エラーが発生しました: {response.status_code}")
time.sleep(1) # サーバーへの負荷を考慮して少し待機
print("全ての画像生成が完了しました。")
これらの例を参考に、プログラミングの知識を組み合わせることで、自分だけの画像生成ワークフローを構築し、EasyReforgeをより深く、効率的に活用することが可能になります。
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