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GX Core vs GX Cloud 機能比較
はじめに
データ品質をPythonでチェックできないかと思い、検索していたところ、「Great Expectations」というものがありました。
「Great Expectations」にはオープンソース版として自由にカスタマイズ可能な GX Core と、SaaS 型のマネージドサービスとして手軽に始められる GX Cloud があるようなので両者を比較したいと思います。
GX Core (OSS版) とは
GX Core は、Great Expectations のオープンソース版です。
- Python ライブラリとして提供され、自分のローカル環境やオンプレミスサーバー上で動作します。
- コード(Python/YAML)で期待値を定義し、CLI や Jupyter Notebook からバリデーション実行が可能。
- 完全無料で利用でき、Data Docs(HTML レポート)やデータプロファイリングなど豊富な機能を備えます。
GX Cloud (クラウド版)とは
GX Cloud は、Great Expectations 社が提供するフルマネージドの SaaS プラットフォームです。
- ブラウザベースのノーコード UI で期待値定義・検証実行・結果可視化ができる。
- バリデーションのスケジューリングやアラート通知、履歴管理・トレンド分析といった運用機能を標準サポート。
- Developer(無料)プランがあり、手軽に始められる一方、Team/Enterprise プランへのスケールも可能。
主要機能・特徴の比較
項目 | GX Core (OSS版) | GX Cloud (クラウド版) |
---|---|---|
提供形態 | Pythonライブラリ(ローカル/オンプレ) | フルマネージドSaaS(ブラウザUI+クラウドエンジン) |
UI/操作 | CLI/Jupyter Notebook | ノーコードのブラウザUI |
期待値定義 | Pythonコード/YAML | ウェブUI上でノーコード定義(必要に応じてコード連携可) |
バリデーション実行 | スクリプト or CLI/外部オーケストレーター連携 | クラウド上でワンクリック or スケジューリング |
レポート生成(Data Docs) | HTML生成→手動ホスティング | 自動ホスティング&ブラウザで即時閲覧 |
履歴管理・トレンド分析 | 自前で集計/保存 | 実行履歴を自動蓄積+グラフィカルにトレンド可視化 |
データプロファイリング | 内蔵プロファイリング機能 | プロファイリング結果をUIで確認 |
スケジューリング | なし(cronやAirflow等を別途用意) | 標準機能として定期実行設定が可能 |
通知・アラート | なし(外部連携 or カスタム実装) | 検証失敗時のアラート通知を標準サポート |
コラボレーション | Git等でコード/ドキュメント共有 | チームスペース/RBAC/監査ログ |
データ取り扱い | 完全ローカル処理 | データはユーザー環境内で処理(外部へのアップロード不要) |
対応データソース | Pandas, CSV/Excel, Spark, 各種DB, S3/GCS 等 | 主にクラウドDB(Snowflake, Redshift, BigQuery など)+GX Core互換ソースも利用可能 |
拡張性・カスタマイズ | Pythonで独自Expectationやバックエンド実装が可能 | GUI範囲内は限定的/高度なカスタムはCoreで実装し連携 |
メリット・デメリット
GX Core
-
メリット
- 無料&オープンソース
- オフライン/ローカル完結でデータを外部に出さない
- 高度なカスタマイズ性(独自Expectation作成可)
- 豊富な組み込み機能(データプロファイリング、Data Docs 等)
- 各種オーケストレーターと容易に統合
-
デメリット
- 初期設定・学習コストが比較的高い
- コード必須のため非エンジニアにはハードルが高い
- スケジューリング・通知機能を自前で用意する必要あり
- 大規模データ検証ではチューニングが必要
- 環境構築・運用トラブルは自己解決が基本
GX Cloud
-
メリット
- 個人開発だと無料(3人までだと無料らしい)
- ノーコードの直感的なブラウザUI
- ワンクリック期待値編集&検証実行
- 履歴管理+トレンド可視化ダッシュボード
- 定期実行スケジューリング&アラート標準搭載
- チームコラボレーション機能(RBAC/監査ログ)
- SOC2準拠のセキュリティ/データはユーザー環境内に留まる
- GX Coreエンジンの恩恵を自動アップデートで享受
-
デメリット
- オンライン必須(オフラインでは利用不可)
- GUI対応データソースや機能範囲に一部制限あり
- 無料プランは利用量・機能に制限
- 高度カスタム検証はCore連携が必要
- サービス依存&仕様変更リスク
- 単一ユーザー用途ではオーバースペックの場合も
終わりに
次回はGX Core (OSS版) について記事を書いてみたいと思います。
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