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RAGをMVP(Minimum Viable Product)を作って試してみた

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はじめに

最近RAGに興味を持ち、勉強がてらllama-indexなどで遊んでいました。
しかし、自分用のユースケースを見つけられず、「これは便利!」と感じるものは出来ませんでした。そこで代替案として、エンジニア向けに、こんなサービスがあったら良いだろうなと思うものを考案し、実際にMVPとして試してみたので共有します。

AWSのクラウドデザインパターンというMVP

MVP(Minimum Viable Product)という考え方があります。

MVPとは、最小限の機能で実際に動作し、ユーザーに価値を提供できる製品のことです。例えば、SNSアプリを作る場合、最初から高度な機能(動画投稿、ライブ配信、複雑なフィルター機能など)を全て実装するのではなく、まずは「投稿する」「閲覧する」「いいねする」といった最低限必要な機能だけを実装したものがMVPにあたります。

このアプローチにより、早期にユーザーフィードバックを得て、本当に必要な機能を見極めながら段階的に開発を進めることができます。

今回作成したのは、AWSのクラウドデザインパターンについて質問すると、構成図付きでパターンを案内してくれるMVPです。
実際に使えるものになるかは分からなかったため、ものは作らずに、道具を用意して手動で連携させてみました。道具立ては、Claudeの「プロジェクト」機能と、AWSの構成図を生成するPythonモジュールです。

構成要素

構成要素は以下のものです。

  1. クラウドデザインパターンのコンテンツ
  2. Claudeの「プロジェクト」機能
  3. AWSの構成図を生成するPythonモジュール

構成要素1. クラウドデザインパターンのコンテンツ

AWSクラウドデザインパターンのコンテンツを収集し、RAGに登録するためのデータとします。画像は使わず、文章データだけを使います。
HTMLをクロールして、Markdownに変換するスクリプトは kiyoka/study-of-cdp-rag に保存しています。

構成要素2. Claudeの「プロジェクト」機能

ClaudeのPro以上のサブスクリプション契約で利用できる機能で、Claudeのブラウザ版から使用できます。私はProプランを契約しています。

project-feature

「プロジェクト」機能は、非常に高性能なRAGシステムと捉えています。RAG以外の高度な機能がひと工夫入っている可能性もありますが、今回はMVPの効果検証が目的なので、詳細な技術仕様については深く追求しないことにします。
前述の変換後のMarkdownコンテンツを全部登録します。

構成要素3. AWSの構成図を生成するPythonモジュール

MVPを使ってみる

記事の最後に、実際にClaudeの「プロジェクト」の中で会話しながらデザインパターンを提案してもらっている様子を掲載しました。
Claudeの「プロジェクト」機能には図を描画する機能は搭載されていないため、Claudeが生成したPythonスクリプトを私が手動実行し、出力された画像ファイルを貼り付けました。
MVPが生成した回答を眺めてみると、なかなか使えそうな代物で、クラウドデザインパターンのサイトに搭載していても良さそうなものです。

まとめ

今回は、RAGを活用したMVPとして、AWSクラウドデザインパターンの相談サービスを試作しました。Claudeのプロジェクト機能とPythonの図表生成モジュールを組み合わせることで、実用的なプロトタイプが短期間で構築できることを確認できました。
恐らく、将来Amazonがこのような機能を実装してくるでしょうから、自分で実装する必要はありませんが、使い勝手を評価するには良い体験でした。





タスクの到着順に処理を平準化するデザインパターンとして、 Load Leveling Pattern(負荷平準化パターン) を紹介します。このパターンは、バースト的に到着するタスクを一時的にキューに蓄積し、処理能力に応じて順次処理することで、システム全体の負荷を平準化します。

アーキテクチャ概要

このパターンの核となる要素は以下の通りです:

Producer(プロデューサー): タスクを生成し、メッセージキューに送信
Message Queue: タスクを一時保管し、FIFO(First In, First Out)で管理
Consumer(コンシューマー): キューからタスクを取得し、一定の処理レートで実行
Load Balancer: 複数のコンシューマー間でタスクを分散

キューにより、タスクの到着レートと処理レートを分離できるため、システムのスループットが安定し、ピーク時の負荷によるリソース枯渇を防げます。

examples

実装上の主要考慮事項

1. キュー容量とバックプレッシャー

# キュー容量制限による背圧制御
MAX_QUEUE_SIZE = 10000
if queue.size() > MAX_QUEUE_SIZE:
    raise BackpressureException("Queue capacity exceeded")

2. Consumer Pool の動的スケーリング

処理待ちタスク数やキュー滞留時間に基づいて、コンシューマーインスタンス数を自動調整します。CloudWatchメトリクスやPrometheusと連携した閾値ベースのスケーリングが一般的です。

3. 順序保証とパーティショニング

厳密な順序が必要な場合は、パーティションキー(例:user_id)による分割を行い、同一キー内でのFIFO順序を保証します。

4. エラーハンドリング戦略

  • Exponential Backoff: 処理失敗時の再試行間隔を指数的に増加
  • Dead Letter Queue: 最大再試行回数を超えたタスクの隔離
  • Circuit Breaker: 下流サービス障害時の保護機構

このパターンにより、不規則なトラフィックパターンに対してもシステムの安定性と予測可能な応答時間を維持できます。Amazon SQS、Apache Kafka、Redis Streamsなどが実装基盤として広く利用されています。

Searched project for “タスク処理 平準化 デザインパターン アーキテクチャ”  6件の結果
メインページ.html.md
CDP_Job_Observerパターン.html.md
CDP_Queuing_Chainパターン.html.md
CDP_Priority_Queueパターン.html.md
main_page.md
aws_cdp_main.md

プロジェクト内の資料から、タスク処理平準化に関連する追加のデザインパターンを発見しました。AWSクラウドデザインパターンの非同期処理/バッチ処理カテゴリから、主要な3つのパターンを紹介します。

1. Job Observer パターン(動的ワーカースケーリング)Job Observer パターンは、キュー内のメッセージ数(ジョブ数)をCloudWatchでモニタリングし、Auto Scalingによってワーカーインスタンスを動的に増減させるパターンです。コスト効率を最大化しつつ、負荷の変動に自動対応します。

examples

技術的特徴:

  • SQSメッセージ数をメトリクスとしたスケーリングトリガー
  • スポットインスタンス活用による大幅なコスト削減
  • 処理完了まで時間がかかるバッチジョブに最適

2. Queuing Chain パターン(パイプライン処理)Queuing Chain パターンは、複数の処理ステージを独立したキューで連携させ、各ステージを疎結合で実装するパイプライン処理パターンです。

examples

技術的特徴:

  • 各処理ステージの独立スケーリング
  • ステージ間の非同期通信による高いフォルトトレランス
  • ボトルネックステージの特定と最適化が容易
  • Amazon Simple Workflow (SWF) との組み合わせで複雑なワークフローも実現

3. Priority Queue パターン(優先度制御)Priority Queue パターンは、タスクの重要度に基づいて複数のキューを使い分け、処理リソースを優先度に応じて動的に配分するパターンです。

examples

技術的特徴:

  • SLAに基づくワーカー配分アルゴリズム
  • キュー深度による動的リソース再配分
  • プレミアムサービス向けの専用処理レーン確保
  • 低優先度タスクの飢餓状態防止メカニズム

パターン比較と選択指針

パターン 適用場面 主要メリット 技術的複雑度
Load Leveling トラフィック平準化 安定した応答時間
Job Observer バッチ処理最適化 コスト効率最大化
Queuing Chain 多段階処理 高い可用性・スケーラビリティ 中〜高
Priority Queue SLA差別化 ビジネス要件への柔軟対応

これらのパターンは組み合わせて使用することも可能で、例えばQueuing ChainパターンとPriority Queueパターンを組み合わせることで、多段階処理かつ優先度制御が可能な高度なシステムを構築できます。

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