日本語入力システムSumibiの開発 part5:IMEの開発はロマン
AIが文章を生成してくれる時代にIME(日本語入力システム)を作る意味
2025年はAIの時代です。もうそろそろ人間がキーを打って文章を入力する時代は終わろうとしています。「いい感じの文章を作ってください」とChatGPTにお願いするのが日常茶飯事となっていて、1文字ずつ文字を打つ時代は終わりそうです。それでも、人間には文章を自分の手で書く意味があると思います。※この文章も Sumibi を使って書いています。
思考を整理するため
文章を繰り返し書き直す中で、自分の考えが整理されてきます。これはAIがいくら進化しても、失われることはないでしょう。AIにそれらしい文章を作ってもらっても、自分の考えが明確になることはほとんどありません。自分の考えが明確になっていないうちは、正しくAIにお願いすることもできません。結局はプロンプトを練り直すために、文字を打つことになるのだと思います。その時に、少々ミスタイプしてもそれなりに拾って言葉にしてくれるIMEがあったなら、考えることに集中できます。それがIMEを作る意味です。
ロマンの追求のため
もう一つは、ロマンです。日本語入力の開発を少しでもかじったことがある人なら、文脈を読み取って誤変換のほとんどないシステムを作りたいと夢見たことがあるでしょう。LLMが発明され、毎日のように性能が上がっているので、少し工夫すればやれないことはないという気になります。ここまで来たら、最後までやってみようではありませんか。最終的には、意識的に日本語変換する操作も不要にしたいと考えています。Sumibiは「日本語変換モード」を無くすことに成功しています。しかし、ローマ字を入力した後に(Ctrl-J)キーを押して、意識的に「この文章を漢字仮名混じり文にして」とお願いする必要があります。この変換キー(Ctrl-J)も無くしたいと考えています。テキストバッファでローマ字を入力していると、雰囲気を読んで変換が必要そうなところだけ自動的に日本語にしてほしい。これは、まさにロマンです。
挑戦は続く
最近試しているのは、この改善チケットです。変換対象のローマ字の周辺の文章を使って文脈情報とする試しに実装してみると、予想以上にうまくいっており、変換精度が爆上がりしました。この文章も改善したSumibiで書いています。これからもSumibiを温かく見守ってください。
おまけ
この記事は、SumibiとGPT-4.1で書きました。1本書くのにOpenAIに $0.50 払いました。従量課金でそれなりに高いですが、快適です。
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