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codexで株式分析レポートを自動生成する

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概要

CodexやClaude CodeなどのAI Agentを使うと、コーディング以外のタスクも自動化できそうだったので、株式分析レポートの自動生成を試してみました。
分析レポートは長いので、一番最後に記載しています。特に選んだ銘柄に意味はなく、またレポートの正確性も確認していません。あくまでレポートの自動生成の例としてご覧ください。

雑に作ったので、かなり改善の余地はありますが、株式分析レポートの自動生成の一例として参考になれば幸いです。
なお、今回はCodexを使用しましたが、Claude Codeでも同様のことができると思います。

実行スクリプト

TEMPLATE.mdが必要ですが、長いので今回は含んでいません。
ChatGPTなどでに指示すると適当に作ってくれるので、事前に作成しておいてください。

#!/usr/bin/env bash
set -euo pipefail

# 概要: 単一の銘柄コード (数字/英字混在可: 例 4751, 292A) を受け取り、TEMPLATE.md の内容を読み込んで
#        両者を結合したプロンプトを codex exec に渡すラッパー。
# 使い方: ./search.sh 4751
# 1つだけ指定可能。複数渡した場合はエラーにします。

if [ "${1-}" = "-h" ] || [ "${1-}" = "--help" ]; then
	cat <<'USAGE'
Usage: search.sh <ticker>

Example:
	./search.sh 4751

指定した銘柄コードとテンプレート本文を結合し、
	codex exec "<組み立て済みプロンプト>"
の形で実行します。テンプレートはスクリプトと同じディレクトリ階層の TEMPLATE.md を読み込みます。
USAGE
	exit 0
fi

if [ $# -eq 0 ]; then
	echo "[ERROR] 銘柄コードを1つ指定してください。 例: ./search.sh 4751" >&2
	exit 1
fi

if [ $# -gt 1 ]; then
	echo "[ERROR] 複数指定されています。1つのみ指定可能です。 渡した値: $*" >&2
	exit 2
fi

# 単一銘柄コード
code="$1"

# スクリプト配置ディレクトリ基準で TEMPLATE.md を特定
script_dir="$(cd "$(dirname "${BASH_SOURCE[0]}")" && pwd)"
template_file="$script_dir/TEMPLATE.md"

if [ ! -f "$template_file" ]; then
	echo "[ERROR] TEMPLATE.md が見つかりません: $template_file" >&2
	exit 3
fi

# テンプレート内容読み込み (コマンド置換で末尾改行保持)
template_content="$(cat "$template_file")"

# プロンプト構築: 銘柄コードを明示しテンプレート下部に記載
read -r -d '' payload <<EOP || true
あなたのタスクは「株式投資レポート用チェックリスト(記載ガイド)」を作成することです。
与えられた銘柄コードについて、web検索や計算を駆使して必要な情報を収集し、
与えられたテンプレートについて、各セクション・項目ごとに、“抽象的なテンプレのコピペではなく”、実際にそのまま埋めて最高品質の投資レポートを作成できるレベルまで徹底的に詳細化してください。

- 各セクションごとに「実際に記載すべき観点」「定量・定性で必要なデータ例」「具体的な設問分解例」「記載例」や「サブ項目・表形式の例」「なぜその観点が必要か(理由)」まで、粒度をそろえて詳述してください。
- 抽象的なテンプレや雛形文のままでは絶対に終わらせず、「このまま埋めれば根拠も説明も十分な投資判断材料となる」具体ガイドを強く意識し、
    - どのデータを・どの数値指標を・どう収集/検証し
    - どこをモニタリングすべきか
    - サブ設問や比較・裏付け・説明記載のポイント
    …を全て網羅してください。
- 「なぜこれを書くべきか」の観点ごと説明も必ず付与してください(例:業界KPI・他社比較等は投資判断の差別化要素となるためなど)。
- セクションごとの分解レベル・具体性(粒度)は、すべて揃うよう注意してください。
- 必要であれば、表形式・箇条書き・比較軸・KPI等を使い、「埋めるだけで実分析になる」記載テンプレとして仕上げてください。
- 決して抽象的な文例・テンプレ文のまま終わらせず、深掘り設問・具体例・理由付きで骨太なチェックリスト・ガイドと化すようにしてください(コピペ不可を厳守)。
- 誰でもこれを使えば実務で最高品質の投資レポートが書ける「埋めるだけテンプレ(詳細設問チェックリスト)」となっていることがゴールです。

# 手順

1. テンプレ内の各項目ごとに「実際の記載事項」を徹底分解せよ。
2. 各観点ごとにサブ設問・記載例・表形式例・理由・根拠データ・具体調査手順などを含め詳細化せよ。
3. 各項目の粒度・網羅性・具体性を「誰が使っても埋められる」レベルで揃えよ(抽象テンプレや雛形NG)。
4. 「なぜそれが必要か?」の理由も明記し、投資判断の実務利用シーンを想定して見落としなく明文化せよ。

# 出力形式

- 各テンプレート項目ごとに【セクション名】+【詳細設問ガイド(本文)】の形で順番通り体系的に整理。
- サブ設問、必要データ例、理由・背景、記載例・確認ポイント、表・グラフ形式例などを適宜含め、体系的に網羅。
- 必ず日本語で、簡潔かつ網羅的に記載。
- 冗長化せず、論理的・実務的な順序および粒度統一を厳守。

# 例

【セクション名】
- サブ設問1 (記載例・チェックリスト・取得データ例)
   - なぜそれを書くのか(理由・投資判断への影響)
- サブ設問2 …
- <必要に応じて表形式やフォーマット例も併記>

(※実際には解説・設問・理由等をより多く分解・整理し、「コピペ不可」な明細チェックリスト化すること。例は短縮形、実際は各セクションでより詳細化すること。)

# Notes
- 必ず「抽象テンプレそのまま記載」や「雛形コピペ」ではなく、深掘りされた具体設問・記載観点・理由まで必ず全て整理すること。
- 「本テンプレをそのまま埋めれば実務で完成度の高い投資レポートになる」レベルの厳密なガイド・チェックリスト設計をゴールとすること。
- 必要に応じて不足項目も柔軟に追加してよい。
- 設問例・記載実例は、必要な場合には【例】または表などで示すこと。
- すべての項目が「具体化」「理由記載」「コピペ不能」な水準かつ項目間で粒度が揃っているか必ず確認。

【最重要リマインダー:抽象的テンプレや過去の雛形のコピー・貼付は厳禁。すべて実務ガイドとなる具体設問・理由付きを徹底・網羅的に作成し、「誰でも最高品質投資レポートを完成できる」状態まで詳細に設計してください。】

---
*** 銘柄コード: $code ***

# 詳細な記載内容指示テンプレート
--- TEMPLATE START ---
$template_content
--- TEMPLATE END ---

# Output Format

全項目ごとに体系的に詳細化した「指示テンプレート(設問リスト+指示コメント)」として日本語で出力。各項目ごとにサブ設問・記載すべき観点・必要なデータ例・理由説明の促しを含め、必要なら表形式や箇条書きを用いて整理すること。冗長化せず、分かりやすく網羅的に記述せよ。

# Notes
- 各セクションに同じくらいの粒度・具体性を与えること
- 必要に応じて(例:KPIや競合比較等)、”記載例”や表・定量データの形式例を明示してよい
- 「なぜそれを書くのか」の理由付与や、定量/定性分析観点になるべく言及する
- 本テンプレを使うことで、分析の精度・網羅性・説得力が向上することを意識
- 必要なら参考項目・追加説明も柔軟に追加してよい

【リマインダー(重要指示):このテンプレートの最終目的は「各設問・論点が十分に深掘りされた、誰でも最高品質の投資レポートを作れるガイド」となること。分かりやすさ・網羅性・論理的因果関係に注意して整理してください。】

EOP

codex --search exec -m gpt-5-codex --dangerously-bypass-approvals-and-sandbox -c model_reasoning_effort="high" -c model_verbosity="high" "$payload"

感想

web search頼みだと結果が安定しなかったので、J-Quants apiなどで定量データを取得してからレポート生成に回すと、より安定しそうです。
また、グラフや表を生成させて、レポートに埋め込むこともできそうでした。

テンプレートの工夫次第で、様々なレポートが生成できそうなので、興味がある方は試してみてください。

生成された株式分析レポート例 (銘柄コード: 4751)

**CyberAgent 投資レポート**

## 0) 表紙(誰でも開いて10秒で全体像)
- 銘柄 / ティッカー / 市場:サイバーエージェント株式会社 / 4751 / 東証プライム (cyberagent.co.jp)
- 期間:6–12ヶ月 / 12–24ヶ月
  - 2025年9月期決算発表(11月上旬想定)、ABEMA大型スポーツ配信、広告市場サイクルの転換点を観測できるため12ヶ月を主軸に、ゲーム新作投入サイクルを含む24ヶ月シナリオも補足
- 判断:買い(確信度:□低 ☑中 □高)
  - 2025年9月期9カ月累計で営業利益が31%増、メディア損失縮小とインターネット広告のシェア維持を確認できる一方、広告景気鈍化リスクを抱えるため確信度は中 (marketscreener.com)
- 目標株価レンジ:1,350–2,800円(Bull 2,800 / Base 2,250 / Bear 1,350)
  - Bull:デジタル広告回復とABEMA黒字化前倒し(想定営業利益80億円)を織り込む
  - Base:会社計画+独自補正(売上高8,510億円、営業利益620億円、EPS77円)とEV/EBITDA 15x適用
  - Bear:デジタル広告マイナス成長とゲームヒット不発(営業利益420億円、PER16x)
- 河合式PEG:3.0(来期PER 18.9x ÷ 今期SPS成長 6.2%)
  - 2025年度SPS 1,681円(自社推計)と2026年度EPS 93円前提。成長率の割にバリュエーションはやや重いが、前年度低迷からの回復局面で解釈が必要
- R/R(期待収益 / ダウンサイド):+23.6% / -22.9%(比2.6x)
  - 現在値1,750円(2025/09/04終値)とシナリオ別期待値2,162円から算出。Bearケースは広告減速・メディア赤字拡大を想定 (tradingeconomics.com)
- 最重要カタリスト(3つまで):① デジタル広告費の再加速(2025年国内見通し+7.1%)② ABEMA大型スポーツ配信の同時接続記録更新 ③ 新作ゲーム(Uma Musume・ブルーアーカイブ等)大型アップデート
  - ①市場自体の再成長がネット広告セグメントのトップライン回復に直結 (dentsu.co.jp)
  - ②ABEMAの大型配信は広告単価・プレミアム会員拡大に効く (news-postseven.com)
  - ③IP運営力がゲームセグメント利益率を決定
- 見直しトリガー(thesis崩壊条件):① 国内インターネット広告費が前年比0%以下に鈍化 ② ABEMAのEBITDA赤字が四半期50億円超に拡大 ③ ゲーム主要タイトルの月商が30%超減少
  - ①dentsuの月次指標で確認 ②決算セグメント情報で損失幅を監視 ③App Store/Google Playセルスランク、外部トラッキングを週次で確認

## 1) 事業の骨格(“何でお金を稼ぐか”)
- ひとことで:デジタル広告首位、ABEMAを核とするメディア投資、ヒットモバイルゲームIPを三本柱にネット産業を横断するプラットフォーム企業(80字)
- 収益モデル:混合型(インターネット広告52.7% / メディア・IP24.5% / ゲーム22.8%)
  - 広告:広告主からの手数料・運用型広告。反復性が高いが景気感応度大
  - メディア:ABEMA広告+課金、WINTICKET等。現在は投資フェーズで赤字
  - ゲーム:自社開発・共同運営タイトルの課金収入。ヒットのライフサイクル管理が鍵 (marketscreener.com)
- セグメント/地域別売上・営業利益構成:

  | セグメント | 売上高 (百万円) | 構成比 | 営業利益 (百万円) | コメント |
  | --- | --- | --- | --- | --- |
  | インターネット広告事業 | 333,137 | 52.7% | 42,827 | スマホ運用型が伸び直し、クリエイティブAI活用で粗利率改善 (marketscreener.com) |
  | メディア事業・IPクリエイション | 154,942 | 24.5% | -3,584 | ABEMA赤字縮小、スポーツ&恋愛番組で広告単価改善 (marketscreener.com) |
  | ゲーム事業 | 143,914 | 22.8% | 9,554 | 『ウマ娘』『プリコネ』『ブルアカ』の安定運営と周年施策 (marketscreener.com) |

- 競争優位:
  - ネットワーク×規模:広告運用データ量とAI最適化でGoogle/Facebookに次ぐ国内運用力 (cyberagent.co.jp)
  - ブランド×IP:ABEMAブランドと自社IPの強いファンベースがクロスセルを可能に
  - 切替コスト:広告運用のノウハウ蓄積とゲーム内イベント資産が囲い込みを生む
- 需要ドライバー:
  - マクロ:日本のインターネット広告費は2024年に3.33兆円(前年比+12.3%)と過去最高、店舗DX/動画広告が牽引 (dentsu.co.jp)
  - 個別:ABEMAの大型スポーツ配信が視聴者数を押し上げ、プレミアム課金の伸長余地 (news-postseven.com)
  - ゲーム:スマホゲーム市場は2024年1330億ドル→2029年1620億ドルへCAGR4.3%と拡大継続 (businessinsightsnews.com)
- TAM/SAM/SOM:
  - TAM:国内インターネット広告費3.33兆円(2024年実績) (dentsu.co.jp)
  - SAM:国内動画・配信広告1.2兆円規模(ABEMAが主戦場、社内推計)
  - SOM:インターネット広告売上3,331億円 → TAM比10%シェア(2025年9月期3Q累計) (marketscreener.com)

## 2) 産業・競合地図(“なぜこの会社が取れるの?”)
- 産業成長:国内インターネット広告CAGR 9〜10%想定(2024→2027)、循環性:中(景気敏感だが対面広告より耐性)、価格決定力:中(大手プラットフォームとの交渉力が鍵) (dentsu.co.jp)
- 主要競合と比較:

  | 企業 | 売上 (FY24/最新) | SPS成長 | 営業利益率 | コメント |
  | --- | --- | --- | --- | --- |
  | サイバーエージェント (4751) | 801,236百万円 | +11.4% | 5.0% | 広告安定+メディア投資段階 (cyberagent.co.jp) |
  | デジタル広告市場平均 | 3,330,700百万円 | +12.3% | N/A | 市場伸長を上回れずシェア微減 (dentsu.co.jp) |
  | グローバルスマホゲーム市場 | 19兆円相当 | +CAGR4.3% | N/A | IP長期運営が鍵 (businessinsightsnews.com) |

  - 競合ベンチマーク:国内では電通グループ、博報堂DY、LINEヤフーが主要。ABEMAはTVer・YouTube等と視聴時間を争い、ゲームはCygames/DeNA/Aniplex等のイベント運営競争が激しい
- 規制・技術変化・代替リスク:
  - クッキーレス化で運用広告ROI低下リスク(Google Privacy Sandbox)
  - 生成AIのクリエイティブ競争力向上で差別化が問われる
  - OTT競争激化:TVerが広告在庫を拡大しABEMA広告単価圧力 (news-postseven.com)

## 3) 財務クオリティ(“伸びの質”)
- 売上/営業利益/純利益:5年トレンド(百万円)

  | 期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
  | --- | --- | --- | --- |
  | 2020/9 | 478,567 | 52,641 | 19,677 |
  | 2021/9 | 666,960 | 73,001 | 34,610 |
  | 2022/9 | 719,451 | 25,043 | 10,025 |
  | 2023/9 | 780,259 | 34,063 | 12,145 |
  | 2024/9 | 801,236 | 40,083 | 15,977 |
  | 2025/9E | 851,000 | 62,000 | 39,200 |

  - 2024年度は広告堅調・メディア投資抑制で営業利益5.8pt改善。2025年度は広告反転とメディア赤字縮小を織り込む (cyberagent.co.jp)
- マージンブリッジ:
  - 粗利率:広告単価改善で+0.6pt、メディア粗利改善が寄与
  - 販管費:ABEMA投資・人件費増で売上比+0.3pt、生成AI開発費が上昇
  - 結果として営業利益率は5.0%→2025E 7.3%へ拡張
- キャッシュフロー:
  - 営業CF 53,231百万円 / FCF 12,684百万円 / FCFマージン1.6%(2024年度) (cyberagent.co.jp)
  - 投資CFの主因はコンテンツ投資・設備投資、ABEMA向けライツ取得
- 運転資本回転:
  - 売掛金:広告代理事業で60日程度、季節性が高い
  - 買掛金:在庫負担小さいが四半期末の配信権支払いが集中
  - 在庫:ゲーム内アイテムなど無形資産中心で在庫負担は限定的
- ROIC vs WACC、レバレッジ:
  - ROIC(NOPATベース)約7.3% vs WACC仮定7.5%(10年JGB 1.09%+ERP 5.5%+β1.1) (dailyfx.com)
  - Net Debt/EBITDA ≈ -2.0x想定(現金等256,878百万円に対し有利子負債を控えたネットキャッシュ) (cyberagent.co.jp)
- 会計ノイズ:
  - ABEMA関連の減損リスク低下も、将来の大型放映権計上時に一時費用が発生し得る
  - 投資有価証券評価損益が純利益ブレの一因
- 質スコア(0–10):粗利1.5 / FCF1.0 / 顧客KPI1.5 / 資本配分1.0 / 会計健全性1.5 = 6.5
  - FCFの低さが課題だが、顧客基盤強さと会計の透明性で加点

## 4) KPIとユニットエコノミクス
- 主なKPI:
  - インターネット広告売上成長率(2025年3Q累計▲2.3%) (marketscreener.com)
  - ABEMA月間アクティブ視聴者数(大型配信でピーク視聴4.9百万人) (news-postseven.com)
  - プレミアム会員数:非開示のため決算説明資料・アプリストアランキングで代理指標を追跡
  - ゲーム課金KPI:主要タイトルのセルラン(『ウマ娘』周年施策でTOP10維持)
- 運営効率:
  - 広告運用人員あたり粗利:AIツール導入で時間当たり生産性改善
  - ABEMA CDNコスト/時間:大型イベントの同時接続最適化が黒字化の鍵
- コホート分析:
  - ABEMAプレミアムの加入 cohort(スポーツイベント起点 vs 恋愛リアリティ番組起点)の継続率比較
  - ゲームでは周年イベント後のARPPU維持と新規流入の定着率を比較

## 5) 予想の作り方(仮説→数字)
- レベニュー・ビルド:
  - 広告:出稿総額 × サイバーAシェア(約10%) × テイクレート。景気シナリオ(GDP成長 ±1pt)で感度分析
  - メディア:ABEMA広告単価 × 広告枠販売率+プレミアム会員数 × 月額960円
  - ゲーム:ARPU × MAU × 継続率。周年施策・新作効果をシナリオ化
- コスト前提:
  - 人件費率:25%→24%へ改善(AI活用・レバレッジ向上)
  - コンテンツ費:スポーツライツ費増を売上成長で吸収できるかを検証
  - 広告宣伝費:ABEMAプロモーションを売上比9%→8%へ低減
- Capex/設備投資・出店計画:
  - スタジオ拡張、CDN契約、eスポーツ施設投資を年80~100億円で想定
  - M&A:IP獲得・ゲームスタジオ買収余地
- EPS+1/+2・SPS算出:
  - EPS_2025E 77円、EPS_2026E 93円、SPS_2025E 1,681円
  - 変数:広告成長率+1ptでEPS +4円程度、ABEMA黒字化前倒しで+6円
- デルタ要因:
  - 広告テイクレート±0.5pt → EPS ±3円
  - ABEMA広告単価±5% → EPS ±2円
  - ゲーム課金±10% → EPS ±5円、SPS ±2%

## 6) バリュエーション(多面鏡で見る)
- 河合式PEG=3.0(来期PER18.9 ÷ 今期SPS成長6.2)
  - 成長に比して高めの評価。広告回復がSPS成長を押し上げれば改善余地
- 来期PER=1,750円 ÷ EPS_2026E 92.8円 ≈ 18.9x
  - 国内ネット広告大手の平均PER 20x前後と比較してフェアバリュー
- SPS成長(%)=(1,681 / 1,582 −1)×100 ≈ 6.2%
- PEG(一般式)=18.9 ÷ 19.9 ≈ 0.95(EPS反発が寄与)
- コンプス:

  | 企業 | P/E | EV/EBITDA | EV/Sales | P/FCF | コメント |
  | --- | --- | --- | --- | --- | --- |
  | サイバーエージェント | 18.9x | 12.6x | 1.1x | 55x | 広告+メディア投資 (自社推計) |
  | 電通グループ | 20x | 10x | 1.3x | 18x | 国内広告首位 (dentsu.co.jp) |
  | DeNA | 16x | 7x | 1.0x | 22x | ゲーム・スポーツ複合 (businessinsightsnews.com) |

- DCFサマリ:
  - WACC 7.5%、終価成長g 2.0%、企業価値 9910億円、感度(WACC±1% / g±0.5%)で株価レンジ1,880〜2,430円
- SOTP:
  - インターネット広告:営業利益420億円×EV/EBITDA 12x → 5,040億円
  - メディア:売上2,300億円×EV/Sales 2.0x → 4,600億円(投資フェーズ割引 50%)
  - ゲーム:営業利益95億円×EV/EBITDA 10x → 950億円
  - 持分法投資等:200億円 → 合計約1.07兆円(株価2,120円水準)

## 7) シナリオ&感度
- Bull/Base/Bear表:

  | シナリオ | 主要前提 | 売上高 (億円) | EPS (円) | マルチプル | 株価 (円) |
  | --- | --- | --- | --- | --- | --- |
  | Bull (確率25%) | 広告+10%、ABEMA黒字化、ゲーム課金+15% | 9,200 | 100 | PER 28x | 2,800 |
  | Base (確率50%) | 広告+6%、ABEMA損失縮小、ゲーム横ばい | 8,510 | 77 | PER 29x / EV/EBITDA 15x | 2,250 |
  | Bear (確率25%) | 広告+2%、ABEMA赤字縮小停滞、ゲーム-10% | 8,000 | 60 | PER 22x | 1,350 |

- 確率ウェイトと期待値:期待株価2,162円(Upside +23.6%)
- 感度分析:
  - SPS成長 ±3pt → 株価 ±210円
  - 来期PER ±3x → 株価 ±270円
  - 粗利率 ±1pt → EPS ±5円 / 株価 ±90円
  - WACC ±1% → DCF株価 ±160円

## 8) リスク/ミティゲーション
- 需要鈍化:広告出稿の減速 → 毎月のdentsu指標と主要クライアント出稿状況をモニタ
- コスト上昇:大型スポーツライツ費高騰 → 契約前にROI試算、スポンサー連携強化
- 規制:プライバシー規制・景表法強化 → 自社データクリーンルーム、法務チェック体制
- 競争:TVer/YouTube/TikTok等の動画競争 → 差別化コンテンツとコメント機能強化
- 希薄化:従業員持株会・M&A株式対価 → 自己株買い余力の算定
- 実行力:ABEMA黒字化・ゲーム新作投入 → KPIベースのボーナス制度、アジャイル開発
- 会計:投資有価証券評価損 → 保有ポートフォリオの目標リターン管理
- ミティゲーション:短期的な広告減速には固定費抑制・AI効率化、スポーツライツはスポンサー確約後に契約する等

## 9) テクニカル・需給
- 流動性:3カ月平均出来高約150万株、売買代金26億円程度で中型株としては許容水準 (tradingeconomics.com)
- 株主構成:
  - 取締役会長藤田晋31.3%、自社(自己株)8.1%、外国法人16.1%、個人・その他34.5% (cyberagent.co.jp)
  - 自社株買いは2024年に上限100億円実施済み、追加余地はネットキャッシュに依存
- ショートインタレスト:公開データ小幅。大口裁定取引が需給を左右
- ファクター露出:成長+クオリティ因子。TOPIX Growthとの相関高
- チャート:1,200円を底に2012年高値1,889円がレジスタンス。イベント時ギャップアップが多く押し目待ち難

## 10) 実行計画(トレード設計)
- エントリー:1,650円近辺(50日移動平均)で初回、1,550円で追加。利確2,250円、撤退1,350円
- 目標サイズ:ポートフォリオ比率5%、許容損失1.5%(損失額=エントリー×数量×下落幅)
- 執行:板厚に応じた指値分割(3分割)、決算前後は出来高急増を考慮しVWAP付近で執行
- ヘッジ:TOPIX先物ショートβ0.6、もしくはメディア・ゲーム競合とのペア(DeNA空売り)。オプションは流動性限定的で非推奨

## 11) 監視ダッシュボード(週次/決算ごとに更新)
- KPIトラッキング:
  - PEG 3.0、来期PER 18.9、SPS成長 6.2%、粗利率改善幅+0.6pt
  - ABEMA同時接続、プレミアム加入純増、広告成約率
  - ゲームKPI(セルラン順位、課金イベント売上)
- 早期警戒:
  - Google検索トレンド「ABEMA」「ウマ娘」、番組視聴予約リードタイム
  - エンジニア採用倍率、広告主ロス率、クーポン濫用状況
- 次イベント:
  - 2025年10月:通期決算発表+中期計画アップデート
  - 2025年11月:ABEMAスポーツ大型イベント、広告単価への影響
  - 2026年春:新作ゲームローンチ想定

## 12) “刺されがちな質問” 想定Q&A(回答フレーム)
- Q1:河合式PEG 3.0でも投資妙味は?
  - A1:SPS成長が6%台とまだ低いが、広告市場回復とABEMA黒字化で二桁成長余地。EPS成長率ベースではPEG 0.95と割安感
- Q2:ABEMAはいつ黒字化する?
  - A2:2026年度に広告単価+15%、プレミアム会員+20%で営業黒字転換を想定。スポーツライツはスポンサー連携で回収
- Q3:ゲーム依存は大丈夫か?
  - A3:ゲーム売上構成比23%、タイトル分散でリスク低下。周年イベントでLTV維持、海外展開も検討
- Q4:広告景気悪化時の対応は?
  - A4:クリエイティブAI×運用効率でテイクレート防衛、可変費化した宣伝費を迅速に削減
- Q5:ROEが低いのでは?
  - A5:投資フェーズのメディア赤字が押し下げ要因。黒字化と自己株買いで改善余地

## 13) 付録(式・定義)
- EV=時価総額+有利子負債−現金等
- FCF=営業CF−投資CF
- ROIC=NOPAT÷投下資本
- PEG(一般)=PER÷EPS成長率
- 河合式PEG=来期PER÷SPS成長率(%)
- LTV=ARPU×毛利率×平均継続月数
- CAC回収期間=獲得コスト÷月次毛利

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