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PydanticのJsonはそのまま使わないほうがいい

2024/09/26に公開

始めに

PydanticにはJsonという便利な型があります。便利ではあるのですが、素のJson型では開発しづらい点があったので自分のアプリケーションでは拡張して使っています。

今回の記事では何に困ったのか、どのように拡張したのかを記載します。

環境

  • Python
    • 3.12.4
  • FastAPI
    • 0.114.2
  • Pydantic
    • 2.9.1

ユースケース

  • フロントで自由なデータ構造を定義してバックエンドとしては単純に保存する。また、フロントで取り出せるようにバックエンドで保存したデータ構造をフロントに返却する。

困ったケース

PydanticJsonで定義するとフロントで定義した自由なデータ構造がJson型であることを保証してくれます。ですので、フロントからバックエンドへの接続時には問題ありません。問題は、バックエンドからフロントにデータ構造を返却した時でした。PythonとしてはJsonとはListDictにあたります。

# 次はすべてJson
{}
[1, 2, 3]
{'value': {'nestedKey': 'value'}}

そのため、フロントから得たデータ型をそのまま返却した時に次のエラーが出力されてしまいます。

pydantic_core._pydantic_core.ValidationError: 2 validation errors for _Test3
value.json[any]
  JSON input should be string, bytes or bytearray [type=json_type, input_value={'value': [{'a': 'b'}]}, input_type=dict]
    For further information visit https://errors.pydantic.dev/2.8/v/json_type
value.is-instance[JSON]
  Input should be an instance of JSON [type=is_instance_of, input_value={'value': [{'a': 'b'}]}, input_type=dict]
    For further information visit https://errors.pydantic.dev/2.8/v/is_instance_of

一応、毎回json.dumpsで文字列に変換すれば問題はないのですが、影響範囲がかなり大きい状態になっていたので型で解決することにします。

実装

PydanticJsonだけでなく、DictListも定義しました。このように定義することで、フロントからバックエンドはデータを受け取りつつ、バックエンドからフロントに容易に返却できます。

JsonField = Annotated[
    Json[Any] | Dict[str, Any] | List[Any],
    Field(examples=['{"value": {"a": "b"}}', ["A", "B"], {'value': [{'a': 'b'}]}]),
]

一応、Jsonを残しておくメリットもないのですが、エラーメッセージはJsonのものを使用したいので、そのままにしています。

pydantic_core._pydantic_core.ValidationError: 3 validation errors for _Test2
value.json[any]
  Invalid JSON: key must be a string at line 1 column 2 [type=json_invalid, input_value='{[1, 2, 3]}', input_type=str]
    For further information visit https://errors.pydantic.dev/2.8/v/json_invalid
value.dict[str,any]
  Input should be a valid dictionary [type=dict_type, input_value='{[1, 2, 3]}', input_type=str]
    For further information visit https://errors.pydantic.dev/2.8/v/dict_type
value.list[any]
  Input should be a valid list [type=list_type, input_value='{[1, 2, 3]}', input_type=str]
    For further information visit https://errors.pydantic.dev/2.8/v/list_type

実装およびテストコードについては次のとおりです。

import json
import pytest
from typing import Annotated, Dict, Any, List

from pydantic import BaseModel, Json, Field

JsonField = Annotated[
    Json[Any] | Dict[str, Any] | List[Any],
    Field(examples=['{"value": {"a": "b"}}', ["A", "B"], {'value': [{'a': 'b'}]}]),
]

class TestJson:
    class _Test2(BaseModel):
        value: JsonField

    @pytest.mark.parametrize(
        "value",
        [
            '{"value": {"a": "b"}}',
            ["A, B"],
            {'value': [{'a': 'b'}]}
        ],
    )
    async def test_02(self, value: Any):
        # Dict と Listを定義しているので、json.dumpsは不要
        instance = self._Test2(value=value)
        self._Test2.model_validate(instance.model_dump())

別のメリット

また、型定義をしつつFieldexamplesを伝えることによって、OpenAPIのサンプルレスポンスがわかりやすくなります。内部的にはJSONであればなんでも受け取れるのですが、サンプルがないと事前にシリアライズした状態でリクエストしてほしいように見えます。

10001.png

10002.png

各項目でexamplesを定義するのは面倒ですので、Annotatedで定義箇所を1つにまとめられるのはメリットです。

ソースコード

終わりに

Json型をそのまま使うことはないかもしれませんが、覚えておくと少し便利です。

参考情報

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