Typstテンプレートを使用する
要約
-
VS Codeを使用する方法→VS CodeとTinymistをインストール。
Ctrl+Shift+P
からtypst template
と検索してTypst: Show Avarable Typst Templates (Gallery) ...
を実行。テンプレート名を検索して+
ボタンをクリック。 -
Typst CLIを使用する方法→Typstをインストール。以下のコマンドで完了。
typst init @preview/jaconf my-doc
-
Typst Appを使用する方法→Typst Appでアカウントを作成してログイン。
Start from template
からテンプレート名を検索してProject Title
を記入してCreate
をクリック。
はじめに
Typstとは、学術用途のために新たに生まれたマークアップベースの組版システムです。より詳細な概要はこちらをご参照ください。
このTypstのテンプレートはTypst Universeというところで公開でき、この記事ではそれらのTypstテンプレートの使用方法について解説します。
具体例として、私が公開している国内学会の予稿に似せたテンプレートを使用しますが、もちろん他のテンプレートでも実行可能です。
この記事では以下の3通りの方法をご紹介します。
- VS Code + Tinymist : VS Codeで執筆する場合にオススメ
- Typst CLI : テキストエディターに依存せずローカルで実行可能
- Typst App : Typst公式のオンラインエディター
これらはすべてできる必要はなく、いずれかができれば問題ありません。 需要があれば他の方法なども追記しますので、ご要望などいただけますと嬉しいです。
VS Codeを使用する方法
エディターソフトにこだわりがない場合にはVS Code (以降VS Code)を使用すると楽かと思います。
インストール
まずはVS Codeをインストールしてください。
つぎにその拡張機能であるTinymist Typstをインストールしてください。
Tinymist Typstによるテンプレートの使用
- VS Codeですでにフォルダーを開いている場合には閉じてください。
Ctrl+Shift+N
から新しいウィンドウを開いていただいてもかまいません。 -
Ctrl+Shift+P
からtypst template
と検索してTypst: Show Avarable Typst Templates (Gallery) ...
を実行してください。
- テキストボックスで
jaconf
を検索してください。+
の横の♥
を押すとお気に入り登録ができ、All
の横の♥
で絞り込みができます。
+
でフォルダーを指定することで、フォルダーの選択画面が出ます。適当にフォルダーを作成してSelect folder to initialize
を押してください。そこにmain.typとrefs.ymlが生成されます。
- main.typを開き、ファイルの一番上の行にある
Preview
を押すことで仕上がりを確認しながら執筆できます。完成したらExport PDF
でPDF文書の出力が可能です。
Typst CLIを使用する方法
VS Code以外のエディターソフトを使いたい場合や、コマンドライン操作になれている場合にはこの方法を推奨します。
Typst CLIのインストール
Typstのインストール方法はTypstのGitHubページにある通りですが、簡単にまとめます。
Windows
PowerShellを開き以下のコマンドを入力します。
winget install --id Typst.Typst
winget
コマンドが有効でない場合には、Microsoft Storeからアプリインストーラーをインストールすると使えるようになります。
Mac
-
Homebrewをインストール
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
-
以下のコマンドを入力
brew install typst
Linux
Linuxの場合にはディストリビューションごとにインストールコマンドが変わりますが、Rustを通せばどれも同じコマンドとなります。
-
Rustをインストール
curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh
-
以下のコマンドを入力
cargo install --locked typst-cli
Typst CLIによるテンプレートの使用
- 以下のコマンドで、作業ディレクトリを作成します。例として
typst init @preview/jaconf my-doc
my-doc
というディレクトリを作成しておりますが、ディレクトリ名は適宜変更してください。引数を与えなければjaconf
というディレクトリが作成されます。 - 作成したディレクトリに移り、以下のコマンドで
main.pdf
を生成します。cd my-doc typst compile main.typ
- 編集を検知して自動コンパイルしたい場合には、以下のコマンドが便利です。
typst watch main.typ
Typst Appを使用する方法
Typst公式のオンライン執筆環境であるTypst Appを使用することもできます。手元に環境構築をしたくない場合や手軽に共同執筆などがしたい場合には、この方法を採用してもよいでしょう。
Typstアカウントの作成
まずは、Typst AppにあるSign up
をクリックしてアカウント登録を行ってください。すでにアカウントをお持ちの場合にはSign in
からDashboardという画面に入れます。
Typst Appによるテンプレートの使用
- Dashboardにある
Start from template
をクリックすると公開されているテンプレートの一覧がでます。 -
Search templates
のテキストボックスからテンプレート名を検索します。 - テンプレートを選択すると
Project Title
を記入するテキストボックスが現れますので、記入してください。 -
Create
をクリックすれば完了です。
テンプレートについて
テンプレートの情報を探すにTypst Universeを見るとよいでしょう。
テンプレートの説明ページに遷移すると、引数などをどのように設定したら良いかなどが記載されています。たとえば今回用いたテンプレートは以下です。
また、このテンプレートで生成されるmain.typには、テンプレートで導入する独自関数の説明だけでなく、Typst自体の使い方についても簡単に記載しております。
main.typの内容やテンプレート自体のご要望については、以下のGitHubリポジトリで募集中です。IssuesやPull requests、Starなどをいただけますと喜びます。
おわりに
本記事では、Typstのインストールからテンプレートの使い方までを解説しました。Typstの日本語ユーザーが増えることでTypstの日本語対応がより発展することをお祈りしております。
Typstドキュメント翻訳プロジェクトも進めております。以下の記事にて紹介しておりますため、もしご興味がありましたらご覧いただけますと幸いです。
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