「エンジニアリングマネージャーのしごと」を読んだ
本書はこれ
自分は今EMという役割ではないんだけど、プロジェクトマネジメント的な役割も求められるプロジェクトリーダーやプロダクトオーナーの役割をしてきた中で”人とはたらく”ことのエッセンスは必要不可欠であることは感じたので、そういったエッセンスがまとめられている本著は有用だと思い読んでみた。
読んだ結果として、EMに特化した技術や話は少なく、ミドル/シニアなICでも十分に活用できる、また、知っておいた方がいい知識が詰まっていた。
マネージャってなにしてんの?いる?みたいなことを思っている人は読んでおいた方がいいし、確認できているマネージャがそういった動きをしていない結果、必要なの?みたいに思ってるなら適切にフィードバックして行った方がいい。
以下、いくつか脳内インデックスを貼ることも兼ねて、いいなと思った点をまとめてみる。
説明責任は委譲できない
適切な権限委譲はメンバーの成長を促しマネージャも楽になる。
実行責任は委譲できるが、それの説明責任は委譲できない。
実行責任を委譲できていない状態は無限に忙しいマネージャとメンバーのタスクがうまく割り振られないという不信感を生み、説明責任まで委譲させてしまった状態はマネージャのタスク丸投げ状態を生む。
委譲のグラデーションの話はまじであらゆるとこで出てくる。
「エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング」でも出てきた内容で、組織化する上で超重要なファクターであると思う。これがうまいかどうかはマネージャを測る1つの大きな指標にはなるだろう。
大聖堂を建築する人とバザールをぶらつく人
自分は現状はバザールをぶらつきたいと思っているがその経験を踏まえて大聖堂も作りたいと思ってるんだろーなーと思った。
以前の職場でパフォーマンスがあまり良くないメンバーがいたことがあったけどあれは完全に大聖堂タイプなのに新規プロダクトで色々新しいことをやってたからその人のコンフォートゾーンから外れちゃってたんだなーと実感した。
自分は今は技術経験の幅(使える技術の種類)を広げたいと思っていて、RPGでいうと使える武器を増やしたいみたいなイメージを持っている。
2025年くらい(今から3年後くらい)からはその広さにフォーカスした状態から特定領域の深さを深めていったり、ピープルマネジメントに携わるようなキャリアを考えている、と深掘りできた。
メンタリングとコーチング
この2つの違いは、
メンタリング: 片方がその分野の精通している
コーチング: 片方がその分野の精通しているわけではない
と理解すると分かりやすそう。つまりコーチングのスキルを学ぶと無限に活かせられる。
コーチングでは相手の思っていることを引き出して(pull)、どうアクションしたらいいかを相手から発想できるように会話を組み立てる(push)。相手に出させるというのが超重要で自らが「こうしたらいいんじゃない?」というのは最後の手段。メンタリングはほぼ答えを教えるために、ここがメンタリングを大きく異なる。
日々コーチングの機会は隠れているなと感じた。(モブ|ペア)プロやMTGや雑談など。
なので、コーチングのスキルは別にマネージャに限った話ではなく、人と仕事をする人は須く持っておいた方がよりうまく人と関わり、組織やプロジェクトをよりよく進められるだろう。
これ知ってることについて尋ねられたら思わずメンタリングの動きをしてしまいそうだが、あえてコーチングして相手に解法を引き出させる。みたいな動きはこういう明確な違いの意識が備わっていないと発想自体がないだろうし、結構”通”ないい動きになったりするんだろうなぁと思ったので意識してみよう。
ダニング=クルーガー効果
その領域の有識者になると思慮深くなりあまり発言がなくなったりする。反対に初学者ほど「バカの山」にのぼりやすい。
第一人者クラスを会社で雇うケースはごく稀だと思うので、「絶望の谷」にいる有識者に自信をつけさせ発言してもらうことが大切。
エンジニアでいう「完全に理解した」「〇〇チョットデキル」みたいな話なので実感としてわかりやすい。自分が今「バカの山」に登っていないか注意が必要であるが、それは気づきづらいので適切にフィードバックをもらう仕組みを作るのが良さそうに思う。
本書で紹介があった良さそうな書籍
Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる
- 組織の文化について、まずはこれを読んで実践することから始めようとある
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
- 募集要項で、男性はスキルリストの60%を満たせば応募してくるのに対して女性は全て満たしていないと応募してこない、という話があったり
- 明らかにダイバーシティに欠ける現在のIT業界について学ぶためにも、女性だけでなく男性こそ読んでいた方が良さそう
リーダーの作法は本書と内容が似ているが、エッセンスに軽く触れる程度なので、本書で深掘りすると良さそう
Microsoft の Paper "What Makes a Great Manager of Software Engineers?" も読むとEMとしては良さそう
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