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Antigravity (Gemini 3 Pro) における画像生成(Nanobanana Pro)制限の技術的詳細とクォータ仕様
はじめに
本記事では、AIエージェント「Antigravity」で使用されている画像生成モデル(gemini-3-pro-image)において観測されたレート制限(Rate Limit)と、その背後にあるクォータ(割り当て)の仕組みについて技術的な観点から解説します。
開発者やユーザーが「なぜ生成が止まるのか」「いつ再開できるのか」を理解するためのリファレンスとしてご活用ください。
1. 使用モデルとアーキテクチャ
Antigravityの画像生成機能は、Googleの最新マルチモーダルモデルのプレビュー版である以下のモデルによって駆動されています。
-
Model Name:
gemini-3-pro-image - Status: Preview (Experimental)
-
API Endpoint:
cloudcode-pa.googleapis.com(Internal/Partner API Gateway)
プレビュー版のモデルは、一般的に安定版(GA)に比べて厳格な利用制限が適用される傾向にあります。
2. 観測されたエラーと挙動
実際のセッションにおいて、短時間に連続して画像生成リクエスト(約6〜7枚)を行った際、以下のエラーが返却されました。
エラーレスポンス詳細
{
"error": {
"code": 429,
"message": "You have exhausted your capacity on this model. Your quota will reset after 4h56m0s.",
"status": "RESOURCE_EXHAUSTED",
"details": [
{
"@type": "type.googleapis.com/google.rpc.ErrorInfo",
"reason": "QUOTA_EXHAUSTED",
"domain": "cloudcode-pa.googleapis.com",
"metadata": {
"model": "gemini-3-pro-image",
"quotaResetDelay": "4h56m0.490358208s",
"quotaResetTimeStamp": "2025-11-21T09:19:01Z",
"uiMessage": "true"
}
}
]
}
}
技術的分析
-
HTTP Status 429 (Too Many Requests):
- 一般的なAPIのレート制限超過を示します。
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gRPC Status
RESOURCE_EXHAUSTED:- Google Cloud APIにおける標準的なクォータ切れのエラーコードです。
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quotaResetDelay:- 非常に具体的なリセットまでの待機時間が秒単位(
4h56m0.49s)で返されています。これは一般的な「1分あたりX回」という単純なスライディングウィンドウ方式ではなく、より長期的な(例えば数時間単位、あるいは日次の)バケット制限に抵触したことを示唆しています。
- 非常に具体的なリセットまでの待機時間が秒単位(
3. Dynamic Shared Quota (DSQ) システム
調査の結果、このモデルは Dynamic Shared Quota (DSQ) と呼ばれる方式を採用していることが判明しました。
DSQの特徴
- 固定枠ではない: 「1ユーザーあたり1日100枚」といった固定の制限値が公開されているわけではありません。
- 動的な割り当て: システム全体の負荷状況や、利用可能なGPU/TPUリソースの空き状況に応じて、各ユーザー(プロジェクト)への割り当てがリアルタイムに変動します。
-
プレビューモデルの制約:
gemini-3-pro-imageのような実験的モデルは、リソースが限定的であるため、DSQによる制限がより頻繁に発生する可能性があります。
4. 開発者・ユーザーへの推奨事項
この制限仕様を踏まえ、以下の対策が推奨されます。
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バースト的な生成を避ける:
- 短時間に大量の画像を生成するのではなく、一定の間隔(例:1分に1枚程度)を空けてリクエストを行うことで、短期的なレートリミットへの抵触を防げる可能性があります。
-
リトライ戦略の実装:
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quotaResetDelayが返された場合、その時間まで待機する必要があります。指数バックオフ(Exponential Backoff)などの単純なリトライでは解決しない(数時間待つ必要がある)ケースがあることに注意が必要です。
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代替手段の確保:
- プロンプトエンジニアリングの段階ではテキストベースで進め、最終的な出力のみ画像生成を行う、あるいはプロンプト自体を出力して外部ツール(Midjourney等)を併用する「ハイブリッドワークフロー」が有効です。
まとめ
Antigravityにおける画像生成制限は、単なる回数制限ではなく、Google Cloudの高度なリソース管理システム(DSQ)に基づいています。特にプレビュー期間中は、この「見えない天井」を意識した利用設計が求められます。
Disclaimer: 本記事の情報は2025年11月21日時点の観測データおよび公開情報に基づいています。APIの仕様は予告なく変更される可能性があります。
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