SendGridのCREチームの取り組み -チーム内オンボーディング-
本記事はCS HACK Advent Calendar 2022の12日目の記事です。
株式会社構造計画研究所でSendGridのカスタマーサポートを行っているキクタローです。今回の記事では、チームに新しく加わったメンバーがサポート業務に入るまでの「チーム内オンボーディング」の取り組みをご紹介します。(ちなみに前回の記事でお問い合わせ対応について書いているので、こちらも読んでいただけると嬉しいです!)
SendGridのCREチームでは、新しいメンバーがスムーズにサポート業務へ入れるようにするため、チーム内のオンボーディングに力を入れています。当社の場合、チームに加わるメンバーの特徴として次のようなものがあります。
- 毎年、新入社員が配属される(バックグラウンドは様々で情報系ではないほうが多い)
- 他部門からの異動や他社のCSやCREの未経験者参入が中心(経験者の中途採用は現状行っていない)
こうしたメンバーをどのようにオンボーディングしていくのか?サポート業務に入るまでの流れと力を入れている点にフォーカスして説明します。
サポート業務に入るまでの流れ
次の図の流れでオンボーディングを進めています。
- SendGridのサービス説明
- チュートリアルの実施
- サポートの心得伝授
- サポートツール(Zendeskなど)のレクチャ
- 模擬サポートの実施
- サポート業務に参画
この中からいくつかピックアップして内容を紹介します。
チュートリアルの実施
チュートリアルはお客様向けに公開しているドキュメントを利用しています。
公開ドキュメントを利用することで、SendGridを初めて使うメンバーがチュートリアルの分かりにくい点をチームにフィードバックして、改善するサイクルを回しています。
Day1はAPIキーの作成、Web APIを使った送信、Day2はSubstitution Tagsによる差し込み、テンプレートの利用、SMTPによる送信といった形でスケジュールを組み立て、6日ほどかけてSendGridの使い方を一通り学んでもらいます。
以前、新人さんがチュートリアルをやる中でまとめた成長記があるので、ぜひこちらも参考にしてください。
SendGrid 新人成長記
Vol.1 SendGridとは?
Vol.2 Web APIを使ってメールを送ってみた
Vol.3 宛先ごとに異なる商品おすすめメールを送ってみる
Vol.4 Pythonを使ってWeb APIを呼び出す
Vol.5 Event Webhookを用いてイベントログを見る
Vol.6 Domain Authentication: メールの到達率を高めるために
Vol.7 Inbound Parse Webhookを用いてメールを受信する
Vol.8 SMTPサーバに接続してメールを送る
サポートの心得伝授
利用イメージが沸くようになった後は、チームでまとめている「サポートの心得」に目を通してもらいます。主に次のような内容をまとめたドキュメントです。
- どんな問い合わせがくるか
「メールが届かない原因を教えて欲しい」「ログインできない」など、よくあるものを知ってもらい「こういう問い合わせがくるんだな」と雰囲気を感じてもらう - お問い合わせへの対応のスタンス
- 対お客様
例えば、SendGrid以外が出力したメッセージやエラーに対する判断、SendGrid以外のサービスやアプリケーションとの連携方法についてどう回答するかなど - 対チーム内
チケット担当者はシフト外の日でも自分が担当したものは継続するといった基本的なルールから、問題の切り分け作業に関する線引きといった具体的な話まで
- 対お客様
- 回答作成時に注意するべきこと、自己チェックリスト
- エスカレーションするべき場面
- 過去にレビュア、レビュイ間で意見交換した内容
模擬サポートの実施
過去にお客様からいただいた実際のお問い合わせを使って、Zendeskでサポートフローを体験してもらいます。チケットが混在しないように本番環境とは別のステージング環境のZendeskを利用しています。
事前のレクチャーで学んだマクロの使い方、回答をどのように組み立てるか、どんなレビューが行われるか、といったトータルの流れを実際の業務に入る前に経験してもらうことで、ツールの操作ミスを減らしたり、回答の品質向上につなげたりしています。
この模擬サポートを終えたら、晴れて免許皆伝!いよいよ実際のサポート業務に入ります。
力を入れている点
オンボーディングで力を入れている点について触れます。
心理的安全性の確保
どんな仕事でも同じですが、新しい仕事に入るときは何かと不安に感じがちです。サポートに求められるスキルは技術的な知識だけではなく、日本語の文章力や相手の意図を感じ取る能力など様々なものが必要です。SendGridチームでは前回の記事でご紹介したとおり、すべてのチケット(お問い合わせへの回答)に対してレビューを行っているため、自分の回答方針があっているのか?レビューで引っくり返って手戻りしないか?といった点で最初の頃は緊張しがちです。
そこで、チームでは心理的安全性を高めることに力を入れていてオンボーディングでは次のことを行っています。
- メンターをつける
新しく入ったメンバーにメンターをつけて、判断に迷ったことや困ったことについて気軽に聞けるようにしています。 - クローズドなチャットグループ
チームで使うチャットは基本すべてパブリックにするルールとしていますが、新しいメンバー用にメンターを含めた数人のクローズドなグループチャットを作ります。クローズドにすることで「こんな単純 な質問をしていいのかな...?」といった障壁を取り除いています。 - 朝会や夕会の実施
毎日、メンターと朝会または夕会を行い、顔をつき合わせてコミュニケーションする時間を設けています(もちろんオンライン含め)。チャットだけでは足りない部分をフォローします。
コンテンツへのアクセスのしやすさ
一言でサポート業務といっても契約や規約に関する話から技術的にコアな質問まで幅広い領域があります。現在チームでは、属人性を排除するために手順書や対応方針に関するドキュメント化を細かく行っています。しかしながら、数年前までは細かいサポートナレッジについては個人が手元でメモしている状況がありました。当時はGoogle Drive(Docs, Sheets, Slides含む)の他、Qiita Team、Scrapbox、Notionなど様々なツールを自由に使えるようにしていたため、どこに何をまとめたらよいかわかりにくく、情報が散り散りになりやすい傾向にありました。
そのため、長く業務に関わっているメンバーは情報がどこにあるかわかるのですが、新しく入ったメンバーは辿り着けないという問題がありました。そこでチームではesaを導入して(ここはNotionなど、ある意味何でも良かったのだと思います)、新しい情報は手元に置かずとにかくesaに書き、esaの中に用意したサポートダッシュボードというページに、過去の資料を含め、リンクをまとめるようにしました。WeeklyのサポートMtgでも追加した情報を共有するようにしています。これにより、以前に比べれば、新しく入ったメンバーでも類似のチケットや欲しいナレッジに辿り着きやすい状況になっています。
以上、SendGrid CREのチーム内オンボーディングに関する紹介でした。うちではこんな工夫をしています!というようなものがあれば是非気軽にコメントいただけると嬉しいです。
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