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Cursor & Devin から学ぶ、組織の AI 導入における5つの勘所

に公開

こんにちは。
株式会社キカガクの @tetsuro_b です。

突然ですが AI ツール、次から次に似たようなものがリリースされて選定基準むずかしいですよね。

ここ1週間でもこんな感じ...

■ コーディング AI エージェントの時代の到来


株式会社キカガクでは 2025 年に入ってから Cursor, Devin を導入しましたが...

正直、導入時期については失敗な部分もありました...。

今回の記事では以下について取り上げます。

  • 導入時期を失敗したと思った理由
  • Cursor, Devin を導入したからこそ分かる「AI ツール導入における勘所

対象読者

  • 似たような AI ツールが多すぎて選定基準がわからず、組織への導入に1歩踏み込めない方
  • これから AI ツールを導入していきたいので、まずは選定におけるイロハを知りたい方

株式会社キカガクの AI ツール導入遍歴

まずはキカガクにおける Cusor, Devin の導入時期やそれまでの仮定を簡単に記載します。

2024/10:一部の社員が Cusor を使い始める
2024/11:社内で Cursor の勉強会実施 → 徐々に Cursor ユーザーが増え始める
2025/04:全エンジニアへ Cursor 導入
2025/05:Devin 導入

Cusor, Devin 導入の何が失敗だったのか

大前提、Cursor, Devin といったツールそのものの選定に関してはその性能に満足しています。
これまでとは全く違った開発体験を得ることができ、組織全体の生産性は確実に向上しました。

では、何が失敗だったのかというと 『導入時期』 です。

Cursor, Devin それぞれ分けて以降で説明します。

😱 Cursor 導入1週間後に Copilot Agent が正式リリース

ついに Cursor を全エンジニアに導入したぞ!!!とチーム内でも雰囲気が上がりきった直後に Copilot Agent が正式リリースされました。

https://github.blog/jp/2025-04-07-github-copilot-agent-mode-activated/

実際にリリース後に Copilot Agent と Cursor の挙動を触って比べてみましたが細かい違いはあれど遜色なかったです。

Cursor 導入前まではキカガクでは「Copilot Business($19/月)」を契約していましたので、もし Cursor 導入の判断があと1週間遅ければ Copilot Business をそのまま継続していた可能性も十分にありえます。

※ Cursor の Business プランは $40/月と Copilot の倍以上の金額で、2025/4 当時は倍以上のコストをかけるほどの機能差を感じなかった。

😱 Devin 導入翌日に OpenAI Codex を始めとしたコードディング AI エージェントの時代が幕を開けた

2025/5/16 にキカガクでは Devin(Teams プラン) を導入しました。

そしてその翌日、日本時間の 2025/5/17 に OpenAI からコードディング AI エージェントである Codex がリリースされました。
Devin の競合となる初の?コードディング AI エージェントのサービスです。

https://openai.com/index/introducing-codex/

さらにそこから今日に至るまで「Google: Jules」や「GitHub Copilot Coding Agent」などの複数のコードディング AI エージェントが登場しました。

【失敗要因】 Cursor も Devin も世間の流行から 2-3 ヶ月遅れた導入だった

Cursor も Devin もなぜ導入直後に、類似ツールの情勢が大きく変わってしまったかというと...

明確に導入時期の問題です。

いずれのツールに関しても検証に時間を要したり、社内で話題に上がるのが遅かったりなどで世間の流行から少し遅れての導入でした。
その結果、導入直後に後発サービスの波に飲まれる... と言った事態に陥ってしまいました。

この事態を結果としてまとめると以下のようなデメリットがありました。

  • 後発サービスのほうが機能差はないのに安い = 金銭的なデメリット
  • 1つのサービスを長く使えない(次のツールをすぐに検証する必要がある) = ツールに関するナレッジがたまらないデメリット

結論としてはしばらくは Cusor, Devin をまだまだ使い続けていきますので、ツールに関するナレッジは引続き、組織でためていく予定ではあります。

ただ、最新のツールを使って開発ができている感は少しだけ薄れてしまい悔しい感覚もあります。

Cursor & Devin から学ぶ組織への AI ツール導入における5つの勘所

記事の前半部分では、キカガクにおけるツールの導入やその失敗談を紹介しました。

ここからは少し趣向が変わりますがタイトルにある通り、実際に Cursor や Devin などの AI ツールを組織に導入したからこそわかる勘所について以下の観点で記載していきます。

1️⃣ 【機能面】 判断が遅い!じっくり検証している余裕はない

(思わず 鱗滝左近次 が出てきてしまいました。)

まさに記事の前半部分で紹介したキカガクの事例を見ていただければ分かると思います。
導入の判断が遅れれば遅れるほど、後発サービスがどんどん登場します。

ツールの導入にはコストがつきものなので慎重にならざるを得ないですが、検討している内容自体がすぐに意味のないものになってしまう可能性は大いにあります。

「これだ!」というツールがあれば検証などはできる限り早めに行い、導入後にそのツールを使える期間をなるべく長く確保し、より濃いナレッジを組織でためていくのが良いでしょう。

※ また、これは個人の感覚になりますがツール単位で圧倒的な性能差があったようなケースは特に AI エディタに関してはこれまでなかったので、気に入ったツールがあればそれに賭けてみるのも全然ありだと思います。

2️⃣ 【コスト】 年額一括プランは危険!月額プランが無難

従来のツールの選定においては一度、選定をしたら長くて数年利用を続けるケースが多かったと思いますが、AI 関連についてはツールの賞味期限がとても短いです。
※ 短いというよりかは頻繁に優劣が入れ替わる

年額プランは一見お値打ちで魅力的ではありますが1年後もそのツールが開発の最前線で使えるものなのか誰も予想ができません。
多少もったいなく感じても月額料金で許容できる範囲であれば月額プランの選択が望ましいでしょう。(結局それが一番お値打ちな選択になる可能性が十分にある。)

3️⃣ 【将来性】 巨人(GitHub)にフル BET が吉

https://x.com/tetsuro_b/status/1924665379785474547

正直、Copilot Coding Agent 魅力的すぎます...。
GitHub 上でタスクの依頼からレビューまで全て完結するのは、他のコードディング AI エージェントでは絶対に真似できない部分です。
AI エディタに関しても Copilot Agent はいまや MCP にも対応したり、Open Source のプロジェクトになったりと将来性しか感じません。

わずか半年前までは Copilot は AI 界隈で見る影もなかったのですが、ここまでの追い上げ(追い抜き)はさすが GitHub 様...という感じです。

もし、これから AI ツール関連を組織に導入検討をする際にはまずは GitHub 関連のプロダクトから検討を始めると良いでしょう。

4️⃣ 【活用】 導入 = ゴールじゃない!活用までのプランを立てる

Cursor にしろ、Devin にしろ導入するだけで一定の生産性向上効果は得られます。
ただ、例えば Cursor だと以下のような内容を日々検討/検証していかないと、導入時が生産性向上のピークでそれ以上に生産性が上がっていくことはないでしょう。

  • What:コーディング以外でどんな業務に活用できるのか
  • Who :Cursor Rules は誰がどのように整備していくのか
  • How :「command + K」と「Agent」はどういう使い分けをするのかなどの使い方

Cursor 活用の担当者や Devin 活用の担当者をそれぞれ置いたりして導入したツールをどう組織にインストールして活用していくのかまでをプランニングすることが大切でしょう。

たとえばキカガクでは定期的に有志で集まり Cursor の研究を行う時間をとったり...

Cursor Rules の運用方針についてのガイドラインを制定したりして活用までをプランニングしています。

https://zenn.dev/kikagaku/articles/2d3752f773aa34

5️⃣ 【組織】 ツールは手段!AI 時代を勝ち抜く組織作りが重要

結局、これが一番大事だと個人的は思います。

AI 系のツールを入れたところでこの記事で散々触れてきた通り、ツールの賞味期限が短いのでいつまでそのツールを使い続けられるのかわかりません。

仮に1人の意思でツールを導入してもその人が現場から離れたりしてしまったら、世間の情報はシャットアウトされいつまでもそのツールが使われ続け、気づけば世間から置いてきぼり...なんてことは大いにあると思います。
また、4️⃣ でも記載した通り 「導入」→「活用」のフェーズに移ることもできないでしょう。

AI を活用して、組織の生産性向上に寄与していくためには「最新の AI 情報のキャッチアップ」と「AI 活用に向ける情熱」この2つの要素は組織に絶対に欠かせません。

幸いにもキカガクにはわたしをはじめ、これらの要素を持ち合わせたメンバーやチームの雰囲気作りができているのでこれから先も激動の中、戦っていきます。

※ 5月末には AI 関連のことだけを1日やる合宿も予定しています🙌

まとめ

  • キカガクにおける AI ツール導入の失敗談
    • 導入時期が遅れ、後発の類似サービスがすぐに出た
    • → AI ツールの選定はスピード勝負な面もあると痛感
  • Cursor & Devin から学ぶ組織への AI ツール導入における5つの勘所
    1. 判断が遅い!じっくり検証している余裕はない
    2. 年額一括プランは危険!月額プランが無難
    3. 将来性なら巨人(GitHub)にフル BET
    4. 導入 = ゴールじゃない!活用までやり切るプランを立てる
    5. ツールの導入は手段!AI 時代を勝ち抜く組織作りが重要

最後に(宣伝)

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https://x.com/tetsuro_b


また、株式会社キカガクでは組織全体で AI 活用の積極的な推進をしています!!

https://zenn.dev/kikagaku/articles/2d3752f773aa34

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