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【画像生成】Nano Banana (gemini-2.5-flash-image) で一貫性のあるテイストの画像を生成する

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複数枚のイラストを、同じテイストで生成させたい

資料やスライドなどに複数のイラストを使う場合、同じテイストのイラストを入れたいものです(全部のイラストをいらすとやで揃えるように)。

しかし、生成AIで画像生成をすると、同じモチーフでも線の太さ、配色といったイラストのテイストが毎回バラつくことがあります。そもそもテキストだけでイラストのテイストを伝えるのは難しいです。

「フラット」「パステル」「手描き風」などの指示でも曖昧で、

  • どの程度フラットか
  • どの色域でパステルか
  • どんな線の揺らぎが“手描き”なのか

といったニュアンスを十分に伝えきれません。結果として、テイストが安定しません。

Nano Banana に参照画像を渡してテイストを伝える

Nano Banana (gemini-2.5-flash-image) は入力として画像を与えることができ、その画像の特徴(配色、線幅、質感、レイアウトの傾向など)を精度よく参照できます。言葉の指示だけでなく具体例を渡すことで、テイストのバラつきを大幅に抑えられます。

手順

Google AI Studioで無料で実行できますので、試してみましょう。
https://aistudio.google.com/prompts/new_chat?model=models%2Fgemini-2.5-flash-image

1. 基準となる参照画像を作成する

これも生成AIでゼロから作成しましょう。

今回作成したイラストのプロンプト:

要件:太く一定の幅の主線、ベクターイラスト、背景は白、シンプルな構成
内容:スーツを着たビジネスマンのイラスト

生成されたのがこちらです。

Nano Banana が生成した、テイストの基準となるイラスト

もしも求めているようなイラストにならなければ、プロンプトを変えたり、ガチャ(同じプロンプトで何度か生成し直す)を繰り返しましょう。

2. 参照画像を元に、新たなイラストを生成する

次のイラストを生成させる際に、同時に参照画像を渡して、そのテイストを参照させます。
なお、参照画像でテイストを伝えられるとはいえど、「この画像を参考に」というだけでなく、「どういうテイストで」という言語化された情報も合わせて指示するのがベターです。どのポイントを踏襲すべきなのかを明確にする必要があります。そのため、参照画像を生成した際の指示と同等の内容を含めておくとよいでしょう。

先程生成した画像のテイストで、お医者さんのイラストを作ってもらいます。プロンプトは以下の通りです。

添付のイラストのテイストのみを継承して、新しいイラストを作成します
要件: 太く一定の幅の主線、ベクターイラスト、シンプル、フラットな塗り。情報量を抑えて主題が伝わりやすく。描き込みは最小限にとどめ、主題を引き立てる程度にしてください。
色味: 落ち着いたトーン。背景は白。
描く対象: 医者

できたのがこちら。いい感じです。

Nano Banana が生成した医者のイラスト

人間だけでなく、モノのイラストなどにも適用できます。

「コンピューター」のイラストを依頼すると、モニター・キーボード・マウスがつながったコンピューターのイラストを出してくれました。

Nano Banana が生成したコンピューターのイラスト

「別パターンお願いします」と依頼すると、ノートパソコンを出してくれました。変わらず色味や線のテイストが保たれています。

Nano Banana が生成したノートパソコンのイラスト

他にも、「遊園地」のイラストを依頼すると、観覧車・ジェットコースター・メリーゴーランドが並んだイラストになりました。先程よりも密度の高いイラストにはなってしまいましたが、線や塗りのテイストは保たれています。

Nano Banana が生成した遊園地のイラスト

さらに、キャラクターをそのまま継承して、異なるポーズのイラストを生成することもできます。
先程のスーツのお兄さんが走っているイラストを出してもらいましょう。

添付のイラストのテイストおよびキャラクターを継承して、新しいイラストを作成します
要件: 太く一定の幅の主線、ベクターイラスト、シンプル、フラットな塗り。情報量を抑えて主題が伝わりやすく。描き込みは最小限にとどめ、主題を引き立てる程度にしてください。
色味: 落ち着いたトーン。背景は白。
描く対象: この人が走っている様子

できたのがこちら。
髪型、カバン、スーツの色などがそのままに、走っているイラストを作ってくれました。

Nano Banana が生成した走っているイラスト

おわりに

入力として画像ファイルを渡せるようになったことで、使い道の幅が広がり、クオリティの担保もしやすくなりました。
挿絵、イメージイラストのようなユースケースでは、フリーイラストを探すよりも自由度高く、かつ好みのテイストで用意できるので、非常に便利です。

(おまけ)「イラストの編集」になってしまった失敗例

Nano Banana くんは、既存画像の編集にも強いモデルです。
そのため、画像を参照に入れると「その画像を土台に編集すればよい」と思ってしまうようです。

異なるプロンプトで指示をした際、デザイナーのイラストを生成してもらおうとしたら、背景だけ書き足してしまったケースがありました。

同じイラストの編集になってしまったイラスト

「テイストのみを参照すること」という指示を入れないとこうなってしまうので、お気をつけください。

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株式会社キカガク

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