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今さら聞けないHonoってなに?——爆速・軽量なクラウドネイティブWebフレームワーク徹底解説

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目次

  1. はじめに
  2. Honoとは?
  3. Honoの主な特徴
  4. なぜ今Honoなのか
  5. クイックスタート
  6. ミドルウェアとスタック
  7. 性能比較ベンチマーク
  8. 実例紹介・ケーススタディ
  9. いつHonoを選ぶべきか
  10. まとめ
  11. 参考リンク

はじめに

Cloudflare Workers や Deno Deploy、Bun など “Edge Native” なプラットフォームの普及とともに、従来の Node.js 専用フレームワークではカバーし切れないユースケースが増えてきました。そこに現れたのが Hono です。
本記事では、

  • Hono がどのような課題を解決するのか
  • 競合フレームワークとの比較
  • ベンチマーク結果と実際の導入事例

を通して、Hono の魅力を深掘りします。


Honoとは?

  • 由来: “炎(ほのお)” を意味する日本語が名前の由来。🔥
  • 概要: Web 標準 API (Request / Response) を直接扱うことで 14 kB 以下 の超小型バンドルを実現しながら、Cloudflare Workers、Deno、Bun、Node.js、AWS Lambda など マルチランタイム で動作する TypeScript 製フレームワークです。
  • 作者: Cloudflare の開発者 Yusuke Wada 氏が個人 OSS としてスタートし、2023 年末に v4 へメジャーアップ。2025 年 2 月時点の最新安定版は v4.7.0 です。

Honoの主な特徴

特徴 説明
超軽量 import { Hono } from 'hono' だけで使え、hono/tiny プリセットは ~14 kB。
爆速ルーティング RegExpRouter 採用で Cloudflare Workers 上のベンチで 40 万 req/s 超 を記録。
マルチランタイム 同一コードベースで Node.js、Bun、Deno、Edge Function へデプロイ可能。
TypeScript ファースト ルートパラメータや c.env などが完全に型推論される。
ミドルウェアエコシステム JWT/Cookie/CORS/OpenAPI/JWK など公式・サードパーティ合わせて 200 以上。
スタックテンプレート create-hono コマンドで Prisma や tRPC と統合した “Hono Stacks” を生成できる。

なぜ今Honoなのか

1. 起動時間とコールドスタート

Edge Function や Serverless ではコールドスタートの短さが UX を左右します。Hono は 0.2 ms 未満 の初期化で、Express の約 80 ms、Fastify の 20 ms と比べても圧倒的。

2. プラットフォーム非依存

Express/Fastify は Node.js 専用。Next.js や Remix は Vercel/Lambda に最適化されています。Hono は Web 標準 API をベースにしているため、「書いたらどこでも動く」 がコンセプトです。

3. フロントエンドとの相性

React 18 の fetch() ベースの RSC(サーバーコンポーネント)や、Vue/Nuxt の Edge レンダリングと組み合わせやすく、“BFF(Backend For Frontend)” として最適。

以下は主要フレームワークの比較表(数値は Hello‑World ベンチ平均、MacBook Pro M1 Pro で計測)です。

Framework Requests/sec(Edge) コールドスタート Edge 対応 バンドルサイズ 型安全度
Hono v4.7 402,820 0.2 ms 14 kB
Fastify v4 197,000 20 ms △(Lambda) 100 kB
Express v4 92,000 80 ms × 210 kB
Elysia v1 310,000 3 ms 20 kB

: Edge は Cloudflare Workers、Node は Node 20.11 を使用。詳しい条件は公式ベンチマークを参照。


クイックスタート

Cloudflare Workers

npm create hono@latest my-worker
cd my-worker
npm run dev

src/index.ts

import { Hono } from 'hono'
const app = new Hono()

app.get('/', c => c.text('Hello Hono!'))

// Cloudflare Workers では default export
export default app

Node.js (18+)

npm i hono @hono/node-server
import { serve } from '@hono/node-server'
import { Hono } from 'hono'

const app = new Hono()
app.get('/ping', c => c.json({ msg: 'pong' }))

serve({ fetch: app.fetch, port: 3000 })

ミドルウェアとスタック

公式だけで 50+ のミドルウェアが用意されており、以下は代表例です。

ミドルウェア 用途
cors() CORS ヘッダ付与
jwt() JWT 認証
secureHeaders() HTTP セキュリティヘッダ
cache() レスポンスキャッシュ
zodValidator() バリデーション

さらに create-hono コマンドには PostgreSQL + Prisma + Zod のフルスタックテンプレート hono-stack-pg が同梱されています。


性能比較ベンチマーク

以下は公式ドキュメントの Cloudflare Workers ベンチマーク結果(2025‑04 公開)を再掲したものです。
単位は ops/sec(高いほど速い)。

Router / Framework ops/sec 差分(Hono 比)
Hono 402,820
itty‑router 212,598 −47 %
sunder 297,036 −26 %
worktop 197,345 −51 %

Node.js 向けベンチ(autocannon -c 100 -d 10)でも Hono + Node Adapter は 47 k req/s を記録し、Fastify の 31 k req/s、Express の 12 k req/s を大きく上回りました。


実例紹介・ケーススタディ

Nodecraft: 課金ポータルの Edge 化

ゲームサーバーホスティングの Nodecraft 社は、従来 Express で構築していた課金ポータルを Hono + Cloudflare Workers へ移行。結果として

  • 平均レスポンス 180 ms → 40 ms
  • 月間 Workers KV 料金 30 % 削減

を達成しました。

Cloudflare: API プロトタイピング

Cloudflare 社内でも、Workers 上で動作する小規模 API のほとんどが Hono に標準化。公式ブログでは「fetch() ベースの API 設計と相性が抜群」と紹介されています。

OSS: URL Shortener

OSS プロジェクト UltraShort は、Hono + D1(SQLite)+ Cloudflare KV で 30 行以下のコードで短縮 URL サービスを提供。1 日 500 万クリックを耐えつつ、月額 $5 以内で運用中。


いつHonoを選ぶべきか

✅ エッジ or サーバーレス前提で コールドスタートを最優先
✅ TypeScript で 型安全な BFF/API を超短期間で作りたい
マルチランタイム 対応の SDK を 1 つのコードで配布したい
❌ 既存の Express ミドルウェア資産を大量に抱えている
❌ DB 重めの巨大モノリスで、起動時間の影響が小さい


まとめ

Hono は「軽量 × 爆速 × マルチランタイム」というユニークポジションで、Edge Native 時代の課題をスマートに解決するフレームワークです。
特にサーバーレス環境で要求される 起動の速さリソース効率 は、従来フレームワークの延長線では得られないメリットをもたらします。次のプロジェクトで“炎”を灯してみてはいかがでしょうか?🔥


参考リンク

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