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説得のためのクリティカルシンキング

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イントロダクション

「論理的思考力」なんて言葉を便利に使われてうんざりしているひと。
ちゃんと考えてているけれど毎回自分の主張を通しきれない人。
あたりのためのクリティカルシンキングになります。

この文章では、アイデアを伝える「説得」の技術としてクリティカルシンキングを紹介します。
ただしここでの「説得」とは、論理的に疑う余地のない結論を伝えることであり、論理的に考えられない人には通用しません。

具体的には、論理的な思考のテクニックとして、標準形を紹介します。
標準形とは、前提と結論をそれぞれ一行に書き表し、最終的な結論がどのように導かれたかわかりやすいように整えられた形式です。
この前提から論を進めて結論まで導く道筋を示すことを「論証」と言います。
論証により、論理の形式を分析し、その良し悪しを確かめるための形式が提供されます。
ここでの良し悪しというのは、論理的に矛盾しているとか、主張を支持する根拠が不足している、などから判断されます。

論証を理解することで得られる利益は、例えば、アイデアを明確に伝えることができる、相手の詭弁を見破ることができる、などがあげられます。
具体的には、発表を行う際に、主張とその根拠を整理し明確に伝えることに役立ち、さらに鋭い質問を受けても動揺する必要がなくなるかもしれません。
ほかに、インターネット上の雑多な情報を活用する際に、どの情報をどの程度信用し、最終的にどのようなことが言えるのか、といった分析に役立てられるでしょう。

クリティカルシンキングを絶対視する必要はありませんが、
その起源はソクラテスやプラトーにまでさかのぼり、現在までの長い蓄積の上にある哲学の一分野であり、
論理学の入門として、その実用性からもふさわしいでしょう。

出典情報: https://www.udemy.com/share/101XiYB0IcdV1VR34=/
参考  : https://www.youtube.com/channel/UCFLCAm7HCyw6DEY9jvOMTvA

主文

論証

論証とは、「結論を導く筋道を、前提から論を進めて結論まで示すこと。」でした。

例えばの結論として、「すべての生命はいずれ必ず死ぬ。」を考えてみましょう。
この結論を支える前提として「これまでに死ななかった生命は確認されていない」を挙げてみることができます。
「すべての生命はいずれ必ず死ぬ。」という結論は常識的で、「これまでに死ななかった生命は確認されていない」は妥当とに聞こえます。
しかし、常識ですべて判断できるなら何も苦労はありません。ここではもう少し掘り下げてみましょう。
挙げた前提「これまでに死ななかった生命は確認されていない」からわかることは、これまでに死亡が確認された生命は
すべて死亡している、ということのみであり、将来すべてにわたって、生命が死亡するかどうかまでは言及していないことがわかります。
そこで将来の現象も考慮して次の前提を考えてみます。

  • 「熱力学第二法則によれば時間変化によってエントロピーは増大する」、
  • 「エントロピーが増大すれば肉体を維持することができなくなり、ある程度を超えて生命は死ぬ。」

エントロピーが増大するということは、乱雑さが大きくなるということを表します。
例えば、真水を泥水にすることはたやすいが、同じようにして泥水を真水にすることはできない。
つまり、宇宙全体が、泥水のように混ざり合ってしまえば、肉体のような特定の構造を維持することはできなくなる。
したがって、「すべての生命はいずれ必ず死ぬ。」は正しいといえる。

これに対する反論は、次のようなものがあげられる。

  • 熱力学第二法則が絶対的に成り立つ保証はない。熱力学第二法則が成り立たないとき、上の論証は成立しない。
  • 生命は現在の科学でもって解明できていない点が多数存在するので、肉体を持たない生命が存在する可能性を否定できない。その場合、上の論証は成立しない。

これらの反論を完全に否定することはできません。なぜならば、すべての場合に関してある法則が成り立つかどうか、確かめる方法がないためです。
科学法則は繰り返し確認された事象に過ぎず、当てはまらない例が存在する可能性を常に持っていることを忘れてはなりません。
例えば、ニュートン力学はわずかの誤差があることが確認され、現在では古典物理学として扱われています。

生命に関する反論ではさらに、「生命」という言葉の定義が不十分であるという側面もあります。
生きている状態と、死んでいる状態を明確に区別する方法を現在の科学は持っていないからです。
極端な例としてはHeLa細胞があります。これはヘンリエッタ・ラックスというアメリカ人女性の子宮がん細胞を元にしたヒト細胞であり、
培養され世界中の研究所に分配され試験に用いられています。ヘンリエッタ個人は既に亡くなっていますが、彼女由来の細胞は現在でも細胞分裂を続けています。
細胞分裂を続けていればこれは生きているといえるでしょうか。

以上を整理して標準形に落とし込みます。

標準形は次のような形式です。

    1. 前提(1)
    1. 前提(2)
  • ...
  • therefore ゆえに、結論

前提や結論は主張と呼ばれ次の制約を持ちます。

  • 主張は真か偽である文章、真偽の両方を取ることはない
  • 無矛盾律... 主張が同時に真と偽であることを許さない

上の論証は次のようにまとめられます。

  • 前提1 「熱力学第二法則によればエントロピーは増大する」
  • 前提2 「エントロピーが増大すれば肉体を維持することができなくなり、ある程度を超えて生命は死ぬ。」
  • 結論, 以上の前提より「すべての生命はいずれ必ず死ぬ。」

よい論証の条件は2つあります。

  1. (Truth Condition)すべての前提が真及び尤もである
  2. (Logic Condition)結論は前提から導かれる。

それぞれ確認してみましょう。
「すべての前提が真及び尤もである」
この論証には反論がありました。そして反論に対する反論を用意できていません。
なぜなら、すべての生命の死亡を確認することはできないからです。
よってすべての前提を真であるとは言えません。しかし尤もではあります。
ここでは条件を達成したとしましょう。

「結論は前提から導かれる」
結論が前提から導かれているかどうかは、結論や前提からのみでは判断できません。
判断するためには十分な知識が必要です。用いられている用語の意味や定義を理解していなければそれらは単なる記号にすぎません。
そのため、この条件にはそれを達成しているか判断する唯一の方法というものはありません。
ここでは筆者とレビューアの知識から条件を達成したとしましょう。

以上によりこの論証は良しである。といえます。

反論から学べる点がもう一つあります。ここではそれを掘り下げます。
まず、すべての事象を確認しなければ何一つ正しいといえないのは不便極まりないでしょう。
そこで、クリティカルシンキングでは推論の根拠に2種類用意されています。
つまり、「全て確認していないがおよそ正しい推論」と「すべての事象を確認しそのすべてにおいて正しい推論」です。
前者を強い推論、後者を有効な推論と呼びます。
科学用語で言うと強い推論は演繹的、つまり一般的な前提から特殊な結論を導く場合と一致します。
有効な推論は帰納的、つまり特殊な前提から一般的な結論を導く場合と一致します。
この区別によって論証の良し悪しは大きく幅を持つことになります。
すべての場合に正しいとは言えない推論もよしとされる場合があるということです。注意しましょう。

まとめ

論証の手順をまとめます。

  1. 主張を前提と結論に整理する。
  2. 「すべての前提が真及び尤もである」ことを確かめる
  3. 「結論は前提から導かれる。」ことを確かめる

さらには、反論を自分自身で考えてみるとよいでしょう。他人から反論されるよりも考える時間の猶予が増えますから。
また、この方法では仰々し過ぎるというならば、前提と結論を意識するだけでも良いでしょう。

さらなる知識を求める場合、出典を参照するのもおすすめです。

以上

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