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【Flutter】アーキテクチャ徹底比較! MVVM vs MVC

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概要

Flutterでアプリを作ろうとしたとき、「MVCとMVVMってどう違うの?」「どっちを使えばいいの?」と迷ったことはありませんか?

本記事では、そんな設計初心者の方に向けて、Flutterでよく使われるアーキテクチャ「MVC」と「MVVM」の違いを解説します。構成の考え方から、それぞれのメリット・デメリット、使いどころまでをわかりやすく紹介しています。

🦴 アプリの骨格を定める:MVCアーキテクチャ

MVCアーキテクチャは、長年にわたり多くのプラットフォームで採用されてきた実績のある設計パターンです。その名の通り、「Model(データ)」、「View(UI)」、「Controller(仲介役)」の3つの役割に責務を分離します。

MVCのメリット

  • 明確な役割分担: 各コンポーネントが担う役割が明確なため、コードの見通しが向上し、機能追加や修正時の影響範囲を把握しやすくなります。
  • 効率的なチーム開発: 各役割を独立して開発できるため、複数人での開発において並行作業がしやすく、開発効率の向上に貢献します。
  • テストの容易性: 各コンポーネントが独立しているため、ユニットテストなど個別のテストが比較的容易に行えます。
  • 豊富な情報と実績: 長い歴史の中で蓄積されたノウハウや情報が豊富であり、問題解決の際に役立つでしょう。

MVCのデメリット

  • ViewとModelの密結合リスク: Controllerを介するものの、実装によってはViewがModelの変更を直接監視する形になり、コンポーネント間の依存性が高まる可能性があります。
  • Controllerの肥大化(Fat Controller問題): UIに関するロジックやビジネスロジックがControllerに集中しやすく、Controllerが複雑化し、メンテナンスが困難になることがあります。
  • Flutter特有の構造との親和性: FlutterのWidgetツリーの構造や状態管理の仕組みとの連携が、他のUIフレームワークほどスムーズではない場合があります。

FlutterにおけるMVCの実装

FlutterでMVCを採用する場合、ControllerはStatefulWidgetStateクラスや、Providerなどの状態管理ライブラリと組み合わせて実装されることが一般的です。Modelはデータクラス、ViewはWidgetツリーとして表現されます。

🧩 より疎結合を目指して:MVVMアーキテクチャ

MVVMアーキテクチャは、MVCの課題を克服するために生まれた設計パターンの一つです。
「Model(データ)」、「View(UI)」、「ViewModel(Viewのためのデータとロジック)」の3つの役割に分割し、特にViewとModelの間の依存性を低減することを目指します。

MVVMのメリット

  • ViewとModelの疎結合: ViewModelがViewで表示するためのデータを加工し、ViewはViewModelの変更を監視する形となるため、ViewとModelが直接依存せず、高い疎結合性を実現します。これにより、Viewの変更がModelに影響を与えにくく、逆もまた然りです。
  • 高いテスト容易性: ViewModelはUIのロジックを含まないため、UIに関するテストを行うことなく、ビジネスロジックやUIロジックのテストを容易に行うことができます。
  • 再利用性の向上: ViewModelは複数のViewで共通して利用できる場合があり、コードの再利用性を高めることができます。
  • リアクティブプログラミングとの親和性: RxDartなどのリアクティブプログラミングライブラリとの相性が良く、非同期処理やイベント駆動型のUIを扱いやすくなります。

MVVMのデメリット

  • 学習コストの増加: MVCに比べてViewModelという新しい概念を理解する必要があるため、導入にあたっての学習コストがやや高くなります。
  • コード量の増加: ViewModel層が追加されるため、MVCと比較して全体的なコード量が増える傾向があります。
  • ViewModelの設計の難しさ: ViewModelの責務範囲が曖昧になりやすく、適切な設計を行うためにはある程度の経験と知識が求められます。

FlutterにおけるMVVMの実装

FlutterでMVVMを実装する際には、Provider、Riverpod、GetXなどの状態管理ライブラリがViewModelの役割を担うことが多いです。ViewModelは、Viewが必要とするデータを公開したり、Viewからのユーザー操作を受け付けてModelを更新したりする役割を担います。ViewはViewModelが公開するデータを監視し、UIを動的に更新します。

👆 MVCとMVVM:どちらを選ぶべきか?

どちらのアーキテクチャがあなたのプロジェクトにとって最適かは、一概には言えません。アプリケーションの規模、複雑さ、開発チームの経験、そして重視するポイントによって最適な選択肢は異なります。

特徴 MVC MVVM
主な役割 Model, View, Controller Model, View, ViewModel
ViewとModelの結合 Controllerを介するが直接監視する場合がある ViewModelを介して疎結合
Controller/ViewModelの役割 UIロジックとビジネスロジックが混在しやすい Viewのためのデータ準備とUIロジックに特化
テストの容易性 比較的容易だが、Controllerのテストが課題 ViewModelのテストが容易
学習コスト 比較的低い やや高い
コード量 比較的少ない やや多い
Flutterとの相性 他のUIフレームワークほど直接的ではない 状態管理ライブラリとの組み合わせで良好

選択のヒント

  • 小規模なプロジェクトやシンプルなUI: MVCでも十分にシンプルで理解しやすい構造を保てる可能性があります。ただし、Controllerの肥大化には注意が必要です。
  • 中〜大規模なプロジェクトや複雑なUI、ビジネスロジック: MVVMを採用することで、よりテストしやすく、保守性の高い、堅牢なアプリケーションを構築できる可能性が高まります。
  • リアクティブなUIを実装する場合: MVVMとリアクティブプログラミングの組み合わせは非常に強力な武器となります。
  • チームの経験: チームメンバーがMVVMの概念に慣れていない場合、学習コストを考慮する必要があります。

まとめ

MVCとMVVMはFlutterでよく使われる代表的なアーキテクチャですが、どちらが正解というものではありません。大切なのは、あなたのアプリに「今」一番フィットする設計を選ぶことです。

シンプルな構成ならMVCで素早く作れますし、複雑な仕様ならMVVMで見通しの良い設計が役立つでしょう。とはいえ、アーキテクチャは万能ではなく、**プロジェクトを進めるための“道具”**にすぎません。

この記事では、それぞれの特徴と使いどころを整理して紹介しました。ぜひ、自分やチームに合った設計を見つける参考にしてください。

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