PIVOTにおける一人目QAエンジニアとしての軌跡
ビジネス映像メディア「PIVOT」で、
QA エンジニアをしている ケイスケ です。
今回、一人目QAエンジニアとしてQAフロー確立までに行ってきたことを書き残していこうと思います。
同じ境遇にいるQAエンジニア、QAエンジニアの採用を考えているチームの方など、ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
関係構築と現状把握
チームメンバーとの関係構築
まずはチームメンバーとの関係構築からですが、個人的にはここが一番大事なポイントだと思っています。
PIVOTにジョインする前も複数の開発現場を経験しており、最初の関係構築で失敗するとその後の動きづらさに影響するため、絶対に失敗できないという気持ちでいました笑
ここで意識したことは3つです。
- 丁寧な挨拶と自己紹介
- コミュニケーションは最初は雑談を強めに
- 根拠のない自信を持ちながら
-
丁寧な挨拶と自己紹介
基本的なことではありますが、最も重要なポイントとして改めて記載しました。 -
コミュニケーションは最初は雑談を強めに
プロダクトへの理解があまりない状態で仕事の話をしても、認識のズレを生んだり、一方的に話を聞くだけになったりします。
相手の人となりを知れるような会話を最初に行うことで、その後の動き方を戦略的に立てやすいと考えています。 -
根拠のない自信を持ちながら
私自身、一人目QAとして取り組むのは初めてだったので最初はかなりビビっていました。ただQAエンジニアとして最初にやるべきことの大半は、既存の動きの修正です。臆病になっていては発言もできないので**「失敗してもなんとかなる」**精神で取り組むのが吉だと思います。
後述する実際のQA活動の際に、ここで関係構築がうまくできていたことでチームメンバーを巻き込んで動けたなと思うことが多かったので、関係構築を大事にしてみると良いのかなと思っています。
現状把握
関係構築と並行で、プロダクト開発において課題感がないか調査をします。
PIVOTではスクラム開発を採用していたので、それを前提に調査をしました。
基本的に調査方法はヒアリングです。
うざいかなってぐらい聞きまくりました。
そこで聞けた課題は大きく分けて以下の2つに分類できました。
- プロダクト課題
- プロセス課題
プロダクト課題は、品質面での課題、UI/UXでの課題などです。
ここで挙げられた課題は実際のテスト項目に大きく関わってきました。
プロセス課題は、
- 受け入れ基準が曖昧になっている
- 不具合分析を行なっていない
- 開発エンジニアでテスト項目を考えているのが工数的に負担
- デザインへのFB内容が実際に反映されていないことがあったりする
などなど
今後の開発ライフサイクルにQAフローを組み込む上で、大きな判断材料となりました。
上述の課題を一言で言うと、品質保証の入り口と出口がしっかりしていないということです。
そのため、PRD作成時やデザインレビューからQAエンジニアが関与し、テスト活動の確立とともにシフトレフトをしていく必要がありました。
また、受け入れ基準の策定や不具合分析なども強化していく必要がありました。
CS(カスタマーサポート)対応
またドメイン理解という目的でCS(カスタマーサポート)対応も行いました。
アプリを通じたユーザーからの問い合わせへの対応を行うことで
- プロダクトの細かい仕様
- ユーザーが抱えている課題
が見えてきて、とても良い経験をさせていただきました。
特に「ユーザーが抱えている課題」を把握できるのは、品質改善の方向性に大きく影響するのでとても重要だと思います。
具体的には、PIVOTプロダクトに足りていないアクセシビリティ対応も今後対応していくのですが、大きなきっかけになったのはユーザーからの声でした。
このCS対応をしていたおかげもあり、私自身がPdM的な役割をしながら絶賛進めている最中です(やったことない業務楽しい)
QAフローの導入と実践
QAフローをどのように組み込むか
話が若干逸れましたが、QAフローの組み込み方を記載していければと思います。
まずは既存の開発ライフサイクルを図式化してみました。
当時はわかりやすくするため(私がスライド作成コストを下げるためw)にWFっぽい図式化をしていました。
そして、QAが入っていった際の開発ライフサイクルは以下です。
基本的にヒアリングした課題を解決できるように、開発ライフサイクルに入り込んでいくイメージを図式化しました。
ここで意識したポイントは開発スピードをなるべく損なわないようにするという点です。
当時のPIVOTプロダクトは、成長期でした。
YouTubeの登録者数も200万人以上いて、YouTubeだけでなく自社プロダクトにも力を入れていこうというタイミングでした。
そのため、開発スピードを落としてまで過度に品質を担保する必要もなかったのです。
どこからフローを確立していくか
先述のように図式化できたら、あとはどの順番で導入していくかという問題です。
効果が大きいもの、即効性の高いもの、導入コストが低いもの、様々な観点があると思いますが、私はテスト設計~テスト結果報告を最初の導入としました。
決め手としては、チーム側から見てどのように入ってくるかイメージがしやすい、というのが大きかったです。
また、プロダクトの仕様や中長期戦略などを分かり切っていないのに、PRDやDesignDocのレビュー参加は効果的ではない、というのも大きいです。
チームの状況によりますが個人的には受け入れやすく効果が出しやすいものから入っていくことをお勧めします。
振り返りと軌道修正
PIVOTの開発スプリントは1スプリント=1週間になっています。
毎週金曜日にチームでのレトロスペクティブがあり、隔週でEMの方と1on1ができるという恵まれた環境なので、高頻度で軌道修正が行えます。
- やっていることは効果的か(将来的に効果的だと言えるか)
- 効果的でない場合、何が間違っていてどのように修正するべきなのか
振り返る際は上述を意識して行っていました。
具体例を挙げると、当時、「テスト観点がないのでテストケースのレビューが大変」という課題がありました。
これに対して最初は、テスト観点のみレビューに出し、テストケースはレビューと並行して作成という手法をとっていました。
ただ、それだとレビュワーがどのようなテストパターンがあるのか想像ができず、レビュー自体の効力が薄かったです。
そのためレビューに出す際はテスト観点の作成とパターンが膨れるものはある程度パターンを作成してから、レビューに出すようにしました。
正直テスト観点を出す段階で、テストパターンには当たりをつけているのでそれほど工数的には変わりませんでした。
また、レビュワーもテストパターンのイメージがつくので、不足しているパターンや過剰なパターンについて的確な指摘をもらえるようになりました。
最初はプロダクトの仕様が曖昧なので、とにかくレビューはしっかりやってもらえるように、尚且つレビュワーのコストが高くなりすぎないようにというバランスをとることを意識していました。
このような内容を週1のレトロスペクティブや日々のコミュニケーション、EMとの1on1などで軌道修正していきました。
ポイントと学び
一人目QAエンジニアとして特に重要だと感じたポイント
- 関係構築
- 適応力
- 主体的な行動
これらが特に大事だったかなと思います。
ここまで読んでいただいた方にはわかると思いますが、私自身QA的な能力が高いわけでもなく、QAフローの立ち上げも未経験という未熟な状態でした。
ただどうにかやってこれたのは、チームメンバーに頼ることができたからです。
そのため最初の関係構築だったり、相手が考えていることや現場に元からあった慣習に適応したり、恐れずアクションを起こしてみたり、というところが大事だったと思います。
もっとできたこと
社外のQAコミュニティに頼る
これに尽きると思います。
PIVOTではQAが私しかいなかったため、専門的なアドバイスをもらうためには社外の人たちに積極的に助けを求めることが大事でした。
当時の私は「チーム内で解決していく」というスタイルになぜか固執していたため、この考えは薄かったです。
というわけでQA友達になってくれる方は私のXをフォローしていただけると喜びます。
今後の課題
具体的なプロダクト的な課題を挙げたらキリがないですが、大きく分けたら以下の2つです。
自動化
自動テスト実装は未経験なのですが、アジャイル開発には必須なものだと思っているので、導入を進めています。
PIVOTにはプラットフォームがWebとアプリ(iOS/Android)があるので、それぞれPlaywrightとMagicPodで進めている最中です。
うまくいくかは分かりませんが、ここら辺もひと段落ついたら記事にしたいなと思っています!
ビジネス的な考え方を持ちながらQA活動
これはチーム全体で現在進行形で行っていることなのですが、ビジネス的な視点を持ちながら日々の活動をしていきたいです。
実装する機能をチームで決めたり、ビジネス的に必要な品質にフォーカスしたりなどなど。
やれることはまだまだあるので、精進していこうと思います。
終わりに(まとめ)
QAエンジニアってプロダクトの規模や種類によっては必須ではないし、AI技術の進化によって不要になるかもなので微妙な立ち位置ですよね。
ただ「品質」は経営戦略にも関わる部分なので、やってることは重要です。
一人目QAエンジニアは、その品質の基盤を1から作るという貴重な経験ができるポジションだと思います。
今後ももっとやれることを増やしていけるよう精進します。
PIVOTでは一緒に働いてくれる仲間を募集中です!
気になった方はカジュアルに話をさせていただきたいので、ぜひ以下からご応募してください!
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