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【DAY144】プログラミングはコミュ力いらない?

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プログラミングはコミュ力いらない?

「プログラミングは一人で黙々とできる仕事」──よくそう言われる。
確かに、コードを書く瞬間は自分とコンピュータの対話だし、論理的に問題を解いていく時間は他人を必要としない。
だが、現実の開発現場では「コミュニケーション能力」はむしろ生産性の基盤になっている。

ではなぜ「コミュ力いらない」と言われがちなのか、そして実際はどんな能力が求められるのか。
今回はその誤解と実態を、エンジニア視点で掘り下げてみる。


「コミュ力=雑談力」ではない

まず前提として、ここでいうコミュ力とは「飲み会で盛り上げる力」ではない。
開発におけるコミュニケーションとは、情報を正確に伝え、誤解を減らし、チームで意思決定を進める力のことだ。

たとえば仕様変更があったとき。
「この部分、影響範囲が広いからすぐには直せない」と言えるかどうかで、チームの動き方が変わる。
あるいは、レビューコメントで「ここはバグります」ではなく「ここは入力がnullのとき例外が出る可能性があります」と根拠を添えるだけで、相手の理解が深まる。

つまり、ロジカルに伝える力=技術的なコミュ力なのだ。


ひとりで完結する開発は少ない

現代の開発は、個人では完結しない。
API連携、デザインとの調整、インフラ構成、セキュリティレビュー──すべてが他者との接点を持つ。
「コードだけ完璧に書ければいい」では通用しない世界だ。

特にチーム開発では、コードそのものが他人へのメッセージになる。
変数名、関数名、コメント、設計意図──すべてが読み手に伝わる文章であり、ここでも“コミュニケーション”が発生している。
読みやすいコードを書くということは、未来の自分やチームメイトと対話することにほかならない。


コミュ力が低い=開発効率が低い?

コードレビューやペアプロを通して痛感するのは、
「コミュ力の欠如は時間の浪費につながる」ということ。

曖昧なタスク定義で始めると、実装後に仕様ミスが発覚する。
レビューコメントを感情的に受け取れば、無駄な対立が生まれる。
小さな誤解が積もるほど、リファクタリングコストが跳ね上がっていく。

逆に、質問・報告・共有を丁寧に行うだけで、トラブルの8割は防げる。
「報連相」は昭和的な言葉に聞こえるかもしれないが、アジャイル開発では継続的な対話が最重要だ。


「黙ってコードを書く」ためのコミュ力

皮肉な話だが、静かに集中してコードを書くためにこそ、コミュ力が必要になる。
事前に要件を正確に聞き出し、関係者と認識を合わせておくことで、実装フェーズでは迷いなく手を動かせる。
つまり、良いコミュニケーションが「孤独な集中時間」を守ってくれるのだ。


まとめ:プログラミングは“対話の技術”でもある

結局、プログラミングとは「機械に命令を書く技術」であると同時に、
「人と協力して問題を解く技術」でもある。

コードを書く力と同じくらい、伝える力・聞く力・受け取る力が問われる。
コミュ力は特別な才能ではなく、日々の開発で鍛えられるスキルだ。

だからこそ、「プログラミングはコミュ力いらない」と思っていた人ほど、
チーム開発を経験したときにその重要性を痛感するだろう。

静かにコードを書くために、まず話そう。
それがエンジニアとして最初に身につけるべき“ソフトスキル”かも。

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