孫正義さんに学ぶアイデア発想法
初めに
新しいサービスや製品を成功に導くのに必要なものは、何よりも「アイデア」です。 それが個人のスタートアップであれ、巨大企業の新規事業であれ、斬新なアイデアは市場を変革し、新しい価値を生み出す重要な要素となります。しかし、独自のアイデアを次々と生み出すことは、多くの開発者にとって大きな課題となっています。
特にアイデアを1人で考えていても煮詰まってしまい、似たようなアイデアが出がちになってしまい困っている人が多いのではないでしょうか? この問題の原因の一つとして「頭の中の固定観念に縛られている」というものが考えられます。
そんな中、SoftBankの創業者であり、多数の起業家を育ててきた孫正義さんは、その卓越したアイデア発想法で業界をリードし続けています。彼の成功の裏には、どのような考え方や手法が隠されているのでしょうか?この記事では、孫正義氏のアイデア発想の過程を詳細に探りアイデア発想法のヒントを学びます。
3つのアイデア発想法
SoftBankの創業者、孫正義氏は16歳の時に単身アメリカに留学し、1日24時間のうち睡眠にあてる6時間以外のすべての時間、食事中や移動中も教科書を開き勉強したそうです。
しかしそんな中、苦しい家計を助けるために発明をしようと思いつきます。特許を取りどこかの会社に売り込めば、ライセンスやロイヤルティーの形でキャッシュを得ることができます。
しかし一日18時間にも及ぶ勉強時間を削りたくないと考え、1日15分だけを発明のためのアイデアを作る時間に充てることにしました。発明ノートをつくり、「どんなアイデアもいいから必ず1日に1個の発明をする」と自らにノルマを課しました。
しかし1ヶ月、2ヶ月と経ってくるとアイデアが次第に浮かばなくなってきます。そこで彼は、アイデアをコンスタントに生み出すためのアイデアを発明しました。
- 問題解決発想法
- 逆転発想法
- 複合連結法
この3つのアイデア発想法を解説していきます
1.問題解決発想法
始めに、「問題解決指向の思考法」について説明します。
毎日の生活の中で、「困っている」「問題がある」と感じる瞬間は誰にでもあります。これらの瞬間をノートに記録し、日々そのノートを見返すのです。
私たちは日々、気付かないうちにメディアや友人から新しい情報を得ています。問題の種をじっくりと観察していると、これら新しい知識やスキルがリンクし、解決策が見えてくることがあります。これが問題解決発想法です。
例えば「消しゴムのカスが散らばって捨てるのが大変」という問題について考えてみましょう。
これを解決する方法として
- 消しかすが自動的に集まる仕組みを作る
- 消しかすが出ないようにする
- 消しかすを有効活用できるものにする
などが考えられます。
次に、これらを実現するための具体案を考えます。
- 消しかすが自動的に集まる仕組みを作る
→消しかすに砂鉄を混ぜ磁石で集まるようにする - 消しかすが出ないようにする
→摩擦熱で消えるインクのボールペンを作る - 消しかすを有効活用できるものにする
→消しかすを食べられるふりかけにする
このうち上の2つのアイデアは商品として形になっています。(最後は無理矢理考えましたが笑)
このように日常生活での不満や問題を記録して後で見返すと、新しいアイデアの種になることがあります。
2.逆転発想法
「逆転発想法」は、存在する物や概念の反対の特性を思い描くアプローチです。
まず、名詞をランダムに単語帳に記入します。無作為にページを開き、その単語と通常関連する特徴を考え、その逆の特徴を思いつきます。
例えば、「テレビ」を考えると、「見る」「四角い」「大きい」「音が出る」などの特徴が挙がります。これらを反対の特徴、「見ない」「丸い」「小さい」「音を消す」に変え、その新しい概念を想像します。
みなさんなら以上の例からどのような製品を考えますか?
筆者は
- 周囲の騒音を消してくれるノイズキャンセリングスピーカー
- 部屋の壁全面に映し出せる球形のプロジェクター
などが思い浮かびます。普段当たり前に使っているものでも、逆の目線で考えてみると革新的なアイデアが生まれるかもしれません。
3.複合連結型発想法
3つの中で最も有名で効果が高い方法が「複合連結型発想法」です。これはまったく異なる2つ以上のものを複合して新しいアイデアを考える方法です。
単語帳を2冊使って具体的にアイデアを出す方法を解説します。
- まず二冊の単語帳に思いつく名詞をかけるだけ書いていきます。
- 次にその2冊を同時に開き、現れた単語を組み合わせて新しいアイデアを考えます。例えば1冊目の単語帳に「時計」、2冊目の単語帳に「はさみ」と出たら、「時計付きはさみ」「はさみのような時計」を考えていきます。
- 良いアイデアが出なかった場合、次のページを開いてまたアイデアを考えます。
複合連結型発想法の優れたところは、私たちが既存の製品にもってしまっている固定観念を払拭し、新しい視点でその製品を見ることができる点です。
それでは、この記事を読んでいるあなたも実践してみましょう。
以下に月と日に対応してランダムな名詞を用意しました。あなたの誕生日に対応した2つの名詞から、新しい製品を考えてください。
月
1月 リモコン
2月 歯ブラシ
3月 スニーカー
4月 空気清浄機
5月 コーヒーメーカー
6月 電子レンジ
7月 バックパック
8月 腕時計
9月 サングラス
10月 ヘアドライヤー
11月 ノート
12月 スケートボード
日
1日 カメラ
2日 のり(文具)
3日 イヤホン
4日 水筒
5日 バイク
6日 リップクリーム
7日 カレンダー
8日 キャンドル
9日 キーボード
10日 メジャー
11日 サッカーボール
12日 画用紙
13日 テーブルクロス
14日 タオル
15日 フードプロセッサー
16日 マウス
17日 ティーセット
18日 まな板
19日 扇風機
20日 ロボット掃除機
21日 パジャマ
22日 タイマー
23日 アロマディフューザー
24日 スピーカー
25日 ライト
26日 スコップ
27日 スーツケース
28日 枕
29日 ヨガマット
30日 インスタントラーメン
31日 靴箱
例えば6月16日生まれだとすると、電子レンジとマウスパッドですね。「電子レンジ用マウス」「電子レンジ付きマウス」がお題になります。
- マウスで電子レンジ内の食材を温めながら操作できたら?
→食材の向きを自由に操作できる電子レンジ - 電子レンジでマウスを温めると?
→温めることができるカイロマウス
など自由に発想してみてください。良いアイデアが出ない時は、月と日を1つずらしてみてまた考えてみてください。
そして良い製品のアイデアができたらコメント欄に書き込んでみてください。他の人のアイデアを見ることでより自由な発想が浮かぶかもしれません。
最後に
なかなか良いアイデアが発想できずに困っている方がいれば、この3つの発想法を参考にしてみてください。
毎日少しでも時間をとってこの方法でアイデアを出していけば、いつかは素晴らしい製品やサービスを生み出せる助けになるかもしれません。
追記
アイデアを自動生成するサービスを開発しています。
詳しくは↓をご覧ください
Discussion
「ヘアドライヤー」×「リップクリーム」
発明までの経緯
ヘアドライヤーもリップクリームも、女性がよく拘るアイテムだと考えました。
共通項は「美容」だと思います。
そして、リップクリームは無くなったら買わなければいけないところから閃きました。
発明したもの
髪にも顔にも使えるドライヤーです。
恐らく似たようなものは既にあると思うのですが、そこに「リップクリームを使わなくても唇に潤いを与えられる」というアイデアを加えました。
この商品があれば、保湿を意識しなくても、髪の潤い、顔や唇の保湿の作業を1工程で実現できます。