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22世紀の秘密道具をオマージュ。『もしもでんわ』で"もしもの世界"を映像化

に公開

デモ動画 (3分)

https://youtu.be/kmHfuGVD6Tg

1. 背景・課題:誰もが持つ創作への憧れと現実の壁

こんな経験はありませんか?

電車に揺られながら「もしも猫が支配している世界だったら」なんて考えて、頭の中で面白いストーリーが展開される。思わずニヤニヤしてしまうほど楽しい妄想なのに、駅に着く頃にはすっかり忘れてしまう。

あるいは、ふとしたきっかけで「もしも重力が半分になったら、スポーツはどう変わるだろう」なんて想像が膨らんで、その面白いアイデアを誰かに伝えたくなる。でも、それを形にする手段がない。

今日、世界中でどれだけの「もしも」が生まれ、そして消えていったでしょうか?
それは時に、プロのクリエイターが作る作品以上に面白く、独創的で、人の心を動かすものかもしれません。
しかし、それを形にするには膨大な時間や技術が必要になる。

世界を変える次のアイデアは、今朝の通勤電車で空想にふけっていたあなたの中にあるかもしれないのに。個々の世に出ていないアイデアが数多く存在することが課題です。

創作活動が抱える本質的な問題

YouTubeやTikTokを毎日見ている人は何億人もいますが、実際に投稿経験がある人は圧倒的に少数派です。

なぜでしょうか?

答えは明確です。創作活動は、想像以上に複雑で手間のかかるプロセスだからです。

動画制作を例に考えてみましょう。まず動画編集ソフトを習得し、素材を収集し、音声を録音し、BGMを選択し、エフェクトを追加する。

さらに、構成を考え、カラーコレクションを施し、最終的な書き出し設定まで決めなければなりません。考えただけで疲れてしまいます。

しかも、初期投資として高価な機材やソフトウェアが必要になることも多く、気軽に手を出せるものではありません。

創作の本質を見つめ直す

しかし、少し立ち止まって考えてみてください。創作というものは、本当に高度な技術的スキルがないと成り立たないものでしょうか?

子どもが無邪気に描く絵や、友達との何気ない会話の中で生まれるアイデアが、時にプロの作品より心に響くことがあります。それは、純粋な想像力と表現への情熱こそが、創作の真の価値だからです。

技術は表現のための手段に過ぎません。本当に大切なのは、心の中にある「もしも」を形にしたいという想いなのです。

「もしもでんわ」は、この根本的な課題に正面から挑戦します。

簡単な音声入力だけで、あなたの「もしも」な世界を美しい動画として表現できるツールです。
専門知識も複雑な操作も必要ありません。

スマホに向かって一言話すだけで、即座に世界を形にできる革新的なプラットフォームを提供し、創作の民主化を実現します。

2. もしもでんわとは

名前を聞いてピンときた方もいるかもしれませんね。そうです、某国民的アニメの秘密道具をモチーフにしています。電話で「もしも〜だったら」と話すだけで、パラレルワールドを体験できるあの道具です。

本当にパラレルワールドを作ることはできませんが、代わりに「もしもの世界」を美しい映像として表現し、みんなで楽しめるようにしました。

「もしもでんわ」は、創作意欲はあるがスキルが不足している方、頭の中の想像を形にしてみたい方をメインターゲットとしています。

創作入門者が直面する技術的ハードルを限りなく低くし、誰もが気軽に創作活動を楽しめる環境を提供することが最大の目的です。

年齢、技術レベル、創作経験に関係なく、純粋な想像力だけで勝負できる場所。それが「もしもでんわ」の目指す世界です。

革新的なシンプルさ:3つのステップで完成する動画

使い方は驚くほどシンプルで、誰でも直感的に操作できます。

ステップ1:話しかけるだけ
アプリを起動し、通話ボタンをタップ。そして、「もしも~な世界だったら」と話すだけ。
「もしも植物が話せる世界だったら」みたいに、自然に話してください。

ステップ2:AIが創造的なストーリーを構築
あなたの「もしも」を聞いたAIが、面白いストーリーを自動で作ってくれます。単なる設定の説明ではなく、その世界で起こりうる出来事について深みのある物語を創り出します。
そして、そのストーリーを自然な音声で読み上げてくれます。

ステップ3:映像が自動的に完成
Veo3を活用し、ストーリーに完璧にマッチした映像を自動生成します。あなたが最初に話した「もしも」の部分と、AIが創作したストーリー部分が、Text-to-Speech音声とテキスト表示を組み合わせながら動画化され、Veo3で生成された映像と美しく結合されます。

これだけで、あなただけの「もしも動画」が完成します。

たったこれだけ。難しい操作は一切ありません。

従来ツールとの根本的な違い:「きれいに作る」から「すぐに作る」へ

ここが、既存の動画作成ツールとの大きな違いです。

従来のツールは「いかに高品質で完璧な作品を作るか」「いかにプロフェッショナルな仕上がりにするか」を重視してきました。確かにそれも重要な価値ですが、多くの人にとってはそれがかえって創作への参入障壁となっていました。

「もしもでんわ」が大切にしているのは全く異なる価値観です。「思いついた瞬間に形にできる」「想像力を遊びに変えられる」ということこそが最重要だと考えています。完璧な映像を作ることが目的ではありません。

頭に浮かんだ「もしも」を、その熱が冷めないうちに即座に形にし、誰かと共有する。そのスピード感と気軽さこそが、創造性を育み、想像力を豊かにする秘訣だと信じています。

3. 機能

3.1 UI・UXデザイン:究極のシンプルさの追求

「もしもでんわ」のデザイン哲学は「誰でも迷わずに使える」ことです。年齢や技術レベルを問わず、直感的に操作できることを最優先に設計しました。

UIデザインで最も重視したのは、とにかくシンプルであること。

ミニマリスティックなインターフェース
メイン画面の中央には、大きな録音ボタンが堂々と配置されています。その周囲に必要最小限の機能ボタンが円形に配置されているだけ。余計な装飾や複雑なメニューは一切ありません。初めて触る人でも、何をすべきかが瞬時に理解できるデザインです。

音声中心の体験設計
キーボード入力を完全に排除し、原作へのリスペクトを込めて電話のような直感的なUIを採用しました。文字を入力する必要がないため、タイピングが苦手な方や、画面の小さな文字が見えにくい方でも安心して利用できます。

アクセシビリティの配慮
AIが生成したストーリーは、Text-to-Speech技術により自動的に音声で読み上げられます。これにより、文字を読むことに負担を感じる方や、まだ文字が読めない幼児でも問題なく使用できます。つまり、子供から高齢者まで、すべての人が自分の「もしも」を形にできるバリアフリーな設計となっています。

3.2 システムアーキテクチャ

📱 フロントエンド
FLutter / Flutter Web (Firebase Hosting)
音声録音・送信
Server-Sent Events(SSE)によるリアルタイム進捗表示

🔐 認証・データ管理
Firebase Authentication: JWT認証
Firestore: 動画生成回数管理

⚙️ バックエンド
Cloud Run (FastAPI)
Video Pipeline: 全体制御
Video Service: FFmpeg動画処理

🤖 API・AI処理
Speech-to-Text: 音声からテキストへの高精度変換
Text-to-Speech: 自然で聞きやすいナレーション音声生成
Gemini2.5-Flash-Lite(VertexAI): ストーリー・プロンプト生成
Veo3(VertexAI): AI動画生成

💾 ストレージ
Cloud Storage: 動画保存

📊 処理フロー

4. 創造力を解放する

「もしもでんわ」は、単なる動画作成アプリではありません。これは、人々の心に眠る想像力という小さな種に水を与え、創造性という美しい花を咲かせるためのツールです。

私たちは毎日、無数の「もしも」を心の中で思い浮かべています。通勤の電車で、昼休みのひととき、布団に入る前の静かな時間に。でも、これまでそうした想像は、頭の中だけで完結し、やがて忘れ去られていくものでした。

「もしもでんわ」は、そんな貴重な想像を捕まえ、形にし、世界と共有する機会を提供します。あなたの心の中にある「もしも」は、きっと誰かの心を動かし、笑顔にし、新たな想像力を刺激するはずです。

4.2 創作の壁をなくす

技術の進歩は、往々にして新たな格差を生み出します。「できる人」と「できない人」の間に、大きな溝を作ってしまうことがあります。

しかし、本当の技術革新とは、そうした溝を埋めるものであるべきです。「もしもでんわ」は、動画制作という高度で複雑な創作活動を、「話すだけ」という最も基本的で自然な行為にまで単純化しました。

5歳の子どもが純粋に思い描く「もしも恐竜がペットだったら」という想像も、80歳の方が人生の経験から紡ぎ出す「もしも戦争がなかったら」という深い願いも、等しく美しい映像作品として結実します。

年齢も、技術力も、経験も関係ありません。純粋な想像力だけで勝負できる、そんな場を作ることが私たちの使命です。

4.3 学びの場としても

「もしもでんわ」の可能性は、エンターテインメントの枠を超えて広がっています。

教育現場では、「もしも」を考えることが批判的思考力と創造性を育む優れた方法として注目されています。歴史の授業で「もしも明治維新が起きなかったら」を考えたり、理科の授業で「もしも地球の自転が止まったら」を想像したり。

生徒たちは楽しみながら学習内容を深く理解し、自分なりの考えを形にする力を身につけていきます。

また、言語表現に困難を抱える子どもたちにとって、音声入力だけで作品を作れることは大きな自信につながります。高齢者の認知症予防プログラムとしても、想像力を使った創作活動は脳の活性化に効果的だとされています。

企業の研修やブレインストーミングでも活用されています。「もしも我が社の製品が空を飛べたら」といった突拍子もない設定から、意外なアイデアが生まれることがあります。

5. 終わりに:生成AIと秘密道具

現実となった秘密道具たち
生成AI技術の急速な発展により、かつてSFや漫画の中にしか存在しなかった道具が、次々と現実世界に登場しています。

例えば、Nanobananaを使えば、自分の服装を瞬時に変えることができます。これはまさに「着せ替えカメラ」そのものです。「インスタント旅行カメラ」という秘密道具も、現在の画像生成AIとバーチャル背景技術を組み合わせれば実現可能でしょう。さらに「めんくいカメラ」も、AIエージェントとNanobananaを巧妙に組み合わせることで、実現の可能性が見えてきます。

このように、生成AIの発展により、これまで空想の産物だった数多くの秘密道具が現実世界のツールとして誕生しています。技術の進歩は、想像力の限界を実用性の境界へと押し上げ続けているのです。

今回は、そんなところからインスピレーションを得て、Veo3を使って秘密道具を何か実現したいと思って「もしもでんわ」を作りました。
もしもボックスとは程遠いですが「もしもでんわ」を作れて楽しかったです。

未来には、さらに多くの「秘密道具」が現実となり、人々の生活を豊かにしていくことを願っています。

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