SaaSとオンプレミスの違い(Exchange編)
初めまして。Microsoft関連の製品を扱うことの多いエンジニアです。
最近、オンプレミスExchangeServerをExchangeOnlineに
移行した際の気づきを共有できればとおもいます。
SaaSとは
SaaS(Software as a Service)、クラウド(つまりインターネット)で
提供されているサービスです。
ExchangeOnlineもSaaSに入ると考えられるでしょう。
そのメリットは導入の手軽さ。
オンプレミスに業務システムを展開するにはハードの調達、ハードセッティング、
OSやミドルウェアを導入し、その上で業務システムを開発展開する必要がありましたが、
これらが全て省略される、というのは大きなメリットでしょう。
ExchageOnlineの場合の具体的メリット
・導入コストの圧倒的削減
RASIS(「R:信頼性」「A:可用性」「S:保守性」「I:保全性」「S:安全性」)
で言うところの
「R:信頼性」
「A:可用性」
「S:保守性」
について、設計の必要すらほぼなくなります。Microsoftがほぼやってくれますから。
「I:保全性」
「S:安全性」
は流石に考えないとダメですね。
データ保護とか監査ログ、データの保持、2段階認証なりでのセキュリティ等等は
設計して実装してかないといけないです。
・ハード調達、OS・ミドル構築不要
これもとても楽です。ハードの配線やらOSのインストール、パラメータチューニング…
クラスタ(DAG)組んだりサーバーのロールを決めたり・・・一切不要です。
・運用コスト削減
ここもCSIRTに則ってセキュリティアップデートやらバグ対応やら…がなくなります。
※後述しますがデメリットにもなり得ます・・・
Exchange Online のデメリット(SaaSのデメリット)
ここまで Exchange Online のメリットを書いてきましたがデメリットもあります。
日本でのITではクリティカルヒットしかねないと思います涙
・細かいチューニングができない
例えば同時送信宛先は 2020/10/11現在 MAX1000 です。(Exchange Server なら無制限)
これは以下にこう書かれています。
- Exchange Online の制限
https://docs.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/exchange-online-service-description/exchange-online-limits- 受信および送信の制限
- 送信の制限
- 受信者の制限
最大1000人の受信者をカスタマイズ可能
※注意が必要でデフォルトだと最初はMAX500…改めて設定しないと1000になりません。
- 受信および送信の制限
他にも色々ありますから上記技術情報はしっかり読まないといけません。
・まだまだExchange Onlineには実装されていない機能が多い
コマンドで結構多くの箇所で
「このパラメーターは、オンプレミスの Exchange でのみ使用できます。」
と言う記載をみかけるます。
例えば
Set-Mailbox
- MaxSafeSenders
とかですね。Exchange Online に移すパラメータについて細かくチェックが必要・・・
あとはIgnite
(Microsoftのカンファレンスイベント、AppleでいうところのWWDCとかそう言う感じです)
とかで頻繁にアップデートが出ますのでそれをしっかり追っておくことが大事になります。
それにちゃんと自分で検証することも大事!
結構MS文章追っついてませんし誤りもあります。
※例えば仕分けルールの容量。Exchange Server 2013 の仕分けルール容量
「Exchange 2013 では、既定値は256キロバイト (262144 バイト) です。」
とか書いてありますが、実際は64KB。設定で増やせますけど・・・
・Hybrid 移行は結構大変
Exchange Onlineへの意向に関する情報は日本でなかなか少なく、
Exchange が古いと(2013とか)なお厄介です。
Microsoftの公式情報でがんばれば良いのですが、いかんせんほぼオール文字なので
心がおられがち・・・画像とかがついた情報はユーザ情報しかなく、そしてそれらは
ほぼ英語!
例えば Exchange Server 2013 to Online での情報で参考になったのは
自分だと以下ですね。
Exchange 2013: Hybrid Part 1
あ、ちなみに今ではExchange のハイブリッド移行、モダンとやらができて
結構楽になったらしいです。なお私は未検証…(旧方式はクラシックと呼ばれるようになった。)
特にExchange Server をインターネットに直接公開してなくてもいけるってのは素敵。
Hybrid Agent & Exchange Modern Hybrid now available as a public preview
Modern HCW (Hybrid Agent) のトラブルシューティング方法のご紹介※相変わらず日本語情報はろくに見つからなかった…
最後に
上記でIgnite のことを書きましたが、新しい情報をちゃんと追ってると、
結構新機能とかが実装されていることに気づきます。
例えば以下
Exchange News and Announcements – Microsoft Ignite 2020 Edition
これはExchange Server 2019 にだってないようですからExchange Online でのみの
機能となりメリットにもなることでしょう。(Gmailにすでにあるでしょとかは禁止!)
ということで、Exchange Online の全体としての制限、細かい機能としての制限
をしっかり確認しながら、ちゃんと最新情報の確認(英語を厭わないこと!)をして
しっかり検証もして、Exchange Online のいいとこ取りしてデメリットはきっちり
避けていけるようにしたいところですね。
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