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開発生産性が3.6倍に。〜AIで成果を非連続に成長させた取り組み〜

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こんにちは!カウシェで Mobile / QA Team の Engineering Manager を担当している @akifumi です。
カウシェ Advent Calendar 2025 の15日目を担当します。
昨日は、goro さんの 「良いレコメンドは、UXから生まれる」 でした。

本記事では、カウシェ Mobile Team の2025年を振り返り、AI活用がどのように事業成果や組織に変化をもたらしたかをご紹介します。

2025年のハイライト

2025年のカウシェ Mobile Team を一言で表すと、 「AI活用による開発生産性の非連続な成長」 です。

開発生産性の非連続な成長

AI を中心に据えた開発手法の導入や、AI がコードを書きやすい環境整備、そして開発サイクルを加速させる仕組みを整えたことで、チームの開発生産性が大きく向上しました。

デプロイや1人あたりのプルリクエスト数は60~150%増と大きく伸び、従業員1人あたりの売上総利益もこの1年で3.5倍に増加

カウシェ CTO @ike の記事 では、上記のように記載されていましたが、Mobile 領域では以下のような数値の変化がありました。

◆1人あたりPR数

  • 1日あたり平均
    • 1月: 0.9件 → 12月: 3.3件 (3.6倍)
  • 月間
    • 1月: 11.8件 → 12月: (予想)60件 (5.0倍)

月間の1人あたりのPR数

変更をより小さく安全に届けることができるようになり、結果としてPR数は上記のように大きく増加しています。また iOS・Androidの審査提出作業を5秒で終わるようにしてみた で紹介したように、アプリリリース時間の短縮等、デプロイ自動化の基盤も強化しました。デプロイの安全性向上とデプロイ自動化基盤の品質向上により、アプリリリース頻度も毎週1回から毎週2回に増やすトライアルも開始できました。その影響もあり 年間のアプリリリースは約20%増加 しました。

◆1年間のリリース数

2024 2025 成長率
All 114 137 120.2%
Android 59 70 118.6%
iOS 55 67 121.8%

非連続な成長を生んだ取り組み

成果の背景には、以下の取り組みがあると考えています。

1. AI が開発しやすい環境へのシフト(Monorepo 化)

2025年の大きな取り組みのひとつが、「AI がコードを理解しやすい状態をつくり、開発を促進する」 でした。
その施策の一つが、Monorepo 化 です。
Mobile 領域では、 Android (kauche-android)と iOS (kauche-ios) レポジトリを統合し、コードを一箇所に集約しました。
当時の取り組みは こちら の記事でも紹介しています。

Mobile コードを一箇所に集約したことで、以下のようなメリットがあります。

  • Android ↔ iOS のコード変換が容易に
  • PR・コミット・ファイルを参照して、AI が開発できる
  • AI Rules などのノウハウの横展開

さらにその後、Mobile だけではなく、API 定義 / Backend / Frontend など、多くのリポジトリを一つに統合することになりました。
全社 Monorepo 化への道

これにより、AI に API 定義を読み込んだ上で、Android / iOS / Backend などのコードを書くという開発手法が可能となりました。
これは API 定義に仕様がしっかり書かれていることによる恩恵も大きいです。
https://note.com/yoshiki_shibata/n/n1489871a51ac

2. Mobile Engineer が両OS開発

これまでは Android Engineer / iOS Engineer とプラットフォームごとに専任エンジニアがいる体制で開発を進めていました。
しかし、少人数で高い機動力を保ちながら、さらなる成長やスピード向上を実現するために、 1人のエンジニアが両OS開発する文化 へと変化させました。
合わせて、Android Engineer / iOS Engineer → Mobile Engineer 呼称も変えました。

初期は、慣れていない OS の開発に取り組むことで生産性が一時的に低下する場面もありました。
しかし、AI やチームメンバーに相談しながら開発を進めることで、未経験の方でも 今では当たり前のように両OSの開発を担当できる状態 になっています。

この変化によって、組織的な以下のような進化もできたと感じています。

  • アサインの柔軟性が向上
  • メンバーのキャリア幅が広がる
  • 少人数でもスケールする組織(1チームに Mobile Engineer が1名)が実現可能に

この変化はメンバーの方々の努力によって実現したため、大変感謝しております。いつもありがとうございます!

3. より速いサイクルで開発する仕組み

「より速く、より安全に、より優れた体験をお客様に届ける」ために、開発フローを変更しました。
特に効果が大きかったのが、以下の3つです。

1. Feature Flag (Remote Config) の徹底

以前から Remote Config を活用した Feature Flag は導入していました。
今年はさらに一歩踏み込み、「新規機能開発時は、まず Feature Flag を作成する」 を徹底しました。
これにより、機能開発が未完成でも 最新ブランチにガンガンマージできる状態 になりました。

また、Feature Flag が常に入っている状態となるため、以下も可能となりました。

  • リリース時期/割合の柔軟な制御
  • A/B分析が容易
  • リリース後に問題が発生した際に、即座に機能を非公開

2. feature / epic ブランチの廃止

これまでは、機能実装と QA が完了してから feature / epic ブランチを最新ブランチにマージするフローでした。
しかし Feature Flag を徹底したことで、feature / epic ブランチが不要となり、より本質的な Trunk Based Development が実行可能となり、スピーディーな開発につながっています。

また定期的に発生していた「最新ブランチの取り込み」や「コンフリクト解消」の作業が減少し、開発体験の向上 しています。

3. PR の細分化

開発サイクルをさらに高速化するため、PR の粒度についてをチームで議論しました。
いくつかの基準でPRを細分化し、300行以下程度の差分を目安にすることにしました。
PR を小さくすることで、以下のメリットが得られます。

  • 変更範囲が狭まり、障害発生時の影響範囲を限定
  • レビュワーの負荷軽減
  • マージまでの時間が短縮され、開発サイクルが向上

2026年の展望

2026年は、2025年に得た知見や課題を踏まえ、開発生産性をさらに一段引き上げることに挑戦します。
Claude Code の 1日あたりのPR数 5件 を目指して、改善に取り組んでいきたいと考えています。

直近だと、開発生産性の向上に伴いレビュー負荷が高まっているため、AI コードレビューの仕組みを整備 し、レビュー負荷を軽減します。
そこが改善されると、さらなる開発サイクルの加速化につながると考えています。

また、現状のチームの開発スタイルと照らし合わせ、PR の粒度を言語化 を行い、開発効率を最大化するために深化させていきます。

UI 開発では、Figma MCP などを活用した デザイン → コード自動生成の効率化 を進め、UI 実装の速度と品質をさらに引き上げます。

まとめ

2025年のカウシェ Mobile Team の変化を振り返りました。

  1. AI × 開発生産性向上
    • Monorepo 化によりコードベースを統合し、AI により多くの情報を与えることで、開発効率や精度を向上しました
  2. AI × 組織
    • AI 開発を前提とし、1人の Mobile Engineer が両OSの開発をするという文化をつくりました
  3. 成果
    • 1年の取り組みを通じて、1人あたりのPR数は 3.6倍 / リリース数は 1.2倍 となり、1人あたりが生み出す事業価値の向上につなげました

最後に

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