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Observability Conference Tokyo 2025にオーガナイザーとして参加してました

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2025年10月27日、これを書いている時点で先週、Observability Conference Tokyo 2025というカンファレンスを開催しました。私は「オーガナイザー」という立場で、カンファレンス全体の雰囲気作りを担いながら、当日はクロージングキーノートでも少し話をしました。

いくつか、やったことを振り返っていきます。

開催趣旨をどう作ったか

Observability Conference Tokyo 2025 開催趣旨

まず、ウェブサイト https://o11con.jp に掲載するための開催趣旨を作りました。このカンファレンスは誰に向けたものか、そして、参加することで何を得られるのかを簡潔に説明し、「参加したい!」と思ってもらうための文章です。

もともと、「オブザーバビリティといえば、運用監視の分野の一つとしてインフラエンジニアやSREが担うものだ」という雰囲気があるように感じており、もちろんそれは一理あるものではありますが、実際にはそれ以外の様々なエンジニアが関わる分野であることを知っていただきたいという思いがありました。また、オブザーバビリティ環境を整備するためには、ある程度の手間とお金がかかるものです。限られた時間と予算をやりくりするには、経営層の支援が不可欠です。オブザーバビリティが改善することによる事業的な利点もぜひ語られてほしい…。技術的なトピックだけではなく、組織的、もしくは経営的な話まで盛り上がってほしい。そんな想いを詰め込んでみたのがこの文章です。

ただ、これらの論点は私が頭の中で想像したものに過ぎません。実際の開発、運用、事業などの現場には様々な状況があり、独自の課題があり、解決のためのアイデアの種があることでしょう。OTelでトレースを取れば解決するとは限りません。状況に応じた解決を探さなければならず、それに必要なのは対話です。できるだけフラットな対話を重視した、これがこの趣旨で意識したもう一つのポイントです。

フラットさは、カンファレンス全体を通して注意したことかもしれません。たとえば、「オブザーバビリティとは何であるか」について、キーノートや多くのセッション、さらに参加者同士の会話を通じて見つけていただくようにし、カンファレンスとして何かを定義しないようにしています。権威として何かを一度定義してしまうと、それが独り歩きして、しばしば誤解されたまま広がってしまいます。そして、誤解であるかどうかの論争が発生し、人々は疲れて離れていきます。これは過去に散々見飽きた無意味な光景です。課題とその解決に集中してもらうために何ができるかというのも、今回の個人的チャンレンジの一つでした。これについては良し悪しある部分ではあるので、ベストではないかもしれません。

実行委員会の組成と役割分担

開催の3ヶ月くらい前に実行委員を公募しました。公募はSNS上で行い、他のカンファレンスでよく知る人たちはもちろん、今回カンファレンスに初めて関わる人たちも含め、約50名が集まりました!ありがたいことです。そうなると、次に考えるのは「どう組織的に動くか」です。

私も含めて実行委員はボランティアとして参加しており、役割を担うとしても、基本的には自分がやりたいことをやってほしいと思いながら、役割の境界線をとりあえず作り、それぞれの希望を聞き、結局は全員第一希望の仕事をしてもらうことになりました。

実行委員会キックオフ: 現在想定している仕事

これはうまく行かなかった部分はあり、活動前半は広報とウェブ管理、活動後半は参加者対応、運営、企画あたりの仕事がかなり密になってしまっていて、各グループのメンバーの方々は努力が必要になってしまっていました。それでも、3ヶ月という準備期間でこの規模のカンファレンスを実現できたのは、実行委員のみなさんが状況に応じて柔軟に動いてくださった結果です。役割を整理して、アイデアからその実現に向けてできるだけスムーズにやり取りできるような環境を実現していきたい。次はもっと上手くやりましょう。

また、今回はFindy Conference(参加登録や参加費の決済、オンライン配信)、EMTEC(会場での収録と配信)、NOC(会場のネットワーク整備)の協力も重要でした。機材トラブルや「当日朝に会場が開いていない!!」みたいないくつかのトラブルがありながら、完成度の高い仕事をしていただいたと思っています。

ウェブサイト運営とAIの活用

公式ウェブサイト o11ycon.jp のコンテンツ追加などをやっていました。ベースはjacopenさんやしょっさんが作ったものに追加する仕事でしたが、実際にはClaude Codeが95%以上の仕事をしていて、「はー時代は進んどるなー」という感想を得ました。

私のキャリアの中でウェブサイトの開発自体はそれほど経験があるとは言えず、それでも「ちょっとスペース多いから削ってほしい」みたいな適当な日本語で仕事をしてくれるAIエージェント、便利すぎます。これなしでは、もっとぐちゃぐちゃなウェブサイトになるか、もしくは経験ある人と会話を重ねて、時間と手間をかけて作っていかなければならなかった。

ただ、AIエージェントももちろん万能ではなく、たとえば「スマホビューでハンバーガーメニューが表示されない」といくら言っても「ありますが?」としか返してくれなかったりして、スクショを渡したりしても理解されず、困ったこともありました。一旦作り直してもらうことで、結果的には解決したり。「ブラウザ上での見た目」の情報を処理するにはまだちょっと工夫が必要そうっていう感想でした。

参加登録の主張が激しい

あと、CLIツールが提供されていたりすると統合がめちゃくちゃ楽なのでいいですね。

スポンサーメニューや企画のレビュー、その他気になったことの確認

開催趣旨でもあったとおり、フラットな対話を重視したというのは重要な点だったかもしれません。これはスポンサーの見せ方でも、従来のカンファレンスとは異なる方針を取った理由でした。

よくあるカンファレンスでは「プラチナスポンサー」「ゴールドスポンサー」などのティアを設定し、それぞれのメニューに差をつけ、異なるスポンサー料金を示して募集をし、参加者に対して「この企業は多く支援しています」という見せ方をするというのが一般的です。オブザーバビリティをテーマにしたこのカンファレンスでは、ある程度の企業、とくにオブザーバビリティ製品ベンダーのスポンサー希望が集まることが予想されました。ベンダーには様々な状況があり、マーケティング戦略や予算もことなります。数少ない「ティア1」の席をランダムなサイコロに決めさせるのはもったいないし、そのタイミングでのお金の有無で見え方が変わるというのもちょっと残念です。そこで今回はスポンサーメニューとしてのティアは示さず、「セッションをしたいか」「ブースをだしたいか」などのやりたいことに応じて調整できるような設計にしました。反面、これは従来のスキームとは異なるため、メニューとしてわかりにくい。フェアな選定と調整をするための指針も議論を重ねていました。

参加者のみなさんにはどう写ったでしょうか?セッションはどうでしたか?ブースは楽しめましたか?これがスポンサーのみなさまにとっても良かったかは、今後のフィードバックによるところです。今回の準備期間の短さは、スポンサーにとっても多くの調整が必要になったと想像しています。大変ありがたいことです。

また、うーん、色々…口を出させていただいたと思います。中には「それはやめましょう」のような否定的な提案もかなりしていた気がします。実行委員のみなさまには大変苦労をかけたと思っていると同時に、カンファレンスとして形にしたことにはとても感謝しています。いや、感謝じゃないな、感謝っていうとちょっとなんか「俺のためにやってくれた」っていう感じなので、うーん、みなさんが最終的に楽しんでいただけたなら良いなと、個人的に思っています。

まとめ

ということで、明確な役割がなんなのかは自分でもわかっていませんが、まあとにかく、Observability Conference Tokyo 2025に関われてとてもいい経験ができました。ありがとうございました。

成功の目安の一つとして「次回に繋げられること」というのがあります。クロージングキーノートでも話したとおり、次回は未定です。1年後かもしれないし、もしかして4年に1度の祭典になったとしても、それはそれで面白いかもしれません。参加者の需要と実行委員のモチベーションが高まっていれば、開催に向けての準備が始まることでしょう。とりあえず、打ち上げをしてから考えましょう!

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