情シスがGmailのメールへの差し込み機能(旧:マルチ送信モード)を使ってみたよ
追記
「マルチ送信モード」は「メールへの差し込み機能」に名前が変わっています。
背景
企業にお務めの情シスのみなさん、メルマガ配信はどんなツールを使っていますか?
弊社ではSendgridとMail Distributorを使っていました。
ウェブサービス内から送るときはSendgrid、人力で送るときはMail Distributorという棲み分けです。
そこに彗星のように現れた、Gmailのマルチ送信モード。
2022年7月の機能追加です。
メール関係がGmailだけで済む!ありがたいことこの上ありません。さっそく触ってみます。
なお、この機能を使うには GWS Business Standard 以上が必要です。
要は「マルチ送信モード」って何?
先にまとめちゃいます。
- 最大1500件の宛先に送れる(ユーザーごと、1日ごと)
- マルチ送信モードで送ったメールは、宛先に指定した各アドレスに対して個別に送られる
- マルチ送信モードで宛先をAさん・Bさんにすると、AさんとBさんに本人のみが宛先になったメールが届く(AさんとBさんにお互いのアドレスが見えない。存在もわからない)
- CCやBCCにアドレス指定すると、CCやBCCには宛先欄のアドレス数分のメールが届く
- 添付ファイルをつけた場合、添付ファイルのサイズ×宛先欄のアドレス数分の容量を使う
- 宛先に指定したアドレス分、メール送信上限を消費する
- 本文に自動で登録解除用のリンクが挿入される。リンクを挿入しないこともできる
- HTML形式のテンプレートも複数用意されている
つまり、「Gmailからメルマガのような一斉送信メールを送ることができる機能」といえます。オプトアウト導線も入るから特定電子メール法にも配慮。
複数の宛先をBCCに入れることで一斉送信していた企業の救済機能。料金内でこんなことできるってすごくない?
触ってみる
ヘルプに沿ってやります。
宛先を準備
先に宛先を準備しちゃいます。ヘルプだと「メーリング リストを管理する」の部分です。
顧客に一括送信するなら、顧客DBからメールアドレスをエクスポートしてGoogle連絡先にインポートする、という流れになるでしょうか。
Google連絡先のインポートの際、CSVのフォーマットが見つからずやや手こずります。会社所有デバイスのインポートの時みたいに、流れでテンプレートをダウンロードさせてくれ…
自分は既に登録されているアドレスを一旦エクスポートして使うという方法を取りました。
インポートフォーマットを入手したら、宛先のアドレスを入れてCSVファイルを作ります。
自分は Name
E-mail 1 - Value
のみ設定し、他は空欄にしました。
これさえあればメール送信には使えます。
CSVファイルをGoogle連絡先へインポート。
このとき自動でラベル名がつきます。あとの手順でこのラベル名を使います。
なお、ディレクトリに既にあるメールアドレスをインポートすると、勝手に電話番号などの他の情報も埋めてくれました。
メール送信
ヘルプ「マルチ送信モードを有効にする」
マルチ送信モードにするアイコンをクリックすると、メール編集画面のヘッダ色が変わります。「送信」ボタンも「続行」ボタンに変化。
事故防止への配慮でしょうか。ありがたい。
登録解除用のリンクが不要なときは、この画面で「無効にする」リンクを押せばOKです。
ヘルプ「宛先を選択する」
ここで先ほどインポートしたリストを使います。
インポートの際についたラベル名を宛先欄に入力すれば、サジェストされるはず。
確定すると個別のメールアドレスに分かれて入力された状態になります。これめっちゃ便利ね。
ヘルプ「メールを送信する」
本文も入力後、「続行」ボタンを押すとダイアログが出てきます。
ダイアログからリンクされている記事はこちら。
一括メールを送信する際のおすすめの方法
読んでもらうと分かりますが、迷惑なメールを送らないようにという配慮がすごいです。
グローバルなサービスなので「多くの国や地域では…」という書き方になっていますが、必要なことについてちゃんと警告してくれています。
自社のサービスのせいで顧客がやらかさないように、というGoogleさんの親心を感じました。
特定電子メール法を熟知している人以外はぜひご一読を。
戻ります。
迷惑メール防止のダイアログから先に進むと、またダイアログが。
なんとここでテストメールを送れるのです。
「プレビューを送信」すると、自分に対してテストメールが送られます。
自分が設定したタイトルの先頭に「[テストメール] 」がついた形で送られてきます。
料金内でこんなことできるってすごくない?(2回目)
「すべて送信」を押せばメール配信完了です。
登録解除リンクを使わないなら特に引っかかるポイントもなく、便利に使える機能だと思います。
登録解除
オプトアウト導線をガッツリ使おうと思うと、細かい仕様が気になります。
要はどういう仕組み?ヘルプを見ても実際に試してもよくわからなかったです。
検証から分かる事実
- マルチ送信モードにしたとき、自動でメール本文内に登録解除リンクが追加される
- マルチ送信モードで送られたメール内のリンクを踏むと、登録解除できる(例外あり)
- 登録解除後の画面から再登録できる
詳細な挙動
- テストメールなど、自分(送信者)が登録解除リンクを踏むと
- リンクを踏んだ本人は
エラー 自分のメールを登録解除することはできません。
という画面に飛ばされる - 送信者には何もなし
- リンクを踏んだ本人は
- 同じ組織内から送られたメールの登録解除リンクを踏むと
- リンクを踏んだ本人は
登録解除エラー 組織内の送信社のメールを登録解除することはできません。
という画面に飛ばされる - 送信者には何もなし
- リンクを踏んだ本人は
- 本人でも組織内でもないメール受信者が登録解除リンクを踏むと
- リンクを踏んだ本人は
登録を解除しました 今後、◯◯からのメールを受信することはなくなります。 このリストに再登録
という画面に飛ばされる - 送信者には通知メールが来る
マルチ送信に関するお知らせ: 宛先の 1 人が登録を解除しました test@example.com があなたのメールの配信を停止しました。マルチ送信でメールを送信しても、このメールアドレスには配信されません。
- リンクを踏んだ本人は
- 上記「このリストに再登録」リンクを踏むと
- リンクを踏んだ本人は
登録を解除しました 今後、◯◯からのメールを受信することはなくなります。 このリストに再登録
という画面に飛ばされる - 送信者には通知メールが来る
マルチ送信に関するお知らせ: 宛先の 1 人が再登録しました test@example.com があなたからのメールに再登録しました。
- リンクを踏んだ本人は
不明点
分からなかった点をざっと挙げます。
- 送られたメール以外に登録解除導線があるか
- 登録解除後の画面以外に再登録導線があるか
- 送信者側で登録解除や再登録することができるか
- 登録解除の情報はどこに保持されているのか(Google連絡先に何かフラグが立つのかと考えたが、見える範囲では変化がなさそう)
「定期的に発行して利用者を増やしたいメールマガジン」のようなものを運用するには、オプトアウト周りが弱そうな気がしました。
とはいえ料金内でこんなことできるってすごくない?(3回目)
ヘルプページのホスピタリティも含め、Googleやるじゃん!と思いました。
個人向けGmailとの差をはっきり出してくれたところに好感です。
今後にも期待!
※間違いや疑問などありましたらコメント欄にお願いします。適宜、加筆修正します。
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