生成AI時代のシステムの向き合い方①:AIエージェントは魔法の杖ではない
日経ビジネスで引用された「エージェントは魔法の杖ではない」に関して、つらつらと書き綴ってみます。元広報部、現IT企画推進部としてシステムと人のかかわりに関して、自分なりの視点を一人でも多くに伝えられればと。たぶん次回以降も続きます。
「AIエージェントの導入を検討する住友商事IT企画推進部の浅田和明氏は、「AIエージェントを何でもかなえてくれる魔法の杖だと勘違いして、データの整備を怠ると、足をすくわれる」と語る。」
https://lnkd.in/gTf5Z5Fv
過去より、新しい技術やシステムが出た際に、「世の中はこれで変わる!」と言われてきましたが、2025年時点の現在、実際どうでしょうか。
確かに変化した業界やビジネスは存在しますが、当社の中を見渡して、その技術を活用して仕事が高度に効率化されていますでしょうか。
新しい技術・システムが出ると、その恩恵を受けるユーザー側はまさに「魔法の杖」として、現状の非効率を打破してくれると夢見ることが多いのでは。
また、その夢に対して、さらに夢を与えるようにシステムを提案してくるベンダーも多いです。
新しいシステムが出たら、あれがいい、また違うのが出ればこれがいいのイタチごっこで、生産性は変わらず、変革は生まれません。
実際のところ、そのような向き合い方は、「システムに対してすべてを丸投げ」している状態です。2025年2月現在においても、AGIは開発されておらず、人間の思考をくみ取って良しなに実行してくれるドラえもんは存在しません。そしてそんな魅力的なものができた暁には、AGI側が「人間が作ったゴミデータ/ファイル」なんぞ使えないといってくることでしょう。
システムは限りなく合理的に、決められたルールの世界で動きます。これが生成AIだとしても倫理面、著作権などの複数の観点からガードレールが敷かれていることが多く、その自由度が広いだけで、システムの世界からは抜け出さないのです。
一方で人間は、その極めて対極。「あの人が言うから、、、」「今までこれでやってきたから」「自分のやり方は変えたくないから、、、」この人間とシステムの距離を近づけていかない限り、システムによる効率化は生まれません。
エージェントという技術が話題になっている今も、例えばそれを活用するには、業務プロセスを簡素化する、データをデータたる形に変えていく、システムを作りこまず、可能な限り標準で持っていく(Fit to Standard)という歩み寄りがなければ、"高度に"開発されたエージェント(このようなシステムを私は「バケモノシステム」とよく呼びます。)が生み出され、アジリティなく、常に開発と改修に追われることでしょう。
突き詰めると、システムを使うために人が変わる、人が変わるためには意識変革する、意識変革するためには会社の文化を変革することだと思っています。意識変革から文化変革への飛躍が分からない、という方もいるかもしれませんが、このご説明はまた今度。
次回は「Garbage in, Garbage out」をキーワードにつづります。
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