Dvorak 配列を試してみた話
What / この記事は何か
技術的興味から、Dvorak 配列を試した話
- QWERTY 配列からの乗り換えは可能なのか?
- メリットはあるのか?
- デメリットは何か?
おまけとして、左右分割キーボード "ZSA Moonlander"の使い心地
tl;dr / 要約
- Dvorak 配列でキーの運指が改善する、QWERTY 配列を自己流で打っている人ほど改善する
- Dvorak 配列は 3 ヶ月 程度で慣れるが、最初の 1 ヶ月は忍耐と努力が必要
- 環境をフルカスタマイズできるような人でないと難しい、特にIMEはローマ字マップの変更が必要
Why / なぜ記事を書いたのか
Dvorak 配列が予想以上によかったので、あと ZSA Moonlander の自慢がしたかった。
Dvorak 配列、興味ありませんか?
プログラマであればキーボードに一家言ある人が多いと思います。この記事を読んでいる方のうち、少なくない割合の人が Realforce だったり、無刻印の HHKB だったり、あるいは (赤|青|茶|...) 軸のメカニカルキーボードだったりを使っていることでしょう。
ですが、キーボード配列をいじる、となるとどうでしょうか。US配列の人はそこそこいらっしゃるかもしれませんし、HHKB であればちょっと特徴的な形をしていますね。しかし、アルファベットのキー配置「QWERTY」のところまで弄っているのは少数派ではないでしょうか。
みんなはなぜキー配列を弄らないのでしょうか?たとえば、以下のような理由がありそうです。
- QWERTY で困っていない
- QWERTY 配列から移るのは大変そう、QWERTY 配列に戻るのも大変そう
- Dvorak ってキーボードオタクが使う配列でしょ?
QWERTY で困っていない
QWERTY 配列からわざわざ離れる理由がないと思っている方はきっと多いと思います。私もその一人でした。
しかし、私が QWERTY 配列から Dvorak 配列に移ってみた結果、QWERTY 配列ではいかに非効率な指使いをさせられていたかようやく気付くことができました。
Dvorak 配列では、母音である"AOEUI" が左手ホームポジションの段に割り当てられており、指をほとんど移動させることなく文章を紡いでいくことが可能です。
Wikipedia より引用
これはつまり、指の位置が自然とホームポジションに戻ってくるようになるわけで、QWERTY 配列のような無理な運指が激減します。
また、ある程度タイピングの「クセ」がついてしまった状態から再度キーの打ち方を学び直すことで、運指を矯正することができる副次的効果も狙えます。
全般的に 疲れないタイピング をすることができるようになります!
QWERTY 配列から移るのは大変そう
QWERTY 配列から移ることはそう簡単ではないと思う方が多いでしょう。そして、悲しいことにそれは事実です。
私が Dvorak 配列に挑戦し始めたのは 11 月頭でしたが、以下のような状況でした。
しかし、しつこく Dvorak 配列を使い続けることで1月上旬には実用的なスピードが出るようになりました。
配列の移り方
たぶん Mac や Linux であれば、設定でチョチョイのチョイです。知らんけど。
Windows であれば、DvorakJ など、キー配列をエミュレーションできるソフトを使うことができます。
あるいは、ZSA Moonlander や Planck EZ など、配列をいじれるキーボードを買うことも手です。
IME の設定
Dvorak 配列では、日本語でよく使う「K」「Y」が左手人差し指の上下となり、比較的入力しづらい位置にあります。KYですね。
これを緩和するために、「K」を「C」で、拗音の「Y」(ゃゅょ)を「H」あるいは「N」で置き換えるとよいです。
詳細は DvorakJ の文献にありますが、IMEの設定を編集し、ローマ字マップを以下の設定とするとよいです。
- C で K の代わりとする
- ca → か、ci → き、・・・
- 子音 (例えば F, G, C, H, ...) に続けて N + 母音 とするとき、や行拗音を入れる
- mna → みゃ、mnu → みゅ、・・・
- 子音 (例えば R, N, S, ...) に続けて H + 母音とするとき、や行拗音を入れる
- rha → りゃ、rhu → りゅ、・・・
練習方法
dvorak7min というパッケージを使うのがおすすめです。
最初の1ヶ月はほとんどまともに打てないですし、どこにどのキーがあるのかも忘れると思いますので、サブディスプレイにキー配列を表示しておいたり、キー配列を印刷したりしておくとよいです。
ある程度慣れたら、あとは実戦投入でなんとかしましょう。気合いと根性です。
とはいえ、どうしても入力スピードが必要な時用に、QWERTY 配列にすぐ戻せるようにしておくと便利です。
Dvorak ってキーボードオタクが使う配列でしょ?
その通りです。なんか文句あるか。
QWERTY 配列に戻れなくなるんじゃ?
Dvorak配列に慣れると、QWERTY 配列が一時的に打てなくなりました(私の場合は)。
とはいえ、完全に忘れてしまうわけではなく、ちょっとぎこちなく QWERTY 配列を打ち始めた後は配列を思い出して打てるようになっています。
つまり、どっちも打てるようになります。大丈夫。
とはいえ、QWERTY 配列でもともと出してたキー入力最高速度は出ていませんが、これは Dvorak 配列を覚えた副作用なのか、運指が矯正された結果なのかはわからないところです。
Control + キー が使いづらくならない?
Dvorak 配列に慣れてからは大丈夫になりました。
とはいえ、最初はものすごく大変なので、Control などの Modifier キーが押されている時だけ QWERTY 配列にするとよいです。上で紹介した DvorakJ のソフトはこの設定が可能です。
カスタマイズできる環境じゃないんだけど?
Dvorak はデフォルトの設定からは外れたキーボード配列であり、ある程度のカスタマイズが必要です。そして、この先も決して主流にはならないと思われますので、カスタマイズの自由度がない環境では使うことは難しいです。
Dvorak 配列じゃなくてもいいんじゃない?
それはそう
Dvorak 配列以外にも Colemak だったり Workman だったり、オプションいろいろです。
巷では Eucalyn 配列 というのも人気なようです。
やっぱりキーボードオタクはたのしい
あなたもキーボードオタクになりませんか。
私は沼の波打ち際にいるだけですが、それだけでも楽しいですよ。
私は左右分割キーボードの ZSA Moonlander を Dvorak 配列にして使っていますが、コックピットに座っているような心地で操作しており、最高です。
このキーボードは ErgoDox の系列であり、配列にクセがあるのですが、どうせ配列を覚え直しだと思って最初から Dvorak 配列の設定を入れ、 Dvorak 配列を覚えるのと一緒に覚えたら慣れました。おすすめです。
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