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生成AIで仕事はどう変わる?──SEとITコンサルの10年後を見据えて

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(前回記事 👉 https://zenn.dev/karataro/articles/e297f04a9d6651 の深掘り版)

生成AI時代の突入によって様々な業界の仕事が変わることは誰しも予想している。
未来を予測する前に過去を振り返ると、Webの登場でも類似されていた。

例えば紙媒体が消える、旅行代理店が無くなる。など。

結果として、一部の仕事が減少したが完全になくなったものではなく、またデジタルマーケティングの領域など新しい仕事が増えた結果となっている。

過去を振り返り未来がどうなるのか、そして変化の波を受けやすい職業がどうなるか整理してみたい。

※なおこの記事は本日発表されたo3の利用を基に記載しています。


1. なぜ今「生成AI」がインターネット級のインパクトと言われるのか

キーワードは「速度 × 規模 × 資本」

生成AIは“使える”と感じるまでのハードルが歴代テクノロジーで最も低く、「瞬間拡散 → 巨額投資 → 生産性テコ入れ」のサイクルをインターネットより速く回しているのが特徴です。

観点 生成AI インターネット(1990年代)
ユーザー1億人到達 2か月(ChatGPT) 約7年(Webブラウザ普及~Hotmail)
経済インパクト試算 年2.6‑4.4兆USD(McKinsey) 2010年時点 約1.7兆USD(参考)
VC投資シェア 2024年 世界VCの18‑25%がAI関連 2000年ドットコム最盛期で15%弱
ユースケース領域 文章・画像・コード・動画・設計など生成・要約・対話・推論 情報検索・EC・メール・オンライン広告

1‑1 速度が生む3つの波

  • 採用の波:個人→組織への伝搬が過去最速。ChatGPT公開2週間で議事録BotがGitHub上に乱立。
  • プラットフォームの波:API/Copilot化による“組み込みAI”時代。IDE・CRM・ERPなどあらゆる既存ソフトがAI拡張スロットを獲得。
  • 資本の波:2024年AIスタートアップ資金調達 前年比+110%。時価総額1,000億USD超企業が次々に登場。

生成AIは“インターネット+クラウド”が整えた土壌を一気に刈り取る「超短期収穫型イノベーション」。
だからこそホワイトカラー業務への影響が、体感的にも“桁違いに速い”んですよね。

1‑2 仕事を再編する5つのユースケースレイヤー

レイヤー 用途 代表例 定着タイムライン
Drafting 下書き・要約生成 メール・議事録Bot すでに一般化(2023‑)
Rewrite & Translate トーン変換・多言語化 DeepL Write, Grammarly 2024に90%以上の大企業が利用
Code Generation 雛形・テスト生成 GitHub Copilot 開発者の46%を自動生成が占有
Decision Support データ→示唆抽出 Copilot for Power BI 2025に管理職の30%が日次使用
Autonomous Agent 自律タスク遂行 AI 分析助手・設計アシスタント 2026‑2028にPoC→本番へ

ポイント:レイヤーが上がるほど “意思決定” に近づき、人間のコア業務を再定義する力が強くなる。


2. 時系列でわかる技術進化 × 仕事への波及

フェーズ 技術の登場 サービスの一般化 主に影響を受けた職種/業界 “変化が目に見えた”タイミング
1990‑1995《Web0》 ダイヤルアップ・HTML1.0 電子メール/掲示板 電話交換手 1990年代半ば—自動交換機で急減
1995‑2005《Web1.0》 検索・SSL EC・オンライン旅行 旅行代理店/地図製作 2000年代前半—店頭縮小
2005‑2015《Mobile&Cloud》 スマホ・IaaS アプリ経済・SNS広告 レコード店 2010年前後—デジタル販売主流
2022《生成AI誕生》 GPT‑3.5/SD 対話AI公開 翻訳・ドラフト作成 公開翌年にフリーランス案件減
2023《プロダクト元年》 Copilot/Bard AIコーディング 初級プログラマ Copilot利用で55%高速化
2024‑2026《AIエージェント》 マルチLLM 社内“AI同僚” ITサポート 67%の企業が投資増
2027‑2035《協働標準》 自律AGI+IoT AI‑Humanツールチェーン コンサル・SE 2030頃:タスクの40%をAIが担当(予測)

3. SE と ITコンサルはこう変わる

3‑1 代替 vs. 進化タスク

代替される作業 AIと共に進化する作業
SE CRUD雛形/単体テスト RAG統合・Prompt Ops
ITコンサル As‑Is整理/図表化 AIロードマップ・ガバナンス

3‑2 必須スキルマップ

カテゴリ スキル例
Prompt/LLM トークン制御・評価指標
AI‑Ready設計 ベクトルDB・MLOps
ガバナンス EU AI Act・監査ログ
ヒューマンスキル 抽象化思考・ROI設計

4. 10年キャリアステップ(ロードマップ案)

SE向けロードマップ ITコンサル向けロードマップ
2025 LLM基礎:OpenAI/Claude APIで自分の開発フロー自動化
認定:Azure AI Engineer(AI‑102)取得
AIリテラシ:社内PoCを3件リード
認定:IBM GenAI Essentials
2026 Prompt Ops設計:社内テンプレをGitHub Actions化 AI診断テンプレ:業界別ROI計算シート公開
2027 RAG+ベクトルDB実装:顧客プロジェクトで検索拡張導入 AI変革PM:PMBOK×AIリスク章を追加し社内標準策定
2028 AI Platform Owner:MLOps+DataOpsの統合責任者 AIガバナンス責任者:GDPR+AI法対応フレーム構築
2029 AI FinOps:推論コスト最適化に責任、Infra予算管理 AI KPI Architect:AI投資対効果ダッシュボード構築
2030 Ecosystem Designer:外部AI APIの評価・統合方針策定 AI × 経営戦略家:取締役会向けAI資本配分提案
2031‑2032 Tech Fellow:社外コミュニティ/OSS AIライブラリのメンテナー Practice Lead:AI戦略ユニットを率い年間売上100億円達成
2033‑2035 Chief AI Architect:企業横断でAI倫理と技術標準を統括 Chief Transformation Officer:AI主導の事業ポートフォリオ再編を推進

✅ 実践TIP:

  • 毎年「AIで削れる自分の作業時間」を定量計測して、空いた時間でスキル投資すること。
  • 人材市場が薄いポジション(FinOps・リスク管理)を先取りすると希少価値が上がります。

まとめ

改めて、生成AIは「爆速普及 × 巨額資本 × マルチスキル要求」の三重奏で、インターネット以上の“可変力”を持つテクノロジーです。

設計者としての視点を持ち、「AIに任せる領域」と「人が担う価値創造領域」を明確に言語化できるかどうか。

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