エンジニアのための「めんどくさい」タスク攻略法
そろそろ年度が変わるので、毎年目標設定を課されている会社であれば、憂鬱な目標設定の時期が迫っているのではないでしょうか?
目標設定をしたのはいいものの、半年後や1年後の振り返り面談の際に、こうなってしまうことはありませんか?
目標は設定した瞬間がやる気のピークで、その後は減少していく一方なので、達成するのは難しいものです。
本記事では、私が実践している「めんどくさい」タスクへの対処法を紹介します。来年度の目標達成に役立てていただければ幸いです。
なぜ「めんどくさい」と感じるのか?
やることが漠然としていて取り掛かりにくい
「やりたいこと」や「やるべきこと」が「めんどくさい」と感じるのはなぜでしょうか?目標設定の例を見てみましょう。
- マルチモジュールでAndroidアプリを1本作る
- 月1回、技術ブログを書いてアウトプットする
- 〇〇の資格試験に合格する
これらの目標は達成できるでしょうか?
目標以上の情報がなく、本人のこれまでの実績がない場合、達成は難しいと感じるかもしれません。
- 「マルチモジュールでAndroidアプリを1本作る」
- アプリとして完成させるという具体的な目標ではありますが、どんな機能をつけるのか、モジュール分割をどう行うのかが明確ではないため、壮大な道のりに感じます。
- 「月1回、技術ブログを書いてアウトプットする」
- アウトプットに慣れていない場合、文章が思うように書けず、やる気が削がれてしまい、時間を確保しなくなることがあります。
- 他人の記事と比較したり、一次ソースを確認したりする必要があるため、やることが膨大に見えてしまいます。
- 「〇〇の資格試験に合格する」
- 必要な知識量の見積もりがない場合、漠然と勉強しなければならないことだけが分かり、なかなか勉強を始められません。
- 勉強を始められないまま試験日が近づき、諦めてしまうこともあります。
このように、目標が 漠然 としすぎていたり、粒度が粗すぎる と、何をすればいいのかが想像しにくくなり、手を動かすのが億劫になります。先延ばしにしてしまうと、それ自体が習慣化されてしまいます。
楽しくないので始める気になれない
達成しにくい目標は、楽しくない目標であることが多いです。楽しくないため、手をつけられず、別の作業やSNSに時間を費やしてしまい、作業時間が確保できなくなることもあります。
「やる気」に頼らず習慣化する方法
タスクを実行する際に、やる気に頼るのはあまり良い方法ではありません。
めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法の一節を引用します。
先延ばしをする自分について、多くの人はどのように分析するでしょうか。「自分はダメだ」とか、「気持ちが弱い」とか、「結局やる気がない」とか、自分を責める原因を見つける人が多いのではないでしょうか。(中略)「やる気がない」というような分析をしてしまうと、先延ばしのドツボにハマります。
やる気のせいにしてしまうと、できなくなる負のフィードバックループが形成されてしまいます。
では、やる気に頼らずにどうすれば良いのでしょうか。同じ本から引用します。
行動分析学の知見として、人や動物の行動は 即時に生じる結果に強い影響を受け、遅れて生じる結果の影響を受けにくい ことが知られています。
望んでいる結果が生じるまでの間に、中間結果のような強化子を得られるように環境を整備するのです。
つまり、行動後に即時にポジティブな結果が得られるように工夫する必要があります。以下に、私が実践している方法を紹介します。
実行可能なアクションに分割する
「めんどくさい」タスクは粒度が粗いため、分解します。
- マルチモジュールでAndroidアプリを1本作る
- Androidプロジェクトを新規作成する
- hogeモジュールを作る
- fugaモジュールを作る
- 〇〇画面のUIを実装する
- ■■画面のUIを実装する
- ビルドロジックをconvention-pluginを用いて共通化する
- ...
最初は粗い粒度のTODOにしか分けられないかもしれませんが、作業を進めるうちに、業務をこなしているうちに、自分に合った実行可能な最小単位を見つけられるようになります。
タスクをアクションに分解すると、1つ1つが数十分から数時間程度で完了するため、「できた」を積み上げやすくなります。「できた」が積み上がることでモチベーションが高まり、行動を強化してくれます。
カレンダーに予定を追加する
「めんどくさい」タスクはやり始めが最も困難です。そこで、カレンダーにタスクをやる時間を確保してしまいましょう。時間が来たら、とりあえず手を動かしてみてください。
注意点として、スケジュールを無視するようになると、それが負の強化子となり、やる気を削いでしまいます。スケジュール通りに動けない場合は、早めに予定を削除してください。
改善策として、他の人を巻き込むのも有効です。例えば、「DataBindingをViewBindingに移行する」という業務関連のタスクであれば、「Meetを繋いで同僚と作業する時間を確保する」といった方法があります。
報告の機会を設ける
報告の機会を設けることで、手を動かすプレッシャーを作り出せます。報告相手は誰でも構いませんが、私は直属の上司との1on1の時間を活用しています。
報告のタイミングを作ると、それまでに成果を出さなければというプレッシャーがかかり、手を動かしやすくなります。1on1は頻繁に行うのが理想で、長くても2週に1回、できれば週1回程度が望ましいです。
「めんどくさい」を乗り越えた先の未来
習慣化によって得られる長期的なメリット
「めんどくさい」タスクを習慣化することで、短期的な成果だけでなく、長期的な成長や達成感を得られます。小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まり、より大きな目標にも挑戦しやすくなります。
継続的な努力はスキルや知識の向上につながり、キャリアや人生全般にポジティブな影響をもたらします。最初は「めんどくさい」と感じていたことが、やがて自分の強みや武器となり、周囲からの信頼や評価を得るきっかけになるかもしれません。
まとめ
「めんどくさい」と感じるタスクに取り組むためには、やる気に頼らず、具体的なアクションに分解し、スケジュール化や報告の仕組みを活用することが重要です。これらの工夫を通じて、タスクを習慣化し、長期的な成長や成果を得ることができます。
「めんどくさい」を乗り越えることは簡単ではありませんが、小さな一歩を積み重ねることで、やがて大きな成果につながります。本記事で紹介した方法を参考に、ぜひ自分なりのやり方を見つけてみてください。未来の自分がきっと感謝してくれるはずです。
参考文献
Amazonのアソシエイトとして、@solenoidは適格販売により収入を得ています。

株式会社 カラビナテクノロジーは「命綱や支点を素早く確実に繋ぐカラビナ。そんなカラビナのような役割をテクノロジーで実現したい」という想いのもと、福岡で設立。 主にシステム開発・アプリ開発・ Webサイト制作を行っています。採用情報→karabiner.tech/career
Discussion