『熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理』感想

公開:2020/12/30
更新:2020/12/30
3 min読了の目安(約3200字IDEAアイデア記事

@kaori_choです。
『熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理』を読んでる雑多な感想です。

3行まとめ感想

  • タイトルがおしゃれ(熊=リスク、ワルツ=愉しむ、乗りこなす、のような比喩)
  • 決して読みやすい本ではない、難しい。具体的な悩みがある時に、ヒントを得る系の本。
  • リスク管理とは"まだ起きてない問題をどう扱うか"。これはプロジェクトの成功率を上げる重要なファクターのひとつだよ!

考えたこと

とにかくタイトルがおしゃれですよね、何食べたらそんなおしゃれな比喩ができるの?英語圏のユーモア好き。(日本語に訳した時にわかりにくいときもあるけど)自分の経験と照らし合わせて答え合わせする系の本かな?と。経験がない状態で読むと、「ふーん(何言ってるんだろ)」となる気がした。今回は読んだタイミングが良かったので、答え合わせ的な読書ができてよかった。
今回は下のメモにそれぞれの段落で考えたことを書いてみました。

読むと良さそうな人

プロジェクトをリードする立場になった人は、共感や頷けるところがありそう。メンバーとして示指された仕事を行ってた時に読んでも全然理解できなかっただろうな〜。
意外と、エンジニアのしごとをしているお母さんとかにオススメしたい。普段プライベート(育児)で培ってきたものが、プロジェクト管理にめっちゃ活かせるスキルだったと、本書を読んで私は気づいたから。
読んだからといって明日からコーディングスキルが上がる教科書系の本ではない。アジャイルやウォーターフォールの狭間で、「手法や価値観や日々の行動あってるはずだが、なぜかプロジェクトがうまくいかない」と感じているのなら、もしかしたら「リスク管理」の観点で何かが漏れているのかもしれない。そこにそこに気づかせてくれる本。

メモ

5章 リスク管理をすべきでない理由

色々みんなの言い訳を想定してQ&Aをしている章。基本は反論しているのだけど、以下の段落に関しては「反論できない」としていて面白かったので書いておく。

「単独でリスク管理をするのは危険である」

p.46
楽観主義(嘘をつくこと)があたりまえの環境で真実を話すと、話した人がいちじるしく不利な立場に置かれる。期待されている納期を実現できる確率は10%しかないと明言したら、貪欲な競争相手が「その仕事をわたしにやらせてください。かならず期日までに完成させてみせます」と言い出すかもしれない。
 最悪の組織は、魅力のない結果ではなく、魅力のない予測を罰する。...

これほんとうに胸が痛いなと。より誠実に仕事をしたほうが(リスクに関して真実を述べたら)分が悪い世の中はつらい。チャレンジすることは大事だ。ただ無謀ではいけない。どんなときも不安や恐怖やリスクに目をつむらずに、適切に対処しながらチームでチャレンジするためにも、ひとりでリスク管理をしない、は大事ななのかな。

ちょっと話がそれるが、単独で管理していた顕在化しなかったリスク を評価するのも難しい。こないだ、ツイッターでみかけたエピソードが頭をよぎった。
ものすごいリスク管理や事前準備をしたうえで臨んだシステムの納品作業で、先方都合でスケジュールが押した。主担当者は女性で母親であったため、残業ができず、こんなこともあろうかと準備していた引継書を託して帰宅した。(悔しかったろうな)納品作業は無事終わり。ただ、上長は主担当者でなく引き継いで仕事を終わらせた引き継ぎ担当者にお疲れ様と言っていた。
それはいいんだけど!いいんだけどさ!引き継いでくれた人ありがとう!でも!複雑な納品研修作業を終えられたのは、適切なリスク管理をしてそれに備えた主担当者のお手柄ではないの!?
これが、リスクを共有しないことによる弊害だろうか?上長がただアホなんだろうか?どうしたら適切に評価されたんだろう?わからない。ツイッターで流れてきた話だけど心がザワザワしてどうしても書いておきたかった。

9章 リスク管理の仕組み

さあ、リスク・リストができたーこれをどうするんだ?

p.73
リスクについてできることは、次の4つである。
*避ける。
*抑制する。
軽減する。
かわす。
 リスクを「避ける」とは、そのプロジェクトや、プロジェクトの中でのリスクを伴う部分に手をつけないことである。...(略)...
 リスクの「抑制」とは、リスクが実現した場合にかけなければならない時間と資金を準備しておくことである。...(略)...
 リスクの「軽減」とは、リスクが実現する前に、後の抑制コストを軽減するための措置をとっておくことである。...(略)...
 リスクを「かわす」とは、上記のようなことは何もしなかったが、たまたまリスクの襲来をまぬがれる場合をいう。

これを読んで、「働きながら育児する中で、普段やってることやん。。。」と深く頷いた。

例えば「子供が体調崩してしごとできなくなるリスク」でいうと

1、避ける(なにもしない)
体調崩したら自分が看病するために仕事を休む。仕事で得られる成果や報酬が得られなくなる。
2、抑制する
月額数万の病児保育に申し込んでおく。子供体調崩したら病児保育にお願いして自分は仕事する。
3、軽減する
病気の子供をみてくれる人を探しておく。親とかパートナーとか。大事な仕事の日は代替要因の予定を確保しておく。単発病児保育を探しておくなど。
4、かわす
こどもがたまたま病気せずに元気に毎日保育園に行ってくれる。ので、仕事休まないで済む。

こんなことは普段頭の中でふつーに、当たり前のように考えていることだが、これが「リスク管理」だとは夢にも思っていなかった!

ご飯の作りおきも、保護者の間での仕事を引き受けることも、仕事を続けて収入を得ることも、突き詰めれば日々の生活を脅かす事態に対処するためのリスク管理だ。呼吸するようにリスク管理してきたのか。この本を読んで「あーそれ今までずっとやってきたことやん」とものすご腹落ちした。

11章 基本に返る

わからないに隠された意味

p.93
ここで大事なことは、これらの「わからない」問題を認識することだ。そこにはかならずリスクが潜んでいるからだ。わからないことは不利な方向へ展開するおそれがあり、それがリスクである。...(略)...
 リスク管理の戦術は、自分の「わからない」という声(口に出した声でも、頭の中でも)に耳を傾け、そのたびに補足のために次のように自問することである。
 "わからないことについて、わかっている(または知りえる)ことは何か。"

また話逸れて、ハンターハンターを読み返しているんですけど、キメラアント編でキルアが「普通だったらありえない、予想外のことって意外とおきる」と言っていて、これリスク管理の話だわーと。キルアはスキルも経験もあるけど、自分の感じる違和感を無視しなかった。これが結構、プロジェクトの佳境で成否をわけたりする。

エンジニアにとってわからないことは不安であり恐怖である。向き合いたくない。わかっていることだけで仕事できたら楽だ。自分が自分の仕事をいつ完了できるかすらわからないことも少なくない。でもだからこそ、わからないこと=潜んでいるリスクについて考えることは大事だ。
わからないことをわからないまま扱うことはすごく難しい。でもできる。「わかること」と「わからないこと」の切り分けをすればいい。ただそれだけだ。(と本書に書いてあると思った)

そんなことを考えながら読みましたとさ。
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