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SEのための知的財産権

2017/06/04に公開

概要

知的財産権にSEが知っておくべき事項についてまとめた。

知的財産権

知的財産権とは、以下のような無形の権利。

財産(権)は、形のある動産及び不動産が一般的ですが、人間の精神活動の結果として創作されるアイデア等無形のものの中に、財産的価値が見出されるものがあります。このような人間の知的な活動から生じる創造物に関する権利を、知的財産権(知的所有権、無体財産権)と呼んでいます。知的財産権は、社会の発展とともにその重要性が増しています。
税関 - 知的財産の概要

知的財産権の制度は国によって異なり、国外の情報の詳細は特許庁 - 各国・地域の産業財産権庁又は機関に関する情報並びに産業財産権に関する制度の概要 というサイトで見ることができる。例えばタイだと、地理的表示や伝統医療に知的財産を認めている。地味に面白い。日本では知的財産権として以下の権利が認められている。(ソフトウェアに特に関連する項目は太字)

  • 産業財産権
    • 特許権
    • 実用新案権
    • 意匠権
    • 商標権
  • 著作権
    • 著作権
    • 著作隣接権
  • その他
    • 育成者権
    • 回路配置利用権

特に特許と著作権が肝要。

著作権

プログラムは著作物に含まれる。

第二章 著作者の権利
 第一節 著作物
 (著作物の例示)
  第十条  この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
   九  プログラムの著作物
by 電子政府 - 著作権法

ただし、プログラム言語、規約、解法("Hello World"レベルのプログラム)は著作物に含まれない。

著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
 一  プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
 二  規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
 三  解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
by 電子政府 - 著作権法

会社でくっそ頑張って作ったプログラムでも、著作権は会社にぶん取られる。

第二節 著作者
(職務上作成する著作物の著作者)
 第十五条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
 2  法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
by 電子政府 - 著作権法

他者が著作権を有するプログラムの改変は許されない・・・が、特定の環境で利用できないためやむを得ず改変することは許される。

第三節 権利の内容
 第二款 著作者人格権
 (同一性保持権)
  第二十条  著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
   2  前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
    三  特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
by 電子政府 - 著作権法

プログラムの著作権は、公表後五十年の間保護される。つまり、プログラムにとっては永遠にも等しい期間保護される。

第四節 保護期間
(団体名義の著作物の保護期間)
 第五十三条  法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。
by 電子政府 - 著作権法

普通の著作物は登録できないが、プログラムの著作物だけは登録することができる。ただし、創作後六ヶ月以内に手続きしなければならない。

第十節 登録
(創作年月日の登録)
 第七十六条の二  プログラムの著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。ただし、その著作物の創作後六月を経過した場合は、この限りでない。
by 電子政府 - 著作権法

プログラムの登録は、一般財団法人ソフトウェア情報センターに提出する。

第二章 登録手続等に関する特例
 (プログラム登録の申請)
 第三条  プログラムの著作物に係る著作権法第七十五条第一項 、第七十六条第一項、第七十六条の二第一項又は第七十七条の登録(以下「プログラム登録」という。)の申請をしようとする者は、政令で定めるところにより、申請に係るプログラムの著作物の内容を明らかにする資料として、当該著作物の複製物を文化庁長官に提出しなければならない。ただし、当該著作物につき、既に、申請に係るプログラム登録以外のプログラム登録がされている場合は、この限りでない。
by 電子政府 - プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律

登録した旨は、一般財団法人ソフトウェア情報センターの公示サイトで公示されてしまう。登録しているのは研究機関が多いが、なぜかバンダイナムコがSDガンダムのプログラムを登録していて面白い。

第二章 登録手続等に関する特例
 (プログラム登録の公示)
 第四条  文化庁長官は、プログラムの著作物に係る著作権法第七十六条第一項 又は第七十六条の二第一項 の登録をした場合においては、文部科学省令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。
by 電子政府 - プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律

特許

特許として保護される発明は、自然法則を利用した物・方法・生産方法技術的思想の創作のうち高度のものである。プログラムは物の発明として保護される。ただし、書き方を工夫すれば方法の発明にもなる。

(定義)
 第二条  この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
  2  この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
  3  この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
   一  **物(プログラム等を含む。**以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
   二  方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
   三  物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
by 電子政府 - 特許法

調査方法

  1. フリーワード検索
    有識者がリストアップするフリーワードによる検索。特許庁のサイトによると、この段階で8,000件以下にしておくべきとのこと。
  2. FI(又はIPC)検索
    IPC(国際特許分類:International Patent Classification)は、特許の国際的分類体系のこと。FIはIPCを細分化した日本独自の分類体系。フリーワード検索結果から代表的なIPC(又はFI)を抽出する。時期的範囲(公開基準日ベース)は設定出願日が出願日より過去のものとする。

検索サイト一覧

法令リンク一覧

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