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フォルダー ではなくフィルターを使うことを考える

2023/12/29に公開

コンテンツを整理する方法として フォルダー がある。しかし本当は フィルター が適していること多いのではないか?という話。

フォルダーだと困ること

フォルダーは構造であり、コンテンツは1つのフォルダーにしか所属しない。物理的フォルダーのメタファーである以上、それが自然な動作である。
しかしこれは様々な問題を生み出す

  • 複数のフォルダーに所属させたいコンテンツの扱いに困る
  • ネストが深くなる
  • 共有されているコンテンツの場合、すべてのユーザーに共通のフォルダー構造が適用される
  • ユーザーは「正しい」構造が存在すると考えてしまうため、「正しい」構造に整理することが目的になってしまう

Google Drive は shortcuts という概念を持ち出して、1つのコンテンツを複数のフォルダーに所属させている。しかし複雑性が増していてイマイチに思える。
Scrapbox はフォルダーが成り立たないことを知っていて、フォルダーという概念を採用していない。実際にフォルダーがなくても困らない。

フィルターのよいところ

フィルターはコンテンツの「見え方」、「切り取り方」であるため、1つのコンテンツは複数のフィルターを通して見ることができる。
構造であるフォルダーとは違い、「見え方」なのでいくつあってもよい。個人だけが使えるフィルターがあってもよいし、他ユーザーと共有できるフィルターがあってもよい。
検索と近い。よく使うクエリーを「フィルター」という名前で呼んでいるだけと考えてもよいかもしれない。

フォルダー型のシステムでも、フィルター機能が提供されていることが多い。
Google Drive でもファイルタイプ、日付、ユーザーなどでフィルタリング、検索できる。これはあらかじめフィルターが定義されていると言える。
Mac でコンテンツを探すとき、保存されているフォルダーにピンポイントでアクセスできるだろうか。Finder が定義している DownloadRecents という「フィルター」を使うことが多いのではないだろうか。

このように、フォルダーという概念を採用してもフィルターという概念も必要になってしまう。
フォルダーが増えれば増えるほどその構造を完全に頭にいれることはできなくなり、結局フィルターや検索を使うことになる。
フォルダーはコンテンツを探しやすくするための構造であったが、もはやその役には立っていない。
じゃあフィルターだけでよいのでは?
例えば、Readwise Reader にはフォルダーは存在せず、フィルターを使う。Scrapbox にフォルダーはなく、検索とコンテンツ間のリンクを使ってコンテンツを探し出す。

Google Drive は、「フォルダー」「フィルター」「shortcuts」とユーザーが理解すべき概念が多い。
しかし設計次第では「フィルター」という概念だけで十分かもしれない。

「フォルダー機能が必要だね」となったときに、「いや、フィルターの方がいいのでは?」と立ち止まって考えるようにしたい。

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