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代数学 #1 論理

2024/02/23に公開

命題

Def

命題とは YES,NO がはっきりと定まる主張のこと。

Ex

「1+1=2」 ・・・① 真 (命題)
「1+1=3」 ・・・② 偽 (命題)
「100は大きい数」 ・・・③ (命題ではない)

② は一見式が誤っていて命題でないのでは?と言うふうに見えるが、「誤りである」とはっきり主張ができるため命題である。

100 が大きい数かどうかは主観的であり客観的に YES,NO を断定できないため命題とは言わない。

含意命題

Def

命題「P⇒Q」 (P:仮定, Q:結果)

日本語的に言うと以下のような感じ。

「P じゃ無いなら Q の真偽はどうでも良い。」⇔「P なら Q に収まっとけ!!」

真理値表を具体的に以下に示す。

P Q P=>Q
0 0 1
0 1 1
1 0 0
1 1 1

この真理値は¬P∨Qと同値であり、真理値表を比較すると明らかである。

P Q ¬P ¬P∨Q
0 0 1 1
0 1 1 1
1 0 0 0
1 1 0 1

Ex

a,b∈Z
「a,bが偶数⇒a+bが偶数」・・・真
「a+bが偶数⇒a,bが偶数」・・・偽

1+1=2だが「1」は奇数のため二つ目の命題は偽である。(反例)

必要条件と十分条件

Def

P⇒Qが真であるとする。

この時、

  • P は Q であるための十分条件
  • Q は P であるための必要条件

と言う。

またP⇒Q及びQ⇒Pが共に真の時P⇔Qと書き P と Q は同値であると言う。

またの時、

  • P は Q であるための必要十分条件
  • Q は P であるための必要十分条件

と言う。

Ex

△ABC が「正三角形(P) ⇒ 二等辺三角形(Q)」

  • 正三角形は二等辺三角形であるための十分条件(十分すぎる条件)
  • 二等辺三角形は正三角形であるための必要条件(最低ラインとして必要な条件)

つまり、抽象度の高いものが必要条件で、具体度がより高いものが十分条件と言えるでしょう。

対偶

Def

「P⇒Q」と「¬Q⇒¬P」の真偽は一致する


「P であるなら Q に収まっててね!!」と言う事と「Q に入らないなら P にも入ってきちゃだめ!!」は日本語的イメージしても同値である。

また、P⇒Q が偽の時のイメージは以下である。

このように P なのに Q に収まっていない部分を反例と言い、反例を一つでも証明すれば偽を主張できる。

証明技法

(1)背理法

「Pが真である」⇔「¬Pが真であると仮定して矛盾が生じる」

(2)対偶証明法

「P⇒Qが真」⇔「¬Q⇒¬Pが真」

Ex

a,b∈Z, 「a,bの少なくとも一方が偶数⇒abは偶数」

普通に証明すると

aが偶数とすると
a=2m, b=n
ab=2mn
∴abは偶数である

これは b が偶数としても同じ結果を得ることができる。

背理法での証明

背理法は P⇒Qを否定して矛盾が生じることを示せば良いのでまずは¬(P⇒Q)を表したい。

ここで含意命題の以下の性質を思い出したい。

(P⇒Q)⇔(¬P∨Q)

これを含意の除去と言う。

¬(¬P∨Q)⇔P∧¬Qなので、「P でかつ Q じゃない」を審査して矛盾を示せば良い。

すなわち審査する命題は以下となる。

「a,bの少なくとも一方が偶数」かつ「abは奇数である」

  • (偶数)*(偶数) = (偶数)
  • (偶数)*(奇数) = (偶数)
  • (奇数)*(奇数) = (奇数)

よって、a,b の少なくとも一方が偶数だと ab は奇数になり得ないので矛盾している。

∴ 「a,bの少なくとも一方が偶数⇒abは偶数」は真である

対偶証明法での証明

対偶のセクションで示した通り

「P⇒Q」と「¬Q⇒¬P」の真偽は一致する

なので、

「abは奇数=>a,b共に奇数」が真であることを示せば良い。

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