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「確率の無限和って大丈夫なの?」可算加法性の違和感を解消した話

2025/04/15に公開

可算加法性って何?いきなりこの式が出てくる違和感

大学の確率論の講義で、いきなりこんな式が出てきました。

P\left(\bigcup_{n=1}^{\infty} A_n\right) = \sum_{n=1}^{\infty} P(A_n)

「え? 確率って1を超えちゃいけないのに、無限に足して大丈夫なの?」

正直、最初にこの式を見たとき、頭が「???」になりました。
式の意味はなんとなくわかるけど、「本当にそんなことしていいの?」という違和感がどうしても消えなかったんです。

でも調べていくと、「加算加法性(σ-加法性)」というこの性質は、確率という概念の土台そのものに組み込まれているということがわかってきました。

この記事では、僕がその違和感をどうやって解消していったか、どんなところでつまずいたかを記録としてまとめています。

「自分も同じようにモヤモヤしてた」という方の助けになれば嬉しいです!

なぜ無限に足してもいいのか?測度という視点から

可算加法性とは、互いに交わらない(共通部分がない)事象について、
無限に足しても確率の和になるという性質です。

これは実は、確率測度の定義そのものに含まれているものなんです。

確率は、もともと「測度(measure)」という数学的な構造に基づいています。

測度の定義そのものに、
有限加法性(有限個の互いに交わらない集合の和に対して足し算ができる)
σ-加法性(可算個の和にも適用できる)

の両方が含まれています。

つまり、確率という概念そのものが「無限の足し算が許される」ように設計されていたのです。
(確率空間をσ-代数上に定義したのはそのためです)

これを踏まえると

この図のように、事象 A_1 \subseteq A_2 \subseteq A_3 \subseteq \cdots が無限に広がっていく場合、その全体の事象の確率は、それぞれの確率の極限に等しくなります。

P\left(\bigcup_{n=1}^{\infty} A_n\right) = \lim_{n \to \infty} P(A_n)

でも注意!交わる場合は単純に足し算できない

重要な点として、集合が交わる場合にはこの性質は使えないことに注意が必要です。

以下のような事象を考えてみます:
• A =「1が出る」
• B =「奇数が出る」

このとき、「1」は奇数でもあるので、2つの集合は重なっています。

こういう場合、単純に P(A) + P(B) と足し算してしまうと、重複分を2回カウントしてしまいます。

このようなケースでは、包含排除法などの修正が必要になります。

まとめ

最初は「無限に確率を足していいなんておかしい!」と思っていたのが、
調べてみると実はその“おかしい”と思った式の方が本質的だったというのが面白いところでした。

確率や測度論を学ぶとき、「無限を扱う」というのは最初こそ違和感がありますが、
実はそこが一番美しい数学的構造だったんだなと実感しています。

これからも、自分の中に芽生えた「なんか変だな」を出発点に、こうして発信していけたらと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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