モンティホール問題のパラドックス
あなたがある選択を迫られたとき、正しい判断ができますか?
実は、ほとんどの人が「間違った直感」に従ってしまう問題があります──
それが「モンティホール問題」です。
こんにちは、みなとです。
こちらは先日X投稿したアンケートは"モンティホール問題"と呼ばれる有名な問題のオマージュです。
あなたはどちらを選びますか?
モンティホール問題のパラドックス
アメリカの人気テレビ番組『Let’s Make a Deal』。
司会者モンティ・ホールが視聴者に「3つのドアから1つを選ばせる」ゲームを出題するコーナーがありました。
さて、あなたがその視聴者になったと想像してみてください。
目の前に3つのドアが並んでいて、1つドアの後ろには景品の新車、残り2つにはハズレを意味するヤギがいます。
司会者はこう言います:
「好きなドアを1つ選んでください。」
あなたはドアを一つ選びました。
司会者は続けてこう言います:
「ハズレのドアを1枚開けてみせます。そして、あなたには選び直すチャンスがありますよ。」
……さあ、あなたならドアを変えますか? 変えませんか?
これがモンティ・ホール問題です。
ドアを変えるべきなのか
多くの人はこう考えます:
「残ったドアは2枚なんだから、当たる確率は1/2でしょ? なら変えても意味ないじゃん。」
……と言いたくなるのですが、正解は:
変更した方が当たる確率は 2/3
つまり、変更したほうが当たりやすいのです。
この問題の面白さは、計算してみると「選び直したほうが得」だと分かるのに、どうしてもその答えが直感に反するところにあります。
このような直感と反する結果を生む問題のことをパラドックスといいます。(パラドックスとは、一見矛盾しているがよく考えると成り立つ現象のことです。)
このパラドックスを紐解くカギは「条件付き確率」です。
なぜ条件付き確率で直感が狂うのか?
条件付き確率とは、ある事象Bが起きたという前提のもとで、事象Aが起きる確率を表すものです。
記号では次のように表されます:
つまり、「Bという条件が与えられたもとでのAの確率」ということです。
新しい情報(条件)が加わることで、確率の見え方が変わる──これが条件付き確率の本質です。
たとえば、最初に「ある人が風邪をひいている」と聞いたとき、その人がコロナに感染している確率はある程度しかありません。
しかし、「その人は風邪をひいていて、味覚がまったくない」という情報が追加されると、「コロナである確率」は一気に跳ね上がります。これはまさに、条件付き確率が直感を上書きする一例です。
モンティホール問題でも同じことが起きています。
最初にドアを選んだ時点では、どれも等確率(1/3)です。
しかし、その後に「司会者がハズレのドアを1つ開ける」という新しい情報が加わります。
もともとハズレを選んでいた場合は乗り換えた方が
正解になり、その確率は(2/3)
最初から正解を選んでいる場合は乗り換えることで
外れてしまい、その確率は(1/3)
これにより確率が再計算され、最初に選んだドアが当たりである確率はそのまま1/3、残りの1枚(変更先のドア)に当たりがある確率は2/3に跳ね上がるのです。
この「情報によって確率が変わる」という感覚に慣れていないと、「残りは2つだから1/2ずつ」と直感的に思ってしまいます。
ですが実際には、情報を受け取った時点での世界の状況を、確率的に“更新”することが必要なのです。
私たちの直感が狂うのは、「新しい条件が与えられたのに、それを反映せず古いままの直感で考えてしまう」からなのです。
モンティホール問題が教えてくれるのは、
「目の前の情報だけで判断すると、見誤ることがある」ということ。
私たちの直感は、時に必要な情報を無視してしまうのですね
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来週は測度論の定理「π-λ定理」について話したいと思ってます。
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