Unity × Claude Code でTDDの環境構築 MCP導入ガイド
環境
- Unity 6000.2.0b8
- 新機能の調査でこの時β版を使ってたんですが、LTSでも以下の手順で動くと思います。多分…。
- Test Framework 1.5.1
- Unity MCP 1.1.1
TL;DR
- Claude Code と Unity でテストを書く時、初期設定では手動でUnity Editorからテストの実行・結果確認を行う必要がありました
- 効率化するため、Claude CodeとUnity MCPを組み合わせた環境を構築しました
- MCP の設定を行うことで、自律的にテスト実行・修正まで行ってくれるようになり、より Claude Code にまかせっきりに出来るようになりました
- これでようやく、テストコードを書く時の体験が Web の開発に並びました
はじめに:Unity x Claude Code で TDD は困難
UnityのTDDは、AIによるコーディングと相性がよくありませんでした。
課題
- テスト実行の手間: Unity Editor内での操作が必要
-
CLI実行の制限: Unity起動中は
Multiple Unity instances cannot open the same project
エラーが発生 - 結果確認の煩雑さ: Test Runnerウィンドウでの視覚的確認が必要
- 失敗テスト分析: 個別にログを確認する必要
とにかく、手動で実行してから、結果をAIにコピペするということが、とても手間でした。
理想的なTDD環境
これを目標にしました。
- コマンド一発でテスト実行
- 即座の結果表示と失敗原因分析
- 人の手を介さないAIによるタスク遂行
色々試した結果、Model Context Protocol (MCP) を使うことがベストという結論に至りました。
Unity CLI実行の根本的問題
ちょっとだけ脱線します。
「MCPなんか使わずとも、CLIで テスト結果を取得すればいいのでは?」
と思う方も居るでしょう。
私だって最初はそう思っていました。
では、なぜそうしなかったのかという話です。
Multiple Unity Instances エラー
Unity開発者なら誰もが経験する問題:Unity Editorでプロジェクトを開いている状態でCLI経由でのテスト実行を試みると、以下のエラーが発生します。
Unity.exe -runTests -projectPath ./MyProject -testResults ./results.xml
# → "Multiple Unity instances cannot open the same project"
この問題の技術的背景
この制限は、Unityのプロジェクトファイルロック機構によるものです:
- プロジェクトの排他制御: 同一プロジェクトに対する複数インスタンスの起動を防止
- データ整合性の保護: アセットやシーンファイルの競合状態を回避
- 開発中の制約: 一般的な開発状況(Unity Editor起動中)でのCLI自動化を阻害
この問題の回避策、とその問題点
回避策 | 問題点 |
---|---|
Unity Editorを毎回閉じる | 開発効率の大幅低下、ワークフロー断絶 |
別プロジェクトコピーでの実行 | 環境差異の発生リスク、同期コスト |
つまり、Unity は Edior を起動しながら、CLI でテストを実行ということが出来ません。
また、Editor を起動していないと、コードの自動コンパイルも走りません。
ここまで調べて、CLI はあきらめることにしました。
ソリューション:Unity MCP + Claude Code
技術選択の理由
このようなメリットがあります。
従来手法 | 問題 | MCP の利点 |
---|---|---|
CLI実行 | Multiple Unity instances エラー | Unity Editor内で実行 |
手動操作 | 効率が悪い | Claude Code が必要に応じて実行 |
バッチ処理 | リアルタイム性がない | 即座に結果取得 |
アーキテクチャ概要
今回、Windows の環境で構築しました。
Claude Code は WSL の環境でしか動かないため、
Windows 側で動いている Unity と通信するためには、一工夫が必要です。
全体像はこのようになります。
(↑図はAIに書いてもらいました。便利ですね)
MCP方式による根本解決
Unity Editor内のWebSocketサーバー経由でテスト実行するため:
- 新しいUnityインスタンスを起動しない
- プロジェクトロック制限を回避
- 開発中でも安定したテスト自動化が可能
環境構築ガイド
Phase 1: 基盤環境の準備
基本的には、MCPのドキュメントに従って構築します。
ドキュメント通りの部分は、非常に簡略な説明に留めます。
WSL + Claude Code環境
# Node.js環境の確認
node --version # v18以上必要
npm --version # v9以上必要
Phase 2: Unity MCP Server導入
Unity Package Managerから導入:
Unity Package Manager -> Add package from git URL..
で、次の URL を入力
https://github.com/CoderGamester/mcp-unity.git
導入後の自動設定:
- WebSocketサーバー(ポート8090)が起動
- MCP設定ファイルが自動生成
- Node.js MCPクライアントがビルド
Phase 3: Claude Code設定
WSL環境特有の設定が必要です:
WSL側に作られている Claude Code の設定を編集します。
ドキュメント通りに書くと動かないので、次のように内容を変更します。
{
...
"mcpServers": {
"mcp-unity": {
"command": "/mnt/c/Windows/System32/cmd.exe",
"args": [
"/c",
"cd /d C:\\[your-repository-path]\\LibraryLibrary\\PackageCache\\com.gamelovers.mcp-unity@71e48418770f\\Server~ && node build/index.js"
]
}
},
...
}
Phase 4: 接続確認
Unity Editor内で:
Tools > MCP Unity > Server Window
- Start Serverをクリック
- Status: Server Onlineを確認
Claude Code起動後:
- /mcp コマンド
- 一覧の中から
mcp-unity
を選択 - 以下のようになっていれば接続成功です
Status: ✔ connected
Tools: 9 tools
Capabilities: tools · resources · prompts
TDD実践例
基本的なテスト実行
Unity で実行可能なテストの一覧を表示してください
実行結果例:
EditMode Tests: 45/48 passed
失敗テスト:
- MotionCaptureDataConverterTest.ConvertMotionCaptureTimestampToISO8601
- PicherAppearanceResultTest.BallDataTest.ConstructorAndExport
- PitchingInitialDataTest.PitchingInitialData_コンストラクタでプロパティが正しく設定される
こんな感じで、一発で結果を取得してくれるようになります。
開発効率の向上
Before(従来の手動TDD):
- Unity Editor → Test Runner → 実行ボタン
- 結果確認とログチェック → 結果をClaude Code にコピーして渡す
- コード修正
- 再テスト実行 → 結果をClaude Code にコピーして渡す
と、何度も人の手を介さないとできなかったものが
After(AI支援TDD):
- テスト実装の指示
- 自動テスト実行と結果表示
- AI修正提案の適用
- 自動再テスト
のように、自動でAIが結果を見てくれるようになります。
トラブルシューティング実録
Unity起動中のCLI実行問題
症状: Multiple Unity instances cannot open the same project
問題の詳細:
Unity Editorでプロジェクトを開いている状態で、CLI経由でのテスト実行を試みると、Unityの仕様によりエラーになってしまう。
従来の回避策とその問題点:
CLIを使ってテスト実行を行わない!
PlayModeテストの接続エラー
症状: Error: Connection closed
原因: Unity のドメインリロードによるWebSocket接続切断
解決策:
Edit > Project Settings > Editor > "Enter Play Mode Settings"
→ "Reload Domain" をOFF
WSL環境での接続タイムアウト
ドキュメント通りに行うと、WSL 環境だとこの問題に突き当たると思います
症状: Connection timeout
原因: WSL内でのNode.js直接実行
解決策: Windows cmd.exe経由での実行に変更
まとめ:TDDの新時代
以上のアプローチにより、Unity x ClaudeCode で TDD を行う時の精神的なハードルが大きく下がりました。
これまでは、ClaudeCode の恩恵をフルで受け切れていない感じがしていたのですが、これで AI のスピード感を余すことなくプロダクトの開発に乗せられるようになった気がします。
その他
.claude.json において、思いっきりリポジトリを設定ファイルに書いています。
これ、書かなくていい方法をご存じの方いらっしゃいましたら、コメントで教えてください
{
...
"mcpServers": {
"mcp-unity": {
"command": "/mnt/c/Windows/System32/cmd.exe",
"args": [
"/c",
"cd /d C:\\[your-repository-path]\\Library\\PackageCache\\com.gamelovers.mcp-unity@71e48418770f\\Server~ && node build/index.js"
]
}
},
...
}
参考資料
-
一番人気な Unity の MCP はjustinpbarnett氏が作ったものなのですが、これはテストの実行コマンドがなかったので、採用を見送りました ↩︎
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