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【Mac 実機不要】GitHub Actions で iOS アプリをビルドする

2024/02/18に公開

はじめに

GitHub Actions は、GitHub 上でワークフローを自動化するための機能です。
この記事では、GitHub Actions を使って Mac を持っていなくても iOS アプリをビルドする方法を紹介します。

1. リポジトリーの準備

まずは、iOS アプリのリポジトリーを用意します。
この記事では、以下のようなディレクトリー構造を想定しています。

.
├── .github
│   └── workflows
│       └── build.yml
├── MyApp
│   ├── MyApp.xcodeproj
│   └── ...
└── ...

2. GitHub Actions の設定

リポジトリーのルートディレクトリーに .github/workflows/build.yml を作成し、以下の内容を記述します。

build.yml
name: Build

on:
  push

jobs:          
  build:
    name: Build
    runs-on: macos-latest

    steps:
      - name: Checkout
        uses: actions/checkout@v4

      - name: Archive Project
        run: |                        
          xcodebuild archive -project MyApp/MyApp.xcodeproj \
                             -scheme MainApp \
                             -sdk iphoneos \
                             -configuration Release \
                             -archivePath MainApp.xcarchive \
                             CODE_SIGNING_ALLOWED=NO

      - name: Create ExportOptions.plist
        run: |
          echo '${{ secrets.EXPORT_OPTIONS }}' > ExportOptions.plist

      - name: Create Private Key
        run: |
          mkdir private_keys
          echo -n '${{ secrets.APPLE_API_KEY_BASE64 }}' | base64 --decode > ./private_keys/AuthKey_${{ secrets.APPLE_API_ISSUER_ID }}.p8

      - name: Export IPA
        run: |   
          xcodebuild -exportArchive \
                     -archivePath MainApp.xcarchive \
                     -exportOptionsPlist ExportOptions.plist \
                     -exportPath app.ipa \
                     -allowProvisioningUpdates \
                     -authenticationKeyPath `pwd`/private_keys/AuthKey_${{ secrets.APPLE_API_ISSUER_ID }}.p8 \
                     -authenticationKeyID ${{ secrets.APPLE_API_KEY_ID }} \
                     -authenticationKeyIssuerID ${{ secrets.APPLE_API_ISSUER_ID }}

      - name: Upload IPA to App Store Connect
        run: |
          xcrun altool --upload-app -f app.ipa/MainApp.ipa \
                       -u ${{ secrets.APPLE_ID }} \
                       -p ${{ secrets.APP_SPECIFIC_PASSWORD }} \
                       --type ios

この設定では、xcodebuild コマンドを使って iOS アプリをビルドし、xcrun altool コマンドを使って App Store Connect にアップロードしています。

重要なポイントは以下の通りです。

  • Xcode プロジェクトのパスは MyApp/MyApp.xcodeproj、スキーム名は MainApp としています。適宜変更してください。
  • Xcode のプロジェクトで自動署名を有効にしてください。
  • xcodebuild buildxcodebuild archive するときには、署名を無効にするために CODE_SIGNING_ALLOWED=NO を指定しています。
  • Private Key のパスは内部で暗黙的に参照されるため、変更しないでください。
  • -allowProvisioningUpdates を指定しているので、プロビジョニングファイルを必要としません。
    また、プロビジョニングファイルを 1 年ごとに更新する必要がありません。

3. シークレットの設定

GitHub のリポジトリーの設定画面から、Repository secrets に以下のシークレットを設定します。
詳しい設定方法は、GitHub のドキュメント を参照してください。

  • EXPORT_OPTIONS: ExportOptions.plist の内容
  • APPLE_API_KEY_BASE64: App Store Connect API のキーの内容を Base64 エンコードしたもの
  • APPLE_API_ISSUER_ID: App Store Connect API の Issuer ID
  • APPLE_API_KEY_ID: App Store Connect API のキー ID
  • APPLE_ID: Apple ID
  • APP_SPECIFIC_PASSWORD: Apple ID のアプリ用パスワード

ExportOptions.plist の作成

EXPORT_OPTIONS は、以下のような内容です。
YOUR_TEAM_ID は、Apple Developer Program の Membership から確認できます。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE plist PUBLIC "-//Apple//DTD PLIST 1.0//EN" "http://www.apple.com/DTDs/PropertyList-1.0.dtd">
<plist version="1.0">
<dict>
    <key>method</key>
    <string>app-store</string>
    <key>teamID</key>
    <string>YOUR_TEAM_ID</string>
</dict>
</plist>

App Store Connect API のキーの作成

App Store Connect API のキーは、App Store Connect API から作成できます。
名前は任意ですが、Admin のアクセスが必要です。
詳しい発行方法は、Apple のドキュメント を参照してください。

APPLE_API_KEY_BASE64 は、キーの内容です。
一度しかダウンロードできないため、注意してください。
Base64 エンコードしてシークレットに設定してください。

Base64 エンコードの方法

以下のコマンドで Base64 エンコードできます。

Windows (PowerShell)
[Convert]::ToBase64String([System.IO.File]::ReadAllBytes("AuthKey_YOUR_ISSUER_ID.p8"))
Linux / macOS
base64 -i AuthKey_YOUR_ISSUER_ID.p8

APPLE_API_ISSUER_ID は、キーの発行者 ID です。
すべてのキーに共通です。

APPLE_API_KEY_ID は、キー ID です。
ダウンロードしたキーのファイル名の AuthKey_ の後に続く文字列でもあります。

アプリ用パスワードの設定

APPLE_ID は、Apple ID(メールアドレス)です。
Apple Developer Program の登録に使用した Apple ID を設定してください。

APP_SPECIFIC_PASSWORD は、Apple ID の アプリ用パスワード から作成したアプリ用パスワードです。
より詳しい設定方法は、Apple のドキュメント を参照してください。

4. 実行

これで準備完了です。

GitHub に push すると、GitHub Actions が自動的に実行されます。
ビルドが成功すると、App Store Connect にアプリがアップロードされます。
App Store Connect から審査不要の内部テスト用リリースを作成することができます。
お手持ちの iPhone でテストしてみてください!

うまくいかないときは

ワークフローが失敗する場合は、以下の点を確認してください。

  • Xcode プロジェクトのパスやスキーム名は正しいか。
    xcodebuild -list -project MyApp/MyApp.xcodeproj でスキーム名を確認できます。
  • Xcode プロジェクトで自動署名は有効か。
  • シークレットはすべて設定されているか。
  • APPLE_API_KEY_BASE64 は Base64 エンコードされているか。
  • App Store Connect API のキーの権限は正しいか。
  • app.ipa ディレクトリーに MainApp.ipa が作成されているか。
    プロジェクトによってはほかの名前になることがあります。
    ls -l app.ipa で確認できます。

おわりに

この記事では、GitHub Actions を使って Mac を持っていなくても iOS アプリをビルドする方法を紹介しました。
ぜひお試しください。

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