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新NISAで話題のオルカン、実際の成長率を徹底解剖!

2025/01/24に公開
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新NISAで話題のオルカン、実際の成長率を徹底解剖!

モチベーション

近年、新NISAの開始により、世の中はまさに投資ブーム。特にインデックス投資は注目されており、オルカン(全世界株式)といった名前をよく耳にするようになりました。

そこで、誰もが気になるのが「実際、どれくらいの利回り(成長率)があるのか?」という点。しかし、インターネット上のサイトを見ると、オルカンの成長率は5%、10%、30%などと様々で、一体どれが本当なのかと困惑してしまいます。

そこで、今回は実際に自分でオルカンの成長率を計算し、その実態を解き明かすことにしました。

そもそもインデックス投資とは?

インデックス投資とは、特定の市場の指標(インデックス)に連動するように設計された投資方法です。例えば、日経平均株価のような指数に連動する投資信託やETFを購入することで、日本の株式市場全体に投資できます。

全世界株式とは?

全世界株式とは、文字通り全世界の株式市場に分散投資するものです。先進国だけでなく、新興国の株式も含まれており、より広範囲な分散効果が期待できます。

MSCI ACWIとは?

オルカン(全世界株式)の代表的な指標として使われるのが「MSCI ACWI (All Country World Index)」です。MSCIとは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルの略称で、世界的な金融指標を提供している会社です。MSCI ACWIは、世界の株式市場の約85%をカバーしており、先進国23カ国と新興国24カ国の大型株と中型株を対象としています。これにより、世界中の株式市場の動きをほぼ捉えることができるため、全世界株式のベンチマークとして広く利用されています。投資家はこのインデックスに連動する投資信託やETFを通じて、手軽に世界中の株式市場に分散投資をすることが可能です。MSCIは、この他にも様々なインデックスを提供しており、投資戦略に応じて使い分けられています。

オルカンの正確な成長率値は?

成長率(リターン)を考える上で重要なのは、計算方法を理解することです。一般的に、成長率には以下の3つの計算方法があります。

  1. 算術平均

    • 単純に毎年のリターンを足し合わせ、年数で割ったもの。
    • 計算式:算術平均 = (R1 + R2 + ... + Rn) / n
      • Rは各年のリターン、nは年数です。
    • 例:もし、3年間でそれぞれ5%, 10%, 15%のリターンがあった場合、算術平均は(5 + 10 + 15) / 3 = 10%となります。
    • 計算は簡単ですが、複利効果を考慮していないため、長期投資には不向きな指標です。
  2. 幾何平均

    • 各年のリターンを掛け合わせ、その積のn乗根(nは年数)を取ったもの。
    • 計算式:幾何平均 = √n((1 + R1) * (1 + R2) * ... * (1 + Rn)) - 1
      • Rは各年のリターン、nは年数です。
    • 例:もし、3年間でそれぞれ5%, 10%, 15%のリターンがあった場合、幾何平均は((1 + 0.05) * (1 + 0.10) * (1 + 0.15))^(1/3) - 1 = 約0.098となり、約9.8%となります。
    • 複利効果を考慮した、より正確な長期的な成長率を把握できます。
  3. 近似幾何平均

    • 各年のリターンを足し合わせ、年数で割った後、その平均値から分散の半分を引いたもの。
    • 計算式:近似幾何平均 = 算術平均 - (分散 / 2)
      • 分散はリターンのばらつきを示す値です。
    • 幾何平均の近似値として使われ、計算が容易なため実務でよく用いられます。

解析に使用したデータ

今回、オルカンの成長率を計算するために、以下のデータを使用しました。
期間は1987/12~2024/12までです。

Pythonで実際に計算してみた!

取得したデータをもとに、Pythonを使ってオルカンの成長率を計算してみました。

計算結果(為替考慮なし)

  • 算術平均リターン(年率):6.99%
  • 幾何平均リターン(年率):5.93%
  • 近似幾何平均リターン(年率):5.84%
  • 標準偏差(年率):15.13%

計算結果(為替考慮あり)

  • 算術平均リターン(年率):8.10%
  • 幾何平均リターン(年率):6.67%
  • 近似幾何平均リターン(年率):6.62%
  • 標準偏差(年率):17.17%

※上記コードはGithubにて公開していますので参考にしてください

https://github.com/TakumiKishimoto/ACWI

上記からの考察

為替の影響を考慮すると、リターンは若干向上することがわかります。ただし、標準偏差も大きくなっているので、リスクも高まっていると言えるでしょう。

また、算術平均リターンは幾何平均リターンよりも高い結果となりましたが、長期投資においては複利効果を考慮した幾何平均リターンの方がより参考になると考えられます。

まとめ

今回の計算結果から、オルカンの成長率は世の中で言われているほど高くはないと感じた方もいるかもしれません。しかし、年率5〜7%程度のリターンでも、長期で見ると複利の効果は絶大です。

オルカンは、世界経済の成長に連動するインデックスであり、長期的な資産形成に向いていると言えるでしょう。

結論として、日々の値動きに一喜一憂せず、長期でじっくりと保有する「ガチホ」こそが、インデックス投資の王道だと改めて感じました。

注意書き

  • 本記事は、投資を推奨するものではありません。
  • 投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
  • 本記事の内容は、あくまでも筆者の個人的な見解であり、一切の責任を負いかねます。
  • 投資にはリスクが伴います。
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